【悲報】魔女候補ワイ、牢屋敷の他の魔女候補全員にパフェコミュしたら全員ヤンデレ化させてしまう 作:トライアゲイン
A.慢性的な吐き気と頭痛に見舞われています。
神絵師。それはネットの界隈での圧倒的カースト上位である。
ワイも一時期頑張って絵を描いていた時期があったんやけど、図画工作の成績がもっとがんばりましょうだったワイでは無理と早々に諦めた。
だからこそ、城ヶ崎ノアはすごいと思っている。毎日毎日飽きもせずに描き続けている。
だが本人はそう思っていないようであった。自分の感性に赴いて描いた絵以外は必要ない、それなのに世間で評価されるのは魔法で描いた躍動する絵のほうだった。
そんな彼女は自分でへたくそへたくそと連呼しながらせっかく描いた絵を黒くぐちゃぐちゃに塗りつぶしてしまう。だがそれが逆に彼女の魔法を躍動させ、新しい芸術を作ってしまう負のスパイラルに陥っている。
ワイが初めてノアの絵を見たのは、ちょうど絵を黒く塗りつぶそうとしているところだった。歩いているときにノアがいる部屋のドアが半開きになっており、それを見てしまったのだ。
「何で消してまうん?」
「い、イッチちゃん……」
ノアは明らかにびびっていた。ワイは本心からなぜ消してしまうのか聞いたのだが、ノアは否定されたり気味悪がられたり、避けられたりするんじゃないかと気が気で内容だった。
「ち、ちがうの、これは、えっと……」
「めっちゃきれいな絵やんけ」
「うそつき。のあがちゃんと魔法で描いたほうがいいって、イッチちゃんも思ってるんだ」
「そんなことない。魔法で描いた絵も実は見せてもらってるけど、ノアが本気で描いた絵のほうがワイ好きやで」
「のあの絵が……好き?」
ワイは頷いた。人間すらまともに描けんワイに比べればノアなんて十分神絵師といっていい。でもノアは泣きそうな顔で自己否定しようとしている。
「ノアは自分で頑張って、魔法に頼らず理想の絵を描こうとしてるんやろ?数日で投げたワイに比べれば努力してると思う。大丈夫やて、ほんとの絵見たくらいでワイがノアの事嫌いになるわけやないし、むしろノアの絵もっと見てみたいと思ってる」
本心からの言葉やった。あまりにも下手すぎて夏休みの宿題の絵で何を描いたのか説明を求められた(窓から見えた花火)ワイからすれば手放しで褒められる出来だった。
「なあ、ノアの絵もっと見せてほしいんやけど、ええかな?」
「う、うん。それと、お願いがあるの」
「何や?」
「イッチちゃん、描いていい?」
「ええで。ノアの絵でワイ描いてもらえるなんて光栄や」
ノアは喜んで、ワイを部屋の中へ誘った。
それからというもの、ワイは度々ノアの絵を見せてもらい、ノアの絵のモデルになった。
そこまではよかったんや。そこまでは……
ノアの目つきが日に日に変わっていく。ワイに褒めてもらうことが好きになって、ワイに褒めてもらうために絵を描くようになった。
特にワイをモデルに描くときには異常なほどに気合を入れ、キャンパスに筆を滑らせていく。
「のあね、今日も頑張って絵を描いたよ」
「ほー。今日もまた上手に描いたなあ……ってまたワイの絵?」
「この間モデルになってくれた時の絵、やっとできたんだー。ねえ褒めてよ」
「上手やん。むっちゃ綺麗に描いてもらえてワイもうれしいで」
「えへへ、うれしいなぁ。うーん、完成したらちょっと疲れちゃった……」
ノアはワイによっかかって頭を肩にのっけて甘えて来た。ノアは風呂キャン勢らしくよくヒロに入れられている。今日もさぼったのか絵具にまじって変な匂いがする。
「これからもずっとずっとのあは絵を描くよ。イッチちゃんはずっと褒めてくれる?」
「もちろん。トップアーティストさん」
ワイはこれが最善の答えだと思った。だってノアの描く絵は本当に上手と思ったからやった。
だがノアの本心は別にあった。普段特に害をなしてこないだけで、ノアの独占欲も激しかったのだ。
ノアはワイを自分のキャンパスに閉じ込めたい欲が大きくなっているのだ。
「イッチちゃん、のあのキャンパスにずっといてね」
その言葉を聞いて背筋が凍り、ようやくノアの考えが分かったが今更この関係を崩せない。結局ノアの描いた絵を今日も見に行くしかなかった。