第4部隊と第13部隊の作戦は途中までは順調だった、だから油断したのだろう
気付けば俺は突然発生した水流に守ろうとしてくれた零さんと共に流されていた
──晄side──
それは突然の事だった、周囲には川も水場もないのに関わらずに水が襲ってきたのだ
それに匂いは潮の香り、ここは埼玉エリア海から離れているのに海水?
無事な人達を確認してる途中何かに気付いたかのように若菜が大声を上げる
「白菜!今すぐにスキルを使え、このままだと全滅するぞ!」
パァン
白菜が自身の掌を叩く、これは無効化のスキルを発動する時に使う行動だ
「若菜さん、いきなりどうしたの?」
「どうしたもこうしたも無い、いるぞ教団幹部の1人が」
翔の言葉に若菜が答えた
その瞬間、ここから離れた場所に大量の木が生えたのを捉えた
「あの植物が教団員ですか?とすると相手は2人ですか」
「いや違うぞ、3人だ
水で蒼空達を攫ったのと、あの木を発生させた存在⋯⋯そして吾輩達を狙ってきたのは病だ、吾輩が五感を拡張していてよかったな?気づかなかったら既に全滅だぞ?」
「3人、ですか⋯⋯別行動したとしても戦力がたりませんね」
「それに関しては問題ない、何故か刹那と儚の両名があの木の奴と戦闘を初めている」
成る程、ではここは翔と目を合わせ頷き合う
同じ考えなのだろう
「若菜と白菜と私で相手をします、翔と夏向さんは蒼空さん達を追ってください」
「うん、お互い無事を祈ってるよ」
そして2人は後を追う、さて未だ姿が見えない相手を探す
「何処にいるのでしょうね、わかりますか?」
「ふん、上だ見てみよ」
上を見上げる、そこには卑屈な表情をした斑模様の服を着た少女がいた
彼女が嫉妬のヴァイラスなのか
「エヘ、エヘヘ
終わりだよ君たちはわたしが殺してあげる」
「ふん、くだらん戯言だ」
言葉を発するとともに若菜が投げた石が巨大化しヴァイラスに襲いかかるが
グチュと言う音と共に腐り落ちた
「どういう事だ?貴様の能力はウイルスを操ると聞いていたが」
「エヘヘ、知ってる?嫉妬とは即ち全てを妬み嫉み朽ち果てさせる精神性の事なんだよ?
きみ達と腐らせてあげる」
儚さんの報告と違う、儚さんが嘘をつく理由は存在しないから後からスキルが変化した?もしくは病やウイルスを操るのじゃなくて
そこまで思考を進めたら頭がクラクラしてきた
「白菜、また頼むぞ!」
パァンと白菜が無効化を発動した、その時に気がついたが私の手に斑模様が浮かび上がっていた
「成る程、病に侵す事も可能か」
腐敗に病⋯⋯相手のスキルがどうであれここで倒さなければ危険だ、やるしか無い
そのまま若菜が敵に突っ込み殴りかかる、身体能力の拡張による格闘戦を仕掛けたが
ぐちゅり
若菜の手が腐り、間髪入れずに自分の手を引き千切った
「若菜!右手が」
「問題ない、全身が腐り落ちるよりはマシだ」
若菜は自身の回復力を拡張し無理矢理傷を塞いでいた
悔しい、私がアンカーでは無く禍姫だったら一緒に戦えるのに、だけど前を向くアンカーは部隊のリーダーだ
俯くのは後回し、勝ち筋を生き残る道を探す
考える、相手の能力を⋯聞いていたのはウイルスや病原菌を操る能力だが実際は腐敗させている
特に石を腐敗させるウイルスや病原菌何て聞いたことも無い⋯⋯待って操るならそもそも此処に無ければ操ることも出来ない
ヴァイラスを見る
「クヒッヒヒわたしの能力が怖い?わからなくて怖いでしょ?」
操るのでは無く、もし有機物、無機物に問わないウイルスを生み出す能力なら操ってるようにも見えるはず
それなら
「若菜、白菜にお願いがあります
能力を全開で使ってください、禍深度の心配はしなくて結構です必ず直し切りますから」
「ふむ、だがそれでは晄の脳にかなりの負担がかかるがそれしか無いか
だが白菜も前に出るとなると無効化の範囲から外れるぞ?」
「構いません、私が病で命を落とすより早く倒してくれると信じてますから」
私はアンカーだ、だったら禍姫を信じて行動するのみ
ここからが本番だ、生きてさえいれば第9部隊が必ず治してくれる
手足も治してくれるのだ、だったら後を託し目の前の敵を討つこと優先する
──刹那side──
面倒だと思う、こっそりついて行っていざとなったら手助けするつもりだったのだが気付けば森の中
しかも意味不明な植物が点在する
「おっと、またか」
足元が盛り上がったと思ったら、槍のように鋭い木が襲いかかってきたので鎌で切っておく
「はぁ~、早く合流したいんだけど諦めてくれないかな?」
「断るよ、君達はわたしに足留めされているのがお似合いです」
声が聞こえ儚が音もなく忍び寄り首を跳ねる
だが相手は枯れ木となり別の場所に再び生えてくる、とんだびっくり人間だ
「刹那どうしますか?」
「う〜ん、とと」
周囲にまた木が生えてくる、確かマンチニールとかいう木だったような
ここは危ないから離れよっと
「ふふ、あの第1部隊が逃げ惑うしか無いとは滑稽ですね」
うーん、僕と相性はあまり良くないな
ここまで木が多いと毒とか関係無しに速さを活かしにくい環境だ
儚も相手がびっくり人間のせいで得意の暗殺が意味をなさない、まあ負ける事も無いし無茶すれば普通に勝てるが皆の手助けが難しくなる⋯⋯どうしたものかな
「だんまりですか?焦ってるのですか?」
「さっきから煩いな君は、少し考え事してただけだよ
そもそも君は幹部でもないでしょ?カノンから聞いたステラにウォー、メアと比べると弱すぎるし」
「なんですって?」
そう弱いのだ、僕や儚はスキルを万全に使えない状況にも関わらずに無傷
第7部隊の花見 瑠流ちゃんも植物の成長のスキルだがそれよりも強力な植物生成のスキルみたいだが使いこなせていない
それに幹部と渡り合うには個人で戦うなら最低でもカノンや悠利クラスの実力が必要、それに比べやろうと思えばこの教団員は僕一人でどうにでもなる程度の実力しかなさそう
「刹那、言い過ぎでは?」
「事実でしょ、どうしようかなっと」
皆の様子が気になる、もう面倒だ全て切り払うか
ということで鎌を構え腰を落とし前を見据える
「儚、もう面倒くさいから全部切り払うね
後よろしく」
「刹那?何をしようと」
そこまで聞き届けスキルを全開で使う、僕の体から青色の粒子が溢れだしてきた
儚を見ると顔を引き攣らせていたが、そう言えば儚が教団にいた時に使用した事あったっけ
まあいいや
「ねえ、教団員の君は何で僕が最速と言われるか知ってる?第4部隊には爆破や氷で加速したり、他部隊にも高速で動ける人もいるのに」
「そんな事どうでもいいことですわ、どんなに速くても動けなければ問題ないでしょう?」
そして、僕は全てを薙ぎ払った
木々も潜れていた敵の本体も別け隔て無く
「な⋯にが」
「教えてあげるよ、僕のスキルは残光
光より速く全てを切り払う、それが僕の本当のスキルだよ」
こっちは決着がついた⋯⋯まあ禍深度の影響でこれ以上のスキルの使用は厳しいがスキルを使わなければいいだけだしね
「刹那、まあいいですか
丁度アンカーが2人もいるのでどちらかに合流して深度を下げてもらいましょう」
「りょーだよ」
「それから帰ったらカノンにアンカー無しでスキルを完全解放した事を報告します」
その言葉に冷や汗がでた、カノンは普段は優しいが怒ると怖いというか申し訳ないのだ
こちらを心底心配してるのがわかる表情と言葉遣いで心配してくる
「えっと、儚?無事だったんだから良くない?ほらカノンも忙しいだろうし」
「それとこれとは別の問題ですよ、逃げないでくださいね刹那」
終わった、帰ってからの方が大変だよこれは