流星の魔砲少女~落ちこぼれ少女、禁忌魔法《自傷バフ》で最強へ!?~ 作:自傷バフはロマン
私にも魔法が使えると分かった次の日、私はイクスィロぺアー魔法学園の教員室に呼び出されていた。
「ルナヴィさん、このままでは貴方は……退学になります」
「っ」
教員室の先生から言われた言葉に、私の口から言葉が出なかった。
私は全ての属性があるのに、全ての適性ランクが最低のEだからか魔法が使えずにいた。
だからこそ、いつかはその言葉を言われるかもしれないと分かっていたから。
テストで不合格のたびに私は教師陣に土下座して懇願してきた、まだこの学園で勉強したい。
魔法使いになりたいから、魔法を使えるようになるからと必死に頼み込んだ。
だからこそ、4回不合格でも学園で勉強させて貰えていた。
「これまで通算4回行われた実技試験、全て魔法を発動できず不合格でした。ルナヴィさんにあまりこういう事をいいたくはないのですが次の実技試験。合格できなければ、退学処分となります」
イクスィロぺアー魔法学園では数ヶ月に一度、魔法の実技試験がある。
内容は、自分の行使できる魔法で案山子を攻撃すること。
「……正直に言えば、私たちもあなたを退学させたいわけではありません。ですが、魔法学園である以上、魔法を使えない生徒をいつまでも在籍させることはできません」
「はい……」
「次のテストが最後ですからね、話は以上です」
「失礼します」
教員室を出て、噴水のある広場へ向かう。
授業が既に始まっているからか、ほとんどの生徒とはすれ違わない。
いつもより人気の少ない広場の噴水の縁に腰かけて考える。
イクスィロぺアー魔法学園で魔法の勉強を続けるには、それこそあの本の魔法を学ぶにはここに残る必要がある。
あの本の魔法を覚えるためにも、次の実技試験はどうにか突破しないといけない。
そのためにも、暫くは授業に出ずにあの本の魔法について調べたほうが良いかもしれない。
イクスィロぺアー魔法学園の授業は、言わば大学のような選択制だ。
そして自分の意思で、休みを決められる。
これまで私は主属性全ての授業に出席していた。
魔法を使えるようになるためには、とにかく努力しなければならない。
人一倍努力して魔法を覚える、そう思っていた。
でも、私にはあの本の魔法がある。
あの本の魔法なら二つも使えたのだ、間違いない。
試験の案山子については、あの魔法を使えば私の発動する魔法の威力を上げてくれる。
問題は、攻撃する方の魔法だ。
私はあの魔法を使ってから主属性魔法を使ったことがない。
あの魔法を使って、もし主属性魔法を使えなかったら……そんなこと考えてしまう。
「ダメダメ、今は暗いことばっかり考えちゃダメ。取りあえず部屋に戻ってあの本の魔法を見てみよう。もしかしたら攻撃に使える魔法だってあるはず」
そんな一抹の希望を願い、私は噴水の縁から立ち上がり、寮へと向かった。
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寮室に戻った私は荷物を下ろしながらベッドへと座る。
「それにしても」
寮室へ入る私を見た寮長さん、少し変だったな。
なんか、凄く悲しそうな表情をしてたし何かあったのかな。
少し心配だけど、今はまず自分の心配をしないと。
昨日見つけた魔法の効果を知ることのできる魔法を使ってページを捲る。
暫く捲っていると、あるページの魔法陣が目に入り思わずページを捲る手が止まった。
十字の星みたいなデザインの魔印、星のような魔印に思わず見入ってしまう。
「星……どんな魔法なんだろう」
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魔法の使用者が杖を向けた方向へ、連続して魔力弾を撃ち出す攻撃魔法。
発動条件:一定以上の長さと、照準を安定させる構造を備えた杖を装備していること。
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「攻撃できる魔法!でも……杖を装備しなきゃ使えない魔法だなんて」
ゲームだと、確かに剣を装備しないと使えないスキルとか魔法がある。
当然、アルドリにもいくつか存在する。
「でも、杖か……」
アルドリの魔法は、基本的に杖を装備することで使うことができる。
でもある程度の熟練度を達成することで、杖なしで使えるようになる魔法がいくつか存在する。
どのみち、最初は杖を持たなければ使えない。
「杖……」
勿論、私はこのイクスィロぺアー魔法学園に入学する時に杖を貰った。
村の人たちがお金を出してくれて、村を出る日にプレゼントしてくれた杖だ。
レア度で言えばお店で買えるものだけど、想いの籠った大切な杖だった。
でも、私は……ルナヴィは暫く前にその杖を紛失した。
いや、正確には杖を盗まれて、返して貰いに行った時に目の前で燃やされてしまったのだ。
暫くはショックで立ち直れなかった、でもすぐに新しい杖を買う決意をした。
私は村の人たちの期待に応えなきゃいけない。
みんなに送り出された、主属性魔法全ての属性を持つんだからと。
でも杖は何度も盗られて、何度も燃やされてしまった。
いつからか、杖を買うという思考が出来なくなっていた。
どうせ折られてしまうから。
「試験までに杖を用意しなきゃ……でも」
正直な話をすると、私はお金がない。
村からイクスィロぺアー魔法学園へ入学してこうして学べているのも、主属性が6つ全てあることが判明したことによる学費の免除からだ。
そして私は親がいなく、村で育てられてきたから頼れるような人がいない。
新品は買えない、中古品でも良くて買えるとしたら、古くてボロい本当に安い杖だろうか。
まずお店に行ってみないと分からないけど。
「安くても良いから次の試験までに用意して……ん?」
改めて自分の持っている金を数えようと本を閉じようとした時、閉じていく本のページのなかに工具のような魔印が見えた。
木槌?でもそれだけじゃなかったような……。
気になり、さっきの魔印の描かれた魔法陣を探してぺーじを捲る。
その魔印が刻まれた魔法陣は、思ったより早く現れた。
木槌を囲むように三つの矢印が繋がるように展開した魔印、前世で言うリサイクルマークに近いような気もする。
「えっと、効果は……」
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魔法使用者の想像力と記憶を原本とし、莫大な魔力を糧に対象の存在を大きく変化させる。
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「これなら、安く買った杖でも、良い感じにして使えそう!」
それに、もしかしたらゲームみたいにひとつの武器に色々と合成して色々な能力を付与するみたいな事も出来そう!
この魔法なら、きっと良い杖が出来る。
よし、早速出掛けて杖を買いに出掛けなきゃ。
寮母さんへの外出届けは口頭でも大丈夫だし、今日はもう授業を受けるよりそっちを優先した方が良さそう。
思い立ったが吉日って言うし、善は急げ!
魔法を読み解く魔法を解除し、テーブルの端に手持ちのお金へ手を伸ばし──。
「え?」
伸ばし手は、お金の入った財布を掴むこと無く空振りした。
どうして?ここら辺においてあった筈、そう思って少し手探りで財布へ手を伸ばすと、先程手を伸ばした位置より、少し奥にあった。
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魔法発動者に、一時的な魔法鑑定能力を付与する。
対象の魔法陣や魔印を視認することで、魔法の発動内容を読み解き、魔法の詳細な発動能力や効果範囲を把握することが出来る。
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「あぁ、そうあえば……そんなのあったなー」
改めて財布をしっかり握りしめた私は寮室を出ると、寮母さんに外出することを伝えて、イクスィロぺアー魔法学園から町に向かう出口へと向かう。
「うーん、それにしても名前が無いのは変な感じ…」
あの本に描かれた魔法、一度全てを流し見して気付いたけど全ての魔法に名前がない。
魔法とは、魔方陣の展開し魔法名を詠唱することで発動できるもの。
でも、この本にはその発動させるための詠唱が存在しない。
名前があった方が、発動するときの詠唱になるから便利なんだけどな……。
そんなことを思いながら私は、学園の外への一歩を踏み出した。
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前世を思い出して初めて見た町の光景は、想像よりも新鮮だった。
何度もこうして、杖を買いに来ていたりしたはずなのに、何処かワクワクしている私がいる。
町を歩けば、鎧姿の男性や大きな帽子に杖をもった魔法使いの姿が見えた。
頭に獣の耳、お尻には尻尾の生えた漫画やアニメでしか見られなかった獣人といった種族の人も見える。
ゲーム【アルカナ・ドリーム】において、こうした種族は多く存在している。
一口に獣人といっても、様々な動物学モチーフが存在していてゲーム開発スタッフにはよっぽどのケモナーやケモ耳好きがいたんじゃないかと、配信者の人が話してきたっけ。
他にも色々な種族やキャラクターが──。
「あ、今はとにかくあの魔法で作る杖のための素材集めに集中しないと」
そう思いながら、私はルナヴィとしての記憶を頼りに目的の店へと歩く。
ゲームにおいてイクスィロぺアー魔法学園の近くにあるこの町にある武器屋は一軒だ。
まぁ実際は他にも武器屋がいくつもある。
そしてゲームに登場した武器屋には、売るという選択もある。
この世界での記憶によると、武器屋で売られる武器の六割が中古品むで四割が新品だと言われている。
だからこそ、武器屋の武器選びには目利きがかなり必要もされる。
さて、そんな武器やにある杖は中古では安価なのか。
答えはいいえ、武器類は中古とはいえ少ししか原価より安くならないのが当たり前だ。
本当に安く売られるとしたら、何年も前から店に置かれているかそれともボロボロかだ。
剣と盾が重なった絵が刻まれた看板のお店に入る。
ゲームよりも広く感じる店内に少し呆然としてしまう。
「いらっしゃい……ん?嬢ちゃんか、久しぶりだな」
「アハハ、お久しぶりです。おじさん」
「なんだよ、まーた杖を折っちまったのか?」
「アハハ、ですね」
「杖ならいつものところにあるから、ゆっくり見てきな」
武器屋のおじさんの指差した方向を確認して杖のコーナーへと向かう。
目立つところには新品の杖が飾られている。
やはりか、目立つものはイグニファスト公国で作られたものばかりだ。
イグニファスト公国。
ゲームに登場する国で、温泉宿や武器、装飾などの加工が有名で威力の高い武器や装飾品が手に入る。
そして隅に置かれた木箱に乱雑に置かれているのが、中古の杖の中でも大きく飾っておけないボロく古いものだ。
木箱の前にしゃがみ、杖を転がして様々な杖を見る。
私の使える魔法は、あくまでも魔法の鑑定だけ。
こうした武器の強さは分からない。
取りあえず長い杖を選ぼう、とにかく長い杖。
鉱石が嵌められた杖なんて高望みはしないけど、とにかく長いやつを。
アルカナ・ドリームにおける魔法使いの杖は、全てにおいて鉱石が嵌め込まれている。
鉱石によって、補助される主属性がある。
炎や水、風を補助するものもあれば光や闇を補助する石がありそれが杖に嵌め込まれ初めて魔法杖となる。
「取りあえず、これで」
一番安く、自身の身長くらいある小さな鉱石の嵌められた長い杖を手に取る。
あとからあの魔法の効果で合成するから、取りあえずこれにして。
後は、魔力補助の力が備わった装飾品だ。
髪飾りやネックレスの系統は、魔法の威力や攻撃強化を備えている。
そっちも買えたら助かるかな。
「あの、これお願いします」
「あいよ……ん?いつも短い杖にしてなかったか?」
「その、試験があって。そのために必要で」
そういいながらおじさんにお金を払う。
思ったより安いものが手に入ったから装飾品を多めに買えそうだ。
「そうか……んじゃ、こいつはお守りだ。ついでに持ってけ」
「え…」
そういうと、おじさんがテーブルにカタリと何かを置いた。
それは、髪留めだった。
星の形をした髪留め、中央には小さな鉱石が嵌め込まれている。
見るからに新品、中古品とは思えない。
それに、星の形なんて……。
「う、受け取れませんよ!?それに、私はずっと中古の杖しか買ってないような客ですし……」
「嬢ちゃん、今日は持ってないけどいつも持ってた絵本あったろ?よっぽど好きなんだろうと思ってな。それに、頑張ってる若者には親切にしたくなるのがおじさんたちなんだよ」
「で、でも……」
「男からのプレゼントは返させるな!うちの女房から何度も言われてる言葉だ。遠慮なんかせずに受け取っとけ!試験、頑張れよ!」
いいんだろうか。
そんなことを思いながらも、私はその髪留めに手を伸ばしていた。
見ず知らずの他人、幼子ではない私が絵本を持っていても笑わない。
それどころか、こうして星の髪留めを渡して激昂してくれる。
それだけでこの人が凄く優しくて、親切なのか分かる気がする。
「は、本当にいいんですか?」
「おう!男に二言はねぇよ!」
「あ、ありがとうございます」
そう言いながら私は置かれた星の髪留めを掌に乗せて、優しく包む。
確かに掌にあるソレを、亡くしたくない。
星形だからという理由じゃない、いや星形だからというのもあるけど何よりおじさんの優しさが籠ってるような気がした。
「大切にします」
「おう!また来てくれよ!」
お店の外に出て少し歩いてから、星型の髪留めを左側の髪に留めた。
銀色の髪に、小さな星がひとつ。
それだけのことなのに、少しだけ胸の奥が温かくなった気がした。
「よし、他の材料を探さないと!」
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夕方、買った材料たちを下ろし寮室のベッドへ腰を下ろした。
「ふぅ、よし始めよう」
ベッドの上に長い杖をおいて、近くに買ってきた中古でボロボロの装飾品を並べていく。
主属性は考えず、安かったものたちをひたすらに集めた。
あとは安かった鉱石の欠片。
即座に本に描かれた魔法陣を展開する、魔法陣の中央にあるリサイクルマークのような魔印。
そして素材として考えていた杖たちが浮かび上がる。
「よし、これで──うぁっ!?」
同時に身に付けていた星の髪留めが、素材たちの中に入っていく。
大切にするっていったのに……。
この魔法を途中で止める方法も、1個だけ素材を取り除くのもして良いのか分からない。
そしてこの魔法は莫大な魔力を消費する。
ゲームだと時間経過やポーションで、魔力を回復することが出来る。
でも、現実はそうは行かない。
莫大な魔力を消費する、そのあと次の日に回復するなんてことはないのだ。
回復できて半分や三分の一って人が多い。
だから、もしここで魔法を止めたら次使えるのはいつになる?
『試験、頑張れよ!』
私は、ぎゅっと拳を握った。
「おじさん、ごめんなさい。でも絶対に、無駄になんかしないからっ」
この魔法は魔法使用者の想像力と記憶を材料に、莫大な魔力を糧に対象の存在を大きくする。
想像しよう、私にとっての魔法。
魔法使いの使う杖という武器へのイメージ。
目蓋を閉じて、考える。
絵本で見続けてきた流れ星の魔法使いは長い杖を使っていた。
私が想う、魔法の原点が流れ星の魔法使いなんだ。
毎日空を飛んで、困っている人がいれば助けに飛んで行く。
人々の平穏を脅かす存在が現れれば勇気と魔法で立ち向かって、どれだけ相手が強くても 諦めず、魔法で立ち向かう。
もし敵が何かを抱え、悪となってしまったのなら。
優しさを捨てず、手を差し伸べる。
助けをも止める人がどれだけ遠くにいたとしても、空を飛ぶ魔法で、流れ星のような速さで駆け付ける。
それが、私の目指す魔法使い。
あと、魔法に想うことは……。
─前に進むには、今を受け入れるしかないだろ。俺たちが何者だろうと、今を生きようぜ。─
過去と今を受け入れ、未来へ向かうこと。
─逃げたら一つ、進めば二つ─
─溢れる勇気を魔法に変える!─
恐怖に負けず、挑戦すること。
勇気を信じること。
─私、欲張りだから。お母さんともみんなとも、やたいこと、いっぱいあるから!─
自分だけでなく、大切な人たちの願いも諦めないこと。
─少し頭冷やそうか─
力を得ても、冷静さを失わないこと。
─奇跡も、魔法も、あるんだよ……─
自分には無理だと思っていたことを信じること。
─人の心の光を見せなきゃならないんだろ!─
魔法使いそして魔法から学んできた、私にとっての………あれ?
これ杖というより、魔法使いに関してじゃない?
てか魔法以外にも色々と混ざってない?
そんなことを想ったときだった。
体から魔力がごっそりと抜けていく感覚と同時に体から力が抜けて床に膝をつく。
咄嗟に両手をついて倒れずに住んだことに安堵する。
「つ、杖はっ!」
ベッドの上を確認すると、そこには先程まであった筈の大きな杖は無かった。
代わりにあったのは、おじさんから貰った星形の髪留め一つ。
「し、失敗したの……」
絶対に失敗出来ない、そう思っていたのに。
長い杖が跡形もなく消えたことに呆然としながら
しつつも髪留めを手に取る。
「杖が無かったら、試験に出られないのに」
思わず髪留めをぎゅっと握りしめた、その時だった。
ドクン!掌の中で、何かがそう反応するように淡く脈打つ。
それと同時に、頭の奥に奇妙な感覚が広がった。
魔法は失敗していない、そしてこの髪留めは、ただの髪留めじゃない。
何故か分からないけど、確かにそう感じた。
どうしてそう思うのか分からないけど、確かに私の中に、そう思わせる物があった。
「ブレッシング」
ふと、脳裏に浮かんだ言葉を呟いた。
僅かに先程の時と同じように体から魔力の抜ける感覚がした次の瞬間、髪留めが光った。
「え?」
髪留めが纏う淡い光は、私の手の中で揺らめくとそのまま指先から伸びるように長く、長く広がっていく。
まるで、堕ちていく星から光の尾が伸びていくように。
光はやがて、先程まであった杖と同じくらいの長さにで止まる。
すると光の輪郭が揺らめき、徐々に形を変えていく。
細く伸びた光が、一本の線を描いた。
それは真っ直ぐに伸び、杖の柄となる。
続いて先端の光が鋭く枝分かれした、左右へと伸びた輪郭が弧を描き、重なり合うように展開していく。
まるで、閉じられていた機構が目を覚ますように。
光の内側に、金属のような銀色の輝きが浮かび上がった。
その表面を青白い光が走り、柄から先端へと流れ込む。
やがて光が薄れていくと、そこには一本の杖があった。
長い柄に魔力を撃ち出す銃口のような機構。
先端近くには、五つの鉱石が埋め込まれている。
そして結ぶように配置された五つの鉱石は、まるでひとつの星を描いているかのようだった。
「……すごい」
思わず、息を呑んだ。
これが本の魔法で作られた、私の魔力や記憶、想像力から生まれた新しい杖。
変形しそうな杖先は狙いがつけやすい、私が思い浮かべた物達が良い感じの姿になっている。
それに重そうなのに、持っている感覚的には木の短杖ぐらいの軽さだ。
それでいて視界でも伝わる固さ、それは触っているからこそ分かるものだ。
とても、あのボロい杖や素材から生まれたとは思えない。
何より、杖に星型のデザインが良い感じに入っているのが良い!
杖先の変形機構とかカッコ良くて本当に好きだ。
杖をベッドの上に置き、机の上に置いていたあの本を手にとって掲げる。
「これなら、この本の魔法なら私も使える!私も魔法使いになれるんだ!」
そういえば、この本の魔法には名前が無い。
本来は魔法を発動するためには、魔法の名前を詠唱する事が必要だ。
でもこの本の魔法にはそれがない。
一応、本にはいくつもの魔法陣が載せられているけど肝心の名前がない。
これだといつまでも、不便だ。
魔法陣あるし何より名前が無いのが呼びづらい
「そうだ、この本の魔法に名前をつけよう。私が使うための魔法……そうだ、名前には星をつけて──」
今朝感じていた試験への不安よそに、私は発動できたあの本の魔法の名前について考えるのだった。