転生した俺の野球人生には、パワプロの育成システムがある   作:1番道路

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春季少年野球大会・準決勝。

相手は大会屈指の得点力を誇る南原ドラゴンズ。

先発を任された朝倉悠真は、強力打線を相手に投球を開始する。


第二十四話 強打のドラゴンズ、七歳の先発投手

 準決勝当日。

 

 市内の少年野球場には、朝から多くの選手や保護者が集まっていた。

 

 四年生以下の部も、いよいよ残り四チーム。

 

 ここまで勝ち進んできたチームだけあって、どこも簡単には負けそうにない。

 

「悠真!」

 

「おはよう、大地!」

 

「今日、お前先発だろ!」

 

「うん!」

 

「頼んだぞ!」

 

「任せて!」

 

 大地が笑った。

 

 俺も笑い返す。

 

 ……いいな。

 

 こうして仲間から信頼されるというのは、やっぱり嬉しい。

 

 もっとも、期待に応えられるかどうかは別問題だ。

 

 今日の相手は強打の南原ドラゴンズ。

 

 簡単に抑えられるとは思っていない。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 試合開始。

 

 先攻は南原ドラゴンズ。

 

 つまり、俺たちは守備からだ。

 

「朝倉、頼んだぞ!」

 

 田島監督の声に、俺は大きく頷いた。

 

「はい!」

 

 マウンドへ向かう。

 

 中村先輩がホームベースの後ろに座った。

 

 俺は軽く肩を回し、ボールを握る。

 

 その瞬間。

 

『ピロン♪』

 

――――――――――――――――――

 

【公式戦イベント発生】

 

『強打者への挑戦』

 

【対象試合】

 

春季少年野球大会

四年生以下の部・準決勝

 

桜台フェニックス

対

南原ドラゴンズ

 

【イベント目標】

 

・先発登板

・強打者からアウトを奪う

・失点を最小限に抑える

・打撃で勝利に貢献する

 

【特別報酬】

 

各種経験点

投手特殊能力取得のコツ

 

――――――――――――――――――

 

(……おお)

 

 また新しいイベントだ。

 

 しかも、投手用の特殊能力。

 

 これはぜひとも欲しい。

 

 俺はマウンド上で小さく笑った。

 

 よし。

 

 まずは一番打者だ。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 初球。

 

 外角低め。

 

 シュッ!

 

 ぱしんっ!

 

「ストライク!」

 

(……よし)

 

 狙いどおり。

 

 二球目。

 

 内角高め。

 

 打者がバットを振った。

 

 カンッ!

 

 打球はサード方向へ転がる。

 

「サード!」

 

 村田先輩が前進し、捕球。

 

 一塁へ送球した。

 

「アウト!」

 

 ワンアウト。

 

 まずは順調だ。

 

 続く二番打者。

 

 こちらは小柄だが、足が速そうだった。

 

 初球はボール。

 

 二球目はストライク。

 

 三球目。

 

 外角へ投げた球を、上手く合わせられた。

 

 カキンッ!

 

 打球はライト前へ。

 

(……上手いな)

 

 単打。

 

 一死一塁。

 

 そして、三番打者が登場した。

 

 南原の主力打者。

 

 小学四年生。

 

 背が高く、構えにも迫力がある。

 

(……さて)

 

 どう攻めるか。

 

 中村先輩がサインを出す。

 

 初球は外角低め。

 

 俺は頷いた。

 

 投げる。

 

 シュッ!

 

「ボール!」

 

 少し外れた。

 

 二球目。

 

 内角。

 

「ストライク!」

 

 三球目。

 

 外角低め。

 

 打者が振る。

 

 カキィンッ!

 

(……うわっ!)

 

 鋭い打球が三遊間へ飛んだ。

 

 藤原先輩が追いかける。

 

 だが、わずかに届かない。

 

 レフト前ヒット。

 

 一死一、二塁。

 

 ……なるほど。

 

 強打のチームという評判は本当らしい。

 

 そして。

 

 四番打者が打席に入った。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 四番打者は、さらに体格がよかった。

 

 小学四年生とは思えないほど、バットを力強く振っている。

 

 もちろん、プロ野球選手と比較するようなものではない。

 

 だが、今の俺にとっては十分な強打者だった。

 

(……面白い)

 

 俺はボールを握り直した。

 

 一死一、二塁。

 

 ここで長打を打たれれば、一気に失点する可能性がある。

 

 慎重にいこう。

 

 初球。

 

 外角低め。

 

「ストライク!」

 

 二球目。

 

 内角へストレート。

 

 カキンッ!

 

「ファウル!」

 

 追い込んだ。

 

 中村先輩がサインを出す。

 

 外角低め。

 

 俺は頷いた。

 

 そして、三球目。

 

 少し力を抜いて投げた。

 

 シュッ!

 

 打者が踏み込む。

 

 バットが出る。

 

 カキィンッ!

 

 打球はセンター方向へ高く上がった。

 

(……打ち上げた!)

 

「センター!」

 

 高橋先輩が落下地点へ向かう。

 

 そのまま捕球。

 

「アウト!」

 

 ツーアウト!

 

 だが、二塁走者がタッチアップを狙った。

 

「サード!」

 

 センターから返球。

 

 村田先輩が捕球する。

 

 しかし、走者はすでに三塁へ到達していた。

 

 二死一、三塁。

 

 ……まだ安心できないな。

 

 続く五番打者。

 

 ここも長打力があるらしい。

 

 初球。

 

 ストライク。

 

 二球目。

 

 ボール。

 

 三球目。

 

 打者が振った。

 

 カンッ!

 

 打球はショート方向へ。

 

 藤原先輩が捕球し、一塁へ送球する。

 

「アウト!」

 

 スリーアウト!

 

 チェンジ!

 

(……ふう)

 

 無失点。

 

 何とか初回を抑えた。

 

     ◇ ◇ ◇

 

「ナイスピッチング!」

 

 ベンチへ戻ると、大地が出迎えてくれた。

 

「ありがとう!」

 

「やっぱお前すげえな!」

 

「いや、結構打たれたよ」

 

「でもゼロ点じゃん!」

 

 ……まあ、そうだな。

 

 確かに、結果は無失点だ。

 

 だが、内容としては反省点も多い。

 

 球速七十八キロでは、強打者に対応される。

 

 コントロールを高めても、完璧に打球を封じられるわけではない。

 

 それでも。

 

(……楽しいな)

 

 強い打者と対戦するのは、やっぱり面白い。

 

 そして、これからは打者としての出番だ。

 

 一回裏。

 

 桜台フェニックスの攻撃。

 

 俺は三番打者として、バットを握った。

 

 相手投手は四年生。

 

 なかなか速い球を投げるらしい。

 

(……さて)

 

 投手として無失点。

 

 ならば、次は打者として結果を残そう。

 

 俺はネクストバッターズサークルで、ゆっくりと素振りを始めた。




第二十四話をお読みいただき、ありがとうございます。

南原ドラゴンズの強力打線を相手に、悠真は初回無失点の好投を見せました。

次回、第二十五話「三番打者の意地、準決勝の勝負どころ」。
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