転生した俺の野球人生には、パワプロの育成システムがある   作:1番道路

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南原ドラゴンズを初回無失点に抑えた悠真。

今度は三番打者として、チームを勝利へ導く役割を担う。

しかし、南原の強力打線は簡単には引き下がらない。


第二十五話 三番打者の意地、準決勝の勝負どころ

 一回裏。

 

 桜台フェニックスの攻撃。

 

 先頭打者の高橋先輩が四球を選んだ。

 

 無死一塁。

 

 なかなかいい立ち上がりだ。

 

 続く二番打者は佐々木先輩。

 

 初球からバントの構えを見せる。

 

 コツンッ。

 

 打球は一塁方向へ転がった。

 

 相手の一塁手が捕球し、一塁へ送球。

 

「アウト!」

 

 送りバント成功。

 

 一死二塁。

 

 そして。

 

「三番、朝倉!」

 

「はい!」

 

 俺の出番だ。

 

 バットを持って打席へ向かう。

 

 相手投手は四年生。

 

 先ほどの投球を見る限り、球速は八十キロ台後半くらいだろう。

 

 制球力も悪くない。

 

(……いい投手だな)

 

 俺は軽くバットを構えた。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 初球。

 

 外角低め。

 

「ストライク!」

 

(……なるほど)

 

 なかなか厄介なコースだ。

 

 二球目。

 

 内角高め。

 

「ボール!」

 

 少し外れた。

 

 カウント一ボール一ストライク。

 

 三球目。

 

 外角のストレート。

 

(……来た!)

 

 俺は踏み込んだ。

 

 バットを振る。

 

 カキィンッ!

 

 打球は一二塁間へ飛んだ。

 

「抜けろ!」

 

 ベンチから声が上がる。

 

 相手の二塁手が飛びついた。

 

 だが、わずかに届かない。

 

 ライト前ヒット!

 

「よし!」

 

 二塁走者が三塁を回る。

 

 ライトがボールを拾った。

 

 返球。

 

 しかし、間に合わない。

 

「セーフ!」

 

 先制!

 

 桜台フェニックス、一対〇!

 

(……よし!)

 

 俺は一塁ベース上で小さく拳を握った。

 

 投手として無失点。

 

 打者として先制タイムリー。

 

 なかなかいい仕事ができたのではないだろうか。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 二回表。

 

 俺はショートの守備位置にいた。

 

 予定どおり、一回を投げ終えて藤原先輩と交代したのだ。

 

 藤原先輩がマウンドへ。

 

 去年からチームを支えてきた四年生の主力投手。

 

 安心して任せられる。

 

 ……と思っていたのだが。

 

 南原ドラゴンズの打線は、やはり強力だった。

 

 先頭打者がセンター前ヒット。

 

 続く打者は四球。

 

 無死一、二塁。

 

(……まずいな)

 

 俺は少し守備位置を調整した。

 

 次の打者は送りバント。

 

 一死二、三塁。

 

 ここで相手の一番打者が登場した。

 

 藤原先輩が投げる。

 

 初球。

 

 ストライク。

 

 二球目。

 

 カキィンッ!

 

 打球は左中間へ飛んだ。

 

 外野手が追いかける。

 

 しかし、打球はその間へ落ちた。

 

 二塁走者も本塁へ向かう。

 

 ……二点タイムリー。

 

 南原ドラゴンズ、二対一。

 

 逆転された。

 

「くそっ!」

 

 藤原先輩が悔しそうに呟いた。

 

 俺はすぐに声をかけた。

 

「まだ大丈夫です!」

 

 大地も声を出す。

 

「一つずつ取ろう!」

 

 藤原先輩が頷いた。

 

「ああ!」

 

 その後、藤原先輩は後続を抑えた。

 

 だが、試合は逆転を許してしまった。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 三回裏。

 

 桜台フェニックスの攻撃。

 

 スコアは一対二。

 

 一点差で追いかける展開だ。

 

 そして、俺に二度目の打席が回ってきた。

 

 二死一塁。

 

(……さて)

 

 相手投手は初回と同じ四年生。

 

 先ほどは外角のストレートをライト前へ運んだ。

 

 当然、相手も警戒してくるだろう。

 

 初球。

 

 内角。

 

「ボール!」

 

 二球目。

 

 外角低め。

 

「ストライク!」

 

 三球目。

 

 高め。

 

 俺は見送った。

 

「ボール!」

 

 カウント二ボール一ストライク。

 

(……焦る必要はない)

 

 無理に打ちにいく必要はない。

 

 自分の打てる球を待てばいい。

 

 四球目。

 

 真ん中より少し内。

 

(……これだ!)

 

 俺はバットを振り抜いた。

 

 カキンッ!

 

 鋭い打球が三遊間へ。

 

 相手のショートが飛びつく。

 

 だが、ボールはグローブの先を抜けた。

 

「よし!」

 

 レフト前ヒット!

 

 一死ではなく二死なので、走者は打球と同時にスタートを切っている。

 

 一塁走者は一気に三塁へ向かった。

 

 レフトから返球。

 

「セーフ!」

 

 二死一、三塁。

 

 同点のチャンスだ。

 

 続く四番打者は松本先輩。

 

 打撃に定評のある四年生だ。

 

「松本先輩!」

 

 俺が声をかける。

 

「お願いします!」

 

「任せろ!」

 

 松本先輩が力強く答えた。

 

 初球。

 

 ファウル。

 

 二球目。

 

 ボール。

 

 三球目。

 

 カキィンッ!

 

 打球はセンター前へ飛んだ。

 

(……よし!)

 

 三塁走者がホームイン。

 

 同点!

 

 桜台フェニックス、二対二!

 

「やった!」

 

 大地がベンチで飛び跳ねていた。

 

 俺も思わず笑う。

 

 ……やっぱりいいな。

 

 自分が打つのも楽しいが、仲間が打ってくれるのも嬉しい。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 四回表。

 

 南原ドラゴンズの攻撃。

 

 藤原先輩は再びマウンドへ上がった。

 

 しかし、先頭打者に二塁打を許した。

 

 続く打者は送りバント。

 

 一死三塁。

 

 ここで南原の三番打者。

 

 藤原先輩が投げた。

 

 初球。

 

 外角低め。

 

「ストライク!」

 

 二球目。

 

 カキンッ!

 

 打球はセカンド方向へ。

 

「大地!」

 

 俺が叫ぶ。

 

 大地が前進し、捕球した。

 

 三塁走者が本塁へ走る。

 

 大地は迷わずホームへ送球。

 

 ぱしんっ!

 

 中村先輩が捕球する。

 

 走者が滑り込んだ。

 

「アウト!」

 

「よっしゃあ!」

 

 同点を守った!

 

 二死一塁。

 

 その後、藤原先輩は四番打者を外野フライに打ち取った。

 

 四回表終了。

 

 二対二。

 

 そして四回裏。

 

 俺たちの攻撃が始まる。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 先頭打者が内野安打で出塁した。

 

 続く打者は送りバント。

 

 一死二塁。

 

 その後、二番打者が四球を選んだ。

 

 一死一、二塁。

 

 そして。

 

「三番、朝倉!」

 

 俺の三度目の打席だ。

 

(……よし)

 

 ここで打てば、勝ち越し。

 

 しかも、次の回は最終回だ。

 

 大きな意味を持つ打席になる。

 

 相手投手がセットポジションに入る。

 

 初球。

 

 外角低め。

 

 ストライク。

 

 二球目。

 

 内角高め。

 

 ボール。

 

 三球目。

 

 外角。

 

 ファウル。

 

 追い込まれた。

 

 だが、焦らない。

 

 俺にはアベレージヒッターがある。

 

 そして、対エース○も取得している。

 

 もちろん、特殊能力があるからといって自動的に打てるわけではない。

 

 だが、技術の再現性を高めてくれるのは大きい。

 

 四球目。

 

 外角低め。

 

(……来た!)

 

 俺は踏み込んだ。

 

 バットを振る。

 

 カキィンッ!

 

 打球はセンター方向へ。

 

 相手のショートが飛びついた。

 

 しかし、届かない。

 

「抜けた!」

 

 センター前ヒット!

 

 二塁走者が三塁を回る。

 

 センターが返球。

 

 ホームへ。

 

 だが、間に合わない。

 

「セーフ!」

 

 勝ち越し!

 

 桜台フェニックス、三対二!

 

「よっしゃあ!」

 

 ベンチから歓声が上がった。

 

 俺は一塁ベース上で、小さく笑った。

 

(……よし!)

 

 今日、三打数三安打。

 

 しかも二打点。

 

 打撃では十分に貢献できた。

 

 だが、まだ試合は終わっていない。

 

 五回表。

 

 南原ドラゴンズの最後の攻撃が残っている。

 

 そして、相手は強打のチームだ。

 

 最後まで何が起こるか分からない。

 

 俺は改めてグローブを握った。

 

 勝利まで、あと三つのアウト。

 

 ここからが本当の勝負だ。




第二十五話をお読みいただき、ありがとうございます。

悠真は準決勝で三打数三安打二打点の活躍を見せ、桜台フェニックスが三対二と勝ち越しました。

次回、第二十六話「決勝進出、二刀流が導く勝利」。
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