「ゲント大丈夫!?体調に変化は!?」
「問題ない。気分も悪くないし体に変化も起きてない」
管理室に戻った瞬間にカルメンが飛びついてくる
そのまま体をぺたぺたと触ってくる
「……ゲントくん…あの現象について何か心当たりはある?」
「特には。というか俺が会話した初めての例なんですよね?何もわかるはずわけじゃないですか」
「………そうね」
アインはそういうとそのまま去っていく
だがその時の目は明らかに疑いが混ざっていた
「今日はこのまま実験は終了しましょう。実験中にもう一体の幻想体が抽出できたのだけど…「やろう。俺は大丈夫だ」…え?」
「やるなら今やるべきだ。少しでも不安要素は無くしたいだろ?」
「……そうだけど…でも…」
カルメンの反対を押し切って再度収容室へと向かう
今回が初めての接触なので説明の人もいない
収容室のドアを開ける
「………人間か」
中に居たのは銃を肩にかけた頭部が炎になっている人型アブノーマリティ
魔弾の射手…エネルギーを使うことで依頼を出し、通路を貫通する弾丸を放つことのできるアブノマ
だが例に漏れず彼…いや今回は彼女と言うべきだろう
纏っている紺色の軍服は変わらないが、如何せん豊かな胸部装甲に目が行ってしまう
「初めまして。ゲントって言います」
「……フン。お前は恐れないんだな」
「……いや、正直言って怖いですよ」
「嘘をつくな。私は人の恐怖が分かる。お前は恐れていない」
ゲントに銃を突きつける
インカムから金切り声が聞こえるが、インカムを切って魔弾の射手に向かい合う
「………」
「……」
互いに見つめ合う
そのまま時間が過ぎていく
「フ…フフッ…ハハハハハハッ!」
魔弾の射手が銃を下ろし、笑い声をあげた
ゲントは大きく息を吸って吐く
(クソ…めちゃくちゃ怖かったぞ…)
目の前にいる魔弾の射手とはロボトミでは味方のような面をしているがストーリー面で見るとなかなかキチガイのたぐいである
「座れ。話をしよう」
それからは意外にも他愛のない話をした
何が好きだ、何が得意だ、なんでここにいる等…
気づけば30分以上喋っていた
ピピピッ!ピピピッ!
「時間みたいだ。楽しかったよ」
「ああ。私もだ」
最初の剣呑な雰囲気から一転して仲を深められたのか互いに握手してから立ち上がる
もう敵意は無く、逆に気安さすら感じる
「明日も来るのか?」
「多分な。他の誰かと話す気はあるのか?」
「無い。入らせる気すらない」
そこまで言い切られると少し不安になってきた
これからどんどん増えるであろう幻想体、鎮圧などと並行しながら固定の作業なんてまっぴらごめんだ
「じゃあな」
「ああ。今度、渡せるに値する奴なら渡したいものがある。くれぐれも来ない…なんてことするなよ?」
顔は炎のはずなのになぜかその視線が絡みついてくる
収容室を後にして管理室に戻ると管理室内は大慌てだった
「ゲント!?無事だったの!?」
「ああ。ただ世間話をしただけだ」
どうやらインカムを切って通話が途切れたことでカルメンが取り乱していたらしい
だがアインが会話が成立していることに気が付いて他の研究員は観察に徹していたらしい
「今回も随分潤滑に話が進んだようだな」
「まぁ、俺のコミュ力のお陰かな」
「……先程、絶望の騎士に他の職員を向かわせたがやはり絶望を語る言葉を呟くだけだったそうだ」
茶目っ気溢れる言葉を無視され、アインからデータを渡される
『絶望…』『なんで…』『みんな…』
ボヤけた言葉の中でこれだけは辛うじて聞き取れたらしい
だが、数十分作業した後に職員が体調不良を訴え実験終了
何もされて居ないはずなのに職員の体はボロボロになっていたらしい
「先程、カルメンが新たな考えを打ち出してな。その研究のために今の2人の幻想体は君に任せたい」
「了解。じゃあ、俺も疲れたから戻らせて貰うぞ」
「ちょっと待ってください」
アインと別れ、部屋に戻ろうとした時、誰かから声をかけられる
振り向くと灰色の髪の丸メガネをした女性がアインの隣に立っていた
待て…お前まさか…
「ベンジャミナ…」
「私はまずそこの彼を尋問すべきだと思います」
イケオジ…ホクマーの前身であるベンジャミンも女体化してた…