戦闘を始める前に何故か、俺以外の皆が手を重ね合わせている
「何やってるの、貴女も早く来なさい」
俺が不思議そうに見つめると、呆れたような表情をされる
いや戦闘を始めるんじゃなかったのか
「まさか、知識だけで実際のやり方は知らないの?」
実際に言われた、何だ本当にわからん
「まあまあ、蒼空さん取り敢えず手を重ねて貰ってもいいかな」
「えっと、こうですか?」
「うん、ありがとう⋯それじゃあやるよ」
他の2人を見ると特に何をするでもなく手を重ねていた、しばらくすると暖かい何かが掌から繋がるのを感じる
「どうですかー、これがコネクトリンクですよ!不思議な感覚でしょ!」
零さんが得意げに話しかけてくるが何だろ、違和感が凄くて
「なんか気持ち悪い」
「え」
「大丈夫ですか?」
「これは⋯⋯」
思わず口にでてしまったが皆が驚いた表情で見つめてきた
なんか翔さんだけ驚くというより心配そうな表情だが
禍姫のメンバーだけが驚いた?何で?
そういえば原作では暖かくて安らぐ感覚だと蒼空は言ってたような気がする
もしかして原作いきなり壊した?まあ大丈夫でしょきっと
「上は何を考えてるのよ、ここまで不安定な子を部隊に配属させるなんて」
「なにか言いました?」
「何でもないわ」
考え事をしていたせいで夏向さんの呟きを聞き逃してしまった
────────
「気を取り直して戦闘開始だよ!」
零さんが張り切り声を出す、満面の笑みで可愛いな⋯⋯
前方に3匹の狼と少しズレて左側に一匹の狼が存在している⋯⋯よく笑顔でいられるな
そんな事よりチュートリアルの続きだ、俺は俺の役割を果たさないとな
「さて翔さん、スキルについての説明は必要ですか?」
「いや、大丈夫だよ」
おや?断られた?ここは一応お願いされる場面の筈なのに
「零、前方の狼の足止めをお願い
その間に夏向は残りの一匹を撃破、その後は無理せず順番に」
「つまり、いつも通りですよね!とっりゃー!!」
零さんが地面に思いっきり手を振り下ろす、そして地面が狼めがけて急速に凍りついていく
「張り切りすぎよ零、まず一匹」
夏向さんのそばに狼の残骸が転がっていた、いつ移動したのか⋯いつ倒したのか一切見えなかった
ただ死体が焦げていることから爆破した事が多少わかるだけだ
「どう?皆強いでしょ」
「強いっていうか、えっと何がなんだか」
原作だとこんなに強かったっけ?
ドンっと言う音がしてそちらに目を向けると夏向さんが別の狼に接近していた
瞬間移動の原理は地面を爆破しての高速移動かな、なにそれ知らない
「ざっとこんなものね、翔どう?」
「いい感じだよ、リンク状態で確認しても禍深度は2%の上昇これなら直ぐに癒せる」
「つまんないですー!もっと派手に凍らせたかったですよ」
「ごめんね、でも零の能力は足止め、攻撃、守りなんでも出来るけど進行度もその分早まるから本当に必要な時以外はできれば加減してね」
「ふふ、さてとどうだったかしら?お姫様」
何かを確認するように夏向さんが語りかけてくる
「えっと」
ボーとしていたせいで反応が遅れた、何も出来なかった
原作でも蒼空はこの場面では戦闘には関わっていなかったから仕方ない
でもなんというか⋯⋯
「凄かったです、私は何も出来なかったのに」
「まあ、仕方ないよ
誰だって初めはそんなものだしね、零も夏向も最初は苦戦してたしね」
「何を!翔だってコネクトリンクするのに、おどおどしてたじゃん!」
零さんが翔さんに掴みかかり反論している、そしてその少し後ろで見守るように夏向さんが見守る
これが第4部隊か
──夏向side───
あの後、少しだけ訓練を続け何度か狼型を討伐し零と2人で自室に向かう
「いや~、まさかお姫様と同じ部隊になるとは
夏向ちゃんはどうでしたか?私の第一印象は守ってあげなきゃと思いましたけど」
いきなりでもないか、零なりに何かを感じていたんだろう
空気を読まないように見えてその実、周囲を見ることに優れている⋯⋯が空気を読んだ上で無視するのだから質が悪い
「そうね、部隊に配属するには不安定な子といった感じね」
「あはは〜、コネクトリンクを気持ち悪いと言ったのは私が知る限り儚さん以来ですかね」
儚⋯⋯第1部隊に所属している禍姫にしてかつて禍憑になりかけた少女
「そうね、昔にはもっといたかも知れないけれど
はぁ~面倒なのが来たわね」
ただ第1部隊には刹那や久世という、まさに人類の希望とも言える禍姫が所属している、所属しているアンカーもまた優れていると聞く
そのおかげで禍憑にならずに済んだらしい
会話中に壁に掛けられていた植物が急成長し花が襲って来たので軽く避ける
怪我をさせるのが目的ではなく驚かせるのが目的
後方を見ると桜色の髪を腰まで伸ばした巫女服の少女がいた
「いきなりご挨拶ね、何のようかしら花見 瑠流」
「ぬわぁ〜ハッハッハ、何か深刻な顔をしてたからつい」
「おおー瑠流ちゃんこんばんはです!」
「こんばんはだよ!零ちゃん!「イエーイ!!」」
「すみません、止められずに」
2人が騒いでるのを横目で見てたらもう1人の少女が謝ってきた
白髪の髪を肩まで伸ばして切り揃えた少女
「貴女のせいじゃないでしょ、星観さん」
花見 瑠流と同じ第7部隊に所属している禍姫、星観 星沙
「お互い騒がしいのが近くにいると、苦労するわね」
「でも悪い感はしませんよね⋯⋯こんな時間が続けばいいんですけど」
「ところで、1人たりなくないかしら?あの絵描きはどうしたの?」
問いかけに対して星観さんは目をそらし気まずそうに答える
「彩さんはその⋯⋯訓練場の壁や床に絵を描いてしまって」
「また説教されてる訳ね、懲りる事を知らないのかしら
それと花見さんはこんな所でスキルを使ったわけだから、また反省文を書くことになる訳ね」
「あはは、もう少し落ち着いてくれればいいんですけど」
会話をしながら歩き、考える明日からの事、お姫様の事を