転生したらエースだった件 作:みけまる(AI執筆)
お裾分けに来て、わざわざ不愉快な思いをするのも馬鹿らしいので投稿をやめることも考えましたが、的外れなことを言われた訳でもありませんでしたので修正しました。
ただ、あらすじにも書いてある通り大幅な修正は後々の話とズレてくるのでできません。今回の修正版67話を読んでも不快に感じるのなら、このようなことは今後も続くでしょうからこれ以上読み進めることはおすすめしません。
少し遡って、エースがドロウ中将と戦っているところから始まります。サボ視点です。
ガルド・ベインが逃げた。
ドロウ中将とエースが衝突した隙を突き、広場から離脱したのだ。
サボがその動きに気づいた直後、エースの声が飛んできた。
「サボ! 奴を追ってくれ!」
振り返ると、エースが逃げていくガルドを指していた。
「分かった! こっちは海兵たちに任せる!」
サボは近くで救助に当たっていた海兵へ声をかけ、残っている住民の避難を引き継いでもらった。
まだ手の足りていない場所はあるが、イスカも海兵たちを指揮している。何より、ドロウ中将がこれ以上被害を広げないよう、エースが抑えてくれるはずだ。
ならば、自分の仕事は決まっている。
「港に向かってやがるな」
見聞色を広げれば、探すまでもなかった。
町の奥へ遠ざかっていく気配がある。かなり速い。このまま進めば、じきに建物の密集した区画を抜けるだろう。
サボは一度だけ広場へ目を向けた。
ドロウ中将の攻撃をエースが受け止め、その向こうでは海兵たちが住民の避難を続けている。
エースになら任せておける。
サボはガルドの気配へ身体を向けると、石畳を蹴った。
◇
町の外れまで追ったところで、ガルドがこちらに気づいた。
二億五千万という懸賞金は伊達ではないらしく、ドロウ中将との戦いで傷を負っているにもかかわらず、逃げ足は相当に速かった。曲がり角や建物を使って何度も進路を変え、途中からは入り組んだ路地へ入り込んで、追跡者の視界を切ろうとしている。
だが、見聞色で気配を捉えているサボには関係なかった。
屋根へ上がって最短距離を走り、路地を抜けた先へ回り込む。サボが石畳へ着地すると、ガルドは驚いた顔で足を止めた。
「……てめえ」
「悪いな。逃がすわけにはいかないんだ」
ガルドは舌打ちし、手にした大剣を持ち上げた。傷から血が滲んでいるものの、剣を構える動作に大きな乱れはない。
刃が武装色で黒く染まる。
「火拳の仲間か」
「ああ。サボだ」
「ガキが……!」
ガルドが踏み込んだ。
大剣の長さからは想像しにくい鋭い踏み込みだった。武装色を纏った刃が横薙ぎに迫り、サボは剃でその内側へ入り込む。
鉄パイプを斜めに差し込んで刃を受け流したが、ガルドは無理に剣を引き戻そうとはしなかった。振り抜いた勢いのまま身体を回し、肘を打ち込んでくる。
サボが首を傾けて外したところへ、今度は膝が上がった。
腕で受け止め、そのまま肩から押し返すと、ガルドは二歩ほど下がって大剣を構え直した。
「へえ、やるじゃねえか」
「余裕ぶってんじゃねえ!」
ガルドは再び踏み込んできたが、今度は先ほどよりも遠い間合いから剣を振るってきた。
懐へ入られると不利になると判断したらしい。剣の長さを活かして接近を防ぎ、サボが踏み込もうとすれば刃を返してくる。時には振り抜く直前で動きを止め、回避した先へ蹴りを合わせようともしていた。
なるほど。ドロウ中将とあれだけ戦えていたのも納得だ。
東の海で戦った連中とは比べものにならないし、剣の扱いにも慣れている。腕力に任せて振り回すだけの相手なら、とっくに懐へ潜り込めていただろう。
もっとも、サボにとっては十分に対処できる相手だった。
ガルドが大剣を振り下ろすのに合わせ、サボは身体を沈めた。剣の軌道を見切って横へ抜けると、ガルドはすぐに刃を返そうとしたが、その動きに合わせて鉄パイプを差し込み、剣を外側へ押しやる。
空いた脇腹へ、武装色を纏わせた鉄パイプを叩き込んだ。
「ぐっ……!」
ガルドは咄嗟に武装色を集中させたものの、衝撃を殺し切れずに横へ押し出された。靴底で石畳を削りながら踏みとどまり、すぐに剣を構え直す。
サボは追撃せず、鉄パイプを肩へ担いだ。
今ので、相手の力量はおおよそ分かった。
ドロウ中将と戦った傷があるとはいえ、二億五千万の賞金首だけあって相応に強い。だが、普通に戦っても負ける相手ではないだろう。
だったら、さっさと決着をつけてしまおう。
サボは鉄パイプを下ろし、腰を落とした。
エースが海軍本部から持ち帰った六式を教わって以来、サボは何年もその技術を磨いてきた。
最初はエースの動きを追うだけでも苦労したが、今では剃も月歩も鉄塊も自分の戦い方に欠かせないものになっている。鉄パイプとの組み合わせも、六式から別の六式へ繋ぐ動きも、随分と身体に馴染んでいた。
それでもエースとの勝負に勝つことは一度もできなかった。
武装色も見聞色も鍛え、六式の奥義まで覚えた。それでも最後にはあいつが一本取っていく。
だったら、教わった技をそのまま使い続けるだけじゃ面白くない。
自分の得意なものなら、自分なりに発展させればいい。
そう考えて始めたのが、六式と武装色を組み合わせる鍛錬だった。
単に身体を硬化させて六式を使うだけなら難しくない。だが、剃で地面を蹴る瞬間に覇気を集中させ、鉄塊では筋肉の硬化と武装色の防御を重ねるとなれば、技の動きに合わせて覇気を操る必要がある。
何度も試行錯誤を重ねるうちに、六式を使ってから武装色を足すのではなく、二つを一つの技術として扱えるようになっていた。
サボは両脚へ武装色を巡らせた。
黒く硬化した表面に青みが差し、細い稲妻のような覇気が幾筋も走る。脚に集めた力が足元へ伝わり、石畳の表面で小さな火花が弾けた。
ガルドが眉を寄せる。
「……何をするつもりだ」
サボは口元を緩めた。
「おれの技はすべて、一段階進化する!」
先に動いたのはガルドだった。
得体の知れない技を使おうとしているなら、動き出す前に潰す。そう判断したのだろう。大剣を振りかぶり、サボの正面へ踏み込んでくる。
サボも地面を蹴った。
剃。
踏み切る瞬間、脚へ集中させた覇気が激しく弾けた。
ガルドが振り下ろした大剣は、何もない石畳を叩いた。刃が地面を砕くより早くサボは懐へ入り込んでおり、青黒い武装色を纏った鉄パイプを横から振り抜いていた。
「ぐあっ……!」
ガルドは咄嗟に腕を硬化させて防いだものの、踏み込みから打撃まで繋がった力を受け止め切れず、巨体が路地を横切って吹き飛んだ。
壁へ激突する寸前、ガルドは片足を地面へ突き立てて勢いを殺した。だが、ようやく体勢を立て直したところへ、再びサボが迫ってくる。
「くそっ……!」
ガルドは大剣を広く振り、サボを近づけまいとした。
先ほどまでは、その間合いを維持することでサボの接近を防げていた。だが、今は剣を振り始めた時点でサボの姿が消え、刃が通り過ぎる頃には別の方向から攻撃が届いてくる。
サボは剣の外側へ回り込み、ガルドが身体を捻って追ってきたところへ鉄パイプを振り上げた。
ガルドは腕で顎を守ったが、その隙に腹へ蹴りが入る。
「がっ……!」
衝撃に押されて後退したガルドは、すぐに剣を振り直そうとした。しかし、腹への一撃で踏み込みが鈍り、サボの動きに追いつけない。
そのまま攻め込むこともできたが、サボは一度距離を取った。
青黒い武装色を纏った脚から、細い覇気の稲妻が散っている。
剃の踏み込みへ武装色を集中させることで、普段よりも遥かに鋭い加速ができる。もちろん、それだけ脚への負担も大きくなるが、鍛え上げた六式の身体操作があれば、踏み込んだ後の動きまで繋げられる。
そして、強化できるのは剃だけではない。
「なんだ…、その覇気の使い方は…」
ガルドは肩で息をしながら、サボを睨みつけていた。
サボは鉄パイプを軽く回し、構え直した。
「武装六式、おれはそう呼んでいる」
ガルドは忌々しげに顔を歪め、大剣を握り直した。
サボはそんな相手を見据え、口元を緩める。
「もはや勝負にはならねぇぞ…!」
「……舐めやがって」
ガルドは低く唸ったものの、すぐには攻めてこなかった。
先ほどまでの攻防で、速度では追いつけないと理解したらしい。大剣を身体の前へ構え、サボの踏み込みを警戒しながら距離を測っている。
だが、サボも相手の出方を待ち続けるつもりはなかった。
鉄パイプを背へ戻し、空いた両手を軽く握る。
ガルドの視線が、その動きを追った。
「……武器を手放していいのか?」
「問題ねえよ」
サボが踏み込むと、ガルドはすぐに大剣を振るった。
懐へ入らせまいと、刃を横へ大きく薙ぎ払う。サボは剃でその外側へ抜けたが、ガルドも無理に追おうとはせず、身体を回して剣を引き戻していた。
接近されると分かっている以上、剣を振り抜いた後の隙を少しでも減らそうというのだろう。
しかし、サボが狙っていたのは、その剣を引き戻す動作だった。
ガルドの両腕が身体の前へ戻った瞬間、サボはさらに一歩踏み込み、相手の懐へ潜り込んだ。
ガルドは咄嗟に左腕を上げたが、サボの拳はすでにその防御の内側へ入り込んでいた。
指銃の速度で拳を突き出す六式の打撃技。その拳には、青黒い武装色が集中している。
「獣巌!!」
拳がガルドの顔面を捉えた。
凄まじい衝撃にガルドの頭が跳ね上がり、巨体が後方へ吹き飛んだ。背中から石壁へ激突すると、壁面に大きな亀裂が走り、崩れた石材が土煙を巻き上げる。
ガルドはそのまま地面へ落ち、しばらく動かなかった。
サボは拳を下ろし、倒れた相手を見た。
指銃の速度で打ち込む拳に武装色を重ねれば、威力は通常の獣巌とは比べものにならない。まして顔面へまともに入ったのだから、あれで意識を失っていても不思議ではなかった。
だが、見聞色で捉えたガルドの気配は、まだ途切れていない。
「……ぐ、うっ……」
瓦礫の間から呻き声が聞こえた。
ガルドは片手を地面へつき、震える腕で身体を起こそうとしていた。顔は大きく腫れ、口元から血が流れている。何度か立ち上がろうとして失敗したものの、やがて壁へ手をつき、どうにか両脚で立った。
その手には、まだ大剣が握られていた。
「へえ……」
サボは感心した。
武装色で守る余裕もなかったはずだが、それでも立ち上がってくるとは。二億五千万の賞金首として海を渡ってきた男だけあって、随分と頑丈らしい。
もっとも、まともに戦える状態ではないだろう。
ガルドの呼吸は荒く、足元も覚束ない。こちらを睨みつける目にはまだ敵意が残っているものの、先ほどまでの鋭い踏み込みができるとは思えなかった。
「……殺す」
ガルドが低く呟いた。
握っていた大剣を両手で持ち直し、腰を深く落とす。
その刃へ武装色が集まっていった。
サボは相手の構えを見て、わずかに眉を上げた。
なるほど。最後の一撃に賭けるつもりか。
速度では追いつけず、懐へ入られれば防御も間に合わない。ならば、サボが正面へ来たところへ全力の一撃を叩き込むしかない。
その判断自体は理解できた。
ただ、今のガルドがどれほど力を込めたところで、サボに届くとは思えない。
サボは両手を空けたまま、正面から向き直った。
「……てめえ、何のつもりだ」
「来いよ」
ガルドの顔が怒りに歪んだ。
「ぶっ潰れろォ!」
石畳を砕く勢いで踏み込み、ガルドが大剣を振り下ろした。
サボはその場から動かなかった。
全身の筋肉を締め上げ、肩から腕へ武装色を集中させる。
「鉄塊!!」
青黒い武装色が肩口を覆い、覇気の稲妻が激しく迸った。
直後、ガルドの大剣が肩へ激突した。
轟音とともにサボの足元から石畳が割れ、衝撃が周囲へ走る。ガルドは全身の力を込めて刃を押し込もうとしたが、武装色を重ねた鉄塊はその一撃を受け止め、わずかにも動かなかった。
「な……!」
ガルドが目を見開いた。
武装色で硬化させた大剣が、サボの肩へ食い込まない。
それどころか、押し込もうとする力に耐え切れず、刃の表面へ亀裂が走り始めた。
ガルドが異変に気づいた時には、もう遅かった。
甲高い破砕音とともに大剣が半ばから砕け散り、黒い破片が周囲の石畳へ降り注いだ。
「馬鹿な……!」
ガルドは折れた剣を握ったまま後退した。
サボは鉄塊を解き、肩を軽く動かしてから背中の鉄パイプへ手を伸ばした。
これで、ガルドにはまともな攻撃手段がなくなった。
顔面へ受けた獣巌の影響も大きいのだろう。立っているだけでも辛そうな様子で、折れた大剣を握る腕にも力が入っていない。
もう一撃入れれば、決着はつくはずだ。
だが、サボには最後に一つ、試しておきたい技があった。
リトルガーデンでエースが武装色を流す技術を掴んだと聞いた時、サボは素直に感心したものだった。
もちろん、悔しくなかったわけではない。
エースは昔から、こちらが苦労していることをあっさりやってのける。六式を教わった時もそうだったし、覇気の扱いでも先を行かれたとなれば、黙って見ているつもりはなかった。
ベルナ島周辺で過ごした二か月ほどの間、サボは武装色の鍛錬に力を入れていた。
エースから流す覇気の感覚を聞き、自分でも何度も試すうちに、ようやく武装色を身体の外へ流せるようになった。そこからさらに鍛錬を重ね、相手の内部へ覇気を送り込む技術まで身につけたのだ。
そして、その技術を自分の武器である鉄パイプへ応用した。
武装六式を併せ、相手を内部から破壊する力。
鍛錬では何度も使ってきたが、実戦で試すのはこれが初めてだった。
サボは鉄パイプを握り直した。
武装色が金属の表面を覆い、青黒い硬化が先端まで広がっていく。さらに覇気を集中させると、鉄パイプから激しい稲妻が迸り、周囲の空気を震わせた。
ガルドはその様子を見て、思わず一歩後退した。
だが、すぐに足を止める。
サボの速度を考えれば、今さら背を向けたところで逃げ切れない。折れた大剣を投げ捨てると、ガルドは両腕へ武装色を集中させ、正面から迎え撃つ構えを取った。
「ぶっ殺してやる……!」
サボは鉄パイプを構え、地面を蹴った。
剃による踏み込みで一気に間合いを詰め、青黒い覇気を纏った鉄パイプを振り抜く。
ガルドは腕を交差させ、武装色で硬化させた防御を正面へ突き出した。
「破城!!」
鉄パイプがガルドの両腕へ叩き込まれた。
激しく迸っていた覇気が、命中と同時にガルドの身体へ流れ込む。
だが、その巨体はほとんど動かなかった。
武装色で固めた腕を通り抜けた衝撃が、胸から腹にかけて身体の奥へ突き抜ける。
「――がっ……!」
ガルドの口から息が漏れた。
防御した腕にはまだ力が残っている。それなのに、身体の内側を直接打ち据えられたような激痛が走り、踏ん張っていた両脚から力が抜けていく。
その直後、足元の石畳が砕けた。
ガルドの身体を抜けた衝撃が地面へ伝わり、両足を中心に亀裂が広がる。石畳は周囲ごと粉々に砕け、足場を失ったガルドの巨体が沈み込んだ。
サボが鉄パイプを引く。
ガルドは何か言おうと口を開いたものの、声にならなかった。武装色の硬化が解け、両腕が力なく下がる。
やがて膝から崩れ落ち、砕けた石畳の上へ倒れ込んだ。
サボは鉄パイプを下ろし、倒れたガルドを見た。
武装色を流し、相手の内部へ直接衝撃を伝える。
鍛錬では何度も試してきたが、実戦でも狙い通りに使えたらしい。
これなら、エースにも一つ自慢できるだろう。
サボは満足げに頷くと、見聞色でガルドの状態を確かめた。
意識は失っているが、命に別状はなさそうだ。
「よし」
町の方へ目を向けると、まだ黒い煙が上がっていた。
エースたちがどうなったのかも気になるし、のんびりしている場合ではない。
サボは鉄パイプを背へ戻すと、倒れたガルドの襟元を掴んだ。
そのまま巨体を引きずり、来た道を引き返した。
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