転生した俺の野球人生には、パワプロの育成システムがある   作:1番道路

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三対二で迎えた準決勝の最終回。

南原ドラゴンズの強力打線を抑えれば決勝進出が決まる。

桜台フェニックスは、仲間を信じて最後の守備に臨む。


第二十六話 決勝進出、二刀流が導く勝利

 五回表。

 

 南原ドラゴンズの最後の攻撃。

 

 スコアは三対二。

 

 俺たち桜台フェニックスが一点リードしていた。

 

 だが、安心できる状況ではない。

 

 何しろ、相手はこの大会屈指の強打線を持つチームだ。

 

 たった一点のリードなど、あっという間にひっくり返される可能性がある。

 

「よし、みんな!」

 

 藤原先輩がマウンドから声を上げた。

 

「あと三つだ!」

 

「おう!」

 

 俺たちも声を揃える。

 

 藤原先輩は、この試合の二回からマウンドを任されている。

 

 途中で二点を失ったものの、それ以外は粘り強く投げ続けていた。

 

 球数も増えているが、監督とコーチが状態を確認しながら続投を決めている。

 

 俺はショートの守備位置についた。

 

(……頼みますよ、藤原先輩)

 

 もちろん、俺も全力で守るつもりだ。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 先頭打者。

 

 南原の六番打者が打席に入った。

 

 藤原先輩の初球。

 

 外角低め。

 

「ストライク!」

 

 いい球だ。

 

 二球目。

 

 内角。

 

 打者が振った。

 

 カンッ!

 

 打球はショート方向へ転がった。

 

(……来た!)

 

 俺は素早く前進する。

 

 打球の勢いを確認し、身体を低くする。

 

 グローブを差し出す。

 

 ぱしっ!

 

 捕球成功。

 

 そのまま一塁へ送球。

 

 ぱしんっ!

 

「アウト!」

 

 ワンアウト!

 

「ナイスショート!」

 

 藤原先輩が声を上げた。

 

「ありがとうございます!」

 

 俺は笑って返した。

 

 よし。

 

 あと二つだ。

 

 続く七番打者。

 

 こちらは初球から積極的に振ってきた。

 

 カキンッ!

 

 打球はライト方向へ。

 

 右翼手が走る。

 

 しかし、ボールはその前に落ちた。

 

 ライト前ヒット。

 

 一死一塁。

 

(……やっぱり簡単じゃないな)

 

 俺は改めて守備位置を確認した。

 

 相手は一点を追いかけている。

 

 当然、走者を進めたいはずだ。

 

 ここで盗塁やバントがあるかもしれない。

 

 八番打者が打席に入る。

 

 予想どおり、送りバントの構え。

 

 藤原先輩が投げた。

 

 コツンッ。

 

 打球は投手前へ転がった。

 

 藤原先輩が素早く処理する。

 

 二塁への送球は間に合わない。

 

 そのまま一塁へ。

 

「アウト!」

 

 二死二塁。

 

 ……なるほど。

 

 同点の走者が二塁に進んだ。

 

 そして九番打者。

 

 ここを抑えれば勝利。

 

 しかし、出塁を許せば上位打線に回ってしまう。

 

 重要な場面だった。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 藤原先輩が大きく息を吐いた。

 

 中村先輩がサインを出す。

 

 初球。

 

 外角低め。

 

「ボール!」

 

 二球目。

 

 内角。

 

「ストライク!」

 

 三球目。

 

 打者が振った。

 

 カンッ!

 

 ファウル。

 

 追い込んだ。

 

 ベンチから声が飛ぶ。

 

「藤原、あと一つ!」

 

「落ち着け!」

 

 俺も声を出した。

 

「先輩、後ろは任せてください!」

 

 藤原先輩がこちらを見て、軽く笑った。

 

「ああ!」

 

 そして四球目。

 

 藤原先輩が腕を振る。

 

 シュッ!

 

 打者がバットを出した。

 

 カキンッ!

 

 打球は二塁方向へ転がった。

 

「大地!」

 

「任せろ!」

 

 大地が正面で捕球する。

 

 そのまま一塁へ送球。

 

 ぱしんっ!

 

「アウト!」

 

「ゲームセット!」

 

 試合終了!

 

 桜台フェニックス、三対二!

 

 南原ドラゴンズに勝利!

 

 決勝進出だ!

 

     ◇ ◇ ◇

 

「やったあああ!」

 

 大地が飛び跳ねた。

 

「決勝だぞ、悠真!」

 

「うん!」

 

「あと一勝で優勝だ!」

 

「そうだね!」

 

 俺も笑顔になった。

 

 去年に続いて、今年も決勝進出。

 

 しかも、今年は準々決勝で青陵への雪辱を果たしている。

 

 ここまでの道のりは、決して簡単ではなかった。

 

 だが、その分だけ嬉しい。

 

「朝倉!」

 

 藤原先輩が近づいてきた。

 

「今日はナイスバッティングだったな!」

 

「ありがとうございます!」

 

「三安打二打点だろ? 助かったぞ」

 

「藤原先輩もナイスピッチングでした!」

 

「おう!」

 

 藤原先輩が笑った。

 

 俺も笑い返す。

 

 いいな。

 

 こういうの。

 

 投手として先発し、打者として勝ち越し点を叩き出す。

 

 しかも、最後は仲間の守備で勝利。

 

 これ以上ない試合だった。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 試合後。

 

 田島監督が選手たちを集めた。

 

「みんな、よく頑張った!」

 

「はい!」

 

「相手は強い打線だったが、最後まで粘り強く守れた。特に終盤の守備はよかったぞ」

 

 監督は満足そうに頷いた。

 

「ただし、まだ終わりじゃない」

 

 その言葉に、全員が静かになった。

 

「次は決勝戦だ」

 

「はい!」

 

「去年も優勝したが、今年は今年だ。気を緩めず、最後までしっかり戦おう」

 

「はい!」

 

 俺たちは声を揃えた。

 

 ……よし。

 

 あと一勝。

 

 優勝まで、本当にあと一勝だ。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 その日の夜。

 

 俺は育成システムを開いていた。

 

『ピロン♪』

 

――――――――――――――――――

 

【公式戦結果】

 

春季少年野球大会

四年生以下の部・準決勝

 

桜台フェニックス 3

南原ドラゴンズ 2

 

勝利!

 

【朝倉悠真・個人成績】

 

投手:

1回無失点

 

打者:

3打数3安打

2打点

 

【総合評価】

 

S

 

【獲得報酬】

 

各種経験点

強豪対戦ボーナス

 

【特殊能力のコツ】

 

対強打者○

 

――――――――――――――――――

 

(……おお!)

 

 対強打者○。

 

 投手用の特殊能力だ。

 

 強打者との対戦で投球能力が向上する。

 

 なかなか魅力的な能力ではないか。

 

 俺は思わず笑みを浮かべた。

 

 アベレージヒッター。

 

 対エース○。

 

 そして、今回の対強打者○のコツ。

 

 少しずつではあるが、特殊能力も充実してきた。

 

 この調子で育成を続ければ、将来的には相当な選手になれるだろう。

 

 もっとも、今はまだ七歳。

 

 身体能力には限界がある。

 

 焦る必要はない。

 

 俺は画面を閉じた。

 

 次は決勝戦。

 

 どんな相手が待っているのか。

 

(……楽しみだな)

 

 俺は布団に入った。

 

 そして、翌日の練習を思い浮かべながら眠りについた。




第二十六話をお読みいただき、ありがとうございます。

南原ドラゴンズとの準決勝に三対二で勝利し、桜台フェニックスは決勝進出を決めました。

次回、第二十七話「決勝戦の相手、王者との再戦」。
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