ちぇんそーまん 作:ルゥー創作するのは間違っているだろうか?
「いただきます」
カレーうどんを啜るマキマは溜息をついた
「俺と一緒に逃げちゃわねえ?」
そう口にしたデンジを、じっと見る
筋肉の悪魔と逃げる
それはどんな手を使っても無理、無駄な悪あがきだ
本心かな?
逃げたら殺す
そう最初から決めていたけれど、こうも早いとは思っていなかった
もっと長く一緒にいたかった
いや、これからはもっと近くで"支配"できる
そう思い、次はデンジの前にいる筋肉の悪魔の動向を探る
そしてあっという間にデンジが殺されそうになるのをただじっと見ていた
...弱い
「あんなのチェンソーマンじゃない」
マキマの金色の瞳から穏やかな光は消えていた
本当のチェンソーマンは違う
あんな姿、認めない
マキマは瞳をギラつかせ筋肉の悪魔を睨む
筋肉の悪魔は一瞬恐怖に取り憑かれ体を縮こめた
その拍子にデンジのスターターが宙に浮く
それをデンジは口で噛み引っ張り上げた
ブヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴンッ
チェンソーの音が鳴り響く
「...違う」
マキマはそう一言溢し、箸に視線を落とした
残ったうどんを啜り、最後の一口を飲み込む
カレーうどんを完食するマキマは配膳を戻しに立ち上がる
「よくも騙しやがったなあ、クソ悪魔ァ!!」
デンジは筋肉の悪魔を迷いなく真っ二つに切り刻んだ
それからデンジは女の子を父親の元へと返してうどんとフランクフルトの店へと力を振り絞ってゆっくりと歩き出した
マキマはうどんとフランクフルトを温め直してもらってから席へと運んだ
「お疲れ様」
マキマは何も知らなかったように戻ってきたデンジに声を掛ける
「あ...」
フラッと倒れ込むデンジを身体で受け止めるマキマは優しく問いかけた
「大丈夫?」
「すんません。悪魔ん姿になると、血が出て貧血なるみたいっス」
マキマはうどんの前にデンジを座らせ、問いかけた
「自分で食べられる?」
「食べれま」
そこまで言ってデンジは勘が働いた
「食べれません」
最適解だ
「じゃあ、ハイ」
「あーん」
デンジは目を丸くして初めてのうどんの味を噛み締めた
「美味しい?」
「わんっ」
デンジは躊躇なく答えた
穏やかな表情していつも微笑みかけてくれる
デンジはこの時はっきりと感じた
初めて目が合った
地獄みてーな状況にいきなり放り込む
けれど今はこうして優しくしてくれる
この女の名前が知りたくなった
「あの、あなたのお名前は...?」
デンジはおそるおそる問いかけた
俺からの質問なんか断られるかも知れない
俺なんかに...
うどんに視線を落とす
「マキマ」
その声に、デンジは視線を上げた
マキマさんはそう微笑んでいた