ONE PIECE ―黄色い閃光は海を翔ける― 作:HINRON
「……まだ終わっていないわ。ミス・ウェンズデーとMr.8を始末するまではね」
ミス・バレンタインの言葉が、夜の町に響いた。
ナミに喧嘩を止められたルフィとゾロは、まだ互いに不満そうな顔をしていた。しかし、立ち上がった二人の刺客が再び動き出すと、そちらへ視線を向けた。
Mr.5が鼻を鳴らす。
「くそ……麦わらの一味。何度も邪魔しやがって」
「お前らがまだやるってんなら、相手になってやるぞ!」
ルフィが拳を握った。
「仕事の邪魔をするなら、まとめて吹っ飛ばすまでだ!」
Mr.5が指先を向けた瞬間、爆発が起きた。
石畳が砕け、煙が立ち上る。ルフィは勢いよく横へ飛び退き、ゾロも爆風を避けて間合いを詰めた。
「ゴムゴムのピストル!」
煙の向こうからルフィの拳が飛ぶ。Mr.5は避ける間もなく顔面に一撃を受け、後方へ吹き飛ばされた。
「ぐあっ!」
Mr.5が地面を転がる。
起き上がろうとした彼の前に、ゾロが立った。
「まだやるか?」
Mr.5が顔を上げた、その瞬間。
「やめておけ」
ゾロの一撃が決まり、Mr.5は再び地面に倒れた。今度は起き上がらない。
「よし! 次だ!」
ルフィが振り向くと、ミス・バレンタインはすでに宙へ浮かんでいた。
「まったく、乱暴な人たちね。少しお仕置きが必要かしら」
彼女はルフィの頭上へ移動すると、身体を急激に重くした。
「これならどう?」
そのまま真っすぐ落下してくる。
「うおっ!」
ルフィは慌てて横へ飛び退いた。ミス・バレンタインの身体が石畳に叩きつけられ、鈍い音とともに地面が砕ける。
彼女が顔を上げたときには、ゾロがすでに間合いへ踏み込んでいた。
「隙だらけだぞ」
三本の刀が閃く。
ミス・バレンタインは慌てて身体を軽くしようとしたが、体勢を立て直すより早く、ゾロの攻撃を受けて地面へ転がった。
そこへルフィが駆け寄る。
「ゴムゴムのバズーカ!」
両腕から放たれた一撃が、ミス・バレンタインを吹き飛ばした。
彼女はMr.5のそばに転がり、そのまま動かなくなった。
戦闘は、あっという間に終わった。
「よっしゃ! 勝ったぞ!」
ルフィが拳を突き上げる。
ゾロは刀を納め、倒れた二人を一瞥した。
「今度こそ終わりだな」
「おう!」
ミナトは周囲を見渡した。爆発で石畳は傷ついていたが、ほかに動く敵の姿はない。倒れた二人も、もう戦える状態ではなさそうだった。
「ひとまず、これで片づいたな」
ミナトが言うと、ナミは大きく息を吐いた。
「まったく……一晩でどれだけ騒ぎを起こせば気が済むのよ」
「おれたちのせいじゃねェだろ!」
ルフィが反論する。
「お前が余計なことを言うからだ」
ゾロがぼそりと返した。
「なんだと、ゾロ!」
「また始める気!?」
ナミの鋭い声が飛び、ルフィは口を閉じた。ゾロも面倒そうに顔を背ける。
ミナトは苦笑した。
先ほどまで命を狙われるような騒ぎだったのに、この三人は少しも変わらない。
だが、まだ話は終わっていなかった。
少し離れた場所にいるミス・ウェンズデーとMr.8は、倒れた刺客たちを見つめていた。やがて二人は互いに視線を交わす。
Mr.8が小さく頷いた。
ミス・ウェンズデーも、それに応える。
その表情には、先ほどまでの警戒とは違う、何かを決意した様子があった。
「……皆さん」
ミス・ウェンズデーが一味へ向き直る。
ルフィが首を傾げた。
「ん? なんだ?」
「あなたたちに、話しておきたいことがあるの」
彼女は隣のMr.8を見た。彼も静かに頷く。
「今まで黙っていて、ごめんなさい。でも、これ以上隠したままではいけないと思うの」
ミナトは黙って二人を見つめた。
二人が何を語ろうとしているのか、まだ分からない。
けれど、ようやく話す覚悟を決めたのだろう。
ナミも腕を組み、真剣な表情で二人を見た。
ウイスキーピークの夜は静けさを取り戻しつつあった。
その静かな町で、ミス・ウェンズデーはゆっくりと息を吸った。
彼女が次に語る言葉は、麦わらの一味の航海を大きく変えることになる。