パックから出るカードが俺だけインフレし過ぎている 作:3pu
「バトルフェイズ。俺はセツカでプレイヤーに攻撃。その時に、セツカの効果を発動する。俺は手札にあるカード1枚を選ぶ。それは次の自分のターン終了時までコストを−1する」
「くっ、リンゴでブロックする」
スパイクヘッドがカードをタップした瞬間、俺の横にいたはずの女忍者は姿を消し、気がついた時にはツインテ天使の後ろに立っていた。
「まずは、1体ですね」
彼女がそう宣言したのと同時に、天使の身体がズレ、その後すぐに霧散する。
「あぁ〜、やっぱ敵を倒すのは気持ち良いですね〜」
「…………」
スリスリと攻撃の際に使用したであろうクナイに頬擦りをするセツカ。
ドデカイモンスターを倒した後なら様になるのだが、相手が女児のような見た目をしているモンスターだったが故に犯罪臭が凄い。
俺は隣に戻ってきたセツカからほんの少し距離を取り、「ターンエンド」を宣言した。
「おいおい、とんでもないカードを持ってんな兄ちゃん。だが、その嬢ちゃんの守備力は3000。高くはあるが越えられないほどじゃねぇ!俺のターンスタンバイフェイズ」
[鳥頭 三歩 ※スパイクヘッド]
ライフ10
pp3→4
手札3枚
「ドローフェイズ!──「ここで俺はエレクトロヴィレッジの効果を使い、さっきコストを下げて、0コストになった『影縫いの術』を発動する。このターンとお前のモンスターとドローを縛らせてもらう」──くそが!また、もう一枚引いてたのかよ!」
俺がカードをトラッシュに置くと、先ほど影の呪縛から解き放たれたばかりのリーゼントモンスターが再び拘束される。
スパイクヘッドのおっさんは盛大に舌打ちつつ、山札から手を離し、自身の手札に視線を落とした。
「だが、まぁいい。欲しいカードは俺の手札に持ってるからな。メインフェイズ!俺は4コスト支払い、『
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コスト:4
レア度:R
フラッグ:不滅ヤンキーズ
カードタイプ:モンスター
攻撃力4000 守備力1000 シンボル1
効果
・このモンスターの攻撃時、山札からカードを一枚引いても良い。引いた場合、その後手札を1枚トラッシュする。
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「バトルフェイズ!『切り込みバイカーレッドヘッド』で『電脳クノイチ セツカ』を攻撃だ!死ねーー!」
スパイクヘッドの雄叫びと共に、ハーレーに乗ったメット男がセツカに向かって全力で突撃を開始した。
が、間も無く自分が轢かれるという状況にありながら、セツカは一ミリも動揺していなかった。
まぁ、俺の手札が見えてるからなんだけど。
「俺はここでセツカの効果を発動し、手札から1コストで『代わり身の術』を発動する」
「はぁ?何を言ってやがる、お前のppはもうねぇだろうが!反則だ」
「あるぜ!コイツがな」
イチャモンを付ける鳥頭に俺はトラッシュに置かれた影縫いの術を見せる。
「コイツは相手のターン中に、俺がカードをプレイする時にトラッシュから除外することで、使うカードのコストを−1出来るんだよ」
「トラッシュで効果が発動するだと!!!?」
今日一で目を見開くスパイクヘッド。
まぁ、それも仕方ない。
この世界において、まだトラッシュで効果を発動するカードは存在しないからな。
俺は持っていたカードを上に投げると、その姿は虚空に消えると、宣言していたマジックが光輝いた。
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代わり身の術
コスト:1
レア度:R
フラッグ:電脳クノイチ
カードタイプ:マジック
効果
・自分のモンスターを一体を指定する。そのモンスターはこのカードをプレイしたターンの間、戦闘、効果で破壊されない。
・相手ターンにこのマジックを使用していた場合、このマジックの効果で指定したモンスターは、相手カードの効果をこのターンの間一切受けなくなる。
・相手ターン中に自身がカードをプレイする場合、トラッシュにあるこのカードを除外してもよい。そうした場合、プレイするカードのコストを−1する。
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「俺が指定するのは『電脳クノイチ セツカ』だ」
『くらいやがれーーー!』
「ふふっ、さーてどっちだ?」
『二人に増えただと!?」
マジックの効果によって、二人に分身したセツカに狙いを惑わされたレッドヘッドは、ものの見事に分身の方に突撃。派手に転倒した。
「その程度の速さで、忍者を捉えようなんて100年遅えですよ」
「……俺がカードをプレイしたおかげなんだから、調子に乗るなよ〜」
分かりやすく鼻を伸ばす銀髪クノイチにチョップを喰らわせ、スパイクヘッドに向き直る。
すると、奴はギリリとハンカチを噛み締めていた。
カマセ悪役の風格があり過ぎるな、おい。
「ぐぬぬ、ターンエンドだ」
「じゃあ、俺のターンな。スタンバイフェイズ」
[爆札最人]
ライフ9
最人のpp3→4
最人の手札8
「ドローフェイズ。ドローの代わりに、山札から2枚を確認。左側を残して、残りはトラッシュ。
リフレッシュフェイズでタップ状態のセツカをアンタップ。
メインフェイズ。俺は2コストを使用して手札から『火遁の術』を発動。コスト5以下のモンスター、『爆音二輪 レッドヘッド』を破壊する」
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火遁の術
コスト:2
レア度:c
フラッグ:電脳クノイチ
カードタイプ:マジック
効果
・コスト5以下のモンスターを1体選び破壊する。
・相手ターン中にこのマジックを使用していた場合、山札から一枚引いても良い。その後、相手の場にモンスターが1体もいないなら相手ライフに1ダメージ。
・相手ターン中に自身がカードをプレイする場合、トラッシュにあるこのカードを除外してもよい。そうした場合、プレイするカードのコストを−1する。
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「くっ!」
カードから放たれた大火球に飲み込まれ、レッドヘッドの姿が消滅。
俺は間髪入れずにバトルフェイズに入り、セツカで鳥頭に攻撃。
「ライフで受けるぜ!」
「しっ!」
「ぐあぁぁぁ!」
セツカがクナイで男の太ももを切りつけることに成功し、ライフを1削った。
スパイクヘッドは足を押さえ、その場に転げ回っているところを見るに受けるダメージは、シンボルではなく攻撃力に依存してるようだ。
(攻撃力がデカいやつのダメージは出来るだけ受けねぇようにしないとな)
「ターンエンドだ」
「くそくそくそくそ。絶対お前にこれ以上の痛みを与えてやる!俺のターン!スタンバイフェイズ!」
[鳥頭 三歩 ※スパイクヘッド]
ライフ10→9
pp4→5
手札2枚
「ドローフェイズ!」
「…………」
「へへっ、流石に弾切れか!ドロー!くっくっ、ついてるぜ。最高のカードを引いちまったぜ、おい。覚悟しろよクソガキ!こっから地獄のショーの始まりだぜ!
メインフェイズ!俺は手札から4コストでマジック『不滅の絆』を発動する。これにより、手札を1枚捨てることで、俺は次に出すモンスターのコストを7少なくする。
いくぜ、ならず者のテッペン!俺と共に世界を暴れ回りやがれ!
7コスト!『
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コスト:8
レア度:SR
フラッグ:不滅ヤンキーズ
カードタイプ:モンスター
攻撃力11000 守備力0 シンボル1
効果
・このモンスターの登場時、相手のモンスターを全てタップする。
・このモンスターが破壊される時、代わりにその場に留まる。
・自分のトラッシュに不滅ヤンキーズのフラッグマークを持つモンスターがいる場合、もう一度プレイヤーに攻撃することができる。
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スパイクヘッドの横に現れたのは、黒い特攻服を身に纏った2メートル近くある大男。
高コストなのもあって、かなり面倒な効果を持っている。
『お゛ぉ゛ぉぉぉぉーーーー!不滅ヤンキーズの名にかけて、てめぇらを殴り殺す!夜露死苦ーーーーーーーー!!』
「うっさ!」
「耳が割れそうですぅー」
ダイバーンの雄叫びが空気を振るわせ、俺とセツカが膝をついた。
おそらく、登場時のタップ効果による影響なのだろうが、プレイヤーである俺にまで本能的な恐怖を抱かせるのはやり過ぎだ。
カードを持つ手が滅茶苦茶震えていて、今にもカードを落としそうになっている。
俺のそんな姿に気をよくしたのか、スパイクヘッドは満面の笑みを浮かべ、バトルフェイズを宣言した。
「いけ!ダイバーン!まずは、その目障りなクノイチをぶっ殺せ!」
『おうよ!』
「わわわわ、マスター!さっさと何かマジックを発動してください」
「分かってるっての!俺はエレクトロヴィレッジの効果を使い、1コストで『代わり身の術』を発動。セツカを指定し、破壊を防ぐ!」
ダイバーンの拳がセツカに当たった瞬間、ぽふんという間抜けな音が響き、煙が晴れると冷や汗を拭うセツカの姿があった。
俺も震えで、手元を滑らせ間違ったカードプレイせずに済んだと分かり、息を吐く。
が、残念ながらバトルフェイズはまだ終了していない。
「チッ、防がれたか。だが、まぁ、いい。レッドバイクのおかげでダイバーンは2回攻撃を持っている!いけ!今度はクソガキに攻撃だ!」
『オラぁ!』
今度はダイバーンの拳が俺に迫ってくる。
「セツカの効果と、トラッシュにある影縫いの術を除外して、手札から『甲羅縛りの術』を発動する。ダイバーンの攻撃を即座に中止させる。その後、山札から1枚引く」
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甲羅縛りの術
コスト:1
レア度:UC
フラッグ:電脳クノイチ
カードタイプ:マジック
効果
・このカードは相手ターンにしか使えない。
・相手モンスターがプレイヤーに攻撃する時、そのバトルを即座に終了させる。その後、自分は山札から1枚引いても良い。
・相手ターン中に自身がカードをプレイする場合、トラッシュにあるこのカードを除外してもよい。そうした場合、プレイするカードのコストを-3する。
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しかし、これも防ぐことに成功した。
いつの間にか、後ろに回っていたセツカが蜘蛛の糸でダイバーンの動きを止めたからだ。
「チッ、しぶてぇな。だが、まだだ、俺はキックジョーでプレイヤーに攻撃!」
「セツカの効果と墓地にある影縫いの術を除外して、『甲羅縛りの術』を発動。強制終了だ」
「はぁ〜〜!?またかよ!」
全ての攻撃を防がれたスパイクヘッドはファイト台を叩いた。
流石、ダイバーンを切り札にしているだけのことはある。
が、それで怒りのボルテージが下がったのか、すぐにニヤニヤとした顔に変わった。
「まぁ、いい。俺のダイバーンは不滅だからな。ゆっくりと、残り一枚しかない影縫いの術と甲羅縛りの術を削って、そんでぶっ殺してやるぜ」
スパイクヘッドの発言は確かに的を得ている。
スピリットファイトは、ルール上同じカードをデッキに3枚までしか入れらない。
そのため、俺のデッキには今のところ使った2種類の防御札は1枚ずつしか残っていないのである。
そのため、影縫いの術を引けば、ダイバーンの2回攻撃を後1ターンは防げはする。
しかし、最後の一枚を使い切ってしまえば、後は大人しく殴られるしかない。
それまでに、マジックやモンスターでダイバーンを破壊しようにも効果で耐えられてしまう。
客観的に見て、かなりキツい状況だろう。
「まぁ、破壊以外の除去手段を俺が持っていなかったらな」
「は?」
「俺はセツカの効果と、墓地にある蜘蛛の巣の術を除外して、手札から3コストで『次元断絶の術』を発動する」
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次元断絶の術
コスト:3
レア度:UR
フラッグ:電脳クノイチ
カードタイプ:マジック
効果
・場にいるモンスターを1体選び、そのモンスターを除外する。
・相手ターン中にこのマジックを使用していた場合、除外されている電脳クノイチのフラッグマークがついたカードを2枚まで手札に戻してもよい。
・相手ターン中に自身がカードをプレイする場合、トラッシュにあるこのカードを除外してもよい。そうした場合、プレイするカードのコストを-1する。
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「俺はダイバーンを選択」
「ふははは、無駄無駄。ダイバーンは不滅だ!いくら倒しても無意味なんだよ!ばーか!」
そう言って、高笑いを上げるスパイクヘッド。
「えい!」
『ぐわぁぁぁぁーーー!』
「は?」
だが、それはセツカがダイバーンを次元の裂け目に突き飛ばしたのを見たところで、止まった。
「
破壊がなければ、除外すればいい。
この世界にはまだ相手のモンスターを破壊するカードしか存在しないが、俺は手札に戻すカードも除外するカードも持っている。
まぁ、理由はとてつもなく不本意なんだが。
今はそんなことはどうでもいい。
俺は固まるスパイクヘッドに近寄り、「さてと、これなーんだ?」と言って除外ゾーンから帰ってきた2枚のカードを見せる。
「影縫いの術が……2枚ある」
「そうだ。てことは、お前は後2ターン何も出来ない。何も出来ずに無抵抗にライフを削られるんだ。覚悟しろよ?」
「ひ、ひぃーーーー!」
自分の左手にカードがないことを遅れて理解したスパイクヘッドの顔から、さぁーと血の気が引いていく。
顔面蒼白になった彼は、その場から崩れ落ち、俺の足にしがみついた。
「た、助けてくれ。今までのことは謝るから、だから!」
恥も外聞も全て捨てた必死の懇願。
心の底からこの男が許しを乞うているのが分かった。
当然俺は──
「却下」
──許さなかった。
人のカードを奪おうとして、さらに蹴りを一発入れてきたのだ(※本人はしていない)。
当然だよなぁ?
その後、数分に渡って結界内で男の断末が響き渡った。
「あ〜楽しかったですね。マスター?」
結界から出てすぐ私服姿に戻り、そう言って満面の笑みを浮かべるセツカ。
だが、それとは対照に俺の顔は暗かった。
「……疲れた」
仕方がないだろう。
あの後、スパイクヘッドにトドメを刺すために
マジで長過ぎ、面倒くさ過ぎ、だる過ぎ。
毎度こうなるから、スピリットファイトやりたくないんだよな。
俺はうーんと身体を伸ばすセツカにチラリと視線をやる。
「なぁ、
「浮気ですか?殺しますよ、マスター」
「はぁ〜だる」
駄目だと分かっていたが、本当どうしてこうなった。
ヤンデレクノイチに首元にクナイ突きつけられながら、俺は遠い目を浮かべるのだった。