リコの妹の冒険章   作:てらつき

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リコの妹の”ルリハ”の設定は、占いツクールのイラスト部屋でご覧いただければと思います。



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リコ視点

 

 

私には、妹がいる。

 

可愛くて、透き通るみたいで。

だけど、どこか掴めない。

 

手を伸ばしたら、届く前に消えてしまいそうな子。

 

 

 

長い銀色の髪に、水色の瞳。

その瞳には、星みたいなキラキラした光が浮かんでいる。

 

気づいたら視線を奪われてしまうくらい、綺麗な子だ。

 

 

……まあ、私の妹なんだけど。

 

でも、私たちに血の繋がりはない。

繋がっていたら繋がっていたで、それはそれで色々大変だった気もするけど。

 

だって、あんなに綺麗な妹と血が繋がってるってことは、私にも同じくらいの何かを求められそうだし……

いや、別にルリハと比べて落ち込んでるわけじゃない。

でもやっぱり可愛いから……

 

 

妹の名前は、ルリハ。

 

だけど、それも本当の名前じゃない。

「ルリハ」という名前は、あとからつけられた仮の名前。

 

本当の名前は、本人も覚えていないらしい。

 

 

私が初めてルリハと出会ったとき。

 

彼女には、過去の記憶がなかった。

 

名前も。

家族も。

故郷も。

どこから来たのかも。

 

どうして、あの森にいたのかも。

一緒にいたポケモンたちのこと以外は、本当に何も覚えていなかった。

 

 

あれは、何年前だったっけ。

 

たしか、私がまだ五歳くらいの頃。

その日、私は一匹の小さなイーブイと出会った。

 

 

見たことのないイーブイだった。

 

小さかった頃の私でも、抱えられるくらい。

普通のイーブイよりずっと小さかった。

 

 

 

 

ーーー☆★☆

 

 

《回想》

 

 

「どうしたの?」

服の裾を引っ張ってくる小さなポケモンを見下ろす私。

 

何かを必死に訴えている。

 

お母さんを呼ぼうと思ったけど、反対方向に行こうとするとまた強く引っ張られる。

一体この小さい体のどこにこんな力が……

 

 

それから途中まで追いかけてみると、森のほうへ走っていった。

途中で立ち止まっては、また私を見る。

 

『ついてきてほしい』って、言っているみたい。

 

 

『森には入っちゃ駄目』

そう、大人たちから言われていた。

 

だから本当なら、そこでお母さんたちを呼びに行くべきだったんだと思う。

 

 

でも、あの子の声があまりにも必死で……

「……待って!」

 

気づけば、イーブイを追いかけて森へ入っていた。

 

 

木々の間を抜けて、枝をかき分けて、何度も転びかけて。

 

途中にいたポケモンに対して、イーブイは私に危害を加えさせないように威嚇して、私は軽く頭を下げながら追いかけた。

 

 

そして、森の奥で私は女の子を見つけた。

 

 

「……えっ」

 

最初は、何があるのか分からなかった。

 

倒れている、私よりずっと身長の高いお姉さん。

近くで周りを見渡していた、赤い炎を持つ騎士のようなポケモンにここまで連れてこられてきたのか。

もっと奥の方にはたくさんの赤い点があった。

 

 

赤い髪の女の子なのかな、なんて……

ほんの一瞬だけ、そんなことを思った。

 

 

騎士のようなポケモンに警戒しながら恐る恐る近づいて、それが何なのか理解した。

 

……血?

 

 

今思えば、本当にヤバかった。

 

あのときの私は、怖いとか気持ち悪いとか、そんなことを考えている余裕すらなかったんだと思う。

 

 

「だ、大丈夫?」

 

どんなに声をかけても、返事がない。

指先も全く動かない。

「起きて……起きてよ……!」

 

 

どうしよう。

どうしよう、どうしよう。

 

こんなの見たことない。

 

 

……この子、死んじゃう。

それだけは分かった。

 

 

「……待ってて!」

 

私は来た道を走った。

今度はイーブイが私を追いかける方で。

 

息が苦しかったけど、あの子のことを思い出して、必死に。

 

 

「お母さん!!」

 

「あら、リコ?」

「どうかしたのか?」

家に駆け込んできた私を見て、お母さんもお父さんも首を傾げた。

 

 

「女の子が……女の子が倒れてるの!!」

必死に呼んで。

必死に叫んで。

 

救急車を呼んでもらって。

 

 

そのあとは……

……正直、あまり覚えていない。

 

ただ、すごく怖かったんだ。

 

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