それでは、どうぞご覧ください。
ある日の朝……
「うぬぬぬぬ……!」
あんなは探偵事務所にある窓を開けようとしていたが、扉が固いのか中々開けられずにいた。そこに……
「ポチ?」
「あっ!ポチタン丁度よかった!」
ポチタンが様子を見にやってきており……
「うぬぬぬぬ……!」
「ポチチチチ……!」
あんなとポチたんで協力して窓を押していた。そして……
「あ、開いた……!!」
「ポチ……!」
苦戦しながらも何とか開けることの成功したのだ。あんながそのまま窓際にもたれかかっていると……
「おはよ――――って、え!?」
そこにみくるがやってきており、あんなの様子を見て何が起きたのかが分からないといったという感じで驚いていた。
「窓を開けようと思ったら固くてさー――――っていうかみくる、今日は早いね?」
「……アルカナ・シャドウのことが気になって……」
「私も!」
「だよね!」
どうやら2人して、先日現れたキュアアルカナ・シャドウのことが気になっているようで……
「プリキュアが怪盗だなんて……」
「そいつのことなら、ロンドンの探偵事務所に問い合わせてみた。あそこの連中なら、色んな情報を持ってるからな」
「そ、それで!?」
「どうだった!?」
あんなとみくるは食いつくようにジェットにそう訊いたが……
「!く、詳しいことは手紙で届くんだよ!」
「手紙?電話して今訊こうよ!」
「超重要な情報は手紙でやり取りするんだ」
そのような情報は手紙で届くらしく……
「そうなんだ……」
「……ロンドンからだと数日はかかるね」
2人は少しばかりがっかりした表情を見せていた。すると……
「あーもう!待ってられないよー!」
「よし!私たちでアルカナ・シャドウのことを調査しようよ!」
「そうこなくっちゃ!」
「ポチ!」
2人とポチタンは、アルカナ・シャドウのことを調べる気満々のようで……
「澪さんも一緒に――――」
あんなは澪のことを探そうと周りを見渡す。だが……
「澪ならもう出ていったぞ?」
「「え?」」
「昨日舞い込んだ依頼が、何でも不可思議関係らしくてな――――」
『肝試し……?』
『はい……友達がそこに行ったまま戻って来なくて……』
昨日、あんなとみくるが学校へと言っている間に、人探しの依頼が来ていたのだ。依頼人によると、心霊スポットである廃墟のホテルへと向かった依頼人の友人たちが戻って来ていないらしく、そこで神隠し事件を解決したという澪のいるキュアット探偵事務所を訪ねたというわけだ。
「それに……その心霊スポットで怪物を見たっていう噂もあって……」
「……」
その話を聞いた澪は……
(これも不可思議の可能性が高いな……よし――――)
『分かりました。ちなみにその場所は?』
『はい……このホテルで――――』
「というわけで、澪は朝からそこに行っているんだ」
「なるほど……」
「また不可思議が……」
それを聞いたあんなたちは……
「でも、ちょっと心配だね……」
「うん……この間怪我したばっかりなのに……」
「ポチ……」
1人でその場所に行った澪のことを心配するようにそう言っていた。
◇
「ここか……」
一方で澪は、早速その怪物が出るという心霊スポットの廃墟になったホテルへと訪れていた。澪は早速中へと入り、探索を開始した。中は物などが散乱しており、歩きづらくなっていた……その時――――
『GyAAAAAAAAAA!!』
「っ!?」
(やっぱり当たりだ……!)
横から一本角が発達し、胸に『Ⅵ』の数字が刻まれた不可思議――――角不可思議が澪に向かって突進してきていた。その角不可思議にはトゲのようなものが螺旋状についている角の他にも、以前倒した脚不可思議のような特徴もあり……
「くっ……!?」
澪の想定以上の猛スピードで突っ込んできていたのだ。澪はそれを躱そうとするも、突進を受けて吹き飛ばされ、近くの壁に激突してしまっていた……。
「くっ……オープン!」
澪は立ち上がりながらドライバーをネックレスから取り出して胸に装着すると、同じく取り出したライドエグズ0をドライバーへとセットし……
「エッグリューション!」
「変身」
「キャット!」
「アイスクロウ!フローズンキャット!」
「ラピス!」
素早くレバーを操作し、仮面ライダーラピスへと変身したのだ。
「ラピスブレイカー!」
「ふっ!」
ラピスは狭い空間でありながらも、それを活かした戦い方で不可思議に攻撃を仕掛けていく。その攻撃を受けた角不可思議も……
『GyAAAAAAAAAA!!』
負けじと猛スピードで部屋と部屋の間の壁を突き破って駆け回りながら、縦横無尽に突進を繰り返してきていた。ラピスはそれをスピードを活かして避け続けるも……
「ぐっ!?」
一瞬の隙を突かれて角不可思議の突進を受け、壊された壁の瓦礫と共に外へと吹き飛ばされてしまっていた。
『GyA!』
「っ……なら――――」
吹き飛ばされたラピスを追って外に出てきた角不可思議を前に、ラピスは立ち上がりながらゲンブエグズを取り出し……
「エッグリューション!」
「ゲンブ!」
「アイアンディフェンダー!」
「ラピス!ゲンブフォルム!」
『GyA!?』
ラピスはゲンブフォルムへと姿を変えたのだ。角不可思議はすかさず突進してきたが、ラピスはそれを避けながら高いところへと飛び上がり……
「ゲンブ!」
「ふっ!」
レバーを素早く開閉した後、下で動き回る角不可思議の行く先に次々と障壁を作り出していき……
『GyAGyA!?』
その進路を塞ぎ、角不可思議の動きを封じたのだ。角不可思議は障壁を破ろうと突進しようとするも、破れずにその場から動けなくなってしまっていた。そして……
「エッグシード!」
「これで終わりだよ」
「ゲンブ!」
「セパレート!」
「はぁっ!!」
飛び降りて角不可思議の頭上からキックを当てようとした……が、角不可思議は突如としてガスのようなものを噴き出すと、角を徐々に光らせ始め……
『GyAAAAAAAAAA!!』
「っ!?」
周辺を巻き込んだ爆発を引き起こしたのだ。それによって角不可思議を囲っていた障壁も割れ……
『GyA!』
「くっ……!」
(逃げられる……!)
その足の速さでラピスからの逃走を図ったのだ。それに対し……
『ライドモード!』
「待て!」
ラピスはラピスライザーを出すと、すぐさま角不可思議の後を追うのだった……。
◇
澪が角不可思議と戦っている頃……
「はなまる発見!」
「あら?どうしたの?」
「あなたの足跡を辿ってきたの!」
「あなたはショップの店員さんじゃない――――」
「「キュアアルカナ・シャドウだ!」」
あんなたちはCDショップ店員に扮したキュアアルカナ・シャドウこと森亜るるかのことを追っていた。正体を言い当てられたるるかは、その変装を解くと……
「やるじゃない、名探偵さんたち」
「だといって、勝てるわけないんだから」
「オープン――――ティアアルカナロッド」
ティアアルカナロッドに紫のマコトジュエルをセットし……
「シャッフル」
先端についているカードのようなものを回転させ、その髪を金色へと変化させた。さらに……
「リバース」
髪や衣装が次々と変化していき……
「神秘と秘密で包み込む……キュアアルカナ・シャドウ――――さぁ、迷宮へ誘いましょう」
キュアアルカナ・シャドウへと変身した。それに対し……
「「オープン!ジュエルキュアウォッチ!」」
あんなとみくるはジュエルキュアウォッチを取り出したのだ。
「「プリキュア!メイクアップタイム!3!」」
「見つける!」
そして、その針を『3』の部分に合わせると、あんなとみくるの髪型と色が変化し……
「「6!」」
「向き合う!」
続けて針を『6』に合わせると、それぞれの衣装へと身を包んでいく。
「「9!奇跡の2人!」」
さらに針を『9』に合わせると、2人の脚には靴とソックス、手には穴開きのグローブが装着され……
「くるっと回して!」
「キュートに決めるよ!」
最後に針を一周させると、髪と耳にアクセサリーがつき、さらにはそれぞれ髪色と同じ探偵のようなケープをその身に纏った。そして……
「どんな謎でもはなまる解決!名探偵、キュアアンサー!」
「重ねた推理で笑顔にジャンプ!名探偵、キュアミスティック!」
「「名探偵プリキュア!」」
「私の答え、見せてあげます!」
名探偵プリキュアへと変身を遂げたのだ。
「はぁっ!!」
早速、アンサーがアルカナ・シャドウに攻撃を仕掛けるも、それは軽々と躱され……
「っ!?」
「言ったはず、動きが単調すぎるって」
「うわっ!?」
「やぁああああああ!!」
ミスティックがアンサーに続くも、その攻撃も躱されてしまっていた。
「どうして怪盗なんかに!困っている人を助けるのが、名探偵プリキュアでしょ!?」
「へぇ……そうなの?」
アルカナ・シャドウはそう口にした後で……
「アルカナスターレイン」
何本ものビームを2人に向けて放ってきたのだ。
「!あの攻撃は……!」
それを見たジェットは、何やら驚いた様子を見せていた。
「自分の身も守れない人が、人を助けるなんて言わないで」
「っ……」
すると……
「お前、あの時助けてくれたよな?」
「「えっ?」」
「今の光……あの時と同じだ!」
これは澪がこの時代に来る前の話になるが、ジェットとポチタンがハンニンダーの攻撃を受けようとした時に、謎の黒い光がそれを一気に消し去ったという……その光を放ち、ジェットとポチタンのことを救ったのが、アルカナ・シャドウだという。
「あの時助けてくれたの、お前だろ?」
「ポチ……」
だが……
「……はずれ。推理がまるでなってない。私はただ、あの子の力に興味があっただけ」
「ポチタンの……」
「力……?」
「それって――――」
「ポーチー!!」
「!まさか、マコトジュエルが盗られたのか!?」
「ゴウエモンね」
「私が興味があるのは、あの子のマコトジュエルの危険を察知するあの力……ジュエルをあるべき場所に戻す力」
「あるべき、場所……?」
「どういうこと……?」
「!……あなたたち、何も知らないの?」
そこに……
「よっと!マコトジュエルを手に入れたぞ!」
「雅美さんのミサンガ!」
マコトジュエルを手に入れてきたゴウエモンが戻ってきた。ゴウエモンは、目の前にいるアンサーとミスティックを見ると……
「!プリキュア!?……アルカナ・シャドウ、借りは返す!――――ウソよ、覆え!来やがれ、ハンニンダー!」
「ハンニンダー!」
盗んできたミサンガをハンニンダーへと変えてしまったのだ。 ハンニンダーは鎌鼬のように風の刃をいくつも飛ばし、攻撃を仕掛けてきていた。
「雅美さんのミサンガなのに……なんてことするの!?」
「見てたでしょ?私は切れたミサンガに思いがあると教えただけ……ミサンガの価値を彼女に教えなければ、捨てられていたはず。いらなくなったものに価値を与えて、それをもらっただけでしょ?」
「でも、あなたの言葉で雅美さんは大切だと思ったんだから――――」
「それを奪うなんて許さない!」
「だったら、止めてみなさい」
「ハンニンダー!」
そうしてハンニンダーは、アンサーとミスティックに向かって風の刃を飛ばそうとした……が、そこに――――
『GyAAAAAAAAAA!!』
『!?』
何と澪が追っていた角不可思議が現れたのだ。さらに続けて……
「はぁっ!!」
『GyA!?』
ラピスライザーに乗ったラピスが現れ、そのまま飛び蹴りを角不可思議に食らわせたのだ。
「「ラピス!?」」
「っていうかあれは……!?」
突然の乱入者たちに、その場の全員が戸惑いを隠せずにいた。
「ふっ!はぁっ!」
(よりによってここに来るとは……あの爆発を起こさせる前に倒さないと――――)
ラピスの方もアンサーとミスティックがファントムと戦っている場面に出くわすとは思っておらず、先ほどの廃墟での爆発を引き起こさせる前に倒そうと、少し焦りを見せながらも戦いに集中していた……が、
『GyAAAAAAAAAA……!!』
「まずい……!!」
「ゲンブ!」
角不可思議が廃墟で見せた爆発を起こそうとしているのを見て、ラピスはその場にいる全員を障壁で覆うことで守ることを優先した。そして……
『GyAAAAAAAAAA!!』
火柱が上がるほどの大爆発が引き起こされてしまった。その爆発によって辺り一面には煙が立ち込め、互いの姿を認識することができないほどの視界になっていた。
「っ……アンサー、大丈夫?」
「わ、私は大丈夫……それよりも澪さんが……!」
2人はラピスの無事を確認しようとするも、視界が悪く見つけることができずにいた。それから意外にもすぐに、煙は晴れ……
「アルカナ、大丈夫!?」
「うん……」
「な、何が起きたんだ……?」
「は、ハンニンダー……?」
周りにはアルカナ・シャドウにマシュタン、ゴウエモンにハンニンダーがおり、全員が傷一つなく無事な様子だった……が、
「ぐっ……はぁ……はぁ……!」
「「澪さん!!」」
全員を障壁で守ったラピスの変身は解除されてしまっており、澪はその場に膝をついていた。澪の身体には所々に傷や血が出ている箇所があり、特に腕に火傷を負ってしまっていた……澪は爆発が起きる直前、アンサーたちや怪盗ファントムとハンニンダー、さらには周りの建物などを障壁で守っており、自身の防御は最小限にしていたのだ。2人はすぐさま駆け寄ろうとするも……
「僕に構うな!早くそいつを……!」
「「っ……!」」
澪は自身のことよりもハンニンダーを優先するように言ったのだ。
「で、でも――――」
「アンサー!」
「っ……うん!」
アンサーは一瞬だけ迷うも、ミスティックに呼ばれたことで意を決し……
「「オープン!プリキットミラールーペ!」」
ハンニンダーを何とかすることを優先した。
「「ポチタン!」」
「ポチ!」
ポチタンが2つのマコトジュエルを生み出し、それを受け取った2人はルーペにセットした。
「見て!」
「感じて!」
「「謎を解く!」」
「「これが、私たちの、アンサーだ!!」」
「!?」
「「プリキュア!フライングスペクトル!!」」
それから1羽の鳥のような光がルーペから放たれ、ハンニンダーへと向かっていき……
「「キュアっと解決!」」
ハンニンダーは浄化され、元のミサンガに戻ったのだ。それからすぐに……
「澪さん!!」
「アンサー……ごめん、逃がし――――っ!?」
「あっ!?」
アンサーは澪のもとに駆け寄るも、澪は未だに動けずにいた。すると……
「……仮面ライダーラピス!」
『!』
「敵ながら俺たちを救ってくれたことは感謝する!だが、次こそは負けねぇからな!」
ゴウエモンが自分たちを助けてくれた礼を言うと、アルカナ・シャドウよりも一足先にこの場から去っていった。
「……」
アルカナ・シャドウは怪我をした澪に駆け寄るアンサーたちを見ながら……
「まずは礼を言うわ……また、助けられたわね」
「言ったはずだよ……誰であろうと助けるって」
「……あなたは、本当に――――」
アルカナ・シャドウも本来敵である澪に礼を言った。その後に返された澪の言葉に対し、アルカナ・シャドウは何かを口にしようとしたが……
「いえ、何でもないわ。それと……用済みの探偵事務所に、あなたたちは価値を与えた。そのミサンガみたいに――――事務所、私が使ってたの」
『!?』
「事務所の窓、押し上げて開けるのがコツ……それと、お大事に」
アンサーたちにそう言い残して、マシュタンと共にこの場から去っていくのだった……。
◇
「この前はありがとう!見つけてくれたミサンガ、大切にしまってるよ!」
「良かった……!」
澪が角不可思議と戦った数日後、あんなたちが取り返したミサンガの持ち主である雅美がプリティホリックにやってきていた。
「私、もっと自分を磨いて、新しい恋に踏み出すよ!」
「うん!」
それから、商品を見ている雅美のことを見ながら……
「ミサンガを捨てなかったから、雅美さんは次の恋に踏み出せたのかも……」
「アルカナ・シャドウのおかげ……?」
「……恋、か……」
あんなはみくるに聞こえない声量で、そんなことを呟くのだった……一方、怪盗ファントムのアジトである劇場では……
「マコトジュエルが手に入らず、申し訳ありません!」
ゴウエモンがウソノワールに、マコトジュエルを手に入れられなかったことに対する謝罪をしていた。すると、それを聞き……
「ミラージュの書に記された日は近い……この目で確かめる」
「!ウソノワール様が……自ら!?」
「う、ウソでしょ……?」
ウソノワールは今まで動いて来なかった自身が、自ら表に出ると口にしたのだった……。
「ゆくぞ……怪盗ファントム!」
読んでくださり、ありがとうございます!
今回は敵として、角不可思議にこの小説で以前登場した脚不可思議を合わせた角不可思議融合体を登場させました。その不可思議の攻撃によって澪は怪我を負い、取り逃すことになりました。果たして、ここからどうなるのか……?
それでは、次回の話もどうぞよろしくお願いします。