「カーリー!速戦即決で行くぞ!」
「ああ!」
カーリーと駆け出す
カーリーはモーリーの後ろに回り込み、ミミックを振るう
ゲントも大剣でモーリーの首を狙う
「おっと!辞めてくれ!降参だ!」
だが、すぐにモーリーがクシャッとした顔で手を挙げる
思わず2人で固まる
(命乞いか?それとも隙を狙ってるのか?)
「命乞いだよ……まさか……先に共犯者を殺されるとは思ってなくてね……その……」
気まずそうに胸の前で指をいじいじするモーリー
そのまま二ヘラと笑う
「……僕、共犯者がいないと何も出来ないんだ……えへへ」
結局、モーリーの脱走は呆気なく終わった
モーリーを収容室に叩き込み、事なきを得た
後にカルメンから聞いた事で判明したが、モーリーが脱走してから死者は0名
武器を持った職員が暴れたが武力はそこまでで研究員は全員無事らしい
「はぁ……で?あいつはどうするんだ?」
「……あいつが直接手を下してないとはいえ……10人も職員が犠牲になってるしな……」
研究所設立以来の大虐殺
幻想体の殺処分方法は未だ分かっていないが、このまま置いているリスクも高い
「あの幻想体はなんて?」
「……ゲントが作業してくれるなら自分から暴れることはしないと……」
鎮圧後、作業した職員によるとゲント名指しで作業させろと言っていたらしい
「はぁ……ゲント?君は妙なホルモンでも出してるのかい?」
アインが鋭い目で睨んでくる
ゲントは肩をすくめる
「まぁ、あいつがそう言ってるなら俺がすればいい。この頃カーリーも1人で依頼をすることも増えてきたしちょうどいい」
「では、頼めるか?」
「了解」
結局、モーリーはそのまま収容し続けることとなり、ゲントは正式に職員として研究所で作業をメインにすることとなった
それから数日後、ゲントはモーリーの元を訪れていた
「やぁ。久しぶりだね。まさか脱走してから数日の焦らしプレイをされるとは…////」
「何頬赤らめてんだよ。ただの定期作業だ」
モーリーを前に作業を始める
今回はとにかく褒める……ゲーム的に言えば愛着作業だ
モーリーは段々とヒートアップし、気分良さげに話している
「……そこで私は!」
「なぁ、少しいいか?」
「ん?なんだい?」
上機嫌で喋っていたモーリーの口を1度止める
「確認したいんだが……お前は謎の施設で実験されたんだよな?」
「ああ!」
「そこの会社の名前って分かるか?」
彼女の話の中で謎の会社のような場所を訪れた結果今のような頭部が鉄の塊に変化するようになったらしい
「確か……L社だったような……」
「……………………」
モーリーの口から出た言葉に頭を抱える
(なんで!?なんで他にL社がある!?)
MODの影響?ゲントが干渉したから?
(いや……そうか……俺以外にも……)
考えられる原因として1つ
ゲントと同じように日本から異世界転生した可能性
なら、納得がいく
(それも俺よりも深く理解してる…)
だからカルメン達よりもコギトを研究し、幻想体を生み出せたのだ
それも女体化した姿で……
(なんでMODを再現しようと思ったんだよ…)
MODの中でもストーリーまで影響している珍しいものを再現しようとした結果色々揺り返しがこちらに来ている
本来は研究所で生み出されるはずの幻想体は今、大鳥や審判鳥のような黒い森の幻想体と同じく来訪する存在になっている
「なにか力になれることはあるかい?」
「いや…このまま大人しく作業してくれたらそれでいい」
「そうかい。でも、ただ作業させるだけなんて僕の主義に反するからね」
そう言いながらモーリーは身を乗り出してゲントの頬を掴む
そのままポケットから何かを取り出したかと思うと目の辺りに何かを付ける
「それと……これを……」
次に右手を取ると手袋のようなものを付ける
ゲントから離れたモーリーはゲントをまじまじと見て満足そうに頷く
「これでよし!」
「……これは……」
「君たちの言うギフトさ」
モーリーがゲントに送ったのはモノクルと片手の手袋
よく見るとモーリーが付けていた手袋が片方外されている
ピピピッ!ピピピッ!
「おや、もう時間だね。次の作業も楽しみにしているよ」
手を振るモーリーに見送られ収容室を後にする
心做しか……いや、確実に歩く速度が速くなっている
「おかえりゲント。また貰ったの?」
「ああ。似合ってるか?」
「うん」
カルメンに見せるとなんか複雑な顔してた
カーリーに関しては鼻で笑われたし
(どうせなら服装も合わせたいな…)
「そういやカルメン。久々に管理室にいるな。なんか用か?」
「あ、うん。ちょっとゲントに見せたいのがあってさ」
カルメンの後を着いていくと、そこはE.G.Oを抽出する部門だった
カーリーのミミックを抽出してから試行錯誤を繰り返しているが、まだE.G.Oは抽出出来ていないらしい
「この頃、T-01-54の管理を頻繁にしてたでしょ?そのお陰でE.G.Oが抽出できたの」
カルメンが示す先には服がマネキンに着せられていた
肌色のワイシャツに栗色のジャケット、黒色のコート、黒色のズボンに黒色のネクタイ
仄かにモーリーを想起させる
「モーリーのか?」
「ええ。着るなら貴方が相応しいと思って」
カルメンに勧められて早速着てみる
サイズは不思議なことにピッタリで、まるで採寸したのでは無いかと思うほどだ
「……どうだ?」
「うん。似合ってる。モノクルもピッタリだよ」
今度はしっかり似合ってそうだ
カルメンの見る目が違う
ゲントはふと思い出して杖を取り出す
この杖はモーリーを鎮圧した際にモーリーが差し出してきた恐らく白夜や火の鳥と同系統のE.G.O武器だろう
形状はそれこそ杖であり、持ち手として「後悔」の頭部分が手のひらサイズになって付いている
手のひらサイズと言っても重さは置いたら床が沈むレベルであり、それで殴打するとミミックと同じくらいの威力が出る
「これなら外の依頼でも戦えそうだな」
その日はたまたまカーリーが依頼に出るそうなので着いていき、フルセットで戦ったが、かなり強くなれた気がした
えっと……一般人さんの言い訳ですと……本来ならE.G.O持ち職員5名を処さなければならないという鬼畜難易度のはずなんですけど……まだE.G.Oがカーリーだけで職員がクソザコで、かつ赤い霧がいるという環境なため何も出来なかっただけなんですよね……