【悲報】魔女候補ワイ、牢屋敷の他の魔女候補全員にパフェコミュしたら全員ヤンデレ化させてしまう 作:トライアゲイン
A.怖いほうが勝ってしまってな…何とかご機嫌とろうとしてさらに愛が重くなるんや……
今ワイたちがいる牢屋敷なる建物は非常に長い歴史を持つらしい。それは外観から見てもよくわかる。
その日、ワイは珍しく屋敷の外に出ていた。スレ立てするほどのネタもないし、やることも特にないので気晴らしに外出しようと思ったんや。
「はえー、いつ見ても立派な建物やなー」
腕組みしながら建物をじっくりと眺めた。聞けばこの建物は800年以上前からある由緒あるお屋敷らしく、ワイらみたいな魔女候補が集められる前は魔女たちが仲良く暮らしてるらしい。
何で知っているのかって?たまにエンカする大魔女様が教えてくださるんや。その日が来ればワイを手に入れるんだとさ。おお恐ろしい。
もっと建物の周りを見て回ろうとワイは中庭に回った。花畑……というよりは天然の自然がそのまま残されているといったほうが表現としては正しい気がする。とにかくその位は綺麗な場所なんや。カメラマンやなくても写真の一つも取りたくなるくらいには。
もっと奥のほうに行けばさらに広い花畑があると聞いてワイは進もうとした。だがその時
「あー!!こんなところにいたんですねー!!イッチちゃーーーーん!!」
めっちゃ元気な声のするほうへ振り向けば、明らかに探偵、といった服装の女の子、橘シェリーが手をぶんぶん振っている。
ワイもつられて手を振ったんやが、シェリーはワイに向かって猛スピードで突進してくる。思わずワイはシェリーの突進を横の草地にダイビングしてよけた。考えられへんかもしれんがシェリーの突進はすさまじい。ワイがもし直撃を受けようもんなら肉体が「ひでぶ」か「あべし」か「うわらば」してまう。
「もー!どうして避けるんですかー!!ぷんぷん!シェリーちゃんを受け止めてくださいよー!」
「あんた自分の力と速度自覚した事あるんか。ワイの体では無理や」
ウマ娘なんてかわいいもんやない。バイソンやこいつは。子供が猛烈な勢いで突進してくるバイソンを受け止められると思てるんか。
とはいえこのままシェリーのご機嫌を損ねるわけにもいかない。ワイはシェリーに近づくとできる限り背伸びをしてシェリーの体を抱きしめた。
「ほら、むぎゅーしたるで。これで文句ないやろ」
「えへへーイッチちゃんに抱きしめられちゃいました!お返しに私も……」
そういうとシェリーは屈んでワイと目線を合わせて抱きしめ返そうとする。
「ほどほどのパワーにしてえな!ワイ潰れてまうから!」
「そんなに怖がらなくていいじゃないですかー慣れですよ慣れ!」
シェリーはぎゅーっとワイを抱きしめ返した。確かにほどほどではあるがそれでも苦しい。なんか背中からミシって嫌な音がした気がするんやが気のせいか。
「ところで、なんでシェリーさんがおるん?」
「私ですかー?特に用事はないんですけど……イッチちゃんとお話したかったからですね!」
まああんたらしいと言っちゃあんたらしい理由やな。
シェリーはその見た目通り好奇心が旺盛で、自分の興味があることにはガンガン首を突っ込んでくるタイプ。おまけにそのパワーはリンゴを握っただけで即席ジュースができるほどの怪力。間違いなく敵に回したら厄介な奴や。
「ふふーん、イッチちゃんこそここで何してたんですかー?もしかして、名探偵シェリーちゃんの助手としてこの牢屋敷の謎を解く手がかりを探してくれてたんですか?」
いつからワイは助手になったんや。
でもワイにはまたわかってしまう。ここでいう助手というのは「彼女」的な意味も含まれているということを。
周囲に向かってワイの事を助手やから変な気を起こさんようにって言いまわっとる。遠回しにワイとの関係をけん制したいんや。
「ねえイッチちゃん」
ハグしてる状態であることをすっかり忘れてた。心なしか力がこもりはじめてる気がする。痛い。
「この間、ミリアさんに何か渡してましたよね?見ちゃったんですよ。何をあげたんですか?私も欲しいです…」
よりによって一番見て欲しくないところを…あれはお勉強のお礼として適当に渡した大分使ったボールペン。白衣のポケットに入ってて、もらったミリアはめっちゃ喜んでた。アカンミリアが危ないかも。
「ミリアさんったらちょっと目を離した隙にイッチちゃんにちょっかい出すんですから…後でわからせてあげないと」
「待て待て待て。あ、あれと同じものはないけど、これから一緒に作るってのはどうや?ワイとシェリーさんの二人で作った特別なもの…」
「それ…凄くいいですね!何作りましょう!?いつ作りましょう?!」
ようやくシェリーは機嫌直してくれた。ミリアの命も助かったなとほっとしていると、シェリーは確認するかのように言ってきた。
「イッチちゃんはシェリーちゃんの助手をやめないでくれるって、約束してくれますよね?」
目が笑ってない。確かこいつは感情みたいなのが壊れてて、だからこそ距離感がおかしくなってるのだった。
キスしちゃいそうなくらい顔が近い。
「あ、あの……そろそろ放してほしいんやけど……」
「それならいつものあの言葉、言ってくれますよね?」
シェリーの目に期待が籠る。ワイがこれからいうある言葉を待っている目だった。
言わなければワイはここで圧縮されてしまうだろう。恐怖を抑えてワイは深呼吸しシェリーの目を見て
「しぇ、シェリーちゃんいつも可愛い大好き偉いねすごいね天才……」
我ながらよく噛まずに言えたもんや。それを聞いたシェリーは満足してワイの体を話してくれた。
危うく探偵を殺人犯にしてしまうところだった。高鳴る心臓を抑えるワイにシェリーは言った。
「イッチちゃん、好きです。愛してます」
そのまっすぐさが彼女の場合は逆に怖い。