リコの妹の冒険章   作:てらつき

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リコ視点

 

 

303号室。

それは、私とアンが使っている部屋。

 

私は勢いよく部屋へ飛び込んだ。

すぐに扉を閉める。

 

 

 

「お姉ちゃん、ペンダントって何のこと?」

 

「おばあちゃんがくれたペンダントだよ。 ずっと大切に……って、いや」

 

 

待って。

待って待って。

 

「いやいやいや!何あの人!? お婆ちゃんから手紙なんて、なんか変だよこんなの!」

 

「まあ……ダイアナさん、そんな感じじゃなかったしね」

 

「だよねぇ!?」

 

「少なくとも『代理人を送るからペンダント持ってきて』なんて話は聞いてない」

 

「やっぱり!? というか、それを先に言ってよ!!」

 

「あの人が来るってわかってたら最初から言ってたよ」

 

「確かに!!」

 

 

扉を振り返るルリハ。

背負っていたリュックを一度床に置き、ため息をついた。

 

 

「それで? そのペンダントって、私が持ってるキーストーンみたいなやつじゃないんでしょ? どんなの?」

 

「えっと……水色と緑色で、六角形っぽくて……」

 

 

……いやいやいや!違う!!

呑気にペンダントの説明してる場合じゃない!!

 

あとキーストーンって何?

素材の名前かな?

 

 

「というか……『ペンダントを持ってこい』なんて絶対怪しい!!」

 

「あ、あはは……」

 

 

 

その時。

 

コン、コン。

 

 

扉を叩く音。

びっくりして、持ち上げていたペンダントの箱を落とした。

 

 

床へ落ちる直前に、リュックを漁るために屈んでいたルリハが箱を受け止めた。

「これに入ってるの?」

「うん……」

 

 

ルリハは箱を私へ返す。

私は中のペンダントを取り出して、首にかけた。

 

箱はベッドの上に置いておく。

 

 

……お守り、か。

本当に守ってくれるのかな。

 

 

ルリハの表情から、さっきまでの笑顔が消え、リュックを背負い直した。

迷った様子もなく窓へ向かい、音が大きく出ない程度に素早く窓を開けた。

夜風が部屋へ吹き込んだ。

 

 

ルリハは窓の外を確認すると、私へ振り返った。

 

「早く逃げるよ」

「えっ」

 

 

昔だったら、知らない人が来ただけで私の後ろに隠れていた。

そんな彼女が、今は私より先に状況を判断して、窓を開けて、私に手を差し出している。

 

 

「お姉ちゃん?」

 

「……うん、分かった!」

 

「じゃ、行こ」

 

 

その手を掴んだ。

 

……いつの間に、こんなに勇敢な子になったんだろう。

旅をしてる間に、色んな経験をしたんだろうな。

 

 

 

誰?

この子をこんな風に育てたのは。

 

 

……

 

 

私かッ!?

 

いや、待って。

あの頃は一緒にいたんだから、少しくらい私の影響もあるよね?

 

 

……あれ?

 

 

 

空から飛び降りる。

怪我を気にしない。

怪しい人が来たら窓から脱出。

 

……

 

 

 

育て方、間違えた?

 

 

 

ーーーー☆★☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルリハ視点

 

 

 

はい、どうも皆さんこんばんは!

ルリハです。

 

 

旅から帰ってきまして、お姉ちゃんがいるというカントー地方のセキエイ学園まで遊びにやって来たわけですが。

 

 

 

久しぶりの再会?

感動の姉妹愛?

どこからか流れる謎のBGM?

 

そんなものはありませんでした。

 

 

あと、何かわかんないけど完全に巻き込まれました。

泣いていいですか?

 

 

 

久しぶりに姉に会いに来ただけなんですよ、私。

チルタリスから華麗に飛び降りて、お姉ちゃんに抱きとめてもらって、久々にお話して、平和な大型連休になるはずだった。

 

なのに何故知らない男に追われて、姉妹揃って学園から逃げてるんでしょうか。

誰か説明してください。

 

中庭から屋根に登って、現在全力逃走中です。

 

 

 

……

 

 

あ、すみません。

動画のテンションが出てました。

うっかり実況しちゃった。

 

別に今、カメラ回ってないんだった。

 

 

 

「はぁ……はぁ……!」

 

後ろから荒い息遣いが聞こえて、私は我に返る。

 

振り返ると、お姉ちゃんは明らかに疲れていた。

走る速度もさっきより落ちている。

 

 

私は彼女の手を取った。

 

 

「えっと、大丈夫?」

 

「だ、大丈夫……!」

 

「全然大丈夫そうに見えないけど……」

 

「これくらい、平気……!」

 

「私の『平気』は信用できないって言ってた人が何か言ってるよ」

 

「それとこれとは別だもん!!」

 

「はいはい」

 

 

怒られた。

 

……ずっとパルデアにいたせいか、旅を続けてた私より体力がないみたい。

学園では寮生活だったらしいし。

 

 

「運動してた?」

 

「してるよぉ……!」

 

「何してるの?」

 

「体育……」

 

「授業じゃん」

 

 

まあ、お姉ちゃんらしいけど……

 

…………大きいなぁ……

お姉ちゃんってこんなに大きかったっけ。

 

あの時は私より小さかったのに……

というか、逆に私が身長伸びなさすぎで……

 

 

 

 

……

 

 

いやいやいやいや、追われてるんだった。

何懐かしんでるの私!?

 

 

 

 

こうして。

 

久しぶりに会った姉の大型連休初日。

その予定は開始早々、とんでもない方向へ走り始めていた。

 

 

 

えっと、どうしてこうなったのかな。

 

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