勝利の女神:NIKKE〈WORLD TRIGGER〉 作:ライダーマスク
〈語り部SIDE〉
マリアンと捜索対象である先発隊と調査隊をつれさった[ブラックスミス]がいる場所にたどり着いたムラクモ、ラピ、アニスの臨時分隊。
3人はブラックスミスから隠れるように作戦会議をしていた。
「2人は奴の攻撃特性は知っているか?」
「私はあまりだね…」
「確か2つの触手による拘束と薙ぎ払い、二門の大口径対物ライフル、背部に搭載された無数の投射式グレネード、チャージが必要ですが絶大な威力を誇るレザースプレッドと薙ぎ払いレーザーキャノンですね」
「良く知ってるわね」
「まあ、色々と分隊を転々としていた時にね…」
ラピは一瞬複雑そうな表情をした。
彼女の事情に関してムラクモは自身の狙撃の師匠に関わる事だと察したが関係ないと頭の隅に置いておく。
「奴の基本攻撃は同体上部の投射式グレネードと左右の対物ライフル二門、そして先端に爆発信管を装備した2つの触手だ。それに捕まらない様に立ち回る」
「でも、
「多分、指揮官の遮蔽物生成を使う―――ですね?」
「ああ。俺の[エスクード]は俺が把握している地形においてどこでも壁を遮蔽物を生成できる。硬さならブラックスミス程度なら問題ない」
「そういえば、指揮官様って息を吸うようにトンデモ能力を使っているよね。スナイパーライフルが消えたと思ったらショットガンだしてるし…なんなの?」
「俺にしか使えず、アークでも解析不可能な地上のロストテクノロジーと言ったところだ。他にもいろいろあるが説明はまたの機会にだ」
「そうね。とりあえず私は後方でグレネードで援護射撃かな?」
「ああ。まずは俺が先行してブラックスミスを囲うように[エスクード]―――遮蔽物を螺旋形上に展開する。基本的に数発撃ったら動いて奴の狙いの対象を分散させて袋叩きにする。これならノーダメージで奴を破壊できるはずだ」
ムラクモは地面に描いた簡易的なマップを2人に見せながら説明する。
「まさに指揮官様ありきの作戦ね。でもこれなら私達でもなんとかなりそうね」
「ええ。指揮官、私は中距離で射撃しつつ可能であればアンダーバレルのグレネードで攻撃でよろしいでしょうか?」
「ああ。近距離はショットガンで二人が削った装甲をぶち抜く。触手で奴がエスクードを掻い潜ってきたら配置を螺旋形状から波紋形状に変える。そしてレーザースプレッドか薙ぎ払いのキャノンの予兆がきたら[エスクード]に隠れれろ」
「了解」
「わかったわ」
「では行くぞ!!」
ムラクモの合図とともにラピとアニスも動き出す。
―――ギュォォォォォォン!!!!
ブラックスミスは接近するムラクモ達に反応し、獣の威嚇のように機械音声を周囲に響かせると同時に、格納していた投写式グレネード、二門の対物ライフル、2つの触手を展開した。
「テンプレ通りだな―――[エスクード]!!」
ムラクモは空いている左手を地面に叩きつけると同時にサブトリガーの1つである[エスクード]を展開。
作戦通りにブラックスミスを囲うように無数の白い近未来デザインの防壁が螺旋を描くように展開された。
―――!?
突然出現した謎の防壁に驚くような様子を見せるブラックスミス。
それを見逃さないラピとアニスは[エスクード]が展開された場所に侵入。
アニスは後方のエスクード地帯、ラピは中距離のエスクード地帯からそれぞれ射撃を行った。
ブラックスミスも負けじと応戦するがの如く、投写式グレネードを放つが―――
「遅い!」
近距離のエスクード地帯に入っていたムラクモが所持するショットガン[DMS]で発射直後のグレネードを全て破壊した。
「アニス! 奴の上部を撃て!!」
「了解!!」
ムラクモはブラックスミスの投写式グレネードユニットが空いたままなのを見逃さずアニスにその場所に攻撃するように指示。
アニスはすぐさまグレネードの狙いを指示通りの場所に定めて撃ち、命中。
ブラックスミスの持つ武装が1つ、完全に破壊された。
しかし、武装の1つが何だと言わんばかりに胴体下部に搭載された対物ライフルを乱射。
しかし、ムラクモが展開した[エスクード]に傷1つ着けることなく阻まれた。
「ブラックスミスの対物ライフルでも無傷なんて…」
「この指揮官様、マジで何者なの!?」
驚きながらもブラックスミスに射撃し続けるラピとアニス。
ラプチャーの中でも最上位に位置するタイラント級であるがゆえに装甲が固くある程度の自己再生能力を持っている。
しかし、ラピとアニス、そしてムラクモの攻撃によって再生が追い付かずどんどん追い詰められていく。
―――ギュォォォォォォン!!!!
ブラックスミスはやれっぱなしではないかの如く、自身の周りに赤いエネルギーバリアを展開し上部にエネルギーチャージユニットを展開。
それと同時に触手を展開しエスクードの展開場所を記憶したかのように隙間を通り抜けて、自身を攻撃してくるニケと人間を捕まえようと這わせる。
だが―――
「小手先の対処でどうにななるとでも―――[エスクード]!」
ムラクモは展開していたエスクードを解除すると同時に、今度はブラックスミスを波紋形状で囲うようにエスクードを再展開。
配置が換わったエスクードによりブラックスミスの触手が阻まれた。
「いつまでも同じ戦型を維持するわけないだろ? そんでもって―――」
ムラクモはそう言いながらブラックスミスの触手に向けてDMSのショットガンを左から右に6発を発射し破壊。
蜂の巣以上に破壊された触手から黒いタール形状の液体が溢れ出す。
「バリアを張っている際は他の武装や本体の再生は出来ないのは知っている。そして―――ラピ、アニス、ハイド!!」
ムラクモの指示通り動きながら射撃していたラピ、アニスは再展開されたエスクードに隠れた。
そして、その数秒後にブラックスミスはチャージし終えたレーザーユニットから無数のスプレッド形状のレーザーを薙ぎ払うようにはなって来た。
周囲の廃墟がそのスプレッドレーザーによって破壊されていく。
この攻撃をまともに受ければガッデシアムという特殊合金で護られたニケでも致命傷となる。
だが―――
―――!?
ムラクモが展開していたエスクードは表面の薄層が軽く焦げただけだった。
「ラピ、アニス!! 奴のレザーユニットに向けて集中砲火!!」
「ラジャー!!」
「了解!!」
ブラックスミスのスプレッドレーザー発射後のバリア解除と硬直をムラクモは見逃さず2人に一斉攻撃を命じる。
ラピのアサルトライフル[ミリタリア]とアニスのグレネードランチャー[リバティーンテイル]による攻撃でブラックスミスの最大火力を発射するレーザーユニットが破壊。
「まだまだ!!」
ムラクモは続けざまにブラックスミスの触手を生成するユニットをDMSによる射撃で破壊。
二種の攻撃ユニットを破壊された影響で、ブラックスミスの内部からあらゆる危機が誘爆するように爆発。
―――ギッ…ギギギッ……
もはや追いつ詰められた獣ではなく、ただ死を待つ状態のブラックスミス。
そんな状態でかろうじて残ったコア直結の胴体中央にあるメインカメラはDMSの銃口を向けるムラクモを映していた。
「勝利の女神を―――マリアンを返してもらう」
敵意が宿る瞳でムラクモはDMSの引き金を引き、ブラックスミスのメインカメラとコアを破壊した。