実際原作でも、本人にとってはそれが趣味みたいなもんだったから気にしてなかっただけで、だいぶ社畜みたいな生活してた可能性ない?
だって破面編とか、ワンダーワイスが間に合わなかったらもうさぁ……。
◆◆ まさかこの時には黒幕でっちあげデスマーチになるとまでは思ってもいなかった ◆◆
「終わりや……」
俺は自室で頭を抱えていた。
内心ウキウキで副隊長に指名した惣右介が全然黒幕じゃないからである。
「どうすんねんマジで」
そう、藍染惣右介はね、床にうどんをぶちまけて雑巾掛けなんかしないし、これ今日中ね! みたいな突発残業でも平子に向けて悲しい顔なんかしないし、やること全部が完璧でなきゃいけないの。
逆にこれで鏡花水月とか演技だったら大したもん過ぎる。
原作の惣右介は幾らそれが演技であっても、ネウロのシックスみたいに床に四つん這いになって尻について熱く語る、なんてことはそもそもしなくて良い様になんとかするだろう。鏡花水月のハゲにも、やらかしをしない人間を厳選する筈だ。
俺が厄介オタクである故に拗らせてるだけか? 理解から最も遠いところにいる?
……いや〜〜、そんな訳なくないか? こんな過去晒しておいて急に原作通りにオサレに裏切られたって可愛い思い出がチラついて集中できんやん。
だからこそめちゃくちゃヤバいんやろがい!
破面編どころか黒崎一護の誕生丸ごとスキップして、どう千年決戦編乗り切れっちゅうんや!!
しかも東仙周りのことは手遅れやない?
いや物語の進行としてはええんやけど、あの、時灘のこととか、多少なんとかできた可能性が……。アカン、他になんかあったっけ……。良くも悪くも惣右介のことしか考えとらんかった……。
なら、俺が暗躍して……、惣右介の眼鏡パキって虚圏に押し込んだらええんか?
どうせなら藍染惣右介を最前列で見たいし。
この世界の惣右介、やればできるけどやる気ない子っぽいからな……。
やろうと思えば完璧にできるのを、こう、合格基準は超えてるんだから良いじゃん、みたいなテンションでなあなあにしてるように(厄介オタクからは)見える。 え? あの、藍染惣右介が……仕事で省エネ運転を……!? だから違和感が凄いっていうか……。
逆に言えば『やらせればできる』とは思うし、真の目的が『滅却師との全面戦争に備えた戦力強化』なら否とも言わないとは思う。
最大の問題は、どうやってやらせるかだよなぁ。
例えば直球で頼んだとして。
俺 「百年以上かかる壮大な裏切り(のふり)の計画がある、主演をやってくれ」
惣右介「なんで……?」
ごもっとも過ぎる。
whyの部分がないと無理があり過ぎる。
滅却師側に悟られないように伝えるのも難しい。
木っ端の死神ならともかく、隊長ともなれば四六時中監視されててもおかしくない。
尸魂界にいる間は頭の中から出力した時点でアウトくらい思ってて良い。
今から『ユーハバッハを殺すのが最終目的です』で動こうもんなら、陛下も今からその辺のメタ構想を熱心に練り始める、ハズ……。
ぶっちゃけ陛下の未来改変は雰囲気で見てたからあんま理解してない。ディアボロのキングクリムゾンくらいフワッとした認識でいるが、一応、アレは本人視点でしか見れなくて、離れた場所で何してるかまでは追えないのは確か。そうは言っても虚圏に出るまでのハードルの高さよ。
……とりあえず惣右介ともっと距離詰めて、仲良くなりながら考えるか。
曳舟隊長が抜けてからじゃ遅い、技術開発局ができた瞬間から走り出さんと全てがカツカツんなる。そン前に目途くらい立たんと詰む。
◆◆ 絹と木綿どっちが好き? ◆◆
信じるのは まだ早い
そういうところが 味わい深い
──拗らせ厄介オタクポエム
そんなに仲良くない上司がサシ飲みに誘って来る。
なんてのは『俺』が人間だった頃ならパワハラ待ったなしだが、現世はまだ明治でそんな概念はないのでGO。
「なめこ汁なら絹、焼き豆腐なら木綿。何にするかに寄りますし、どちらの方が好きかは特にありませんね」
何気なく話題振ったらまぁまぁな熱量で返された。
お豆腐好きなんは裏切り前のキャラ付けやなくてマジなんか?
なら、ゆで卵嫌いなんもホントっぽいな。
普段はお首にも出さんで食っとるけど。
夜道を狸がついてくる。
捕まえてやったら、化かそうとしてた自分を棚に上げて『酷いことされてる』みたいな被害者面をしてくる。
「……俺がその顔に弱いん分かってやっとるやろ」
「実際不満がある時にしかしてませんよ」
「突発残業の不満を俺に垂れられてもどーにもならんのやけど」
「それは本当に悲しいだけです」
クソボケ狸……。
この惣右介、マジでこんなんでよく生き残って来たな……。
なんの暗躍もしてないから探られて痛い腹もないってことかも知れないが、素直過ぎて逆に心配になる。
「何や言い訳してみィ、聞くだけ聞いたるわ」
「平子隊長の言動に違和感があったのでつけていました」
「ホンマかいな……?」
下心、感付かれとる。
「言うても惣右介こそ、人との距離の測り方とか、まァなんや、ぶっちゃけ全部が漠然と怪しいやん」
「貴方に言われたくない」
「事実陳列罪、懲役二万年」
「自覚はおありなんですね」
ある。『俺』としての記憶ありきなせいで、心の距離もそうだし、何より平成漫画のギュウギュウの関西弁ができん。
訛りがあるどころやなく、隙あらば全部関西弁にすんのが難しい。俺の場合、ズブズブのオタクとしての『インターネット弁』とごっちゃになりがちで、むっちゃ練習したのにひよ里に『エセ!! 魂が乗っとらん!!』とか言われたのは痛い思い出だ。これはネイティブじゃないと完璧に習得するんは無理。
結果、なんか原作より怪しい男になった自覚はある。
「ハァー、信頼のなさは互角のようやな……」
「こんな悲しい互角もそうないですよ」
「それはホンマにそう。マ、こんままここで突き合うた所でなんも出ぇへんやろし、お開きや。とっとと帰り」
「宜しいのですか」
「構へん。そら誰にも死んでも言えんことの一つや二つあるさかい、俺も深くは追及せんわ。性癖とかな」
お高く留まってるキャラが主人公のせいで暴言を覚えたりする展開が性癖。
普段の振る舞いを考えたら絶対言わない様な罵倒や煽りが口から飛び出したり、その概念理解してるのってアイツの影響だな、とか。良い。染みる……。
その点、この惣右介は素質ありそうでドキドキする。自分色に染めたい気持ちと、やめとけ自分って気持ちが半々。
「……隊長もその悪い顔やめて下さい」
「あ? ホンマに悪い事考えとるだけや」
「隊長はやっぱり怖い人です」
クソみたいなことで惣右介の原作セリフを消化してしまった。
とはいえここで『カッコ付けました、ホンマは超しょーもないこと考えてました』なんて訂正しても情緒不安定にしか見えないので、堪える。
でも性癖のワードで話広げて来ないってことは別に成り代わりとかではないっぽいな。
じゃあ、なんだよ。逆行……? 逆行でうどんひっくり返さんやろ……。
◆◆ 眼鏡 ◆◆
惣右介の眼鏡、伊達やない。
そこそこの度数がある。
「野暮ったい黒縁やなくて、もっとフレームの細いんも試したらどうや」
「それだと眼鏡自体が見つからなくなりそうなので、今ので良いんです」
速●奨の声帯が泣いとるわ。
マジで原作と別ルートで生きとるやんこいつ。
したらコンタクト作らな『私が天に立つ』できんやん。
◆◆ あっ。 ◆◆
斬拳走鬼だとか歴史だとかは霊術院で習うから、まぁよしでここまで来た。
霊子霊圧の概念も座学より前にメタ知識があってなんとなく分かる。
ただ、それを使った科学だとか、義魂だの義骸だの、虚と死神の境目をどうこうになるとお手上げだ。
つまり計画の工数見積もりを立てる以前の段階で何も分からないのである。
誰かを巻き込まんと不味い。
……ひよ里はパス!
仕事は意外とデキるとはいえ技術的な面は俺と大差ないし、根本的に正面からやったれ系で隠し事は後ろめたいタイプやし、もし事がハンパに露呈して俺とひよ里が裏切りキャラでしたなんて空気が終わりや!! その感じで!? になる!! 針の筵過ぎる!!
なんならまず、黒幕RTA話を持ちかけた時点でアイツは全てに対して『早よ言え』で今世紀最大にキレる。
そもそも仮面の軍勢のメンツは一人巻き込んだら他に伏せんのに難儀しそうやし、ナシで。
となるとやっぱり欲しいのは『技術者』か。
喜助は〜〜……、あいつ巻き込んだらスタートダッシュで超絶捗るとは思うけど、知らん内に良かれと思って別ルート走り出して行きそうで、コントロール不能になる予感しかないんだよな……。
マユリもチョット……、マッド以前に、俺が観た劇場版のフワーッとした思い出によると、蛆虫の巣のことはしっかり嫌な記憶だったらしいし、出所直後が一番切れ味良い(という名の情緒不安定)って気もするしな……。
夜一も色んな調べ物すんのには良さそうやけど、結局セットで喜助が付いてくること必至。パス。
阿近……? そんな関わりないから巻き込み辛いし、ネムもいない時期だとこっちもマユリとセット販売だから無理。
後は、惣右介。
もっと距離詰めるキッカケも欲しいし、ワンチャン惣右介本人にその辺詳しくないか聞いてみるとか……?
どうやって?
①素直に教えを乞う
→ 「何故その質問を僕に?」
②遠回しに話題を振る
→ ケムに巻かれる
or そもそも伝わらない
……クソが……。
「ま、悩んでても話進まへんしな」
まだ時間をかけて策を練ってみても良い時期かもしれないが、何が分からんのかすら分からん状態を脱するのは、絶対に早ければ早い方が良い。
③当たって砕けろ!
①の後で素直に「オマエにしか頼めんから」で行ったれ!!!
惣右介は筆で図を描き始めた。
二十一世紀のインターネットに慣れ過ぎた人間にとって、死神文明の『専門的な調べ物なら図書館や資料室で』とかいうのは死ぬほど骨が折れる。
まず目当ての本を見つけるまでが長いし、目当ての本の中に知りたい情報が理解できるレベルで書いてあるかも運だし、ネットでさえ専門用語を調べたら専門用語が出てくるクソの無限ループにはウンザリなのに、それを紙の資料で喰らうとなれば冗談抜きにダメージは百倍くらい重い。
それに比べて惣右介の説明の分かりやすさときたら、YouTubeショートのまとめ動画くらい入りやすい(そんなものは現世にもまだない)。
本で見るのと全然違って、いきなりハイレベル過ぎたり初歩過ぎたりしなくて、こっちに合わせてくれるし、質問もし放題で、バリトンボイス。これで和風ファンタジーと科学の融合した勉強ができるなんてオタク心に響き過ぎる。
なんならもっと早く直球で聞けば良かった。
「あっ」
惣右介、あっ、って言うた。
「あの……すみません、お時間大丈夫ですか……?」
「あ? おー、飯食いそびれたな。まァ気にせんでええ、なんやものごっつ気まずそうやけどマジで感謝しかあらへんで」
こっちとしては悩みも解決しそうだし純粋に楽しかったしでなんの文句もない。
が、惣右介は『惣右介』としてもらしくなく、無駄に眼鏡に触っている。
「夢中になってしまって……」
照れてる……?
思いっきり好きな話してたんが恥ずかしくてなってへん……?
「ええて、オマエさえ良かったらまた頼むわ」
「……はい」
帰路で思い至ったが、もしかしてこの世界の惣右介、技術者としては原作よりデキる可能性ないか?
小難しい本ばっかり読み耽ってるから目が悪い、なんて……、……ありそう……寧ろそうであってくれ……。
その場合マジでこのぽやぽや狸の惣右介に『黒幕をやってもらう』までが最大のハードルやんなぁ〜〜!!
◆◆ お願い★惣右介(強請り) ◆◆
よく考えたら見えざる帝国に見せる分には俺が主導でやってることにして話進めても、別に問題なくない?
と思い直したので、悪事に誘うみたいなテイで惣右介を適当に言いくるめて虚圏に連れて行こうと思う。
しかし現状まず虚圏に行く方法がないので、それも惣右介に作ってもらおうと思う。
計画ガバガバ、おんぶにだっこ。
「理論上は可能と考えてはいますが」
「なら作って欲しいねんけど」
「……『悪い事』のお誘いでしょうか?」
「なんで必要かは作ってくれたら教えたる」
「明け透けに怪しいって成立するんですね」
これでやってくれる辺りチョロ過ぎて心配になる。
初めてドッグランに放たれた犬かなんかか?
行くぜ! 虚圏!!
「……」
「せやからその悲しい顔やめェや」
「思っていたより話が大きくて。流石に一個人にする頼み事として度が過ぎているのでは」
プレーン状態というか、少なからず原作知識はナシで確定で良さそうやな。
こいつぁこの先、骨が折れるで。
「マジでホンマ世界でオマエにしか頼まれんさかい、断られたらそん時点で全てが詰みなんやけど」
「脅しも同然でしょう……」
「しゃあないやろ!! 他にどうせぇっちゅうんや!!」
「……隊長がご自身でやれば良いかと」
「俺にはできん、惣右介やないと全部足りん、大真面目や。五億歩譲って協力者筆頭になってくれんと死ぬ」
「だからそれじゃ脅しですよ」
「……惣右介、斬拳走鬼も霊圧も頭脳も、つまり当然、仕事も……、本気、出してへんやろ?」
「脅迫ですよね!?」
「せやから頼むって! 代わりに豆腐が美味い店とかいうマニアックなとこ教えたるから!」
「びっくりするくらい話が釣り合ってませんが!?」
◆◆ 現状成果物は何もない、しかし納期はある ◆◆
「霊王パーツ入れて喜助の崩玉とガッチャンコして更に調整して漸く実用に耐える、みたァな感じやったと思うけど、できそか?」
「完全に机上の空論ですが……、なんとかします」
「天才やんか」
「あの人の論文は大抵読み尽くしているので、多少の方向性は予測可能です」
なんでこれでこの感じなんやコイツ……。
原作くらい喜助に対するネトネトはありそうなんに天に立つ気だけは無い。
……無い、でええんよな?
「……喜助のことどう思っとるん」
「研究者としては尊敬していますが、人としては相容れないというか……」
作品は好きだけど作者のSNSは見たく無いタイプのヤツか?
◆◆ 狸深寝入 ◆◆
執務室に惣右介が落ちている。
道端で気絶中の狸を幻視する。
一瞬ギョッとしたが霊圧は正常だし、眼鏡もご丁寧に机に置かれていて、畳の上で気持ちよさそうに寝息を立てていた。
眼鏡オフの藍染惣右介のこんなゆるゆるな姿、『見ちゃって良いのか』みたいな背徳感がある。
「おいこらタヌキ」
「……、……まだ帰られない筈では……」
足で突くと目を開いたが、惣右介は起き上がらずにそのまま返して来た。
原作の『平子真子』が明確に『死神の仕事をサボっていた』記憶はないが、性格的に毎日真面目に仕事をしている気もしないので、俺もそのイメージに倣って仕事をサボって出かけることもある。
とはいえ前世の(自称)善良な心が痛むので、書類は締切までには終わらせている。
そして今日はまだやることがあったので、お昼休みを(無断で)少し長く取っただけで、素直に戻って来た。
したらこれよ。
「死んでるんか思てびっくりしたわ、寝ンならもっとバレへんとこで寝とき」
「ハイ」
オネダリした時はカマかけのつもりだったのに、さては今までもマジでサボってたな。
気を許して見せてくれる姿がこの様ってお前、マジでこれ演技だったら逆に見上げたもんだわ。床に落ちてるけど。
……五番隊のトップ二人がこんなだとサボりを止める担当が不在ってことになるが、まぁ、これから忙しくなるから……見逃して……(腐敗)。
◆◆ 東仙「 そしてこれも歌匡のぶんだッ! 」 ◆◆
人は皆すべからく悪であり
自らを正義であると錯覚する為には
己以外の何者かを 己以上の悪であると
錯覚するより 他にないのだ
とはいえお前が悪なのは 言い訳不能に事実
だからお前は今日、ここで死ぬ
──自分の運命への決着をつけるポエム
「世の中が一つ綺麗んなったな」
「……」
「むっちゃ『こんなことして良いんだ……』みたァな顔しとるやん」
「僕が唆しておいて何ですけど、技も何も捨てた拳で両手が血塗れになっていくのが、行くところまで行っている感じで」
「俺的には、復讐なんてのは自分の為のモンやから、本人がやりたい様にやれたんなら何よりやと思う」
「流石にこれが全て僕の人心掌握の手腕の内とされるのは恐縮なんですが」
「後でネタ晴らししてもええけど、東仙には暫く本気で惣右介に感謝しといて貰わなアカンやろ」
「……平子隊長も『中々』ですよね」
「……ン~~~……、そーかもなァ、色々やっとるんも、結局は世界の為より自分の為やし」
「それは何の意味もなく黒棺の詠唱を注文された時点で良く分かっています」
「どーしても聞きたくてェ……」
◆◆ 世界を救うための熱量 ◆◆
「隊長、……世界を救いたいと、本当にそうお考えですか?」
「今更そこ聞くんか……? 質問の意図が読めへんのやけど」
「かける労力に見合った話なのかと思いまして」
「限界ボロボロなんか? 休むか?」
「いえ、単純に、隊長がそこまで心血を注げる動機を伺いたいだけです」
「動機ィ? ンなもん、俺がここで生きとるからや。職場に爆弾が突っ込んで来るんが分かってて放置せんやろ」
「……一理あります」
「同僚もそれとなく避難させたいし大事なもんは避けときたいし、余波で吹き飛ぶ店には前もって行っときたいやん」
「気に入らない上司はどうされますか?」
「……俺んことちゃうやろな」
「まさか」
①どうしたいか聞き返す
→ 地雷の香り
②お茶を濁す
→ 藍染惣右介ポイントがマイナス五千くらいされそう
いやまず前提整理や。
たぶん上司ってのは霊王のことで……、あいつ死んでもイイジャン、ってことっぽいな。
ぶっちゃけ実際上司として考えてみても惣右介が言ってる(目の前の惣右介は言ってない)問題の本質は上司個人がどうこうじゃなくて、植物状態で生きてるだけの会長が権利問題とかでまだ死なせてもらえないでいるしそれが本人の意向でもあるらしいとかこんな腐ったクソ会社爆破しようぜ、的なアレに近いと思うんだよな。まぁ原作惣右介のキレてる理屈はもっとなんか、そこ? みたいなめんどさがあるんだけど(オタク早口)。
この間、二秒……!
「俺は基本そうゆうんはないタイプっちゅうか、片づけれる時に片づけてまうからな……。まァ、
どや、Perfect Communicationなんちゃう?
「成程、泥臭く現実的ですね」
「大混乱の後でまだ不安が残っとる時期に、こ~~んなに大事な仕事をたった一人に依存したままやなんてリスクマネジメントが終わっとるや~~ん! て、社内に話拡散すんのがええと思うねんな」
「悪辣だ……」
「失礼やな、会社の利益のための提案やろ」
「最大の問題は誰がそれをやるかですが」
「あとあとあと!! 今は
……だからなんでここまで思想があって省エネぽやぽや運転なんこいつ……。
なんも言われてないっちゃあ言われてないけど、サクッと納得したってことはそういう考えは持ってる様に見える。
ほんなら自分でやれ、自分で……いややって貰ったら困るけど……。
◆◆ 好感度上げ過ぎミス ◆◆
「……問題があんねん」
「はい」
「このまま行くと俺がベタベタに接しとる惣右介の工作に気づかんかったアホになってまうことや」
「現世に逃れた先で『傷心だから時折一人になる』という言い訳に使えるのでは?」
「ダサ過ぎるやろ、イヤや」
「……僕を死地に追いやろうというのに小さな見栄を随分大切にされますね」
「わァった、いっそやるなら手酷くフったらええ」
「勿論です」
「嬉しそうやな……」
◆◆ 百年前の魂魄消失事件の後に虚圏で再会(最低) ◆◆
「いやァ〜、めっちゃ良かったで惣右介! 正に『俺の求めてたモンはコレや!』ってのを特等席で拝めたんホンマ最高やったわ!」
「理由が説明できないからといって僕が誑かしたみたいな話になったの、恨みますよ」
「ほぼ自爆みたァなモンやんけ」
「隊長が悪乗りをしなければああはならなかったのですが」
「あんな据え膳無視できるかい」
「貴方の性格の悪さを甘く見ていた……」
「ホンマ甘いわ、現場なんて言うたもん勝ちやで」
「……あの一連の騒動どころか、この後も含めて全てが僕でなく平子隊長の掌の上でした、なんて、一番最低な話だと思いますが……、最終的にはどう言い訳されるおつもりですか?」
「素直にごめんなさいする予定や」
「…………がんばってくださいね」
「冷たいやっちゃわ〜、共犯やん、オマエも言い訳考えとき」
「僕は『平子隊長に脅されて仕方なく……!』の流れにするので大丈夫です」
「オマエこそあんなノリノリでやっといてそらムリあるやろ……」
◆◆ 拒否 ◆◆
無茶を言われた時の『できない』とは。
すみませんできません ×
できるわけねぇだろ殺すぞ 〇
である。
もちろん惣右介がそんな『できるわけねぇだろ殺すぞ』とかいう治安最低の暴言を吐く訳もないが、目はそう語っている。
「禁術というものはまず倫理的な問題もありますが、単純に難解なんですよ。時間停止なんて気の利いた確保などせずとも、あの老人共は保存液にでも漬け込んで仮死状態にしておけば良いでしょう」
「そんで数年放置してて忙しくて気づいたら死んどる、とかになるよりは時間停止のがバイタル管理が無くなってええんちゃうかと思て」
「その理屈は理解できますが、年単位で安定して置いておきたいとなると『誰がそれを作るか』なんですよ……! 何故自分で自分の首を絞めるんですか……!」
「あ〜、ほんならまず時間延長装置作ってそん中で研究せん? したら全体的にプラスやし」
「……、……作業量は減っていないという点に目を瞑ればメリットは大きいですが……、作業量は減ってないんですよね……」
「ハッチとか鉄裁からそれとなく聞いて来るで」
「ぐ……」
俺の仕事も増えるのは避けられんが、社畜を極めて表面が雑になっとる惣右介からしか得られん栄養素が無限に回収できるのは嬉しい。
◆◆ 本格デスマーチ編 ◆◆
数年かけて虚の力の扱いを慣らしつつ、結局この世界のぽやぽや惣右介の面倒を見るために一人で虚圏に行って進捗共有やら研究の手伝いをして……。
「やることが多い!!」
「隊長が言い出したことでしょう」
「てかギンと要は何しとんねん!」
「二人とも良くやってくれていますよ。しかし、いくら鏡花水月を使っても、そう何度も抜け出すのには限度がありますから」
「……せや、本来オマエがやることが残ってんねん……」
「目標が高過ぎるからです、幾らか見切りましょう」
「やれる」
「やれませんよ、隊長業務と並行していくつ研究掛け持ちさせるんですか!」
「やれる……! やれるだけのポテンシャルは絶対あるハズや……!!」
「確かに一日も休まず他所見もせず全労力を捧げればなんとかなるのかも知れませんが、人権という概念をご存知ありませんか?」
「現世で流行っとるやつ? 死神は人間やない、つまり人権もクソもない。な? 適用外や」
「カスの暴論やめて下さい」
惣右介、若干の語彙汚染。
別に強要した訳ではないが裏で言い合ってる内に使う様になってしまった。仄暗い喜びと罪悪感が同時発生する。
というかなんでこんなに忙しいのか?
言うて百年もあるし、原作じゃ基本藍染一人でやってた筈なんだから、ギーク寄り藍染と、そこに限界オタクの俺くんも参入したんなら余裕だろ?
と、思われるかもしれないが、実際問題、本業から抜け出している間にしか進められん事が殆どだし、原作のイベントは割と原作惣右介のその場のノリと偶然のライブ感が殆どなので、狙ってやろうとすると寧ろ難易度が上がるし、人死にも極力減らしたいのでやることも増える。
結果、タスクはたぶん原作の五倍はある。
「そもそも志波夫妻については、触れなければ匿う仕事も発生しないかと」
「……いや……回避不能や……」
「根拠は?」
「放ったらかしといたら俺がワケ分からんくなるさかい、最低限、死神としては超悲劇的に退場して貰わなアカン」
「その上で殺してはいけないんですよね……? だから『最低限』のハードルが高過ぎますって……!!」
黒幕として暗躍はする。
転生憑依者として救済もする。
両方やらなくっちゃあならないのがこの世界の辛いところや。
「いっそ禁断の二倍速に手ェ出すか?」
「……尸魂界に戻ってから日中サボってカバーします」
「オマエ相変わらず床に落ちとんのか」
「貴方のせい、です、が?」
惣右介、このキレ具合で敬語のままってことは、マジで『僕』が素なんかな。
私モードだと今の十倍くらい激詰めにされそうやから今となってはこれで良かったまであるけど。
◆◆ 市丸ギン、一世一代の大博打、八百長と化す ◆◆
君が明日 蛇となり
人を喰らい 始めるとして
人を喰らった その口で
全てが嘘だと 咆えたとして
許される言い訳は 何だろうか
──まだ許してはいないが一人の女の為に世界の危機なんか知らんともできない男のポエム
「これが松本乱菊の魂魄の欠損を埋める義魂だよ」
「義魂だよ、やないですよ」
惣右介からギンに差し出されたのは、乱菊の欠けた魂魄を満たすための専用義魂と、それを取り込ませる為の装置まで一緒になった救済ハッピーセット。
流石に霊王パーツの現物がないと無理なので、それが必要になる事情を全部ぶっちゃけた上、ギンには『ここは回復補助装置で何卒……』という話である。
「可能ならもっと早く打ち明けたかったんだが、そうもできなくて待たせてしまったのは申し訳ないことをしたね」
「ッハァ~~……。全部聞いた上で言わさして貰いますけど、アンタらアホなんです? いや聞くまでもあらへん、アホやわ。なんで世界の危機を予知しといてその対策が壮大な裏切りのふりになるんです? しかも悲劇を演出しながらその当事者は裏方に囲ってく? 作業の手が増える以上に漏洩リスクも増えますやろ」
「全くその通りだと私も思うよ」
「そうやんなァ? 流石に藍染隊長も同じ意見で安心しましたわ。……で、聞いてます? さっきから後ろで配線と格闘しとるアホの発案者のことやで、平子元隊長!」
「聞いとるわボケ!! 俺かて他に安全な道が見えとんならそっち走りたいに決まっとるやろ!! せやけど世界君は繊細でなァ!! 惣右介とも散々話し合うて今のルートでやってんねん!!! オマエが世界救えるっちゅうんなら全然任したるわ!!! やれんのか!!? ええ!!?!??」
「……ということだから、君も早速今日から事情を知るものとして宜しく頼むよ」
「イヤや〜!」
「それでもこれは必要だろう?」
「要りますぅ!!」
地獄かここは。
虚圏でしたわ。
ポエムで急ハンドル切るとこ、お気に入り。
次回、味変予定(曇らせじゃないよ)。