転生した俺の野球人生には、パワプロの育成システムがある   作:1番道路

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東山レッドソックスとの決勝戦。

初打席でヒットを放った悠真だったが、試合は両チーム譲らぬ展開となる。

勝負が動き始める中、悠真に投手としての出番が訪れる。


第二十九話 一進一退の攻防、二刀流の真価

 一回裏。

 

 二死一塁。

 

 俺は一塁ベース上で、相手投手の速水先輩を見つめていた。

 

 打席には四番の松本先輩。

 

 長打力のある四年生だ。

 

 ここで一本出れば、先制のチャンスが生まれる。

 

 速水先輩がセットポジションに入った。

 

 初球。

 

 外角低め。

 

「ストライク!」

 

 二球目。

 

 内角。

 

 松本先輩が振った。

 

 カキンッ!

 

 打球はレフト方向へ高く上がった。

 

(……どうだ?)

 

 俺は一塁から打球を見上げる。

 

 相手の左翼手が後退する。

 

 しかし、打球は失速した。

 

 ぱしっ!

 

「アウト!」

 

 スリーアウト。

 

 チェンジ。

 

(……惜しいな)

 

 俺はベンチへ戻った。

 

 残念ながら、初回は無得点。

 

 だが、速水先輩からヒットを打てたことは大きい。

 

 球筋もある程度確認できた。

 

 次の打席では、さらにいい打撃ができるかもしれない。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 二回表。

 

 東山レッドソックスの攻撃。

 

 藤原先輩は先頭打者をショートゴロに打ち取った。

 

 俺が捕球し、一塁へ送球。

 

「アウト!」

 

 ワンアウト。

 

 続く打者は四球。

 

 一死一塁。

 

 そして七番打者。

 

 初球。

 

 カキィンッ!

 

 鋭い打球がライト方向へ飛んだ。

 

「ライト!」

 

 右翼手が追いかける。

 

 しかし、打球はその前に落ちた。

 

 ライト前ヒット。

 

 一死一、二塁。

 

(……まずいな)

 

 俺は守備位置を確認した。

 

 まだ一点も取られていない。

 

 だが、ここで長打を打たれれば危険だ。

 

 続く八番打者。

 

 藤原先輩が投げた。

 

 初球。

 

 ストライク。

 

 二球目。

 

 打者が振った。

 

 カンッ!

 

 打球はセカンド方向へ。

 

「大地!」

 

「任せろ!」

 

 大地が捕球した。

 

 二塁へ送球。

 

 俺がベースを踏む。

 

「アウト!」

 

 そのまま一塁へ転送。

 

 ぱしんっ!

 

「アウト!」

 

 ダブルプレー!

 

「よっしゃあ!」

 

 ベンチから歓声が上がった。

 

 俺と大地は顔を見合わせた。

 

「ナイス、大地!」

 

「悠真も!」

 

 ……いいな。

 

 二遊間の連携。

 

 この一年間、何度も練習してきたプレーだ。

 

 それが決勝戦で成功した。

 

 実に嬉しい。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 二回裏。

 

 俺たちの攻撃。

 

 先頭打者の村田先輩がセンター前ヒットで出塁した。

 

 続く打者は送りバント。

 

 一死二塁。

 

 ここで七番打者。

 

 初球はストライク。

 

 二球目。

 

 カキンッ!

 

 打球はライト前へ飛んだ。

 

 二塁走者が三塁を回る。

 

 ライトから返球。

 

 ホームへ。

 

 しかし、間に合わない。

 

「セーフ!」

 

 先制!

 

 桜台フェニックス、一対〇!

 

「よっしゃあ!」

 

 大地が飛び跳ねた。

 

 俺も笑顔になる。

 

 これで一点リード。

 

 だが、まだ二回だ。

 

 試合は何が起こるか分からない。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 三回表。

 

 東山レッドソックスの攻撃。

 

 先頭の九番打者が内野安打で出塁した。

 

 続く一番打者は送りバント。

 

 一死二塁。

 

 そして二番打者。

 

 藤原先輩が投げた。

 

 初球。

 

 ストライク。

 

 二球目。

 

 カキィンッ!

 

 打球は左中間へ飛んだ。

 

 外野手が追いかける。

 

 しかし、間に合わない。

 

 二塁走者がホームイン。

 

 同点。

 

 一対一。

 

(……やっぱり強いな)

 

 俺は小さく息を吐いた。

 

 東山の打線は、簡単には抑えられない。

 

 しかも、ここから三番と四番が続く。

 

 田島監督がタイムを要求した。

 

 そして、マウンドへ向かう。

 

 藤原先輩と何かを話している。

 

 しばらくして。

 

「朝倉!」

 

「はい!」

 

 俺が呼ばれた。

 

「次、お前が投げてくれ」

 

 ……来た!

 

「はい!」

 

 俺は大きく頷いた。

 

 予定より少し早い登板かもしれない。

 

 だが、準備はできている。

 

 俺はグローブを持ち直し、マウンドへ向かった。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 三回表。

 

 一死二塁。

 

 打席には東山の三番打者。

 

 俺はマウンド上でボールを握った。

 

 中村先輩が軽く声をかけてくる。

 

「朝倉、落ち着いていこう」

 

「はい!」

 

「無理に三振を狙うなよ」

 

「分かりました!」

 

 俺は頷いた。

 

 現在の球速は七十八キロ。

 

 コントロールはF58。

 

 七歳としては十分すぎる能力だ。

 

 だが、四年生の強打者を簡単に抑えられるほどではない。

 

 慎重に攻めよう。

 

 初球。

 

 外角低め。

 

 シュッ!

 

 ぱしんっ!

 

「ストライク!」

 

(……よし)

 

 二球目。

 

 内角高め。

 

 打者が振った。

 

 カンッ!

 

「ファウル!」

 

 追い込んだ。

 

 三球目。

 

 外角低め。

 

 今度は少し球威を抑える。

 

 打者がバットを振った。

 

 カキンッ!

 

 打球はショート方向へ。

 

 藤原先輩が捕球。

 

 そのまま一塁へ送球した。

 

「アウト!」

 

 ツーアウト!

 

 二塁走者は動けなかった。

 

(……よし!)

 

 まずは一人。

 

 しかし、次は四番打者だ。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 東山の四番打者が打席に入った。

 

 体格のいい四年生。

 

 この試合でも、強いスイングを見せていた選手だ。

 

 中村先輩がサインを出す。

 

 初球。

 

 外角低め。

 

「ボール!」

 

 少し外れた。

 

 二球目。

 

 内角。

 

「ストライク!」

 

 三球目。

 

 外角へストレート。

 

 打者が振った。

 

 カキィンッ!

 

(……まずい!)

 

 鋭い打球がセンター方向へ飛んだ。

 

 しかし。

 

「任せろ!」

 

 高橋先輩が前進した。

 

 打球の落下地点へ入る。

 

 そして。

 

 ぱしっ!

 

「アウト!」

 

 スリーアウト!

 

 チェンジ!

 

「よっしゃあ!」

 

 俺は小さく拳を握った。

 

 同点のまま、何とか切り抜けた。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 三回裏。

 

 桜台フェニックスの攻撃。

 

 先頭打者が四球で出塁。

 

 続く打者は送りバント。

 

 一死二塁。

 

 そして、俺に打席が回ってきた。

 

「三番、朝倉!」

 

「はい!」

 

 俺はバットを握った。

 

 相手投手は速水先輩。

 

 初回にヒットを打っている。

 

 だが、簡単に打てる相手ではない。

 

 むしろ、先ほどより慎重に攻めてくるだろう。

 

 初球。

 

 外角低め。

 

「ストライク!」

 

 二球目。

 

 内角。

 

「ボール!」

 

 三球目。

 

 外角高め。

 

 俺はバットを出した。

 

 カンッ!

 

「ファウル!」

 

 追い込まれた。

 

(……いいな)

 

 簡単には打たせてくれない。

 

 まさにエースだ。

 

 だが、俺も負けるつもりはない。

 

 四球目。

 

 外角低め。

 

 少し甘く入った。

 

(……ここだ!)

 

 俺は踏み込んだ。

 

 バットを振り抜く。

 

 カキィンッ!

 

 打球は一二塁間へ飛んだ。

 

 相手の二塁手が横っ飛びに飛び込む。

 

 だが、届かない。

 

「抜けた!」

 

 ライト前ヒット!

 

 二塁走者が三塁を回る。

 

 ライトから返球。

 

 ホームへ。

 

 しかし、間に合わない。

 

「セーフ!」

 

 勝ち越し!

 

 桜台フェニックス、二対一!

 

「よっしゃあああ!」

 

 ベンチから歓声が上がった。

 

 俺は一塁ベース上で小さく笑った。

 

(……よし!)

 

 これで二打数二安打。

 

 しかも勝ち越しタイムリー。

 

 十分に仕事ができている。

 

 だが、まだ試合は終わっていない。

 

 俺たちの攻撃も、東山の反撃も続く。

 

 このまま逃げ切れるほど、簡単な相手ではないだろう。

 

 そして、俺にはもう一つ役割がある。

 

 投手として、このリードを守ることだ。

 

(……絶対に勝つぞ)

 

 俺は改めて気合いを入れた。

 

 決勝戦。

 

 その勝負は、いよいよ終盤へ向かおうとしていた。




第二十九話をお読みいただき、ありがとうございます。

決勝戦は一進一退の攻防に。悠真はリリーフ登板でピンチを切り抜け、打撃でも勝ち越しタイムリーを放ちました。

次回、第三十話「二年連続優勝、七歳の二刀流が掴む栄冠」。
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