勤勉のフリュイドは黙ったまま俺達を眺め、目を細める
そして俺以外の皆を確認するように一人一人見回した
「認めるよ、きみ達は障害になり得る
先ずは謝罪からかな、無理無茶無駄と言ったことは撤回するよ、すまない」
相手が謝罪した事により、皆が驚くが儚さんだけは警戒を弛めず射抜くように見つめる
「謝罪ついでにもう1つ謝るよ、手を抜いていた事をね
だからこうしようか、お互いに全力を出せるように」
そして俺の事をまた水球が囲い込む、吸収しようとスキルを発動しようとするが
「うぐ、これって」
頭が痛む、体の中に不快な物が流れ込むような嫌な感じがしたので吸収を止める
「これで御子は無力化⋯⋯そしてわたしの水球に囲まれているなら水流による被害も気にしなくていい
これでお互い全力を出せるよね?」
「蒼空に何をしたのるしたの?ただの水じゃなさそうだけど」
「その水には禍霧が含んでいる、ただでさえ限界が近かったみたいだし吸収出来ないのだろう?」
フリュイドの言う通りだ、少し吸収しただけで痛みや不快感が走ったのだ
これ以上続ければ俺は耐えられない
「というわけで、禍姫共ここからは本当の意味での命のやり取りだ」
「零、夏向、儚さん手加減抜きで行くよ」
「うん、最初からそのつもりだよ今度は皆がいるしね!」
「ふーん、問題ないわね勝つわよ」
「私もお手伝いします、そして教団は滅ぼします」
4人はやる気のようだ、そして動き出す
まず零が今までと、違い氷の礫では無く氷の槍を放つが水流により流される
その死角を付き儚がナイフを突き立てようとするがフリュイドが空中に逃げる事で届かなくなる、夏向は普段使いの小型ナイフを投擲しそれを起点とし爆発を引き起こすが爆風は水流により掻き消された
そして水流のレーザーが空から降り注ぐ
「油断は無し、様子見もするつもりは無い
きみ達は脅威だ⋯⋯確実に殺させてもらうよ」
「零、凍らせる場所は水流そのものじゃなくてその起点
そこを凍らして」
「了解だよ!」
零がレーザーの発射地点そこを凍らせた事により水は纏まりをなくして、水はばら撒かれた
「所詮は水流、流れの元を塞げば勢いは1点だけにならないでばら撒かれる、ホースの先端を塞ぐのと同じ要領よ
とはいえ氷が砕けるまでの時間稼ぎにしかならないけど」
「やっぱり夏向がいてけれて嬉しい!私1人じゃ何度やっても防げなかったもん」
零が戦闘中にも関わらずに夏向に抱きつく、その様子をフリュイドは冷静に観察していた
「成る程、そう来くるか
ですが1つ訂正をわたしのスキルは水流⋯⋯熱湯もまた水流たり得ると考えましたか?」
「そうね、それを使われたら確かに凍らないかも知れないけど
貴女こそ気づいてないの?」
「何を⋯⋯わたしが見逃してる?」
フリュイドは周囲を確認する、何を見落としてるのか分からずに、まあ俺も分からないのだが
「教団は個人主義がすぎるようね、もう1人の幹部の方には刹那さんが向かったのよ?そしてヴァイラスは確か無理だと悟ったら逃げると聞いていたのだけど」
夏向さんの発言の後、世界が蒼く染まりフリュイドの全身が斬り刻まれた
「私達は1人じゃないの、それにここにいる人以外にも仲間はいる
それが貴方達との違いよ」
直ぐ様フリュイドの体は再生していくが忌々しげにもう1つの戦場の方向を睨んでいた
⋯⋯近くにさっき夏向さんが投げたナイフが合ったので拾う後で返そう、もしかしてフリュイドが刻まれた時一緒に水球が消えた事に誰も気づいてないのかな?
夏向さんがこっちを見て驚いた表情をしてたので手を振ってみるとナイフを一瞥しフリュイドの方に視線を向けた、もしかして刺せという事か?
取り敢えずフリュイドに近付いてみるが気付かれない、別に隠密が得意ではないのだが、まあいいやとナイフを刺してみると目を見開き振り返ってきた
「何をやってるの?もしかしてそんなナイフでわたしが死ぬとでも?
⋯⋯あれ?何で近寄ってきたの?馬鹿なの?」
混乱してるのがよく分かる、何せ向こうからしたら捕まえるべき対象が自分から近づいてきたのだ
俺もよく分からない⋯⋯思考途中でナイフの先端が爆ぜた
「そういえば言ってなかったわね、そのナイフには私の髪が仕込んであるの、だから離れていても私の一部としてスキルを使い爆発させることが出来るわ
零みたいに遠隔で効果を発揮出来るスキルじゃ無いから色々仕込んであるの」
因みに至近距離で爆発したせいで吹っ飛んだ、そして夏向さんに襟首を捕まれ翔さんの近くまで回収される
「それから蒼空、私は投げさせるつもりだったのよ
貴女は狙われてるのだから普通に考えれば近寄ろうなんて考えは浮かばないはずよね?言わなかった私も悪かったかも知れないけれど、いえ貴女は自分を大事にしようなんて考えがそもそも出てこないからこうなったのかしら」
「夏向、蒼空には後で話すとして向こうをどうするか考えないと」
翔さんのお陰で夏向さんの言葉攻めが終わった
未だにフリュイドは動かず理解できない生き物を見る眼差しで俺を見ていた、そして溜息をつき
「ここまでかな、時間をかけすぎたみたいだね
ヴァイラスめ本当に撤退してたとは」
「逃げるつもりかしら」
「違うわ帰るだけ⋯⋯それに3つ、いえ4つの部隊と戦おうとは思わないわ面倒臭すぎる」
4つ?俺達第4部隊と晄さん達第13部隊に儚の第1部隊だけのはず、他部隊もいたのだろうか
翔さんと夏向さんは気がついたかのように東京エリアの方向を向く
「第5部隊の人達のことかな」
「ええ、そもそも私達は第5部隊が別の作戦も出来るようにするために今回の作戦を実行していた
そして第5部隊は東京エリアに今は滞在してたわ、ここまで派手にやれば流石に動くわよね」
フリュイドは俺を見る、何かを探るように
彼女からしたら俺はそこまで理解できない存在なんだろうか?確かフリュイドの銘は勤勉だった筈、何だっけ無駄や無茶をしない精神性だったけ
そして理解した、俺を未知の生き物のように見るはずだ
だって向こうからしたら死なないのは前提以前の確定している事柄だ、それに対して俺はいざとなったら自分の事は二の次にしている⋯⋯治そうとはしてるけど今回で治ってないことが判明した、自分自身の事なのに難しいな
ともかくフリュイドからしたら心底理解出来ない存在が俺なのだろう
「成る程ね、きみの事が少しは分かったよ
1つ忠告だ自己犠牲は誰も救わない、敵であるわたしが言うのも何だけどね、周囲の人達⋯きみの事を心配する人達の気持ちを少し考えてから行動するべきだ」
「その通りだけど蒼空を狙う貴女が言うべきセリフではないわね」
フリュイドの言葉に夏向さんが向かう、その通り何だ
「まあね、わたしはもう行くよ
因みにわたし達、教団幹部は確かに仲間だけどそれは御子つまりは蒼空を手元に置く瞬間まで、全員が禍神に対して別の目的を持っているんだ」
「何でそれを僕達に教えてくれるのかな?」
翔さんが問うがフリュイドは何も言わずに消えていった
俺はそこまでゲームを進めていないから幹部の人達の目的までは知らない
「これ以上の教団からの接触は無いと判断し、私は刹那さんと合流し帰還します」
「そうなの?それじゃ儚さん、ここまでありがとうまたね」
「それでは」
儚さんが別れを告げ、刹那さんの所に向かって去っていく
「翔、作戦は続行でいいの?」
「それなんだけど連絡が来ていてね、残りは第5部隊が東京エリア側からやってくれるみたいだから僕達も帰還しようか、零も傷だらけだし」
「それじゃ帰ろうかしら⋯⋯第13部隊の皆は?」
「そっちも若菜さんが怪我をしたみたいだから帰還するみたいだよ」
「じゃあ帰ろっかー、う〜疲れた」
「零もお疲れ様」
そして俺達は今回は帰還することにした⋯⋯結局俺がいる限り教団に狙われる可能性は高い、何とかしないとと考えながら皆と一緒に帰り道を歩く