ダンジョンに規格外がいるのは間違っているだろうか 作:イグレス
オラリオで向かう途中で寄った町で、
ラグナはある物を見つけた。
「すみません、これください」
「おう、毎度あり!」
他にも食料などを幾つか買い、荷台で待っていたヘスティアと合流した。
「おかえりラグナ君、買出し終わった?」
「ああ、必要なものは無事買えたよ。」
「よし、それじゃあオラリオに向けて再出発だ!」
「………ちょっと待ってくれ、ヘスティア」
「ん?。どうしたんだいラグナ君?」
ヘスティアが疑問に思うと、ラグナはさっき買ったある物を見せた。それは、鐘付きの髪飾りだった。
「……ラグナ君、これって」
「まあ、眷族を保留しているからな。前祝いにと思って買ったんだが、気に入ってくれるか?」
「………」
ヘスティアはゆっくり髪飾りを手に取り、次第に震え出すと思いっきり抱きしめて来た
「うお!?」
「……ありがとう、ラグナ君。一生大事にするから!」
その時のヘスティアの顔は涙を流しながら、美の女神にも劣らない美しい笑顔を見せたのだった。
オラリオに日が登り始める 小鳥が囀り朝早くから冒険者達は、今日も富や名声そして未知を求めてバベルの下にあるダンジョンに向かっていく。
この広大な都市の北西のメインストリートと西のメインストリートに挟まれた区画にあるとある廃教会の隠し部屋のベットで、一柱の女神が起き上がる。
「ふあ〜〜もう朝かあ、おはようラグナ君」
「おはようヘスティア、朝飯作ったから顔洗ってからこいよ」
「は〜い……」
顔を洗って、髪を整えたヘスティアとラグナは朝食を済ませた後、二人は昨日の出来事を話し始めた。
「なあヘスティア、俺の【ステイタス】って結局どうなったんだ?。あの後お前は絶叫しながらひっくり返えって気絶ししてさ、一体何を見たんだ?」
「あ〜〜うん、それなんだけど口で説明するより君が直接見た方がいいかもしれない」
そう言ってヘスティアは【ステイタス】を写した一枚の羊皮紙をラグナに渡す、ラグナはその書かれている内容を見ると目を見開いた。
【ラグナ・オラクル】
Lv.1
《基本アビリティ》
力 : B 702
耐久 : C 655
器用 : B 789
敏捷 : C 697
魔力 : E 360
覇気 : E 348
気 : E 364
《スキル》
【
超早熟
《
《
【
限界突破
【
魔力を自在に操作可能
《発展アビリティ》【魔導】【精癒】を発現
イメージする事で魔法を行使可能
【◼️◼️◼️◼️】
◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️
◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️
「スゥーー、なぁヘスティア。この【ステイタス】って本当はおかしいよな?」
「うん、おかしいね。《基本アビリティ》の数値も《スキル》もだけど、僕が1番驚いたのはここだ」
そう言ってヘスティアは《基本アビリティ》に書いてある“二つの項目“を指差した。
「この【気】と【覇気】の項目は、本来の【ステイタス】には存在しない、その原因は恐らくラグナ君自身にあるんだと思う」
「俺に……?」
「うん、君のその力は
ヘファイストスも言ってたけど、神である僕達の知らない力を自分自身で見つけ出しそして掴み取った。それだけの偉業を成し遂げたんだ、その結果がステイタス】に現れたんだと僕は思う」
ヘスティアの言葉を聞いたラグナは、自身の手を無意識に見ていた。ラグナのこれまでの努力がこうして現れるのを実感すると、今にも涙が溢れ出そうになる。
「……そっか……そうだといいな」
「うん、きっとそうだよ!」
背中を優しく摩るヘスティアは、慈愛の女神を想わせる優しい笑顔だった。
◇
「さて、気を取り直して次はスキルを見てみようか」
「じゃあ先ずは【
ラグナは指先に火を灯すイメージを行うと小さな灯火がついた、他にもコップに指を近づけ水を出すイメージをすると水が生成されコップに落ちていく。
魔力を操作して実感する。恩恵を貰う以前より遥かに扱い易く、より繊細な操作が出来る。
「おお…これ、使い方次第では色んな事ができそうだな!」
「イヤイヤ、これって実質スロットの制限を無視して魔法使えるって事だよね!?」
本来、魔法は詠唱を唱える事で行使できる。そして最大3スロットまで(例外はある)発現出来るが、この【
「残り二つのこれは間違いなく『成長系のスキル』だね、それもとんでもなくヤバいヤツ」
【
【
限界突破に加え、どれもありえない効果を持った。(恐らく)この中で最もイカれた性能を持っている、正しく《チートスキル》と呼ぶに相応しい内容だった。
「そして……最後のスキル」
最後のスキルは……スキル名は不明、効果も不明。完全に文字が黒く塗り潰され、
時折ノイズのように震えている。
「これ、一体何のスキルなんだ?」
「分からない……恐らく今の所は問題ないと思う、感だけど」
まだ下界に降りたばかりのヘスティアは
頭を抱える程の《スキル》……否、あまりのイかれた【ステイタス】の結果に現実逃避を起こしていた。
「色々言いたいことはあるけど、規格外過ぎて文句を言う気力もな〜い」
「えっと、とにかくこの事は他言無用という事で決まったけど、これからギルドに行って魔石の換金にダンジョンに入る予定なんだが?」
ところがラグナはいつものノリでギルドに向かうという提案を出した、流石のヘスティアもこれには文句を言い出した。
「……ラグナ君、よく冷静でいられるね?君の【ステイタス】がどんだけ規格外なのか理解してる?」
「さすがの俺もこの【ステイタス】が世にバレると娯楽を求める神々に絶対狙えわれるのは理解している」
ラグナは、神々が下界に降りた理由が大半が娯楽目的であるのは昨日ヘファイストスの件で概ね理解している。
「わかっているなら良いけど……」
「それに、折角
「……ハァ、まあラグナ君なら無事に帰って来れるって信頼してるけど、あまり無茶はしないでくれよ?」
「……大丈夫さ、無事に帰るよ」
「……フフッ」
そして2人は魔石の入った袋を持って冒険者ギルドの本部に来ていた。色々ゴタついたがヘスティアが仲介したおかげで無事に都市外の魔石を換金してもらった。
登録を終えたラグナはヴァリスを抱えて、ヘスティアの身を案じて一度拠点に戻った。そして教会の入口までついた後、ヘスティアにヴァリスを預けて見送られながらダンジョンに向かった。
「ここが、ダンジョンか。」
【ダンジョン】オラリオにおける代名詞とも呼ばれる人類の有史以来共にある未だ完全踏破されていない未知の迷宮。その第一階層についたラグナは知識として知っていたが、実際入ってみてハッキリした。
空気が重い、鍛えた事により研ぎ澄まされた気配察知を使わなくても感じる明確な変化。しかしラグナは立ち止まる事なく進み続けた、未知への期待と冒険を求めて。
◇
しばらく歩くと
ザン!ザザン!!
「ふう…まだこの階層なら余裕があるが、体力を考えて油断せず進もう」
ラグナはそう呟きながら魔石を回収して、次の階層へ進んもうとすると少し遠くから戦いの気配を感じた。
別の冒険者が戦っていると思っていたが【ステイタス】を授かったからなのか気配の強さがわかるようになっていた。
強い気配が一つ、小さい気配が一つ、明らかにアンバランスな気配にラグナは気になってその方向に歩き出した。
◇
そこにはその場で見届ける耳の尖った緑髪の女性と、魔物を次々切り裂く金髪で小柄な幼女がいた
女性の名はリヴェリア・リヨス・アールヴ、ハイエルフでありLv6《
幼女の名はアイズ・ヴァレンシュタイン
実はラグナがダンジョンに入ったタイミングは新しく入った新人であるアイズを初めてダンジョンに連れてきていた日と同じだった。
「やぁああああ!!」
ザン!!ザン!!ザン!!
ギャアアアアア!!
「はぁ、はぁ、はぁ………」
「………アイズ、今日はもう終わりだ。戻るぞ」
「…いや…私はまだ、戦える」
「……おいアイズ!」
リヴェリアが体力の事を考え戻るように教えるが、アイズは再び生み出された魔物達に向かって切りかかる
──────しかし
「やぁあああああ!!」
バキン!!
「………っ!?」
アイズが降っていた武器は、今まで無茶な使い方をした事により根本から折れてしまった。それを好機と捉えたのか、魔物達は一斉に襲いかかってきた。
リヴェリアも「アイズ!!」と叫び助けようとしたが間に合わない………彼以外は。
「ハアッ!!」
ズバン!!
「「………ッ!?」」
リヴェリアの後ろにいたラグナはぶっつけ本番でショートソードに【気】を纏わせ、斬撃を飛ばしてみせた。放たれた斬撃は勢いを止める事なく魔物を全て消し飛ばした。
二人は目を見開いて驚愕し、そして先の
斬撃を飛ばした本人であるラグナの方へ
向ける。
「……君は」
「すまない、危険だと判断して割り込ませてもらった」
「……いや、君が手助けしてもらわなければ、アイズが助からなかった。感謝する、ヒューマンの少年」
「どういたしまして、彼女も無事みたいで安心したよ」
「………」
助けてられたアイズは、ラグナの事をじーと見つめていた。
「……アイズ、助けられたのだからお礼と挨拶を言え」
「……アイズ・ヴァレンシュタイン、助けてくれて、ありがとう」
「私も名乗ろう、リヴェリア・リヨス・アールヴだ」
「初めまして俺はラグナ・オラクル、ヘスティア・ファミリアの最初の眷族だ。ダンジョンには今日入ったばかりなんだ」
「……何!?、君もアイズと同じ新米冒険者だと!?」
「……っ!」
ラグナがダンジョンに入ったのは今日初めてである事に二人は驚愕した。リヴェリアはとてもダンジョンに入ったばかりの新人には見えなかった、アイズに至ってはラグナを見る視線に変化があった。
「それじゃあ俺はまだ先に進みますので、二人共道中気をつけて」
ラグナはその場を立ち去ろうとした……がアイズの手が彼の手を掴んで離さなかった。
「……ん?」
「………」ジー
「……どうしたんだ?」
「……さっきの、何?」
「……さっきのって、あの斬撃の事か?」
「………」コクッ
「(何でか分からないが、興味を持ってしまったみたいだ、危険だからといって咄嗟に出したのは失敗だったか?)……えっと何ていうか」
「……アイズ!、彼に迷惑をかけるな」
リヴェリアが注意するもアイズはラグナの手を離そうとしない、それどころか逃がさないように両手で掴み始める。
「……さっきバーンで、ズババーン、て攻撃どうやったの、私、覚えたい、教えて!」
「あ、いや、その、流石に今日出会ったばかりの子に教えるのはちょっと……」
「じゃあ、ついて行く、もっとアナタの
戦ってるとこ、見たい!」
「……アイズ!!」
このままじゃ拉致があかないと思ったラグナは、仕方なくある約束する事にした。
「(この頑固さ、恐らく今度って言っても聞かないだろうし)……わかったよ、明日リヴェリアさんが良かったら一緒に行ってあげるから、今日はリヴェリアの言う通り家に帰ってくれ」
「……ホント?」
「ああ、約束するから」
「………わかった」
アイズは漸くラグナの手を離し、トテトテと去って行く。
「……すまないラグナ、あの子には私から注意しておく」
「気にしなくて良いですよ。こちらもすみません、勝手に彼女と約束してしまって」
「構わん、君のおかげでアイズが素直に
そう言ってリヴェリアはアイズを追いかけてダンジョンを去り、ラグナは更に深く潜って行くのだった。
─────
地下6階層まで降りたラグナは魔物を次々倒しながら【ステイタス】による影響を把握した。まず全体的に身体能力が上がっていた、あの【ステイタス】の数値は間違いなく影響があったようだ。
【気】は以前より出力と練度が上がり、
先程のように武器に纏い斬撃を飛ばす事が可能になった。オマケに気弾といった、
魔法以外の遠距離攻撃が可能になった。
【覇気】は《武装色》を任意で発動を、《見聞色》はより広範囲に気配を感じ取れるようになった。
【魔力】はスキルのおかげでほぼ自在に魔法を使える、各属性は勿論、回復や幾つかの
魔物を倒し続け、落ちた魔石を回収しながら戦っていくと、5匹の《新米殺し》と言われるウォーシャドウが現れた。
「最後はアイツらを倒すして帰るか。……そうだ、どうせならアレを試してみるか!」
ここで、ラグナはある事を思いついた、それは《覇気》《魔力》《気》三つの力を使い攻撃してみる事だった。
まず《武装色》で武器を硬化させ攻守共に底上げ。炎の
「ハァアアアアアア!!」
ズガーーーーン!!!!
解き放った一撃は黒い刃に炎を纏う眩い閃光、其らが集約した斬撃が階層を照らす。
光が消えると、目の前の光景が顕になる。
ラグナの位置から役数十m先まで、地面と天上が切り裂かれ、赤く熱を発していた。
放つ前に冒険者がいないか、気配を感じた上で放ったが、想像以上の威力に本人も苦笑いをし出した。
「これが、三つの力を重ねた威力か。……これは最後の切り札にするべきだな」
ちなみウォーシャドウの魔石は消滅してしまったが、代わりに
そして帰ろうとしたがラグナはまたある事を思いつき、早速あるその魔法を使ってみた。
「ふう……そろそろ切り上げるか、戻るのに時間かかりそうだし、折角だからあの魔法を試しにやってみるか!」
「─────リレミト!」
ラグナがそう唱えると、足元から魔法陣が現れて、その姿が消えた。
◇
光が消えるとラグナが立っている場所は、1階層のダンジョンの入り口手前だった。ゴッソリ魔力が減った感覚があったが、魔法が成功したことで内心ガッツポーズをして、気分良く地上に向かって行った。
─────
しばらくしてギルドに着いたラグナは、さっそく受付にいる【ローズ】に今回手に入れた魔石と素材を換金した。
「……ローズさん、買取を頼みます」
「……この魔石の量、それにウォーシャドウの
「はい、もちろん体力や安全を意識して攻略していたので、ケガなく戻りました」
「……ハァ、アナタのこと神様が仲介していなかったら絶対疑っていたわよ。正直まだ怪しいって思っているけど?」ジド〜
「ア、アハハ〜……」汗
「取り敢えず買取ね、ちょっと待ってなさい」
待つこと数分、ローズは大きな袋を持って戻ってきた。
「……はい、これが今回の買取金額、5万ヴァリスよ」
「…おおっ!」
5万ヴァリス、本来新米なら1日5千ヴァリスが平均だが、ラグナはその10倍を稼ぎ出した。するとラグナは周りの視線がこちらに向いている事に気づき、ローズに一言礼を言って直ぐにギルドを後にする。
色々ありはしたが、初のダンジョン攻略は大成功で幕を閉じ
◇
ここはオラリオの二大派閥の一つ《ロキ・ファミリア》の
団長:フィン・ディムナ
副団長:リヴェリア・リヨス・アールヴ
幹部:ガレス・ランドロック
この4人はさっきまで、アイズのダンジョンでの行動を話し合う為に集まっていた。
そして、今から別の話題について話し合う所だった。
「それで…リヴェリア、そのアイズを助けた冒険者。名前は、ラグナ・オラクルだったか?」
「ああ、アイズと同じく。今日冒険者登録をした新米らしい、恐らくLv1、だが実力はそれを超えていると見ている。しかも彼はアイズに襲ってきた魔物を─────
斬撃を飛ばして倒してまった。」
「「「………っ!!」」」
二人と一柱は目を見開いた、斬撃を飛ばすという技はそう簡単にできる事ではない。並みの冒険者では不可能な芸当、それを今日潜った新米が繰り出したというのだから。
「それは、間違いないのかい?」
「……信じられないかもしれないが事実だ、と言っても威力はかの『
「ほう、斬撃を飛ばすか。面白い小僧だのお、そやつ。本当に今日登録した新米なのか?」
「確かに彼は新米という割に、魔物を倒す事に慣れていた。恐らく都市外でも魔物を倒した経験があるのだろう。少なくとも、オラリオに来たのは最近であるのはギルドで確認した」
「ふーん。んで、そのラグナっちゅうんは何処の神の眷族なんや?」
「彼は、ヘスティア・ヘスティアだと言っていたぞ」
「なんやと!?。あのドチビ、いつの間に下界に降りてきたんや!?」
どうやらロキとヘスティアは何か因縁があると察した3人は、再びラグナの話題に戻す。
「コホン。そういえば明日、彼とまた会う約束をしたそうだね、リヴェリア?」
「ああ、アイズが思ってる以上に彼の実力に興味を持ってしまってな。再び会う約束をた事で素直に帰って来れたんだ」
「がはは!。あのアイズが他人に興味をのお」
「笑っとる場合かガレス!。ウチの可愛いアイズたんを、ドチビの子供に合わせるなんて許せへんで!!」
「そう言うなロキ、アイズが魔物以外に興味を持つ事は悪いことではない。これを切っ掛けに彼女に何かしらの変化があればと、私はそう考えている」
「なら道中ウチも連れてけ、ウチが直々にソイツの本性を見定めてやるんや!」
「……ハア」
ロキの我儘は今に始まった事ではないが、リヴェリアは呆れて何も言わなかった。そしてフィンはこの話の中心人物であるラグナについて考えていた。
「(実力は並みの同Lv冒険者を超える実力、魔物との戦いに慣れていて、更には斬撃を飛ばす事が出来る)」
「ラグナ・オラクル。興味深い少年だ。彼はこの先、どのような道を歩んでいくのかな?」
フィンは何となく勘付いていた。近いうちこのオラリオに大きな変化が起きる事を、疼く親指をひと舐めしてそう言ったのだった。
今回はここまでです。
喋り方がこれであっているかとても不安ですが、それっぽく出来たかと思います。
次回からは週に一回投稿出来ればと考えいます。
それまで楽しみにして頂けたら嬉しいです。