──蒼空side──
連れて行かれた先は霧が満ちる空間だった
そして2人の少女の声が聞こえる
「メア、随分お早い戻りです
何をやってたんです?」
「うるさいな、何だよあの2人は
確かに僕ちゃん様なら足止めは出来るよ?それでも数十回は殺されたし!剣を振るだけで半身消し飛ぶは生き返った瞬間に何故か復活地点がバレて頭と心臓打ち抜かれるわ、挙句の果てに鎌で斬りつけようとしたらそのまま消し炭にされるわ向こうの方が化物だろ!」
「ふむ、聴いてはいましたが流石は最優と最強の禍姫の事だけはあるです」
赤髪と青髪の少女、ウォーとメアが話していた
そこにステラが声をかける
「それは頑張りましたねメア、ですが貴女の頑張りのおかげで御子はこちらに来ました
第1段階は取り敢えず完了ですね、では皆さん行きましょうか」
「ステラも戻ってたのですか、それとその子が御子なのかです」
「キヒ、何か思ってたより普通そうだな」
2人の視線が俺に向かうが直ぐにステラに向かう
「次ですね、それはいいのですが邪魔が入る可能性は高くないですか?始末した訳では無いのですよね?」
「ええ、あの場で殺しては蒼空さんが反発してしまうかも知れませんしね
ですが邪魔してきたなら今度は容赦しません、いいですよね?蒼空さん」
これは確認に見せかけた強制だ、もし否定した場合は見せしめとして直ぐさま皆を殺しに向かうつもりだろう
だから俺はこう言うしかない
「勿論です、その場合は仕方ありません」
「⋯⋯成る程です、ですが面倒な二人組はどうするです?メアはやられたみたいなのです」
「それなら心配ありませんよ、最悪の場合は蒼空さんが奪還されたとしても構いませんし」
その発言にメアが噛みつく、それはそうだろう何度も殺されたみたいだし
だけど少しおかしい、メアの能力の本質は確か不死ではなかった気がする⋯⋯足止めだから能力を完全解放しなかったのだろうか
それにウォーがいるならステラでは無くウォーが来たほうが自然だ、ウォーの能力は確か
そう考えているとメアの声が響く
「ちょっとそれって僕ちゃん様の頑張りは意味なかったて事?」
「それは違いますよメア、目的地に置いて確認した後なら奪還されても構わないのです、できれば私達の側にいて欲しいので抵抗はしますが⋯⋯なので向こうが攻めてきたら適当に迎撃した後に時間がかかりすぎる場合は一旦諦めます
最後にこちら側に居てくれればいいだけですからね」
ステラの目的には俺が必要だが今回は確認だけということだろうか、それにしては幹部が2人に教主自ら出張ってきている
確か俺、蒼空は深い禍霧の中に放り込まれ許容を遥かに超える量の霧を吸収させられていたはずだが、同じなのか別なのか今はわからない
「それならウォーは問題ないです、メアは?」
「僕ちゃん様も別にー、それならあの2人とは再戦することになるし今度は僕ちゃん様も最初から全力で行かせてもらうだけだし」
「2人共納得してくれたみたいですね、それでは今度こそ向かいましょう、東京において各地を結んでいた地下路線⋯⋯第3禍災がおかた禁忌の地へ」
そして歩きながらステラがこちらを向き、にこやかに聞かれたくない事を何でもないように聞いてくる
「そういえば、蒼空さんには妹さんが昔いたみたいですね
確か禍獣に蒼空さんの目の前で喰われたとか」
「だとしたら何ですか?」
少しだけ、言葉がきつくなる
あの時、俺が散歩に出なければ禍獣に会うことはなかった
俺が殺したようなものだ、この世界では普通に人が死ぬ事を知っていたのに、俺が出かければ妹が付いてくることは知っていたのに⋯⋯俺のせいだ
前世でも俺は妹を喪っている⋯⋯俺の背負う罪だ、原作だと今世の妹は登場してなかったから死んでたかも知れないが生きていたかも知れないのだ
「ふふ、そんな怖い顔をしないでください
せっかく仲間になるなら世間話をしたくもなります」
「因みに僕ちゃん様は家族はいないよ、ウォーもステラも教団内の人は全員ね」
「メア、その通りですが言い方が」
「別にいいじゃん、それに御子⋯蒼空だっけ?も家族もう誰もいないんでしょ?一緒だねキヒヒ」
メアが愉快そうに笑う
確かに今世の家族は妹を最後にいなくなってしまった
だけど教団員の連中は家族を俺みたいに失った訳じゃない、自ら捨てた連中だ
決して教団員とは一緒じゃない⋯でも妹を見殺しにした俺はもしかしたら
「くだらない考えなのです、家族だの何だのウォーには関係のないことなのです」
「おや、家族は良いものだと思いますが?
それに私にとって教団こそ家族ですし」
「思っても無いことを言うなですよ気色悪い、ステラ
あー本気で思ってそうで質が悪い可能性もあるのです
そもそも余計な感傷など不要です、確実に事を成す精神性こそが強欲たるウォーの本質なのです」
「キヒヒ、そこは相容れないよな僕ちゃん様とウォーは
いついかなる時も自分を貫く精神性こそが怠惰たる僕ちゃん様の精神性だしね」
ウォーとメアの2人が己の本質を話す
教団に所属している幹部の七罪と七徳は自身の精神性を表す銘をステラより与えられている
「2人共やはり変わりませんね、まあ変わってもらっても困りますが
何せ七徳の1人忠義は私達と袂を分かつに至りましたし」
「ああ~まあ忠義はそれしか道がなかったから教団に居たみたいなものだしね」
「カノンに誑かさた愚か者なのです」
教団の裏切り者とは現第1部隊に所属している禍姫、儚の事だ
確か物語の中盤で判明する事実、元教団幹部忠義にして今はカノンに忠誠を誓っている暗殺特化の禍姫だ
ふと、ステラがこちらを見る
「そんなんですよね、そのせいで席が忠義と純血の2つも空いてしまっているんです
そこで蒼空さんに1つ提案がもし宜しければ銘を授けたいのですがどうでしょう?そうですね自身を罰し続ける精神性の貴女には純血の銘が相応しいでしょうか?」
ステラがこちらを慈しむように頬に手を当て告げる
もし頷いたら本当に教団員になる可能性があるが、それは駄目だ
原作と乖離しすぎるしこの後の展開に俺が耐えられるのかどうかも分かっていない、だから答えは
「考えておきます」
「あら残念」
特に残念とも思ってなさそうな態度で俺から離れる、そして周囲に濃い霧が満ち始める
「やっと付きました、さて蒼空さんにはここの霧を吸収してもらいたいのですがいいですよね?」
原作の蒼空は耐えきれずに命を落とした、だけどここにはステラがいる
こいつが簡単に俺が死ぬような事にはさせない、例え何が起きようと結果を見届ける筈だ
「⋯⋯わかりました」
霧の中央部に行き、吸収を始める⋯⋯そして直ぐに限界に直面した
「グッアアアアァア、くオェ」
全身を切り刻まれるような鋭い痛み、脳を殴られるかのような鈍痛、更に自分の内側から書き換えられるような不快感
徐々に意識が薄れていく中声が聞こえた
「CODE:recovery」
そして意識が浮上し始めて地面に手をつき倒れてしまう、そんな中ステラが再び要求する
「ハァハァ、はぁ~」
「ふむ、再び吸収してみてください⋯⋯おや?仕方ありませんね、CODE:Absorption」
「グァくッア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ッウォォ゙ェ゙」
無理矢理こじ開けるように吸収が再開させられる
「成る程、私が来て良かっようですね
危うく死なせてしまうところでしたか、安心してください
私がいる限り貴女を死なせませんし、心が壊れそうになれば治してあげますから」
絶望的な言葉が聞こえる、死ぬ事も壊れる事も許されない、これこそが俺に与えられる罰なのか
⋯⋯そして世界が揺れた
ズドン
何か本当に地面が揺れている、何か爆発音が聞こえたような
「これは?ウォー何が合ったのかわかりますか?」
「はぁ~侵入者です、迎撃してきますです
行きますよメア」
「りょーかいー」
「まあ、確認したい事は終わったので良いですが適当に対処しておきますか、2人共よろしくお願いしますね」
2人が出ていくの見届け再び意識が落ちかけ、そして覚醒する
それを何度も繰り返す事になった
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