ーーー視点
記憶とは、儚いもの。
誰がどう思っていようが、今の私はそう思っている。
もしも形のない思い出が、日記だとしたら。
誰にも見られることのない、自分だけの日記だとしたら。
それは、自分だけ思い返すことのできるはずのもの。
それは、気づいたら勝手に書き込まれているもの。
それは、思い出したい時は、読み返せるもの。
それは、逆に思い出したくなくとも必然と傍にあるもの。
それは、人によって全く別の感情のこもったページがあるもの。
……そして。
それは、他人が破こうと思えば簡単に破けてしまうかもしれないもの。
それは、失ってしまえば意味がないもの。
まるで書き込まれていて、遠目では黒く見えるそれは。
真っ白に消されるように。
白紙になるように。
誰かに奪われるように。
そこにあったはずのものが、消えてしまう。
それは、よくないと解釈する。
それは、周りの人だけの感情。
思いがけずにそれを手放してしまった本人は。
気づかれないうちに、白紙になってしまった心は。
何かのきっかけがない限り、その日記を取り戻さない限り。
何を失ったことすら知らずに、ただそこに”いる”だけだろう。
だから、思い出に意味はないのかもしれない。
……二度と戻ることはなくていいと思う。
ーーー☆★☆
いつもの暗いところを歩く私。
そして、私の隣を歩くアイスを頬張る少女。
それはるるか。
彼女の腕の中には妖精がいる。
体は紫色。
瞳は緑色。
額にはハートの形をした、ピンク色の宝石。
頬にはハート形のチーク。
イヤリングのように、赤紫色の雫型の石飾りを着けている。
おとも妖精。
それは名探偵プリキュアを支える存在。
身近にあるものとなり、いつもそばで見守る存在。
私たちの場合、”元”だけど。
……それに、私の腕の中には妖精はいない。
「どうしたの?私のこと、ずーっと見つめて」
勘付かれたかも。
この妖精の名前はマシュタン。
キュアアルカナ・シャドウのおとも妖精。
「いいえ、何にも」
私はそう返した。
マシュタンは私の仮のおとも妖精をやってくれている。
おとも妖精は忙しいはずのに、二人を見れるなんて面倒見のいい子なんだなぁ。
「……ところで、るるか。そのアイス今日で何個目ですか?」
「まだ4個目」
まだっていいましたかこの子。
まあ10段アイスを何個も食べた時よりはマシ……
いやいやいやいや、十分多いですって。
さっき3段アイスも5段アイスも食べたのに、今度は市販のカップのアイスですか……
「いつの間に……」
……もう勝手にしてください。
多分次も止めるとは思いますけど。