鴻上博士「ワイ貴様実験から降りろ」   作:panmqn

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お待たせしました。前回の話でお気に入り登録して頂きありがとうございます。今回からやっとデュエルに入ります。現代遊戯王の悪い所が出ていますがご了承ください。



6話

「「デュエル!!」」

二人の宣言が重なり、仮想空間にデュエル開始の合図が響き渡る。

直後、宙を舞ったコインが電子の地面へと落下した。表側を示したコインを確認し、W∀-iは迷うことなく口を開く。

「僕の先攻! 手札から《素早いビーバー》を通常召喚!」

宣言と同時に、フィールドの一角から小さなビーバーが凄まじい速度で飛び出してきた。勢いよく着地したその姿を確認すると、W∀-iは間髪入れずに次の行動へ移る。

「そして効果発動! 《素早いビーバー》は召喚に成功した場合、デッキから《素早いアンコウ》を特殊召喚できる!」

電子の海から、今度はアンコウが勢いよく飛び出す。

あっという間に二体のモンスターがフィールドに並んだ。

「このままエクシーズ召喚!!」

ビーバーとアンコウの二体が光に包まれ、発生した渦の中へと吸い込まれていく。

レベル2のモンスターが二体。エクシーズ召喚の条件は、すでに整っていた。

それを見たGO鬼塚は、身構えるように両腕を引き締める。

「来るか、エクシーズモンスターッ!!」

「出てきて! 《ギガンティック・スプライト》!」

渦の中心から現れたのは、以前ハノイの騎士との戦いで見せたモンスターとは、また違った印象を与えるエクシーズモンスターだった。

その姿を目にした鬼塚は、思わず首を傾げる。

「……少し小さくないか?」

かつての戦いで見た強大なモンスターと比べれば、今回のエースはずいぶんと小柄に見えた。もっとも、見た目だけで強さを判断するのは早計だ。鬼塚もそれを理解しているからこそ、警戒を解くことはなかった。

「このモンスターは、エクストラデッキのモンスターをエクシーズ素材としている場合、攻撃力が倍になるんだ。今回はその条件を満たしていないから、攻撃力は1600のままだよ」

「そういうことか!」

鬼塚は納得したように頷いた。

しかし、観戦している者たちの内心は、決して穏やかなものではなかった。

(いや、待て。条件次第でランク2のモンスターが攻撃力3200になるのか?)

(ランク2って、そんな数値を叩き出していいランクだったか……?)

誰もが似たような疑問を抱いていたが、当然ながら、それを口にしたところでデュエルが止まるわけではない。

そして、W∀-iもまた、相手に考える時間を与えるつもりはなかった。

「何もないなら、このまま《ギガンティック・スプライト》の効果を発動! エクシーズ素材を一つ取り除いて、デッキから《スプライト・ブルー》を特殊召喚する!」

《ギガンティック・スプライト》の足元から光が広がり、新たなモンスターがフィールドへと姿を現す。

「さらに、この効果を発動したターン、お互いにレベル2・ランク2・リンク2のモンスターしか特殊召喚できなくなる!」

「やはり、なかなか厳しい制限を掛けてくるのだな……」

鬼塚は相手の狙いを察し、表情を引き締めた。

単にモンスターを展開するだけではない。相手の行動範囲を制限しながら、自分に有利な盤面を築き上げる。それがW∀-iのデュエルなのだ。

「でも、まだまだこれからだよ! 《スプライト・ブルー》の効果発動! 特殊召喚に成功したことで、デッキから《スプライト・ジェット》を手札に加える!」

カードを手札に加えたW∀-iは、すぐさま次のカードを取り出した。

「レベル2のモンスターがいるから、《スプライト・ジェット》を特殊召喚!」

新たなモンスターがフィールドに降り立つ。

「そして、《スプライト・ジェット》の効果発動! 特殊召喚に成功したことで、デッキから《スプライト・スターター》を手札に加えて、そのまま発動!」

淀みのない動きだった。

カードを加え、モンスターを呼び出し、さらに次のカードへとつなげる。一つの行動が次の行動を呼び、W∀-iの展開は止まる気配を見せない。

「デッキから《スプライト・キャロット》を特殊召喚! そして、《スプライト・スターター》の効果によって、僕は攻撃力分のダメージを受ける!」

次の瞬間、W∀-iのライフポイントが減少した。

W∀-i 4000 → 3000

自らライフを削ってまで展開を続ける。その姿に、鬼塚は一層警戒を強めた。

通常であれば、ここまで展開すれば十分だろう。モンスターを複数並べ、次のターンに備える。多くのデュエリストならば、ここで一度動きを止めるはずだった。

だが、目の前の相手は違う。

鬼塚はこれまでの経験から理解していた。W∀-iは、そんじょそこらのデュエリストではない。

 

 

そして、何よりも――。

(まだ終わりじゃない。コイツの展開は、まだ続く……!)

鬼塚の予感は的中した。

「僕は《ギガンティック・スプライト》と《スプライト・ブルー》でリンク召喚!!」

二体のモンスターが眩い光に包まれ、フィールド上にリンク召喚の回路が描き出される。

「召喚条件は、レベル2・ランク2・リンク2のモンスターを含むモンスター二体! 現れて、《スプライト・エルフ》!!」

光の中から、以前登場したリンクモンスターが姿を現した。

《スプライト・エルフ》がフィールドに降り立つと、W∀-iは間髪入れずに次の行動へと移る。

「リンク召喚した《スプライト・エルフ》の効果発動! 墓地の《スプライト・ブルー》を特殊召喚する!」

その宣言に応じて、墓地から《スプライト・ブルー》が再びフィールドへと舞い戻った。

一度は墓地へ送られたモンスターを、こうもあっさりと呼び戻す。鬼塚がその動きを見極めようとしたときには、すでにW∀-iは次の一手を繰り出していた。

「そして、《スプライト・ブルー》と《スプライト・ジェット》でリンク召喚!」

二体のモンスターが再び光へと変わり、フィールドから姿を消す。

「《スプライト・エルフ》と同じ召喚条件! 出てきて、《スプライト・スプリンド》!!」

新たなリンクモンスターが出現した瞬間、鬼塚は驚愕に目を見開いた。

「同じ条件で、別のモンスターだと!?」

「ああ!! ただし、この子の効果は蘇生じゃない!」

W∀-iは得意げに答えると、フィールドに立つ《スプライト・スプリンド》へと視線を向けた。

「《スプライト・スプリンド》の効果発動! 特殊召喚に成功した場合、デッキからレベル2のモンスター一体を墓地へ送る!」

宣言と同時に、W∀-iはデッキから一枚のカードを抜き取り、墓地へと送った。

「僕が墓地へ送るのは、《素早いアンコウ》! そして、《素早いアンコウ》の効果発動! 墓地へ送られたことで、デッキから《素早いビーバー》を二体特殊召喚する!」

再び、二体のビーバーがフィールドへと飛び出してきた。

ここまでの展開を目の当たりにした鬼塚は、思わず奥歯を噛み締める。

たった一体のモンスターから始まったはずの展開が、いつの間にか二体のリンクモンスターを並べ、さらには新たなモンスターを呼び出すところまで進んでいる。

しかも、W∀-iの動きには、まだ一切の迷いがなかった。

(こいつ……いったい、どこまで展開するつもりだ?)

鬼塚の疑念をよそに、W∀-iは二体のビーバーを指し示す。

「この二体でエクシーズ召喚!!」

二体のモンスターが光に包まれ、再びフィールドにエクシーズ召喚の渦が巻き起こる。

「新たに出てきて! 《森のメルフィーズ》!!」

渦の中心から現れたのは、切り株の周囲に小さく愛らしい動物たちが集まった、どこか牧歌的な雰囲気を漂わせるモンスターだった。

先ほどまでの怒涛の展開とはあまりにも対照的な姿に、観戦していた者たちも一瞬だけ気が抜けそうになる。

しかし、その愛らしい外見に騙されてはいけない。

このデッキにおいて、可愛らしさと強さは決して相反するものではないのだから。

「《森のメルフィーズ》の効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除いて、デッキから《メルフィー・ワラビィ》を手札に加える!」

必要なカードを手札に加えたW∀-iは、ここでようやく一枚のカードをフィールドに伏せた。

「カードを一枚セット。そして、エンドフェイズ!」

長かった展開も、ついに終わりを迎える――かと思われた。

「エンドフェイズに、《メルフィー・ワラビィ》の効果を発動! 手札から特殊召喚する! これでターンエンド!」

最後の一手によって、《メルフィー・ワラビィ》がフィールドへと姿を現す。

こうして、ようやくW∀-iのターンが終了した。

最終的にフィールドに並んだのは、エクストラデッキから特殊召喚されたモンスター三体と、効果モンスター一体。そして、伏せられたカードが一枚。

合計四体のモンスターと一枚のセットカードが、次のターンを迎える鬼塚の前に立ちはだかっていた。

これだけの展開を見せつけられたにもかかわらず、GO鬼塚の表情には、まだ余裕が残されていた。

彼の視線は、相手のフィールドに並ぶモンスターたちへと向けられている。

確かに、数だけを見れば圧倒的だ。特殊召喚を繰り返し、リンク召喚とエクシーズ召喚を使い分け、あっという間に盤面を構築してみせた。その手際は、並のデュエリストに真似できるものではないだろう。

だが、鬼塚が注目したのは、そこではなかった。

(攻撃力が一番高いモンスターでも、精々1400程度……)

見たところ、相手のフィールドに並ぶモンスターの攻撃力は決して高くない。

これほどの展開を繰り広げておきながら、圧倒的な攻撃力を持つ大型モンスターが存在しないのだ。

ならば、話は簡単だ。

正面から力で押し切ればいい。

鬼塚は拳を握り締め、不敵な笑みを浮かべた。

「ならば、俺はこのまま上から叩き潰すまでだ!!」

そして、ついに鬼塚のターンが訪れる。

「俺のターン……ドロー!!」

引き抜いたカードを手札に加え、GO鬼塚は目の前の盤面を突破するべく動き出した。

――こうして、彼にとってあまりにも長く、そしてただただ苦しいだけのターンが始まることとなった。

 

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