Fate × モンスターハンター:ワールド ――鏡面世界の向こう側――   作:丹波りん

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【注意事項】
・本作は、AIを利用して本文を作成・推敲しています。
 AIによる文章表現が苦手な方はご注意ください。
・原作の設定や世界観については、確認・調査をしながら執筆していますが、
 認識違いや設定の誤りなどが含まれる場合があります。

・できる限り原作に沿った描写を心がけていますが、至らない点もあるかと思います。
 以上をご理解いただいたうえで、それでもよろしければ、
 本作を楽しんでいただけると幸いです。


第1話 鏡の向こう側

冬木市の南西に位置する円蔵山。

その頂には柳洞寺が建ち、山の地下深くには、

地上から窺い知ることのできない巨大な空洞が広がっている。

大空洞と呼ばれるその場所は、冬木の地脈と深く関わる

魔術的にも特別な意味を持つ空間であり、

冬木の土地を管理する遠坂家にとっても重要な場所だった。

大空洞の静けさのなか、凛は地中深くを巡る魔力の流れに意識を凝らしていた。

本来なら一定のリズムを刻むはずの脈動が、ある地点を境に乱れている。

流れを追うほどに、その歪みははっきりと感じられた。

何かに阻まれたかと思えば、見えない力に引かれるように向きを変える。

自然な地脈の動きとは明らかに違っていた。

 

「……嫌な感じね」

 

隣で調査を続けていたルヴィアも、同じ異常に気づいたらしい。

いつもの自信に満ちた表情から笑みが消えている。

 

「乱れが一箇所に留まっていませんわ。離れた地点にも及んでいますし、

  地脈本来の流れとも噛み合っていない……」

 

「ええ。魔力が足りないだけなら、こんなふうに流れそのものが引っ張られることはないもの」

 

凛はもう一度、乱れの中心へ意識を伸ばした。

かすかな反応は感じ取れるものの、その先を探ろうとすると手応えが途切れてしまう。

地脈に魔力を補充するだけでは解決しない

――そこまでは分かっても、干渉しているものの正体までは掴めなかった。

 

「何かが、こっちに干渉してるの?」

 

イリヤの問いに、凛は考え込むように目を細めた。

 

「その可能性はあるわ。でも、何がどこから影響しているのかは分からない。

  ここで調べていても、これ以上は手がかりを得られそうにないわね」

 

「でしたら、鏡面界との繋がりを疑うべきではありませんこと?」

 

ルヴィアの提案に、凛は顔を上げた。

鏡面界が関わっているという確証はない。

それでも、今の異常を説明できる可能性があるなら、

確かめずに除外するわけにはいかなかった。

 

「私もそう思う。向こう側に原因があるのか、

  それとも、こっちと向こうを繋ぐ部分に問題があるのか

  ……実際に行ってみるしかなさそうね」

 

「鏡面界側に原因があるかもしれない、ということですね」

 

美遊の確認に、凛は頷いた。

 

「ええ。まだ可能性の話だけど、このまま魔力を補充しても、

  原因が残っていれば同じことの繰り返しになるわ」

 

「なら、行くしかないってことね」

 

 クロエは肩をすくめた。その口調はいつも通りだったが、視線は凛から逸れない。

 

「また鏡面界かぁ……。今回は何があるか分からないんだよね」

 

 イリヤがこぼすと、クロはからかうように口元を緩めた。

 

「何よ、怖くなっちゃった?」

 

「怖くなんかないよ! ただ、いつもと同じとは限らないでしょ」

 

「それはそうね。だから、私から離れないこと」

 

 あまりにあっさり言われ、イリヤはむっとしてクロエを睨んだ。

 

「クロこそ、勝手に先に行かないでよね」

 

「はいはい。妹のお願いなら聞いてあげる」

 

「誰が妹よ!」

 

すかさず言い返すイリヤに、クロは楽しげに目を細めた。

 

「お話はそのくらいにして、準備をなさいませんこと?」

 

ルヴィアに促され、イリヤは手にしたルビーを掲げた。

 

「ルビー、お願い!」

 

『お任せください、マイマスター!』

 

ルヴィアに促され、イリヤは手にしたルビーを掲げた。

隣では美遊もサファイアを手に、静かに構える。

 

『コンパクトフルオープン!! 鏡界回廊最大展開!!』

 

ルビーの声が響き渡った瞬間、二人の足元に鮮やかな光が広がった。

幾重もの光輪が回転し、鏡面のような輝きが大空洞を照らし出す。

 

『Dis spiegelform wird fertig zum!(鏡像転送準備完了)』

 

ルビーとサファイアの詠唱が重なる。

イリヤと美遊を包み込んだ光が渦を巻き、二人の姿を覆い隠していく。

輝きのなかで普段の衣服が消え、

代わってフリルやリボンをあしらった魔法少女の衣装が形作られていく。

イリヤの周囲では鮮やかな光が弾け、

美遊の周囲では澄んだ青白い輝きが静かに巡っていた。

 

『Offnunug des Kaleidoskopsgatter!(万華鏡回路解放)』

 

最後の詠唱とともに光が弾け、無数のきらめきが周囲へと散っていく。

光が収まったとき、そこにはそれぞれの魔法少女の姿へと

転身したイリヤと美遊が並び立っていた。

 

その間にクロエの装いも変わり、

赤い外套と黒いプロテクターを備えた戦闘服が彼女の身を包んでいる。

 

「準備はいいわね。それじゃあ、お願い」

 

凛の声に応じ、イリヤと美遊はカレイドステッキを構えた。

二つのステッキから放たれた光が重なり合い、

大空洞の一角に鏡面を思わせる輝きが広がっていく。

揺らめく光は徐々に奥行きを帯び、やがて五人が通り抜けられる道を形作った。

光の向こうに何があるのか、こちらから窺い知ることはできない。

 

「行くわよ。全員、離れないで」

 

凛の声を合図に、五人は鏡の道へと踏み込んだ。

光が視界を満たし、大空洞の気配が背後へ遠ざかっていく。

足元の感覚さえ曖昧になるなか、彼女たちの姿は鏡面の向こうへと消えていった。

 

 ***

 

光が薄れていくにつれ、五人の目の前に、見知らぬ森の景色が広がった。

太い樹木が幾重にも枝を伸ばし、重なり合う葉が頭上を覆っている。

巨大な幹の根元からは太い根が幾筋も張り出し、苔や草に覆われた地面を複雑に走っていた。

根と根の間には低い草やシダが茂り、葉の陰には湿った土が覗く。

枝葉の隙間から差し込む陽光が、深い緑の中に斑模様を描いていた。

足元に広がるのは、見覚えのない地面。

頭上を見渡しても、視界を埋め尽くすのは幾重にも重なった葉と枝ばかりだった。

湿った土と青々しい草木の匂いが濃く漂い、

周囲を取り巻く緑は、少し先の様子さえ見通せないほど深い。

大空洞の鏡面界にあるはずの景色とは、何もかもが違っていた。

凛は周囲を見回し、ルヴィアもまた、困惑を隠せない様子で眉をひそめる。

イリヤは美遊やクロエと顔を見合わせたあと、改めて森の奥へ目を向けた。

三人とも、ここが目的地ではないことだけはすぐに理解していた。

 

「……ちょっと、ルビー! これはどういうことよ!?」

 

凛の怒声に、イリヤの手を離れて周囲を確認していたルビーが、空中でぴたりと動きを止めた。

 

「そうですわ! わたくしたちは大空洞の鏡面界へ向かうはずでしたわよね!?

  それが、どうしてこんな見知らぬ森の中に出てきますの!?」

 

ルヴィアも詰め寄り、二人の視線が宙に浮かぶルビーへ集中する。

杖先を左右に揺らしたルビーも、さすがに事態を把握できてはいないようだった。

 

「いやぁ~、これはルビーちゃんも予想外といいますか……。

  ちゃんとミラージュ・ロードを通ったはずなのですが~……」

 

「はず、じゃないわよ! アンタが開いた道でしょ!?」

 

「わたくしたちは目的地を確認したうえで、こちらへ来たのですわ!

  それが、こんな鬱蒼とした森に放り出されるなんて……!」

 

凛の声に、ルヴィアも負けじと語気を強める。

二人とも、行き先が違っている以上、何らかの異常が起きたことは疑っていない。

だが、肝心の原因を知る者がいないのでは、ルビーを問い詰めても答えは出なかった。

 

「だったら、どうしてこうなったのか説明しなさいよ!」

 

「そ、それが分かれば、ルビーちゃんも苦労はしないのですが……」

 

いつもの調子で返しながらも、ルビーは周囲へ視線を巡らせた。

見渡す限り、視界を遮る木々と複雑に張り出した根ばかり。

大空洞の鏡面界を思わせるものは、どこにも見当たらない。

 

「……まさか、道の接続先がずれたとでもいうの?」

 

凛の表情から、苛立ちに加えて警戒の色が濃くなる。

単なる道の誤接続で片づけられる問題なのか、それすら判断できなかった。

 

「ずれた、ですって? そんな簡単な話で済むのでしたら、まだよろしいのですけれど……」

 

ルヴィアも森を見回し、険しい顔で腕を組んだ。その言葉に、凛の眉がぴくりと動く。 

 

「ちょっと待ちなさいよ。今の言い方、まるで私に責任があるみたいじゃない」 

 

「まあ。ご自分からそうおっしゃるということは、何か心当たりでも?」

 

「あるわけないでしょ! そもそも、あんただって一緒に調査するって決めたんじゃない!」

 

「ええ、同行には同意しましたわ。ですが、調査を主導していたのは凛でしょう?

  でしたら、まずはあなたが説明するべきではなくて?」

 

「だから、私だって何が起きたのか分かってないって言ってるでしょ!」

 

原因を探るはずだった話は、いつの間にか責任の所在を巡る応酬へと変わっていた。

凛が強く言い返せば、ルヴィアも涼しい顔で皮肉を返す。

どちらも引く気はなく、互いの言葉尻を捉えては反論を重ねていく。

その傍らで、イリヤは呆れたように肩を落とし、

美遊は冷静な面持ちで二人を見つめていた。

クロエもまた、止める気が失せたように小さく息をつく。

こんな場所に迷い込んだというのに、

二人の関心はいつの間にか相手の責任を追及することへ移ってしまったらしい。

けれど、森は何も答えてくれない。

枝葉の重なりの向こうに何があるのかも、

自分たちがどこへ迷い込んだのかも、まだ誰にも分からなかった。

 

 ***

 

凛とルヴィアの口論が続くなか、

美遊は二人から視線を外し、手にしたサファイヤへと目を向けた。

 

「サファイヤ。周囲の状況を確認して」

 

「承知いたしました、美遊様。周辺環境の解析を開始します」

 

サファイヤの宝石が淡く輝く。美遊はその間も周囲を注意深く見渡していた。

木々はどこまでも密集し、枝葉の向こうは見通せない。

見知らぬ森に迷い込んだことも問題だが、

ここがどこなのかすら分からない以上、安易に動き回るわけにはいかなかった。

 

やがて、サファイヤが静かに告げる。 

 

「解析結果を報告いたします。こちらは大空洞の鏡面界ではありません。

  また、現在地の座標も特定できておりません」

 

「やっぱり……」

 

美遊の表情がわずかに曇る。予想していた結果とはいえ、

確かめられたのは、ここが目的地ではないということだけだった。

 

「周辺には複数の生体反応を確認。さらに、そのうちの一つがこちらへ接近しています」

 

「接近って……何が?」

 

イリヤが問い返した、そのときだった。

少し離れた木々の向こうで、葉の茂みが大きく揺れた。

枝が軋み、重なり合った葉がざわざわと音を立てる。

風が吹いたにしては不自然な揺れだった。

しかも、それは一か所にとどまらず、こちらへ向かって少しずつ近づいてくる。

美遊がそちらへ顔を向け、イリヤとクロエも息を潜めた。

サファイヤの示した生体反応が、今まさに近づいているのだろうか。

やがて、密集した木々の隙間から、何かが姿を現した。

最初に見えたのは、木々の間から突き出した巨大な頭部だった。

続いて、太い首と、盛り上がった胴体が現れる。

全身を覆う皮膚はごつごつとしており、長い口先には鋭い歯が並んでいた。

巨体が一歩進むたび、周囲の草木が押し分けられ、地面が重々しく鳴る。

 

恐竜――。

 

そんな言葉が脳裏に浮かぶほど、その姿は、かつて地上を闊歩していた巨大生物を思わせた。

だが、そんな生き物が、どうしてこんな森にいるのか。

イリヤは口を開いたまま固まり、美遊もクロエも、すぐには言葉を発せなかった。

サファイヤの宝石が警告するように輝いている。その音さえ、遠くに聞こえるほどだった。

その一方で、凛とルヴィアは、まだ言い争いを続けていた。

 

「ですから、まずはミラージュ・ロードの接続先を――」 

 

「その話はもういいでしょ! 今は周囲の状況を確認するのが先よ!」

 

「でしたら、なぜ先ほどから――」

 

 ぬちゃり。

 

 何か粘り気のあるものが、二人の肩に落ちた。

 

「……なによ、これ?」

 

凛が肩口に目をやる。そこには、透明がかった粘液がべったりと付着していた。

ルヴィアも同じように自分の肩を見下ろし、眉をひそめる。

 

「まあ……。いったい、何ですの? この不愉快なものは」

 

その声を聞いても、イリヤたちはすぐに答えられなかった。

五人の頭上を覆う枝葉。その隙間から、巨大な影が二人を見下ろしている。

開かれた口から、粘液が糸を引いて垂れ落ちた。

イリヤは震える指で頭上を示したが、声が出ない。

美遊も目を見開いたまま、凛たちに警告することさえ忘れていた。

クロエに至っては、いつもの余裕をかなぐり捨て、顔を強張らせている。

 

「……ちょっと、あなたたち? 何なのよ、その顔」

 

ようやく三人の反応に気づいた凛が、怪訝そうに振り返る。

ルヴィアも不審げに視線を上げ――二人そろって、動きを止めた。

すぐ目の前に、巨大な怪物の顔があった。

間近で見る頭部は、想像していた以上に大きい。

鋭い歯の隙間から涎が滴り、ぎょろりとした眼が五人を捉えている。

息遣いまで聞こえてきそうな距離で、その怪物はじっと彼女たちを見下ろしていた。

 

「…………」

 

一瞬、誰もが息をすることさえ忘れた。

 

「きゃあああああああっ!?」

 

最初に悲鳴を上げたのが誰だったのか、もはや分からない。

五人は一斉に踵を返すと、木々と張り出した根が入り組む森の中へ、我先にと駆け出した。




・注釈

【時系列について】

本作のプリズマ☆イリヤ側の時系列は、
原作漫画版『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ツヴァイ!』
第2巻の終盤、クロエとの仲直りを終え、再び日常生活に戻った頃を想定しています。
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