リコ視点
《回想》
あれから数日空けてからまた来た。
その時から、ルリハはリハベリ?をしているらしい。
最初聞いた時はよくわからなかったけど、治った時に動けるように練習するらしい。
病院の中を一人で歩けるくらいには、杖の扱い方上手くなったんだって。
「リコの方は何か変わった?」
「えっ……あ、うん……特に、何も変わってないかな」
まだお姉ちゃんと呼ばれるのは流石に慣れてないので、病院にいる間はルリハは私のことをリコと呼んでくれる。
彼女が私の妹になるなんて、まだ現実味があまりなかった。
「……私の方では、イーブイがよくくっついてくるようになったかな」
前までは無視も余裕でしていたけど、私たちに対しては普通に話してくれるようになった。
フル無視されることもなくなったし、距離が縮まっているのかな。
……それより、もう左足も床に付きかけている気がするし、凄く痛いって言う頻度も減った。
もうすぐにでも退院しちゃうんじゃないか、この子。
骨折というものはこんなものなのだろうか。
数週間前に血で真っ赤に染まってたとは思えないくらい、前まであったぐるぐる巻きにされていた腕の包帯もなくなってる。
入院ってすると怪我とか早く治るんだなぁ、なんてその時は本気で考えてた。
私は松葉杖で立つルリハを見上げてみた。
近い内に自分の妹になるはずのルリハを。
ーーー☆★☆
それから一週間経たない内に、ルリハは左足も治してしまった。
本当に、大きな検査を受けても退院できるって言われた。
全治大体一ヶ月?
左足は大きい骨を折ったとか何とかだったから、もっとかかると聞いていたけど。
この子、血液検査とやらも上手くいかなかったらしい。
何者なんだろう。
お母さんのお仕事の都合で、お父さんと私でお迎えに行って、今家にいる。
これからは私がお姉ちゃん……
「ルリハ〜!!」
「どうしたの?」
「絵本読もうよっ!」
「うん、いいよ」
お姉ちゃんか……
……私、自覚が薄いかもしれない。
ーーー☆★☆
夜。
あれからお母さんが帰ってきた後は、ルリハにあげる服とかを渡したり、部屋に案内したり。
家でもポケモンを出していいよって言った時は凄く嬉しそうにしてた。
お父さんのパピモッチはすぐにイーブイと仲良くなってた。
「ワンワンッ!」
「イッブイ!」
「凄いねこの子。私のイーブイとすぐに打ち解けられるなんて」
うちでは結構お客さんが来る。
パピモッチもそのポケモンと遊ぶことが多いから、仲良くなる秘訣でも持っているのかもしれない。
ーーー☆★☆
ルリハを家に迎えてから、数日が経った。
とある夜、ルリハが見当たらなくなった。
イーブイもソウブレイズもいないし……
リビングにも部屋にもいなかった。
「お母さ〜ん、ルリハは?」
「庭に出るって言ってたわよ」
いつの間に……
「私もルリハのところ行ってくる〜!!」
私はドアノブに手をかけて、外に出た。
冷たい夜風を受けて、辺りを見渡す。
今はお昼の時より寒いはず。
ルリハ、どうしてこんな時に外に出たんだろう。
あの子は私と真逆の真っ白に見えるキラキラした髪をしてる。
だから、暗いところでもよく見えるはず……
あ、いた!
あの後ろ姿はルリハ!!
「ルリ……わあっ!?」
駆け出そうとした私だったけど、目の前に何か突きつけられて、慌てて止まった。
剣を向けていたのはソウブレイズだった。
私だとわかると、腕を下ろした。
……びっくりした。
「……ライト、どうかした?」
「ソウ……」
「ああ、大丈夫だよ。私を守ろうとしたんだよね。 でも気をつけてね」
たまにルリハは今みたいにポケモンと会話をしてるかのように話しかけることがある。
でも、ルリハは私を振り返らなかった。
「……ルリハ?」
「あのね」
私の声とほとんど重なった。
ルリハが振り返る。
キラキラした瞳が月明かりに照らされて、私はそれに目を奪われた。
彼女の真上に月があるかのように見えた。
「私、旅に出たい」
「……え?」
いきなり、彼女はそう言った。
私は唖然とルリハを見つめて、それでもルリハは続けた。
「じっとしていられないというか……私、冒険したいって、心の隅で思っているのかもしれない。なんでなのかはわからない。 私の過去への手がかりがあるのかもしれない。 ……私、自分が何者だったか知りたいんだ」
私はあの時のルリハの目を覚えている。
少しだけ不安そうで。
少しだけソワソワしているように見えて。
……そして、
とっても、楽しそうだった。
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