【悲報】美少女にTS転生したんだが幼馴染が激重ヤバ女な件 作:ヘテ
車に轢かれそうな子供を庇って死んだと思っていたが……気づけば生まれ変わっていて、おまけに性別も前世では男だったが今世では女の子になっており―――つまりはTS転生だ。前世についての情報が全くないが、俺など特に語る事もない一般オタク男子高校生だったのでわざわざ掘り下げは不要だと思う。そして今世での名は彼方初音、黄金に光か輝く美しい金髪に宝石の如く透き通った碧眼、かなりの小柄でロリ体型に括ってもいいだろうがそこもまた愛らしさがありプラス要素となっている。芸能人でも中々見ないであろう、道を歩けば思わず誰もが息を呑むほどの絶世の美少女であった。
幼きながらにこの優れた容姿を自覚した俺は、前世の日陰者陰キャ生活とは異なり皆にチヤホヤされまくるヌルゲー人生を送れるのではと一人テンション上がっていたが……残念ながら現実というものはそう簡単ではない。TS系は好みのジャンルだったので、男から女へと身体が変化した事による苦労が発生するのは分かっていたつもりだったけれど、いざ実際に成ってみると……それが思ったよりも過酷だったのだ。
まず―――物理的に自分の身体に馴染めないという点、男としての精神や認知を残したまま肉体だけが女子になったせいで、歩くときの重心の違いやトイレでの作法の違いに何より定期的にやってくる生理の周期の重苦しさに毎回精神を削られる。
そして、最大の敵が……下着、ブラジャーの着用である。第二次性徴を迎え、いくらロリ体型とはいえ胸はどうしても膨らみ始める為ブラジャーの着用を義務付けられてしまう……これが仕方ないと理解していても正直鬱陶しい事この上ない。アンダーバストをぐるりと締め付けるあの独特の圧迫感に肩紐が擦れる違和感、そして何よりも「俺は男なのに……」という無意識に抱いてしまう抵抗心だ。
上に挙げた部分だけでも大変なのだが、それらに加えて俺は普通の女子ではなく超のつくほどの美少女。最初こそ浮かれていたものだが、この美貌は男女問わず魅了してしまい……通っていた幼稚園で年齢は20代半ばといった女性の先生から『これは命令です―――大人になったら先生と結婚すると言いなさい』と某生姜焼きの如くボイスレコーダーを右手に持ちながら言質を取ろうとしてきた事件があった。
そして小学生へ上がると、授業中はいつでも全方位から熱狂的な視線を感じ、休み時間になれば他クラスどころか上級生や下級生なども含め見学者が教室前の廊下に殺到。毎日のように沢山の生徒から告白され続ける日々……高学年になる頃には、俺はすっかり死んだ魚のような瞳で。
「ああ……チヤホヤされすぎるってのも良くないんだな、辛い……」
そう、ぐったりしながら悟りの境地へと達していた。
そして高校1年生、15歳になった現在……第二次性徴を経て俺の美貌は更に洗練され、自分で言うのはホントどうかと思うがもはや神々しさすら帯びるようになってしまっていた。その結果、周りの反応は好きや付き合ってほしいから一種の崇拝へと変化し……『高嶺の花すぎて告白する事すら恐れ多いのよ!私は遠くから、いや日本の裏側からでもいいから初音様を眺めてるだけで幸せだわー!ブラジリアーン!!』と、それ以外にも訳の分からない発言を繰り出す生徒達が続出する始末。ちなみに噂で知ったのが、いつの間にか『彼方初音非公式ファンクラブ』なるものも設立されているらしく……もう勝手にしてください。
……身体の違和感に周囲からの狂信的な愛情、常日頃から気疲れとストレスが絶えない俺が今日までなんとかやってこれている理由。それはひとえに……
「―――さん、初音さん、起きてください」
「うぅ……まだ、ベッドの中にいたい……」
「もうっ、初音さんは相変わらず朝に弱いんですから。ふふふ」
鈴を転がすような透き通った声色で俺の体をゆさゆさと揺らしている人物……そう、幼馴染こと綾瀬水乃、彼女の存在のおかげなのである。
「……おはよぅ、水乃ぉ」
「―――はい、おはようございます」
ベッドから体を起こし、未だ夢と現実の狭間といった朦朧とした中でも彼女の美しさは十分と言えるほど認識出来る……漆黒のロングヘアに黒真珠のような綺麗な瞳、まるで白磁のようにきめ細やかな肌と薄桃色の小さな唇。制服を完璧に着こなし、背筋をすっと伸ばして微笑むその姿は―――まさに清楚という言葉を体現したかのよう。水乃とは家が隣同士で、親同士で仲が良い事から幼少期からの長い付き合いである。誰に対しても敬語口調で礼儀正しく、だがかといってお堅いわけではなくおっとりとした優しい性格だ。
「起き上がったはいいものの、これ以上動けないぃぃ……」
「ベッドから出なきゃ学校に遅刻しちゃいますよー、とりあえずまずはパジャマをぬぎぬぎしましょうね」
俺は前世より極端に朝に弱く、水乃がいなければ何も出来ない赤ちゃん状態と化してしまう。
「はい、ばんざーい」
「ん……」
ぼんやりとした頭で、彼女によって着ていたパジャマがゆっくりと脱がされる。そして俺が最も苦手とするブラジャーの着用も水乃がいつも代わりにやってくれるのだ、ちなみに今付けた水色のブラを含め下着や私服等は全て彼女が選んでくれたもので……って何サラッと貴方達はとんでもない事してんのだって?確かに同性同士でも着替えまで任せないだろうけど、水乃とは幼馴染でそういった感情は無いし、何よりこの世界で自分に対して崇拝や性欲といった感情を向けてこない唯一の相手だからこちらも信用しているが故である。
「はい、アンダーの締め付けは苦しくないですか? 紐のねじれもありませんね、じゃあ次は制服を通しますよ」
パタパタと手際よくブラウスが着せられ、スカートのファスナーも上げてくれて……自力では未だままならない着替え作業の全てを水乃はその優しさと面倒見の良さでいつもやってくれる。本当にありがたい……
「さ、着替え終わりましたよ、一人で立ち上がれますか?」
「……あし……足が力入らない……」
「……ふふ、全く仕方がありませんね。ほら、私の手を握ってください」
「わかった……」
水乃は手を伸ばすと、俺の小さな手をそっと包み込むように握ってくれた。そして俺は水乃にひっぱられるようにしてベッドから起き上がり、手繋ぎのまま一階のリビングへと連れて行ってもらうまでがワンセット……これが既に何年も毎朝行われている光景であった。リビングに降りた後は朝ご飯も彼女に食べさせてもらっているのだが……この一連の自分を委ね、もはや水乃がいないと生きられないといった有様はかなりの依存状態である自覚はもちろんある。
頼らずに何とか自分で頑張らなければと思ったのだって何度もだ……だがしかし、むしろこちらが望んでやっている事だと言わんばかりにお世話してくれる彼女の笑顔を見るたびに……ならいっかぁと堕落してこの居心地の良さに身を委ねてしまう。
一人の幼馴染、何より親友として接してくれる水乃は俺にとっての唯一の救いであると間違えなく断言できる。言い訳がましいのは事実だし、いつか変わらなきゃいけないのは分かっているけれど、今は……
「水乃ぉ」
「何ですか?」
俺は朦朧とする意識ながらに精一杯の笑顔を浮かべ。
「いつも頼りっきりでごめん、でも水乃がいてくれるから私は毎日頑張れる。だから……本当に感謝してるよ……えへへっ」
「―――ッ!????」
「……あ、ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
流石にトイレにまで連れていってもらうのは俺の尊厳に関わるので……いや着替えさせてもらってる時点で何言ってんだというツッコミは無しにして……リビングへ下りる前に、俺はおぼつかない足取りで部屋を出て近くのトイレに向かうのであった。
「―――フーッ……!フーッ……!」
一人部屋に取り残された綾瀬水乃は、先ほどまでのおしとやかさはどこへやら、まるで発情期の獣の如く荒い息を漏らしていた。彼女の白磁の肌は耳までオーバーヒートと言わんばかりに真っ赤に染まっており、そして溜まりに溜まった気持ちを吐き出すように。
「あの子は……いつも私がどれだけ鋼の心で己の理性を保っているか、分かっているんですかね……!!」
そう言って綾瀬水乃は素早い動作で立ち上がると、先ほど脱がせたばかりの初音のパジャマを抱きかかえ。
「スーーーッ……ッハァァァァァ……!!!」
そのパジャマに己の顔を深く埋め、彼方初音の残り香を全てこの肺に取り込んでやるとばかりに大きく吸い込んだ。そして、ブルブルと体を大きく震わし。
「―――あ♡匂いだけでちょっとイッてしまいました♡まあ幼馴染の匂いで達するなんて特におかしくない、いやむしろ当たり前の事ですし気にする必要ありませんよね♡♡」
そんなわけねぇだろボケ、うっとりと目を細めながらパジャマを愛おしそうに頬擦りする綾瀬水乃……もうここまで来ればお察しはついてるだろうが、彼方初音が唯一自分に対して欲情しない相手と全幅の信頼を置いている彼女こそ―――
「もう憲法第4545条『存在がエチエチ罪』で逮捕されてしまうレベルじゃないでしょうか?まあ最も……その際に初音さんを捕まえるのは警察ではなくこの私ですがね!」
この世界において誰よりも性欲を向けている人物なのであった……憲法が数千あるとかどんな治安が終わってるディストピアだよと言いたくなる気持ちは抑えるとして、普段は清楚系幼馴染としての皮を被っているがその本性は脳内ピンク色の変態そのもの。着替えさせているときも毎回その心の内側では、彼方初音を押し倒すか押し倒さないかで葛藤しており、最終的にはギリッギリで理性が打ち勝っている。だが最も。
「はぁ~……叶うのなら初音さんを生まれたての小鹿のようにガクガクになるまでぶち犯したいです……」
素でこんな事言ってる奴の理性が果たしていつまで機能する事やら……
この物語は―――平和に過ごしたいTSロリっ子娘がヤバ女達に狙われまくる、そんなお話である。