【悲報】魔女候補ワイ、牢屋敷の他の魔女候補全員にパフェコミュしたら全員ヤンデレ化させてしまう 作:トライアゲイン
蓮見レイアは究極の目立ちたがり。一度悪目立ちという言葉を辞書で引いてみることをお勧めしたいぐらいには。
そして動物で例えるならば大型犬。しかも尻尾ブンブン降ってきて顔べろべろ舐めてくる奴だ。
聞いた話によると結構有名なタレントさんらしい。残念ながらワイは知らなかった。その界隈では有名だけどその界隈が小さすぎて世間で通用しない人なのかと思ったがそうでもなく、テレビやSNSでも話題になってるそうな。まあワイはテレビより掲示板見るほうが好きやし小学校出たばかりでSNSなんてできんからしょうがないんやけど。
その日もワイは朝食の場でほかの子たちにチラチラ監視されながら薄い味の食事をつまんでいた。こんな居づらい朝食の場が果たしてこの世に存在するだろうか。存在するのである。
頬杖つきながらそんなことを考えていると近くから足音がした。またヒロがワイが好き嫌いしてないか監視しに来たのかと思って音のする方向を振り返ったが、ヒロではなかった。
「やあ!!イッチくん!!今日の君も相変わらずかわいらしく、麗しい顔をしているじゃないかっ!!!」
噂をすれば、蓮見レイアだった。背が高い。その背を少しでいいからワイにくれ。
蓮見さんはやたらワイの容姿をほめちぎってきており、まるで挨拶でもするかの如く兵器でこんなこと言ってくるのだ。
「おはようさん蓮見さん。ワイはそんなイケてないで」
「君はすぐそうやって自分の魅力を過小評価する……君には間違いなく舞台で主演を飾れるポテンシャルがあるというのにっ……!!」
声でっか。やめやめ。ワイが舞台なんかにたったら演技がお粗末すぎて大炎上不可避や。小学校の発表会でも台詞のない木とかやったのに。
だが魔法でいやというほどわかる。レイアが嘘をついていない、本心からこの言葉を言っているということを。
自分の顔は鏡であまり見ないが、じっくり見ると、まあブスではないと思う。ちょっと切れ長の目でまつ毛と髪が長い。しかしまだ成長期とあってか背は低いほう。学校で背の順で並んでもかろうじて先頭ではない。
お人形さんと例えられたことは昔あり、実際牢屋敷にいる今でもマーゴとかメルルとかノアからはそう呼ばれたことはある。
「そうだ!それならこの場で劇を開こうじゃないか!主演は私で君はヒロイン、間違いなく誰もかれもが注目するにきまってるよ!!」
おい爆弾発言すな。この場の空気に電流が流れたで。てかあんたとワイだと身長差ありすぎて劇にならんやろ。それにトーシロのワイをヒロインに据えるのは一番近くで独占したい悪目立ちからくる現象なんやろ。ワイは知っとるで。
ああダメや。蓮見さん完全に妄想の世界に行ってしまってる。ワイは囚われの姫でレイアはそれを救う王子というよくある展開。最後二人は熱いキスして終了……こんなん今の環境の牢屋敷でやったら残り全員魔女化して流血の舞台になってまう。
「蓮見さん蓮見さん、落ち着いて、ちょっとこっち向いて」
ワイを抱っこしてぶっちゅーしてる演技してるレイアの言葉がぴたりと止まってワイのほうを向いた。顔のええ美人やなほんと。
「仮に演劇するんやったらこんな狭いところやなくてもっとたくさんの人が見てくれる場所でやらへん?たくさんの人に蓮見さんのすばらしさと美人さを見てもらえるええチャンスやと思うんや。どう?」
我ながらその場しのぎを言ったと思うが、こうする以外に仕方ない。途端に蓮見さんは顔を真っ赤にして目をそらした。
「やっ……やめてくれ……君にそんなこと言われたら、顔がほてってしまう」
わかりやすい人。頭の片隅でそんな言葉が浮かんだが、蓮見さんは顔を赤くしたままワイの横に座り、顔を近づけてきた。
「君はそうやって、私を狂わせるんだね……」
あれ?
「やはり君は美しい……」
視線誘導、は起きてないはずなのに蓮見さんから目が離せへん。その理由は顎クイされてもうたからや。目をそらしたいのに顔がよすぎるせいでついつい注目してしまう。
レイアはもう片方の手でワイの袖から腕を引っ張り出して指を滑らせた。背中がゾクっとする。
「私は君のことだけを見ていたし、君には私だけを見ていてほしい……愛する人にそう思ってしまうのはそんなにおかしいことかい?何度その、まるで人形のような顔を独占したいと願っただろう……」
アカン。目の前に底なしの愛情が迫ってる。まるでブラックホールや。
こんな状態だから周りからは重々しい湿気を含んだ空気が漂い始めている。
「う、うん。わかった、わかったから、また今度ゆっくり話そ、な?約束するから」
血煙のレビューが開演する前にワイは何とかレイアを宥めて、食堂を出た。
大魔女様、この方々から重い愛情を奪うことは可能でしょうか?え、無理?さいですか