「部屋から落ちてきたなんてあり得ませんよ!」
「ほんとだって!」
まあ、あんなが言うには部屋にいたら気づけば空にいた。
普通に現実的ではないし、誰でもみくるのような反応をする。
それに、みくるはまだあんなのことをキュアット探偵事務所の名探偵だと思っている。
探偵テストの難易度が高いと言いたいのかもしれない。
「ポチポチ!」
「ポチポチじゃわからないよぉ……」
みくるは妖精のポチタンを見て、何かを考えている様子。
「この子、おしゃぶりをしているし、赤ちゃんですね。だからしゃべれないのかと」
「え?でもさっき……」
気づけばおしゃぶりしてた。
いつの間に持ってきたのだろうか。
「何らかの理由で赤ちゃんになって喋れなくなった。 ……今の推理でどうでしょう?探偵テスト合格ですか!?」
しかし、そんなみくるの言葉に首を傾げるあんな。
「何?その“探偵テスト”って……」
「その質問なら簡単です! 名探偵は、いろいろな事件を解決して、人々を助けるみんなの憧れ、希望! 私は、そんな名探偵になるために探偵テストを受けに来たんです!!」
みくるは探偵についてもだが、自分の熱意と同時に語った。
それを聞いたあんなは感心したように彼女を見つめていた。
「……名探偵ってすごいんだね」
みくるはそのあんなの言葉を聞いて、小さくガッツポーズした。
「よしっ!」
そんな二人のやり取りを眺めていたリーノ。
「めいたんてい……」
子供が初めて聞いた言葉を覚えるように、繰り返す。
「ひとを……たすける?」
みくるが振り返った。
「そうです!!」
リーノは少しだけ考えて、にっこり笑った。
「すごいねぇ」
「えへへ……!」
二人から褒められた。
みくるは完全に上機嫌になった。
すると、ポチタンが何かに反応した様子で声を上げた。
「ポチ〜!!」
「え?」
次の瞬間、突然強い光を放つ。
その光が伸びていく。
細長く、しなやかな、光でできたロープ。
光のロープはあんなの身体にかかる。
ショルダーバッグに似たものになってる。
やがて、光はそのまま固定。
嫌な予感。
妖精が飛び上がった。
それと同時にあんなの身体まで引っ張られた。
そのまま妖精は猛スピードで店の外へ飛び出していった。
引っ張られるあんな。
彼女に抱えられているリーノ。
そして、
「ちょっと待ってくださぁぁぁぁいッ!!」
呆然と立ち尽くしていたみくるも慌ててその後を追いかけようとして、急ブレーキ。
「…………ハッ!」
そして、レジに駆け込んだ。
ーーー☆★☆
しばらくして、みくるがようやく足を止めた。
あんなの腕から降り、みくるを見上げるリーノ
「だいじょうぶ〜?」
「や、やっと……追いついた……」
あんなも突然引っ張り回されて疲れ切った顔をしている。
「みくる、すごかったよ!」
リーノは普通に元気だった。
「…………」
ふと、あんなは自分の足元を見る。
次に、リーノのスニーカー。
「……お金、払ってない!!」
今さら気づいた。
「靴の代金、立て替えておきました……」
「えっ、ありがとう!!」
みくるがいて救われたあんなであった。
リーノは自分のピンク色のスニーカーを見下ろした。
そして、みくるを見上げる。
「……ありがとう」
「……!」
みくるは一瞬で復活した。
「どういたしまして!」
安い。
……いや、多分靴は安くなかった。
「ポチポチ!」
「ん?」
妖精が前を指差す。
三人がその方向へ顔を向ける。
「ここって……」
「結婚式場?」
しかし、リーノはピンと来ない様子で首を傾げた。
「……けっこん?」
「そこから!?」
三人の目の前に建っていたのは、結婚式場。
ポチタンは何故ここにつれてきたのだろうか。
ポチタンがここに反応を示しているらしいので、中に足を踏み入れることにした。
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