もう一つの方は今週中には更新します
とある日の早朝…
いつも通りの時間にアラームが鳴り、目を覚ます
いつも通り動きやすい服装に着替え、まだ日が昇りきっていない薄暗い道を1人走る
いつも通り帰ってすぐにシャワーを浴びて汗を流す
そしてー
「………あ?なんだコレ?」
いつも通り頭を洗おうとして何かに触れる。何だろうと思い鏡で自分の姿を確かめて、いつもはないモノに困惑する
「…羽?」
頭に羽が生えていた
◇◆◇◆
「なー親父、コレなんだと思う?」
とりあえず見なかった事にして髪を洗い、いつも通り朝食を作った
「ん?うわなんだそれ」
「うわて」
起きてきた父親に聞いてみるも、返ってきたのは"うわ”である
「どうしたんだソレ、オシャレか?」
「んな訳あるか、風呂で見たらあったんだよ。寝てる間にでも生えたんじゃね?」
「風呂って…寝てる間に生えてきたとしたらもっと早く気付くだろ」
「………うっせ」
たいして存在感ないんだよ
「つかマジでなんなんだよコレ」
「羽、まぁカッコよく言えば翼かな」
どっこらせ、なんて言いながら座る親父。年寄りクセー
「いやそうじゃなくて―」
「まぁお前半分は人間じゃ無いしな」
「は?」
なんですと?
「お前の母さん人間じゃないんだ、翼もあったしそのせいだろう」
「…あ……そう。遺伝なの?」
翼が?
「ああ、お前の母さんフェニックスなんだ。だからお前は人間とフェニックスのハーフだな」
「………せめて鶴ぐらいが良かったぜ」
フェニックスて…よく産まれた時に死ななかったな俺
「…えじゃあまさか俺卵生???」
「そこかよ」
気になるだろ
◇◆◇◆
『じゃ、父さん仕事行って来るから帰ってから改めて話そう』なんて、ちょっとした問題ぐらいの感覚でいるぽい親父を見送ってから三十分後。いつも通り学校に行く準備を済ませて俺も家を出る
「…ルリになんて説明するかなー」
お隣に住む幼馴染へなんと説明するか迷いながらもインターホンを押す。まぁどうにかなるだろ
『あっ!ヤバもうそんな時間か!は~い今行くー!』
ドタバタと家の中を走り回る音が聞こえる。どうやら準備に手間取っているらしい
(ま、いつも通りだな)
そうして待つこと3分弱
「お、お待たせ〜…えっ羽?」
出てきた幼馴染には角が生えていた
「いつも通り…じゃないな」
◇◆◇◆
「…フェニックスの羽?」
「そう、母親がフェニックスだったらしい」
「…へぇ」
「…ドラゴンの角?」
「うん、父親がドラゴンなんだって」
「…へぇ〜…いいなぁ」
「え」
「俺もどうせならドラゴンが良かった」
「え〜〜?」
とりあえず遅刻するからと、歩きながらお互いの事情を説明する。ただ分かった事はお互い片親がファンタジーの生き物で、自分達が人外であるということだけ
あとは…
「他にも居るんじゃないかと思ったりしたんだが…居ないな」
「…うん」
自分1人なら兎も角2人居るなら他にも…と期待したがそんな事は無かった。街も人もいつも通りで、行く先々ですれ違う人の視線を感じる
「あっ、お~いユカ!」
そうこうする内にバス停に辿り着く。ギリギリ間に合ったな
「おっ……何その角と羽」
「いやなんか朝起きたらこんななってて」
「同じく」
「うっそぉ大丈夫なの?」
「「うん、まぁ」」
「ハハ、いつも通りだね。乗ろ乗ろ」
そっちもいつも通りだな、と思いながらバスに乗り込み奥へ進む。2人が座った座席近くの手すりを掴み、蓋をする様に立つ
「で?それ本当に生えてんの」
「うん、なんかわたし達人間じゃないらしいよ」
「え…?」
そう、ウィーアーノットヒューマン
「なぁユカ、フェニックスっていると思うか」
「え何…?いないでしょ」
「…だよな」
「じゃあドラゴンってどうかな?」
「え?いや、だからいないでしょ」
「だよね〜」
普通に考えていないよなー
「えっ…もしかしてその角と羽の話してる?」
「ウン絶対嘘だと思うよね、わたしもそう思う」
俺も…でもこうして変なの生えてるわけだし
「何…ルリドラゴンなの?で、ヒイロフェニックス?」
「いやわたしというか父親がドラゴンらしくてさ」
「ええ?何それ」
意味分かんねぇ会話
「ヒイロは?」
「母親がフェニックスなんだと」
「どういう風に生まれたのそれ?」
俺も知りたい
「まぁでもツノとか生えてるもんね」
「そうなんだよねー…なんでそんな触んの」
ユカの奴ルリの角触りまくってる…いいなぁ俺も触りたい…あ俺のも?あはい屈みます
…触られる感覚もあんましないな
◇◆◇◆
学校に到着、更に増える視線。なんかもう疲れてきた気がする
「おはよー」
ユカを先陣に教室へ入る、頼む全員気づくな
「おい青木と赤司の頭になんか生えてるぞ」
「ほんとだ」
「えっ」
「うおっ」
「どしたのアレ?」
無理でした。まぁそうだよな
「やめて見ないでください」
「見物料取るぞー」
ぞろぞろと集まってくるのを押しのけながら席に進む。ちなみに席はルリの前側だ
「お前ら何その角と羽」
「生えたの、お前って言うな」
「ごめん」
「なぁヒイロも?」
「おう、気づいたらな」
「へ〜俺も欲しい」
「どっちが?」
「ツノ」
だよなー
◇◆◇◆
昼休み…体育館裏
(ふぅ…もみくちゃにされて疲れた)
休み時間事に触りたい写真撮りたいとよって来るクラスメイト達を捌き、教科事の先生に自分でもよく分かってない事情を説明する。普段の倍は疲弊しながらもようやく訪れた昼休み。普段ならクラスメイトかルリ達と昼食をとるのだが…
(なんかさっきからムズムズすんだよな)
昼休み前から体に違和感を感じる。何かの前兆かもしれんし、人目のないところで昼飯済ませて改めて自分の状況を整理しておこう
「といっても…今んとこ頭の羽ぐらいしか変化無いしな〜」
フェニックス…か。どんな存在だ?
「…炎の鳥。再生。あとはまぁ…不死」
たいした情報は出てこないな
「………あ〜〜〜、考えても結局意味ないな」
体の力を抜き仰向けになる。現状自分ではどうしようもない。何か試してみて大騒ぎになったらまずいし、帰って親父を待とう。誰か専門家とか知ってるかも
(…そういや岳本先生、なんかおかしかったな)
担任の岳本先生。今年からの新任でいつもゆるゆるのやる気ない人。いいのかそれでと思うことは何度かあるけど、それでもその分親しみやすいしちゃんと生徒と向き合ってくれている人だ。ただー
(なんか俺とルリの事は気にしてる気がするんだよな)
勘違いかもしれないが、偶にあの人からこちらを観察する様な視線を感じる。今日だって普段通りに見えたけどなんか焦ってたような気がしなくもない
(羽と角の事も、何で生えたかより生えて問題無いかの方を注視してたし。…いや、それは普通なのか?)
「……はぁ、まぁいいか。悩んでもしょうがねぇし」
なるようになるだろ
「…空…きれいだな〜」
その内飛べたりしないかな?
◇◆◇◆
(なるようにならんかったか〜)
5限目、昼食後の現国という超眠たくなる時間帯。案の定居眠りしたルリが罰として教科書の朗読をさせられる事になったのだが…
「へぶっ」
ボォオ
後頭部に感じる熱、直前に聞こえたクシャミの音。そしてドラゴン。間違いない
(ルリの奴、火ぃ吐きやがった)
角が生えるだけなら兎も角、何かしらの"力”も発現したとなると流石に今後の事をもっと真剣に考えないといけなくなった。これは俺も近い内に何かあるかもな
「(早めに対策立てないとな…)お~いルリ、大丈夫…ガタン…か…」
振り返り、最初に目に入ってきたのは床に倒れ込むルリ。口もとには……赤黒い血
(―まずい)
「ルリ、大丈夫か!」
「何今の大丈夫!?」
慌ててユカも駆け寄ってきた。いいぞ、そのまま体支えててくれ
「あっ…っ……うぁ…げほっげほっ…あ゙ノドが…」
「!?、わ゙っ…えっ!!?…すごい血大丈夫!?」
(喉からの出血か、1回で大量に出てるけどもう出血自体は止まってるっぽい?あぁ傷口が焼けたからか…)
「だだ大丈夫、全然ちょっと熱いだけ」
「全然大丈夫じゃないって!」
(火を吐けるのと火を吐いても大丈夫かは別の能力なのか?不便だなクソ!)
「とりあえず保健室行くぞルリ」
ここじゃ出来る事が少なすぎる、保健室の先生居るといいんだが…
「う……ん……」
「あ、おい!」
「ちょっと!わーーー!!」
一気に血を失ったせいか意識が飛んでしまい、床に倒れそうになるルリを抱きとめる。
(これはマジでヤバいか、ドラゴンの再生能力とかもあるかもだが…何か他に手は……)
あっ、そうだ―
◇◆◇◆
タッタッタッタッ…
「おっ、来たかな?」
「えっ、マジ」
ガラ…
「遅くなりました…青木です」
保健室の扉をそっと開き、海さんが入ってくる。肝が座りすぎてるとよく言われてる流石の海さんとはいえ、娘が火を吹いて血吐いて倒れたとなれば焦りもするらしく、随分慌てていたのが汗だくの姿から伝わってくる
「あ、ホントだ」
「うおっルリ、にヒイロ?何してんの」
「先生とフレ交換してた、ゲームの」
「どもっす。俺はルリの付き添いです」
フレンド交換は俺もしたが
「えぇ……あっ、あの…娘が火吐いたそうで」
「らしいです」
初めて言われたであろうセリフに先生も引き笑い。…ただな〜
「遅くなってごめんね、大丈夫だった?」
「うん」
「…えっ、大丈夫なの?」
「うん、全然」
「?、火吐いて血も出たんだよね?」
「火傷したけどヒイロが治してくれた」
火と血を吐いて気絶してしまったはずのルリには一切の火傷の跡すらなく、至って健康そうで保健室に居るには些か場違いだ
「………どゆこと?」
「あ〜、説明します」
そのために居たわけだし
「え~と、結論から言えば俺の血を飲ませました」
「は?…ってヒイロその頭!」
指差さんでください
「まぁはい、俺もです」
「…そっか…フェニックスの血…なるほどね、確かにそれなら火傷なんて一瞬で治るわね」
これだけで理解出来るって事はやっぱ知ってたのか、俺の母親の事も、その力も
「あの、でも正直余計な事してないか不安なんですけど…」
そう、俺はルリが気絶してしまった後、自分の指をカッターで切り裂いてその血を口の中へと落とした
俺がフェニックスと人間のハーフなら、俺の体に流れる血にはフェニックスの伝説通りの治癒能力があるかもしれないと考えたからだ。実際ルリの火傷は見える範囲ではまたたく間に癒えたし、起きてからも体調は悪いどころか絶好調らしい
ただ…
「飲ませた後に気づいたんですけど、癒しの力があるのって血よりも涙の方ですよね」
「え、でも治ったじゃん」
そうなんだけど。確か伝説だと―
「あ〜確かに、血が与えるのは治癒じゃなくて不死の力だね」
………や、やっばいか
「…えっ、ふし?はぁ!?あたし不死になったの!?」
「あ〜〜、すまんルリ。責任はとるから…」
「いや、えっ!?ホントに?!」
「私これ聞いてよかったのかしら〜」
ごめん先生、出来たら忘れて
「あっ、いや大丈夫だわ」
と、混沌とし始めた保健室を救う海さんのひと言。大丈夫なの?
「えっ大丈夫なんすか?」
「うん、詳しくはまた後で話すけどヒイロの血には不死を与える力は無いと思う。むしろ血でようやく治癒能力がある程度」
「「…よ、よかった〜」」
マジで焦ったぜ…
◇◆◇◆
「じゃ、一応今日はもう帰ろっか。お騒がせしてすいませんでした」
「いえいえ」
治りはしたがあんな事があったわけだし、経過観察のためにも今日は連れて帰るらしい
(にしても靴、かなり汚れてるな。もしかして―)
「ねぇヒイロ」
「うん?なんだルリ」
「その、ヒイロは教室戻るの?」
「…あ〜、まぁな。指の傷もいつの間にか治ってるし」
けっこうパックリいってたんだが…
「…そっか」
「………不安か?」
「…うん、ちょっとね」
「そうか」
そりゃそうだよな、朝起きたらツノが生えてて自分が人間じゃない事を急に知って、挙句に教室では火吐いて気絶。あまりに色んな事が起きてるし、どれもこれからの日常生活に支障をきたしかねない
(ルリは他人にどう思われるかや視線を気にするし、余計不安だろうな)
「とりあえずクラスの皆には上手いこと言っとくし、学校終わったらすぐに帰るから」
「うん…ありがとヒイロ」
「気にすんな、まかせとけ」
ゆっくりと頭に手を置き、髪を梳かすように撫でる。ルリを励ましたりする時には昔からこれが1番よく効く
「…お付き合いされてるんです?」
「それがまだらしくて」
「あらあらまぁ〜」
場所は、考えるべきだったかな…
◇◆◇◆
赤司緋色のフェニックスの体質
その1・羽
その2・治癒能力
「さて、これから大変そうだ…」
15歳 6月20日生まれ
本作の主人公。通称「ヒイロ」。人間とフェニックスの混血の高校生。普段は落ち着いた性格に見えるが、マイペースな部分があったり物事にはけっこう楽観的で独特の価値観を持つ。ルリ曰く『掴みきれない性格』とのこと。ただ男子特有のノリは好きだし、イベント事や何かしらでテンションが上がると途端にはしゃぐので偶にやらかす。
中学では陸上部で短距離走をしていたが高校では帰宅部。身長は平均より少し上ぐらい。多趣味であり休みの日は殆ど家にいないし自室には物が沢山ある
青木瑠璃とは幼稚園からの幼馴染であり、よくお互いの家に泊まるぐらいには仲がいい
秘密の悩み:自室の物がそろそろ溢れそうなので何とかしたい