よろしくお願いします。
翌日の昼過ぎ、エルム村の外れにある古い伐採場では何とも奇妙な光景が広がっていた。
「フェルン!」
俺は大きな丸太の傍らから声を上げた。
伐採場の中央には、頑丈な木組みに吊るされた大きな丸太があった。
「準備いいか!」
「はい!」
少し離れた場所ではフェルンが弓を構えていた。
その矢はいつも使っているものとは違い、鏃には深い返しが設けられ、その根元には細い引綱が直接結びつけられていた。
ブラスが鍛え、ガント爺さんが矢そのものにも細かな調整を加えた対魔樹用の鉤矢である。
俺は丸太の両端に取り付けられた二本の綱を握ると、フェルンの射線から十分に離れた。
「……よし! 動かすぞ!」
俺が左右の綱を交互に引くと、丸太が大きく揺れ始める。
「どうだ、フェルン! これなら動き回る根っこの代わりになりそうか!?」
「……はい! これで試してみましょう! ……いきます!」
フェルンが静かに弓を引き絞り、狙いを定める。
鋭い風切り音を残して矢が放たれると、細い引き綱を引きながら真っ直ぐに飛び、丸太に向かっていく。
そして、狙い過たず、鏃が深々と丸太に突き刺さった。
「おおっ! 命中だ!」
「はい」
フェルンは俺の方を向いて頷いたが、すぐに弓と自分の腕を見ながら首を傾げた。
「……少し、引き綱が抵抗になりますね」
「そうなのか?」
「はい。飛距離も普通の矢より落ちています」
「……なるほど」
俺は腕を組んだ。
確かに引き綱をつけた矢は普通の矢よりも重くなるし、飛んでいる間ずっと綱を引っ張ることになるのだから飛距離も命中精度も落ちるだろう。
「……だったら、もうちょっと細い綱にするか?」
「そうですね。ただ、細すぎると今度は切られてしまいます」
「……難しいなあ」
思わず苦笑する俺たちのところにガント爺さんとブラスが近づいてきた。
「ふむ。ならば綱の出し方を変えてみるかのう」
「……出し方?」
「そうじゃ。矢が飛んでいくときに引綱が絡んだり引っ掛かったりせんよう、手元の糸巻きから滑らかに繰り出せるようにするんじゃ」
「なるほど! そいつはいいな!」
「それから鏃の返しももう少し角度を変えたほうがよさそうだな」
ブラスが丸太へ刺さった鉤矢を見つめて言った。
「何でだ?」
「俺の方でもいくつか考えていたんだが、このままだと引っ張ったときに鏃だけが抜けちまうかもしれねえからな」
「なるほど」
「鏃に小さな環を作って、そこに細い引綱を折り返して通しておくんだ。矢が刺さったら引綱の片側に太い綱を繋いで、もう片方を引っ張る。そうすりゃ、鏃を抜かずに太い綱を送り込めるだろ?」
……なるほどな。
俺はガント爺さんとブラスの話を聞いて、釣りのリールと鯨漁の銛を思い出していた。
そもそも、相手は生きて動く魔樹の根だ。
普通の丸太では問題なくても、実戦ではどんな動きをするかわからないし、矢柄だと折られてしまうかもしれない。
「……よし!」
俺は拳を握りしめた。
「もう一回、改良してみようぜ!」
「……はい!」
フェルンが静かに頷いた。
その後、ブラスが用意していた予備の鏃を受け取ると、俺たちは返しの角度や環の形状を変えながら、何度も試射を繰り返した。
最初は綱が絡んでしまい矢が途中で失速した。
次は、鏃が浅く刺さって引っ張ると抜けてしまった。
鏃につけた環が外れてしまうこともあった。
太い綱を引き始めたところ、補助鉤が根に十分食い込む前に鏃に大きな力が掛かったのか返しの部分が壊れてしまった。
「……ううむ」
俺は壊れた鉤矢を見つめた。
「なかなか上手くいかねえな」
フェルンは何度も弓を引き続けた右腕を軽く揉みながら、困ったように笑った。
「そうですね。……さすがに、これだけ試射を続けていると集中力が落ちてしまいますし。聖女様でもいらっしゃれば、また違うのでしょうけれど……」
「聖女?」
この世界にも《聖女》なんてものがいるのかと俺が思わず聞き返すと、フェルンは頷きながら教えてくれた。
「僕も会ったことはありませんし、人伝の噂だけですが、なんでも王都の聖教会に治癒魔術と補助魔術のどちらも究めたという方がいるらしいです。もしその聖女様がいてくだされば、みんなが怪我をしても治してもらえたり、僕も集中力を強化してもらえたりしたのかな、って思ったんですよ」
「……へえ、すごい奴もいるもんだな」
さすが異世界というべきか、すごい奴がいるらしい。もし、そんな奴がいてくれたらグルートニー討伐はぐっと楽になるだろう。
なにしろ、エルム村の寂れた教会は、神父の爺さんが腰を痛めて引退してしまってからは管理する者もおらず、村人が手入れをしているような有様なのだから。
「ただ、聖女様にお力を貸していただくには多額の献金をしなければいけないらしいですけれどね」
「……なんだそりゃ。金、金、金って、仮にも坊主がそんなことで恥ずかしくないのかね……」
フェルンも少しだけ困ったように笑った。
「でも、無い物ねだりしていても魔樹は倒せません。それに少しずつ良くなっています」
「ああ、そうだな」
俺は頷いた。
……そうだ。
大事なのは、今ある物でどうするかだ。
それに、道具なんてものは最初から完璧にできるわけじゃない。
何度も試して、失敗して、改良していく。
そうやって少しずつ使えるものになっていくんだ。
「……よし!」
俺は拳を握りしめた。
「もう一回やってみようぜ!」
「……はい!」
静かに頷いたフェルンは何だか少し楽しそうだった。
普段のフェルンは物静かで冷静な男だ。
戦闘中も必要以上に声を荒らげることはなく、いつも周囲の状況をしっかり観察している。
そんな彼が、今は新しい道具を試すことに夢中になっているように見えた。
へへっ、コイツも職人気質ってことだな。
もっとも、フェルンは冒険者なんだけどよ。
試作を重ねた末、ようやく鉤矢を狙った場所へ打ち込み、引き綱を使って複数の補助鉤を送り込めるようになった。
深く食い込んだ鉤を太い綱で繋いで荷重を分散させる。細い引き綱はあくまで太い綱を導くためのものだ。実際に根を引っ張る力は太い綱と複数の鉤で受け止める。
もちろん、丸太と生きた魔樹の根では勝手が違う。
それでも確かな手応えを感じたし、何もせずに挑むよりはずっとましだった。
「よし!」
バルドが巻き上げ機の傍らで声を上げた。
「じゃあ、今度はこっちだ!」
「おう!」
村の男衆が綱を握り直した。
伐採場に据えられた巻き上げ機は普段から丸太を運び出すために使っているものだ。
ただし、今回は根を引き寄せることを想定し、固定部分を補強して滑車の位置も変えてある。
木製の架台はガント爺さんが組み直し、金属製の軸や留め具はブラスが補強した。
さらに、急に綱が引っ張り返されたときには巻き上げ機を操作する者がすぐ離れられるよう、綱の取り回しも工夫してある。
「いいか!」
バルドが叫んだ。
「絶対に綱の真正面には立つなよ! 切れたら危ねえからな!」
「おう!」
「根が暴れたら、無理して引っ張るな! 合図を聞いたらすぐに止めろ!」
「わかってる!」
そして、男たちが巻き上げ機を動かし始めた。
ぎりぎりと太い綱が少しずつ巻き取られていく。
それに合わせて、丸太がゆっくりと動き始めた。
「……おおっ!」
俺は思わず声を上げた。
「動いた!」
「まだじゃ!」
ガント爺さんが叫んだ。
「焦るでない! 少しずつじゃ!」
「おう! 聞いたな野郎ども!」
バルドが頷くとともに指示を出し、男たちは慎重に巻き上げ機を操作していく。
そして、とうとう巨大な丸太が決められた位置まで引き寄せられた。
「よっしゃあ!」
男たちの歓声が上がり、俺も思わず拳を高く突き上げた。
「やったじゃねえか!」
「へへっ! どうだ、マキ! 俺たちだってなかなかやるだろ!」
「……ああ! 最高だぜ!」
俺は力強く頷いた。
もちろん、これで作戦が成功すると決まったわけではない。相手は生きて動く魔物の根なのだ。
実際の戦闘では、もっと激しく暴れるだろうし、こちらの道具を壊そうとしてくる可能性もある。
だからこそ何度も試しておかなければならない。
喜ぶ俺たちとは対照的に、鍛冶屋親子だけは冷静に巻き上げ機の様子を確かめていた。
「……親父、巻き上げ機の軸が少し熱を持ってるぞ」
「……ふむ」
ガント爺さんはすぐに装置へ近づき、軸受けへ手を当てると渋い顔をした。
「……確かに、このままではいかんのう」
「……これ以上続けたら、焼きつくかもしれねえ」
「うむ。じゃが、今気づけたのは僥倖じゃ」
……なるほど。
道具には、こんなところにも限界があるんだな。
俺の筋力がいくら強くても、装置そのものが耐えられなければ意味がない。
そのことを忘れてしまうところだった。
「……よし!」
ガント爺さんが顔を上げた。
「今日はここまでじゃ。ブラス、戻って軸受けを調整するぞい」
「……おう!」
ブラスが頷いた。
俺は、二人の背中を見つめながら胸が熱くなるのを感じた。
……本当にありがてえ。
俺一人ではこんな道具は作れない。
どれほど筋力があっても、鍛冶や木工の技術が身につくわけではない。
だからこそ、こうして仲間たちの力を借りる。
……これなら、いけるかもしれない。
俺は今日にも改良されるであろう巻き上げ機を見つめながら、頼もしさを感じて静かに笑った。
◇◆◇
その日の夕方、ブラスに呼ばれて鍛冶工房を訪れると、作業台の上に一対の鉄篭手が置かれていた。
「……おおっ!」
俺はあまりの早さに思わず声を上げた。
「ブラス! もうできたのか!?」
「おうよ」
ブラスは満足そうに頷いた。
「まだこれから細かい調整は必要だが、ひとまず形にはなったぜ」
作業台に置かれていたのは、俺の小さな手に合わせて作られた黒鉄色のガントレットだった。
前腕部から手の甲、指先までを、いくつもの厚い鉄板で覆っている。また、装甲板は掌や指の内側にも及んでおり、形が決まれば滑り止めのために細かな溝を彫る予定なのだという。さらに、指の関節部分は動きを妨げないように何枚もの小さな装甲板が組み合わされていた。
そして、その内側には魔力を遮断するために鉛板が組み込まれているという。
「……コイツは、すげえな。本当に作っちまったのか」
「へっ。職人を舐めるんじゃねえよ」
「へへっ、そいつは悪かったよ」
ブラスと俺は顔を合わせて笑った。
「さあ、嵌めてみな」
「おう!」
俺が差し出した右手に、ブラスが篭手を持ち上げて嵌めてくれる。
金属板同士が触れ合って、かちゃりと小さな音が響いた。
「……おおっ」
手元から伝わる感触に、俺は思わず目を見開いた。
今の俺にとって重さは問題ではない。
だが、普通の8歳児はおろか、力自慢程度の大人ではまともに腕を持ち上げることも難しいだろう存在感が両手から感じられ、同時にそれを頼もしく感じた。
俺は篭手を壊してしまわない様に、ゆっくりと指を握り込む。曲げることはできたものの、ぎちりと鉄の関節が小さく軋んだ。
俺はさらに何度も拳を開いたり閉じたりしてみた。
「どうだ?」
ブラスが覗き込むように尋ねてくる。
鍛冶職人としての血が騒ぐのか、その目には隠しきれない興奮が見て取れた。
「……悪くねえ。でも、ちょっと指が曲げにくいな」
「……はあ、やっぱりそこか」
ブラスは指を曲げ伸ばしする俺の手を見つめながら小さくため息をついた。
「……ああ。重さは平気なんだけどよ。指の動きが少し鈍くなるし、何度も曲げ伸ばししてるうちに壊れちまうかもしれねえ」
「……なるほどのう」
隣で見ていたガント爺さんも、顎を撫でた。
「関節の重なり方を変えてみるか」
「……親父、それじゃ鉛板がずれるぞ」
「じゃから軸の位置も合わせて変えるんじゃ」
「……ったく。言うのは簡単だな」
ブラスは呆れたように笑ったが、その表情はどこか楽しそうだった。
「よし! もう一回、調整するか!」
「おう!」
俺は力強く頷き、ゆっくりと親指を立てた。
その後も、俺たちは何度も篭手を嵌めたり外したりしながら調整を繰り返した。
指の曲がり具合、手首の可動範囲、物を掴んだときの滑りにくさ、そして鉛板が隙間なく重なっているかどうか。
どれひとつとして欠かすことのできない重要な要素だった。
ブラスが鉄板を削り関節の軸を調整する。
ガント爺さんは実際に力をかける方向を考え、装甲板の重なり方を確認する。
俺も何度も篭手を装着しては指を動かし、実際に握り込んだ時の感覚を伝えた。
「……なあ、ブラス」
作業の合間に俺は尋ねた。
「何だ?」
「この篭手、本当に魔力を吸われずに済むと思うか?」
俺の質問にブラスは少しだけ考え込んだ。
「……正直に言えば、わからねえ」
「…………」
「俺は鍛冶屋だ。鉄の鍛え方や鉛の性質ならわかるが、魔力のことは専門外だからな」
「……だよな。だったら魔力の専門家に確かめてもらおうぜ」
「……ああ。それがいい」
俺は村の西にある少しくたびれた一軒家を訪ねた。
そこは、去年村を出た一家が使っていた家だったが、村長の意向で冒険者たちに無償で貸し出されていた。
「リゼット! いるか?」
俺は篭手の確認をしてもらうためにリゼットを頼ることにした。
何しろリゼットは凄腕の《元素魔道士》だ。
魔力の流れを感じ取ることができる彼女なら、鉛を仕込んだ篭手が本当に魔力を通さないかどうか、ある程度確かめられるかもしれない。
寝る準備をしていたのか、随分とラフな格好で戸口に出てきたリゼットに事情を説明すると快く応じてくれた。
そうしてブラスの工房で待っていると、リゼットがやってきたのは30分ほど経ってからだった。
ちなみにリゼットたちが逗留している空き家からブラスの工房までは5分もかからない。
リゼットに問い質すと、女性は準備に時間がかかるんだと怒られてしまった。
解せぬ……。
「……なるほどね」
事情を聞いたリゼットは、篭手を興味深そうに眺めた。
「鉛を鉄の内側に仕込んだのね」
「ああ」
ブラスが頷いた。
「ただし、魔力を通さないかどうかまでは確かめられてねえ」
「わかったわ」
リゼットは杖を掲げた。
「それなら、私の魔力を使って調べてみましょう」
彼女は作業台に置かれた篭手へ手をかざした。
淡い青色の光が指先に集まっていく。
その淡い光が篭手へ近づくが、まるで篭手の周りだけは光を遮断したかのように暗いままだった。その反応を様々な角度から確かめながらリゼットは静かに目を閉じた。
「……ふむ」
しばらくして彼女が口を開いた。
「確かに、鉛の部分は魔力をほとんど通していないみたいね」
「おおっ! 本当か!?」
俺は思わず顔を綻ばせた。
「ええ。ただし、僅かな隙間からなら魔力が通ってしまう可能性があるわ」
「……なるほど。なら、関節部の重ね方にもう少し調整が必要だな」
ブラスは腕組みをしながら呟いた。
「それに、実際の魔樹の吸収能力がどれほど強いのかもわからないから、完全に安全だとは言い切れないわ」
「……ああ、わかってるさ」
この篭手は俺を無敵にしてくれる道具じゃない。危険を少しだけ減らすための道具なのだ。
そのことを、忘れてはいけない。
「……ありがとな、リゼット」
「ふふっ。どういたしまして」
リゼットは微笑みながら俺の頭をそっと撫でた。
「……でもね、マキちゃん。絶対に無理をしちゃ駄目よ?」
「……ああ。約束する」
「ふふっ、よろしい」
リゼットはそう言って満足そうに笑った。
……まったく。
最近、何だかみんなから子供扱いされることが増えた気がする。
いや、実際に見た目は子供なんだけどさ。
『まあまあ! 皆様から大切にされているマキちゃん! なんと素晴らしいのでしょう!』
――うるせえ。
『そして! 重厚な鉄篭手を装備した可憐な幼女! これぞ究極の浪漫ですわぁぁぁっ!!』
――お前は結局、それが言いたかっただけだろ!
『当然ですわ! 可愛らしい幼女と無骨な防具、そして巨大な武具の組み合わせ! これこそ至高の美なのですもの!』
……本当にぶれねえなあ、こいつ。
そうして月も高く登る頃になって、ようやく黒鉄の篭手は納得できる形に近づいてきたのだった。
◇◆◇
さらに翌日、村の準備はいよいよ大詰めを迎えていた。
ただし、その間にもグルートニーの侵食が止まったわけではなく、東の井戸の周辺では細い黒い根が何度も地表へ現れた。
自警団の男たちは交代で見張りを続け、伸びてきた根を発見するたびに切断していた。
リゼットも村の東側へ何度か足を運び、魔力の流れを調べていた。
彼女によれば、魔樹は今も周囲から魔力を吸い上げ続けているらしい。このまま放置すれば、やがてエルム村の地下全体が黒い根に覆われてしまう可能性もあるという。
……本当に、時間がねえな。
そんな状況のなか、俺たちは最後の準備を進めていた。
試作を重ねた末、ようやく鉤矢を狙った場所に打ち込み、鏃に設けた環に通した引綱を使って、複数の鉤を備えた太い綱を送り込めるようになった。
フェルンが手元の糸巻きをバルドに渡し、村人たちが引綱の片側に太い綱を結びつける。その反対側を慎重に引いていくと、太い綱の先端は丸太へ突き刺さった鏃の位置まで運ばれ、最後には複数の鉤が樹皮へ食い込んだ。
「……よし! 今度は巻き上げ機じゃ!」
ガント爺さんの声に、村人たちが取っ手へ手を掛ける。
ゆっくりと太い綱が張り詰めると、丸太は僅かに傾き始め、やがて木組みに吊るされたまま大きく捻れた。
「……おおっ! すげえ! 本当に動いたじゃねえか!」
「……はい!」
俺が思わず声を上げると、フェルンも嬉しそうに頷いた。
「これなら、根の瘤が地中に隠れていても、引き出せるかもしれませんね」
「おう! もっとも、実際の相手はこんな大人しい丸太じゃねえけどな!」
そう言って笑った俺だったが、丸太に食い込んだ鉄の鉤を見つめながら、確かな手応えを感じていた。
鏃は、太い綱を目的の場所まで送り込むためのもの。実際に根を引っ張る力は、太い綱と複数の鉤で受け止める。
もちろん、丸太と生きた魔樹の根では勝手が違うし、実戦ではどんな動きをするかも分からない。
それでも、何もせずに挑むよりはずっとましだ。
何より、この仕組みは俺一人の力で生まれたものじゃない。
ガント爺さんとブラスの知恵があり、フェルンの弓術があり、そして村人たちが力を合わせてくれたからこそ、ようやく形になったものだった。
……へへっ。
やっぱり、仕事ってのはこうでなくちゃな。
その後も、伐採場には滑車や巻き上げ機が並べられ、村の男達がそれぞれの役割を確認している。
フェルンは鉤矢の試射を繰り返していた。
カイルは盾の手入れを済ませ、リゼットは魔力の消耗を抑えるためにできるだけ休息を取っていた。
そして、グレイヴは討伐隊全体の指揮を執るため、何度も地図を確認していた。
そして俺はといえば、ブラスの鍛冶工房で完成した鉄篭手を嵌めてもらっていた。
「……よいしょっと」
「どうだ、マキト」
俺は、ゆっくりと拳を開いたり閉じたりしてみる。
鉄の関節が僅かに軋んだが、昨日よりずっと動かしやすく、指を握り込んでも途中で引っ掛かりを感じることはなかった。
「おおっ! 今度はいい感じだぜ、ブラス!」
「……そうかい」
ブラスは満足そうに頷いた。
「なら、こいつで決まりだな」
「ああ! ありがとな!」
俺は完成した篭手を眺めながら、ふと思いついたことを口にした。
「 ……そういや、ブラス。こいつ、名前はあるのか?」
「……名前? 銘のことか?」
ブラスが怪訝そうに眉をひそめた。
「ただの鉄篭手だろ?」
「いや、「ただの」ってことはねえだろ? 俺のために特別に作ってくれたんだし、せっかくだから名前をつけたいんだよ」
「……ふむ」
傍らにいたガント爺さんが、興味深そうに顎を撫でた。
「よいのではないか? 職人が手掛けた道具に銘をつけることは、別に珍しくもあるまい」
「……だろ?」
俺は篭手に視線を戻した。
鈍い黒鉄色の装甲。
小さな手に合わせて作られた、幾重にも重なる関節。
魔力を遮断するために内側に仕込まれた鉛板。
黒い篭手。魔を退けるための篭手、か。
魔を退ける、魔除け……。
そこでふと口をついて出てきた言葉があった。
「……柊」
「……ヒイラギ? なんだそりゃ?」
「……え? あ、ああ。俺の故郷にあった木の名前なんだよ」
俺は小さく笑った。
節分を思い出して思いついた、などと言っても意味など伝わるわけがなく、どう説明したものかと少し考えた。
「そいつはな、尖った葉っぱを持ってて、家に押し込もうとした鬼、……魔物の目を突いて追い払ったっていう謂れがあってな。昔から魔除けとして使われてたんだ」
「……魔除けの木、か。なるほど、面白いのう」
「……へえ、じゃあ黒鉄色だし、クロヒイラギってのはどうだ?」
ブラスの提案に、俺は改めて篭手を見つめた。
「……悪くねえけど、少し長いな。黒い柊、黒、コク、コクシュウ、…コクトウ」
「コクトーか、いい響きじゃのう」
ガントが頷き、ブラスも少し考え込んでから口元を緩めた。
「……ああ、悪くねえ名だ」
「そうか、そうだよな!」
「おう。俺達が作った篭手には、よく似合ってると思うぜ」
俺は嬉しくなって、篭手を嵌めた両手を見つめた。
「……よし! 決まりだ!」
そう言って小さな拳を握りしめる。
「今日からこいつは《
すると、ブラスが不意に笑った。
「……なら、マキト」
「ん?」
「その柊って木がどんな葉の形をしてるのか、もう一度教えてくれ」
「……え?」
「教えてくれよ。せっかくだから、手の甲に彫ってやる」
「…………」
俺は思わず目を瞬かせた。
「……いいのか?」
「おう。俺の仕事はもう少しで終わりだからな。最後にちょっとくらい、洒落たことをさせろよ」
ブラスが鼻をかいているのを見て、俺は思わず笑ってしまった。
……まったく、本当に、こいつは。
「……へへっ。だったら、頼むぜ!」
◇◆◇
黒鉄の篭手《黒柊》の手甲部には、ブラスが彫ってくれた重なり合う柊の葉の意匠が彫り込まれていた。
俺は嬉しくなって、拳を何度も開いたり閉じたりして眺めていたが、そんな俺を見てブラスは突然真面目な顔になった。
「ただし、マキト。ひとつだけ忘れるなよ」
「……ん?」
「どれだけ頑丈に作った道具でも、無理をすれば必ず壊れる」
「……ああ」
「でもな、道具は壊れちまってもいいんだ。もし壊れたら俺がまた直してやる。だが、もしお前が怪我をしちまったら俺には治せねえ」
ブラスは鼻をかきながらぶっきらぼうに言った。
「……だからよ、無茶な真似だけは絶対にするんじゃねえぞ」
「……わかってるよ、ブラス」
俺は篭手を嵌めた両手を見つめた。
普通の8歳児どころか、大人でもまともに扱えないほどの重量だ。
けれど今の俺には問題ない。
ずしりと感じる重みは、職人からの信頼の重みだと思った。
「マキ」
今度はガント爺さんが声をかけてきた。
「ん?」
「小煩いと思うかもしれんが、儂からもひとつだけ言っておくぞ」
「そんなこと思わねえよ、何だ?」
「道具というものはな、使う者の力を助けるためにある。じゃが道具に頼りきってはいかん」
「…………」
「お前さんには木こりとしての知識と技術がある。そこに儂らの作った道具が加わるんじゃ」
ガント爺さんは静かに笑った。
「忘れるでないぞ。お前さんは一人ではない。儂ら皆の力で戦うんじゃ」
「…………ああ、そうだな」
本当にそのとおりだ。
俺には筋力がある。
神斧もある。
木こりとしての知識と技術だってある。
だけどそれだけじゃない。
こうして俺のために道具を作ってくれた職人たちがいる。
一緒に戦ってくれる仲間たちがいる。
……それを、忘れちゃいけねえよな。
「……ありがとな、爺さん。ブラスも本当にありがとな」
「ほっほっほっ」
「……へっ。礼なら、ちゃんと仕事を終えてからにしろ」
「ん?」
「お前さんが無事に帰ってきて、初めて俺たちの仕事は完成するんだからな」
「…………」
思いがけない言葉に目を瞬かせたが、すぐに笑みがこみ上げてきた。
「……へへっ。もちろんだぜ!」
俺は篭手を嵌めた拳を握りしめた。
自分が仕事を終えて帰るのを待ってくれている人達がいる。
自分の仕事のために特別な道具を準備してくれる人達がいる。
そして、STR9999という馬鹿げた筋力があるからこそ、俺だけがこの特別な道具を使える。
何だか嬉しいな。
「絶対に帰ってくるさ!」
ガント爺さんとブラスが満足そうに頷いた。
『マキちゃん』
頭のなかでルミエラの声が響いた。
――何だ?
『その篭手、とってもお似合いですわ』
――……そりゃどうも。
『本当に、本当に素晴らしいですわ』
「…………」
俺は少しだけ目を瞬かせた。
……あれ? 何だかいつもより静かだな。
普段ならここぞとばかりに大騒ぎするはずなのに。
――……どうしたんだルミエラ?
『……いいえ、どうということではございませんの』
ルミエラは柔らかく笑った。
『わたくし、ただ嬉しいのですわ』
――……何がだよ。
『マキちゃんが、わたくしの授けた力を、少しずつ受け入れてくださっていることが』
「…………」
……まったく。
本当に調子が狂う。
――……別にお前の筋力信仰に賛同したわけじゃねえからな。
『……ええ』
――たださ。
俺は篭手を嵌めた両手を見つめた。
――この力があるからこそできることもあるんだよな。
『……ええ、そのとおりですわ』
……まったく。
いつもこのくらいまともなら少しはありがたいんだけどな。
そう思った、せっかくそう思ったというのに……。
『ですがぁぁぁっ!!』
――……ん?
『小さなマキちゃんが! 重厚な鉄篭手を嵌めて巨大な神斧を振るうお姿を想像するだけで! わたくし感動のあまり涙が止まりませんわぁぁぁっ!!』
……ああ、やっぱり駄目だった。
『さらに! その篭手で巨大な根っこを鷲掴みにして! むんずと引っこ抜くお姿を想像しただけでぇぇぇっ!! おほーっ! 最高の供給をありがとうございますわぁ!』
――お前、いい加減にしろよ!
『おーっほっほっほっほ! 力こそパワー! 筋力こそ究極の美なのですわぁぁぁっ!!』
――結局それかよぉぉぉっ!!
俺は心のなかで盛大に叫んだ。
……やれやれ。
本当に救いようのない駄女神である。
◇◆◇
決戦前日の夕方、エルム村の広場には討伐作戦に必要な道具が荷車に乗せられて次々と運び込まれていた。
大型の鉤爪と太い鎖。
複数の鉤矢と糸巻き。
細い引綱と太い引綱。
補助鈎に滑車、2基の大型巻き上げ機。
そして、根株を引き抜くために改造した大掛かりな抜根装置。
そのすべてが新しく作られたわけではない。
いつまたグルートニーの再侵攻があるか分からない限られた時間の中、普段の山仕事で使っていた道具を改造し、補強し、組み合わせたものがほとんどだった。
それでも、こうして並べてみるとなかなか壮観である。
「……おおっ、すっげえな」
「だろ?」
思わず感嘆の声を上げる俺の隣で、バルドがにやりと笑った。
「みんなで頑張ったんだぜ?」
「……ああ。……本当に、すげえよ」
すると、ガント爺さんとブラスが近づいてきた。
「マキ」
「ん?」
「最後に、もう一度確認しておくぞ」
ガント爺さんが真面目な顔で言った。
「お前さんが使う鉤爪と鎖、それから抜根装置じゃがな」
「ああ」
「どれも、急造品じゃ。ましてや、お前さんの力を無限に受け止められる道具なんぞない」
「……ああ、わかってる。少しずつ力をかけるし、無理には引っ張らねえ。道具が軋み始めたらすぐに止める」
「うむ、それでよい」
ガント爺さんが満足そうに頷くと、今度はブラスが口を開いた。
「……鉤爪の接続部分は、俺にできる最大限まで丈夫に作った。だが、相手がどれだけ暴れるかわからねえ以上、絶対に壊れないとは言い切れねえ」
「ああ、無理はしねえよ」
「……ならいい。ぶっ壊れたら直してやるから持って帰ってこい」
ブラスは少しだけ笑って、鼻をかきながら俺の頭に軽く手を置いた。
「ただし、万が一壊れても俺の腕が悪かったなんて言うんじゃねえぞ?」
「……へへっ」
ブラスのそんな仕草がおかしくて、俺も笑った。
「そんなこと言うわけねえだろ!」
「……ま、当然だな。はははっ!」
ブラスが豪快に笑った。
その隣でガント爺さんも愉快そうに笑っている。
バルドもいつものように笑っていた。
本当にいい奴らだ。
約束、絶対に守らなきゃな。
そのとき、広場の向こうからグレイヴの声が響いた。
「……全員、集まってくれ!」
俺たちは顔を見合わせて頷き合い、グレイヴのもとに向かった。
広場には、討伐隊に参加する村の男達とグレイヴたち冒険者が集まっていた。
討伐隊にはバルドだけでなく、後方で装置の設置や修理を担当するためにガント爺さんとブラスも同行することになっている。もちろん、みんなを魔樹の根が直接襲ってくる場所まで近づかせるつもりはない。
グレイヴも、二人には特に後方での作業を徹底するようにと何度も念を押していた。
グレイヴは討伐隊の参加者が全員揃ったのを確認してから、全員を見渡してゆっくりと口を開いた。
「……さて、準備は整った」
「…………」
「明朝、俺たちは石切場に向かう」
その言葉に広場が静まり返った。
「相手は、数百年前に大陸を脅かした古代の魔物だ。正直に言って、その本当の強さも、どれほど危険なのかも、俺にも完全には分からねえ」
「…………」
「だが、あいつを放っておけばエルム村は間違いなく滅ぼされる」
グレイヴは、真っ直ぐに村人たちを見つめた。
「……だから、俺たちは行く」
「…………」
「ただし、絶対に無理はするな。危なくなったら逃げろ。仲間が倒れたら助けろ。絶対に、一人で突っ走るんじゃねえぞ」
「おう!」
バルドが答え、村の男達も力強く頷く。
「……いい返事だ」
グレイヴは満足そうに笑い、そして俺の方を見た。
「マキ!」
「ん?」
「最後にお前さんからも何か言ってくれ!」
「……えっ? 俺がか?」
「ああ」
グレイヴはにやりと笑った。
「今回の作戦を考えるきっかけを作ったのは、お前さんだからな」
「……い、いや、でもよ」
「ほら、皆待ってるぜ!」
「…………」
俺は黙ったままゆっくりと周囲を見渡した。
バルド。
ガント爺さん。
ブラス。
グレイヴ。
カイル。
リゼット。
フェルン。
そして、エルム村の男達。
誰もが怖いはずだった。
昨日、あの化け物に家を壊され、命を脅かされたばかりなのだから。
実際、顔を強張らせている者もいた。固く握りしめた拳が僅かに震えている者だっていた。
それでも、誰一人として目を逸らそうとはせず、強い意思のこもった視線がまっすぐに俺を貫いていた。
心が、魂が震える。
全身に電気が走ったように総毛立つ感覚に襲われた。
……まったく、どうしてこの村の連中は。
「……へへっ」
俺は小さく笑って一歩前に出た。
「……みんな」
自分でも驚くほど声が静かだった。
「……ありがとな」
「…………」
「俺は、……正直なところ最初は全部自分たちだけで何とかしようと思ってた」
俺は数日前を思い出し、少しだけ俯いた。
「本当に危ないと思ったから、みんなを巻き込みたくなかったんだ」
「…………」
「だけどさ、バルドたちに言われて気づいたよ」
そして、今度は力強く顔を上げた。
「ここは、俺だけの村じゃねえんだよな」
バルドがにやりと笑った。
「当たり前だろ」
「……ああ」
俺も笑った。
「みんなの村だ。俺たち、みんなの村だ!」
俺は篭手を嵌めた小さな拳を握りしめた。
「だから、俺たちみんなで守ろうぜ!」
「おうよ!」
誰かが答え、熱気とざわめきが広がっていく。
「俺たちのエルム村を!」
「おう!!」
今度は全員の声が重なり、俺は嬉しくなって思い切り笑った。
そして、右手を天に向かって突き上げ、掌に黄金の光を集めた。
「よっしゃあ!」
突き上げた手の中に、夕日を受けて煌めく巨大な黄金の刃が【召喚】される。
黄金の輝きは黒い根に閉ざされようとしていたエルム村を伐り拓くように、一際強く輝いていた。
「明日は、でっけえ木を1本、きっちり始末してやろうぜ!」
「「「おおおおおおっ!!」」」
男たちの歓声が夕暮れの広場に響き渡った。
◇◆◇
夜、俺は村長の家の前に立っていた。村の家々にはまだ明かりが灯り、賑やかな声が夜風に乗って聞こえてくる。
西の空には星が瞬き始めている。
遠くに見える裏山は夜の闇に溶け込んでいた。
その奥に奴が、グルートニーがいる。
何百年も前に英雄たちが戦い、討伐したはずの古代の魔物。そして今、エルム村を喰らおうとしている化け物だ。
俺は両手に嵌めた篭手《黒柊》を見つめた。
黒鉄色の装甲、滑り止めのために幾重にも細かく溝が彫られた鉄板で覆われた掌、その内側に仕込まれた魔力を遮断する鉛板。
ガント爺さんとブラスが何度も調整してくれた、俺の小さな手にぴったり合う指の関節。
そして、手の甲に刻まれた重なり合う柊の葉の意匠。
「……こいつは、いい仕事ができそうだ」
『マキちゃん』
――何だ?
『……明日は、いよいよですわね』
――ああ。
俺は遠くに見える裏山の黒い影を見つめた。
……上等じゃねえか。
「明日は大仕事になりそうだな」
『……ええ。ですが、マキちゃん。決してご無理はなさらないでくださいましね』
――ああ、ちゃんと帰ってくるさ。
そのとき、背後から小さな足音が聞こえた。
「……マキ姉ちゃん」
「……ん?」
振り返るとティオが立っていた。
「どうしたティオ? 寝れないのか?」
「……マキ姉ちゃん。明日、行っちゃうんだよね?」
「……ああ。ちょっと行って、でけえ木を伐ってくる」
「…………」
俺が頷くと、ティオは俯いて小さな声で言った。
「……ちゃんと帰ってきてね」
「ああ、心配すんな」
「……本当?」
「ああ」
俺は篭手を外して片手を差し出した。
ティオは少し不思議そうに俺を見つめた。
「……え? 何?」
「約束だ」
俺は小指を立てた。
「絶対に帰ってくる」
ティオは目を見開いて、嬉しそうに笑った。
「……うん!」
ティオの小さな小指が、もっと小さな俺の小指に絡んだ。
「約束!」
「ああ、約束だ」
俺も思わず笑った。
……そうだ。
俺には帰る場所がある。
待っていてくれる人たちがいる。
だから、絶対に帰ってこなければならない。
何があっても……。
「……待ってろよ、グルートニー」
俺はもう一度裏山を見つめた。
「今度は、根まできっちり始末してやるからな」
そう呟いてから、ゆっくりと息を吐いた。
明日はきっと大変な一日になるだろう。
危険なこともあるはずだ。
予想外のことだって起こるかもしれない。
それでも、俺はもう一人じゃない。
だから――。
「……へへっ。絶対に、やってやるぜ!」
『ええ。わたくしもマキちゃんを信じておりますわ。今代の、わたくしの英雄……』
その声は、いつものように騒がしいものではなかった。
ただ、優しく、温かかった。
【篭手命名の没シーン】
マキ「魔力吸収から護ってくれる……魔……護、《魔護の手》なんてどうだ?」
ガント「マゴの手か。おお、いいのう! 耳に馴染む銘じゃ」
ブラス「……ああ、悪くない」
リゼット「駄目に決まってるでしょ! 親父ギャグじゃあるまいし、お爺ちゃんが背中を搔くために使うんじゃないのよ! センスがないにも程があるわ」
ガント&ブラス「「…………」」
マキ「……じゃあどんな名前がいいんだよ」
リゼット「そうね、……無頼苦怒羅権(ブラックドラゴン)とか」
マキ「暴走族かよ!」
ブラス「……だせぇ」
ガント「昔を思い出すのう……」
マキ&リゼット&ブラス「「「えっ?!」」」