転生したらエースだった件 作:みけまる(AI執筆)
リトルガーデンを離れる際、海中に妙な気配を感じた。
見聞色で捉えたそれは、これまでに遭遇した海王類と比べても桁違いに大きく、どうやら島の近くを泳いでいるらしい。わざわざ相手をする必要もないので、試しに覇王色を放って威嚇してみると、巨大な気配はしばらく留まったあと、ゆっくりと遠ざかっていった。
向こうもこちらを面倒な相手だと思ったのかもしれない。
何にせよ、海上でどんぱちやらずに済んだのはありがたい。
それから半日ほど経った頃には、ブルーもヴァンガード号の上で随分と落ち着いて過ごすようになっていた。
最初は甲板のあちこちを歩き回り、帆柱や樽の匂いを嗅いだり、船縁から海を覗き込んだりしていたが、今は船首の近くに座って、時折飛んでくる海鳥を目で追っている。波に合わせて足元が揺れても平気な顔をしているあたり、思った以上に順応が早いらしい。
もっとも、船に慣れることと、船で暮らせることは別の話だ。
「ブルー、ちょっとこっち来てくれ」
「クル?」
おれが声をかけると、ブルーは海鳥から目を離し、甲板を歩いてきた。
そのまま船室へ続く入口を指してみる。
「中に入れるか?」
ブルーは入口へ鼻先を近づけ、しばらく匂いを嗅いでから頭を入れた。身体も途中までは入ったものの、長い尻尾を曲げるには通路が狭いらしく、少し身体を捻ったところで動きを止める。
後ろへ下がって出てきたブルーは、入口を一度振り返っただけで、また甲板へ戻ってしまった。
「やっぱり狭いか」
「船室を改造するにしても、通路から広げなきゃならないな」
様子を見ていたサボが、入口の幅を確かめながら言った。
「そこまでやるなら甲板に寝床を作った方が早そうだな。ブルーも外の方が好きみたいだし」
「ああ、おれもそう思う。雨風を避けられる場所くらいは用意してやりたいからな」
ブルーはリトルガーデンでは森の中で暮らしていた。雨が降るたびに屋根を探していたとも思えないが、海の上では島と違って好きな場所へ移動できない。甲板に寝そべっているだけでは、嵐の時に困るだろう。
「船尾の方なら場所があるぜ」
サボが指したのは、普段あまり物を置いていない甲板の一角だった。舵や帆の操作にも支障がなく、船縁から少し離れているので、波を被ることも比較的少ない。
「いいな。そこに作るとするか」
「どのくらいの大きさにする?」
「ブルーが中で向きを変えられるくらいは欲しいな。入口は広くして、嫌ならいつでも出られるようにしよう」
話しながら船尾へ移動すると、ブルーもついてきた。おれたちが何をするつもりなのか気になるらしく、サボが床に置いた木材へ鼻先を近づけている。
「おっと、それは食い物じゃないぞ」
サボが木材を持ち上げると、ブルーはその先を目で追った。
「クッ?」
「お前の寝床を作るんだよ」
おれが頭を撫でながら言うと、ブルーは一度こちらを見てから、また木材へ目を戻した。
言葉がどこまで通じているのかは分からないが、こちらの行動には随分と興味があるらしい。
そこへ、船内からデュースが上がってきた。
「何を始めるんだ?」
「ブルーの寝床を作ろうと思ってな。船室には入りにくそうなんだ」
「ああ、なるほど。それなら、床は少し柔らかくしておいた方がいいな」
「脚の傷か?」
「それもある。もうほとんど治ってるけど、硬い床にずっと寝かせる必要もないだろ。それに、船が揺れた時に滑らないようにしたい」
「じゃあ、下に布を敷こうぜ。古い毛布もあったよな」
「あるぞ。あとで持ってくるよ」
デュースはそう答えて船内へ戻っていった。
船の修理用に積んである木材には限りがあるので、必要な分を選んで使うことにした。屋根と壁を作るには十分な量があったし、足りない分は次の島で買えばいい。
おれとサボが木材を切り揃えている間、ブルーは少し離れたところに座り、こちらの作業を眺めていた。時々立ち上がって近づいてくるが、邪魔になる場所へ入ってくることはない。
「こいつ、結構賢いよな」
サボが板を合わせながら言った。
「ああ。人のやってることをよく見てるしな」
「昨日も名前を呼んだら反応してたし、案外言葉も覚えるんじゃねえか?」
「ありそうだな。今だって、何を作ってるのか気になって仕方ねえみたいだぜ」
ブルーへ顔を向けると、ちょうど目が合った。
「クック」
「もう少し待ってろよ」
そう声をかけると、ブルーは首を傾げたあと、再び床へ伏せた。
夕方までには、屋根と三方の壁を備えた寝床が完成した。船の揺れでずれないように固定し、床には厚手の布と毛布を重ねてある。入口を広く取ったので、ブルーが出入りする時にも身体をぶつけずに済むはずだ。
「よし、こんなもんだろ」
「思ったより立派になったな」
サボが満足そうに眺めている。
おれも出来上がったものを一通り確かめてから、ブルーを呼んだ。
「ブルー、こっち来てみろ」
「クルル」
ブルーはすぐに近づいてきた。
入口を指してやると、しばらく中を覗き込んでいたが、やがて一歩踏み入れた。床の匂いを嗅ぎ、壁へ鼻先を寄せ、屋根を見上げる。
そのまま奥まで入ると、身体をくるりと回して入口の方へ顔を向けた。
「お、ちょうどいいみたいだな」
「尻尾も当たってないな。寸法は問題なさそうだ」
ブルーは何度か足元を確かめてから、その場に腹をつけた。
長い尻尾を身体の横へ寄せ、前脚の上に顎を乗せる。
「よかった、気に入ったみたいだぜ」
「作った甲斐があったな」
サボが笑った。
おれも入口から手を伸ばし、ブルーの頭を軽く撫でてやる。
「これで雨が降っても安心だな」
「クルルル……」
ブルーは気持ちよさそうに目を細めた。
ひとまず、寝床の問題は片づいたらしい。
◇
翌朝、厨房へ入ると、デュースが食料の残りを確認していた。
卓上には干し肉や保存食の入った箱が並び、手元の紙にはそれぞれの数量が書き込まれている。
「おはよう、デュース。食料の確認か?」
「ああ。ブルーが増えたから、一度ちゃんと数えておこうと思ってな」
「ちょうどおれも気になってたんだ。どのくらい残ってる?」
「三人分ならしばらく問題ない。ただ、ブルーがどれくらい食べるかによるな」
デュースは箱の一つを閉じ、別の紙を取り出した。
「昨日食べた量を見る限り、少なくともおれたち一人分よりは多そうだ。身体も大きいし、もしまだ成長するならさらに食うかもしれない」
「まあ、肉食恐竜だからな。結構な量になるだろうぜ」
「それに、肉ばかり食うなら保存の仕方も考えないとな。次の島で少し多めに買っておきたい」
「ああ。補給はしっかりしておこう」
ブルーを仲間に迎えた時から、食料が増えることは分かっていた。問題は、どれくらい増えるのかがまだ分からないことだ。
リトルガーデンでは自分で獲物を捕まえていただろうが、海の上ではそうもいかない。島へ寄れば狩りもできるとはいえ、いつでも獲物がいるとは限らないし、航海が長引くことだってある。
「今日からブルーの食べる量も記録してみるか」
「そうだな。足りなくなるより、少し余裕を持っておきたい」
デュースが頷いたところで、厨房の入口から青い頭が覗いた。
「クル?」
「お、ブルー。おはよう」
声をかけると、ブルーはおれの方へ近づいてきた。
その鼻先が、卓上の肉へ向く。
「ハハッ、飯の匂いがしたか?」
「クルル」
「ちょうど今から用意するところだ。少し待ってろよ」
おれが肉を取り分けていると、サボも厨房へ入ってきた。
「おはよう。何だ、もう飯か?」
「おう。ブルーの分も用意してる」
「そりゃいいな。おれの分も頼むぜ」
「自分の分くらい手伝えよ」
「分かってるって。何すりゃいい?」
「皿を出してくれ。あと、そっちのパンも」
サボは棚から皿を取り出し、卓上へ並べ始めた。
朝飯を用意しながら、デュースが確認した食料の残りについて話す。ブルーの食事量はまだ分からないが、今後の補給に余裕を持たせる必要があることは三人とも同じ考えだった。
「そうなると、金も今まで以上に必要になるな」
サボがパンを切りながら言った。
「ああ。船の維持費もあるし、そろそろ本格的に賞金稼ぎを再開するか」
おれが答えると、デュースも頷いた。
「それがいいと思う。ヴァンガード号を造ってから、随分使ったからな」
東の海で稼いだ金はまだ残っているが、船を新しく造り、ストライカーを買い、偉大なる航路へ入るための準備にもかなりの額を使った。
今すぐ困るほどではないにしても、これからも航海を続けるなら収入を確保しておいた方がいい。
それに、ブルーが増えたことで食費も確実に上がる。
「せっかく偉大なる航路に入ったんだ。東の海より賞金の高い奴も多いだろうしな」
「そうだな。強い奴と戦えるなら、おれも文句ないぜ」
サボが楽しそうに笑った。
「ただ、賞金首を探して島を回るだけじゃ、旅がつまらなくなるからな。行きたい場所にはちゃんと寄ろうぜ」
「当たり前だろ。金を稼ぐためだけに海へ出たわけじゃねえんだからな」
「ハハッ、そうだよな」
サボが頷いた。
おれたちが海へ出たのは、自由に世界を見て回るためだ。賞金稼ぎはそのための手段であって、目的じゃない。
とはいえ、好きなことを続けるために金が必要なのも事実だ。
「次のベルナ島で、賞金首の情報を集めてみようぜ」
「ああ、海軍の支部があるらしいからな。賞金首の手配書を扱ってるところがあればいいけど」
デュースがそう言って、食料の記録をまとめた。
「ベルナ島か。どんなところなんだろうな」
サボが呟く。
「行ってみてのお楽しみだ」
おれが答えると、サボは笑った。
「それもそうか」
朝飯の準備が整い、ブルーの前にも肉を入れた皿を置いた。
ブルーは一度こちらを見上げてから、勢いよく食べ始める。
「いい食いっぷりだな」
「本当にそうだな。これなら食料は多めに用意しておいた方がよさそうだ」
デュースは食べる様子を眺めながら、紙へ何かを書き足していた。
「ブルー、足りなかったら教えろよ」
「クルル?」
「まあ、腹が減ったら自分から来るか」
頭を撫でてやると、ブルーは肉を咥えたまま目を細めた。
サボが笑いながら自分の皿へ手を伸ばす。
「こいつ、もうすっかり船に馴染んでるな」
「ああ。思ったより早かったな」
ブルーはおれたちの話など気にせず、夢中で肉を食べていた。
◇
朝飯の後、おれとサボは甲板で身体を動かしていた。
ドリーとブロギーとの戦いで負った傷はまだ完全には治っていないが、軽く身体を動かすくらいなら問題ない。
それに、今は試したいことがいくつもある。
「もう一回やってみるか」
おれは右手へ武装色を集め、拳の先へ流すように意識した。
ドリーとの戦いで掴んだ、武装色を外へ放つ感覚。
あの時は威国を受け止めるために必死だったが、今なら落ち着いて確かめられる。
拳を前へ突き出す。
覇気が拳の先へ流れた。
だが、思ったほど遠くへは届かず、すぐに散ってしまった。
「……まだ安定しねえな」
「でも、昨日よりは形になったんじゃねえか?」
サボが横から言った。
「ああ。感覚は少しずつ掴めてきたな」
「なら、あとは慣れだな」
「そうだな。何度も試してみるさ」
サボも構えをとり、昨日新しく掴んだ技の感覚を確かめ始めた。
おれたちはしばらく、それぞれの動きを試していた。
その途中、甲板の端に座っているブルーが目に入った。
朝飯を食べ終えたあと、寝床から出てきて、ずっとこちらを眺めている。
「ブルー、面白いか?」
「クル?」
声をかけると、ブルーは首を傾げた。
おれが拳を構えると、目がこちらへ向く。
サボが鉄パイプを振ると、今度はそちらへ視線が移る。
動きを追っているらしい。
「こいつ、さっきからずっと見てるな」
サボも気づいたようだ。
「ああ。訓練が気になるみたいだぜ」
「へえ。なかなか勉強熱心じゃねえか」
サボが笑った。
そのまま軽く剃を使い、甲板の反対側へ移動する。
ブルーの首が動いた。
それも、サボが移動したあとではない。
動き始めるのとほとんど同時に、顔がそちらへ向いていた。
「……ん?」
少し気になった。
「サボ、もう一回やってみてくれ」
「おう」
サボが再び剃を使う。
今度はおれもブルーの様子をよく見ていた。
やっぱり、サボの姿が消えるより先に、ブルーの視線が移動先へ向いているように見える。
「おい、サボ」
「どうした?」
「ブルー、今の動きが見えてると思うか?」
「ん? どういうことだ?」
「お前が動く前に、移動先を見てるんだよ」
サボがブルーへ目を向けた。
「……本当か?」
「もう一回試してみようぜ」
今度はサボがブルーの正面に立ち、軽く身体を動かした。
ブルーはその動きをじっと見ている。
サボが右へ動こうとすると、ブルーの目が右へ向いた。
だが、サボはそこで動きを止めた。
ブルーの視線も止まる。
「……なるほどな」
サボが小さく呟いた。
「どうだ?」
「ただ目で追ってるだけじゃなさそうだな」
おれも同じことを考えていた。
ブルーはサボの動きに反応しているというより、動き出す気配そのものを感じ取っているように見える。
「ちょっと試してみるか」
おれはブルーへ近づき、頭を撫でてから正面に座った。
「ブルー、少し付き合ってくれよ」
「クルル?」
ブルーは首を傾げた。
サボには背後へ回ってもらう。
足音を消して近づき、触れる直前で手を止める。
ブルーは振り返らなかった。
だが、サボがもう一度手を伸ばした瞬間、ブルーは身体を横へずらした。
「おっ」
サボの手が空を切る。
ブルーは振り返り、少し不満そうに喉を鳴らした。
「グル……」
「悪い悪い。ちょっと確かめたかったんだ」
サボが笑って手を引いた。
「やっぱり見えてないところも分かるみたいだな」
「ああ。しかも、触れようとした時だけ避けた」
単に背後の音に気づいているだけなら、最初に近づいた時点で反応してもおかしくない。
だが、ブルーは手が伸びてきた瞬間にだけ身体を動かした。
これは――。
「見聞色かもしれねえな」
おれが言うと、サボも頷いた。
「ああ。動き出す前の気配を読んでる感じがする」
見聞色の覇気は、相手の気配や感情を感じ取る力だ。
熟練すれば、相手がどう動こうとしているのかもある程度分かるようになる。
ブルーがやっていることは、それにかなり近い。
「でも、こいつ、誰かに覇気を教わったわけじゃねえよな」
「まあ、そうだろうな」
「だったら、独学で覚えたってことか?」
「そうなるな」
おれはブルーを見た。
リトルガーデンは巨大な恐竜がうろつく危険な島だ。ブルーの身体は人間より大きいが、あの島では小さい部類に入る。
あんな場所で生き延びるには、周囲の気配に敏感である必要があったんだろう。
とはいえ、普通ならそれだけで覇気を使えるようになるわけじゃない。
「……こいつ、相当な天才かもしれねえな」
「だな。おれたちだって、覇気を覚えるまで随分修行したのに」
サボは感心したようにブルーを眺めた。
その時、デュースが甲板へ上がってきた。
「何の話だ?」
「ブルーが見聞色を使ってるかもしれねえんだ」
「……ブルーが?」
デュースは驚いた顔で恐竜を見た。
「ああ。今ちょっと試してみたんだけどな。見えないところからの動きにも反応するんだよ」
「本当に覇気なのか?」
「まだ断言はできねえけど、かなりそれっぽい」
おれが答えると、デュースは興味深そうにブルーへ近づいた。
「少し見せてもらっていいか?」
「おう」
今度はデュースにも様子を見てもらいながら、サボが同じようにブルーの背後へ回った。
ブルーは最初、おれの方を見ていた。
サボが静かに近づいても、振り返らない。
だが、手が伸びた瞬間に身体を動かし、触れられるのを避けた。
「……確かに妙だな」
デュースが呟く。
「音や匂いで気づいてる可能性もあるけど、動くタイミングが妙に正確だ」
「ああ。そこなんだよ」
「それに、相手が動く前から反応してるようにも見えるな」
デュースは腕を組み、しばらく考え込んだ。
「もし本当に見聞色なら、とんでもない才能だぞ」
「だろ?」
おれは思わず笑った。
「しかも、まだ誰にも教わってねえんだ。これからちゃんと覚えたら、どこまで伸びるか分からねえぞ」
「そりゃいい」
サボも嬉しそうに笑っている。
おれたちは昔から覇気を鍛えてきた。だからこそ、誰にも教わらずに使えるようになることが、どれほど珍しいか分かる。
ブルーはそんなおれたちの話を聞きながら、何事もなかったように座っていた。
「クルル?」
「ハハッ、お前、すげえ奴だったんだな」
おれが頭を撫でると、ブルーは目を細めた。
「これなら、武装色も覚えられるかもしれねえな」
サボが言った。
「ああ。素質があるなら、試してみる価値はありそうだ」
硬い爪や牙に武装色を纏わせれば、それだけでもかなり強力だろう。身体の作りが人間とは違うから、どんな戦い方ができるのかも興味がある。
ただ、今すぐ何かを教えようとしても、こちらの言葉をどこまで理解しているのか分からない。
まずはブルーが何を理解できて、どう動くのかを知るところからだ。
「まあ、急ぐ必要もねえな。まずは船での暮らしに慣れてもらおうぜ」
「そうだな。脚の傷も完全に治ったわけじゃないし」
デュースが頷いた。
「おれもそうだが、覇気についてはこれから試していけばいいだろ」
「ああ。楽しみが増えたぜ」
サボが笑いながら鉄パイプを肩へ担いだ。
ブルーはおれたちの話に興味を失ったのか、船尾の方へ歩いていった。
向かった先は、昨日作った寝床だった。
入口から中へ入り、身体を丸めて伏せる。
「お、もう自分の場所だって分かってるみたいだな」
「そうみたいだな」
おれが答えると、サボは満足そうに頷いた。
ブルーは入口からこちらを一度だけ見て、ゆっくり目を閉じた。
昨日までリトルガーデンで暮らしていた恐竜が、今はおれたちの船で寝ている。
考えてみれば、随分面白いことになったものだ。
次に向かうのはベルナ島。
そこで賞金首の情報を集め、必要な物資を補給する。もちろん、島そのものを見て回るのも楽しみだ。
それまでの間にも、試したいことは山ほどある。
「よし、サボ。続きやろうぜ」
「おう。今度はおれの新技だ」
「分かった、打ってこいよ!」
サボが構える。
おれも向かい合い、右手へ覇気を集めた。
海は穏やかで、ヴァンガード号は順調に進んでいる。
ベルナ島へ着くまで、退屈することはなさそうだった。
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