TRPGクリエイターカオスくんのGM日記   作:TRPGクリエイターカオスくん

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「バグズ」

「出来たー! 間に合っげぶふぉっ」

 

 土曜の夜明け。TRPGを書き上げ製本し、喜びの声を上げていると、唐突に、俺の背に何かが突き刺さった。

 それも、複数。一つは掲げた本にもぶつかった。

 

 な、何が起こった!?

 なんとか起き上がり、足を子鹿のように震わせながら投げ出された本の方を見る。本は輝く。そしてなんだか凄く立派な装丁になった。

 振り返るが、窓ガラスも壁もなんともなっていない。

 

 なんだこの不思議現象。

 俺は、恐る恐る近づいた。

 

 そして、本を手に取る。

 

『現在の情報を見る

 GMを任命する

 ゲームをする

 シナリオを作成する』

 

 ゲームをするが薄いな。

 現在の情報を見るを触れると、ページが1人でに捲られる。

 

『M……カオス

 GM……登録なし

 プレイヤー……登録なし

 シナリオ……『未知の惑星への接触』』

 

「シナリオはサンプルシナリオか。マスターのカオスは俺のペンネームだな」

 

 ひとまず、最初のページに戻り、GMを任命するを選ぶ。

 ページが捲られ、GMリストが出た。

 俺は自分の名前を書き入れる。

 カオスと。

 すると、ゲームをするが濃い字になる。選択できるようになったようだ。

 

 

 俺は、めちゃくちゃドキドキしながらゲームをするを選んだ。シナリオは未知の惑星への接触。

 ページが捲られ、募集要項が出る。

 まず、秘密が守れる人だよな。

 ちょうど今夏休みだから、その間、仕事とバイトのない人。

 宇宙旅行に興味がある人も付け加えて。TRPGが好きな人も入れる。

 募集は4名。NPC枠で一名。つまり俺だ。名前はどうしよう。

 ワーカーでいいか。

 後は開始時刻を設定するだけ。

 

 えいっ スタート!

 

 すると、俺の携帯に広告が表示された。

 

『TRPG超大作「バグズ」プレイヤー募集。商隊を組織し、惑星探索をしよう! 定員4名』

 

 こうなるのか。

 

「ちょっと落ち着いて、トイレと食事と風呂を済ませてからにしよう」

 

 まだ心臓がドキドキする。既にお腹いっぱいだ。

 

 そして、俺はそれらを終えて広告をタップ。すると一瞬で景色が変わった。

 真っ白な部屋には、既に4人の人が集まっていた。

 某少年名探偵に出てくる犯人のように、全身真っ黒だった。

 4人とも戸惑って周囲を見渡している。俺の事は見えないようだ。

 大きな時計がある。もうすぐ開始時間だな。

 時間だ。

 薄い本とシート、ペン、サイコロ、済の判子が出現する。

 

「なんだこれ」

「4人集まったのよね? な、何が起こるのかしら」

「あ、あの、テーブルの上に本とサイコロが」

「俺が読む」

 

 体格のいい黒タイツが本を開いて読みあげる。

 

「君らはスペースバグズだ! 商隊を組織し、商売を行う事となった。君らの目的は貿易を行う事だ。今回は、未知の惑星と接触し、貿易の約束と貨物をゲットする事だ。異文明との接触は大変だが、優秀な君らなら出来る筈だ。さあ、メンバーを教えてくれ。ただし、必ず1人は宇宙船となること。キャラクター作成方法は……TRPGだな。クリアタイミングは、貨物を持って地球を飛び立つこと。貨物はよく考えないと次回で詰むらしい。行く場所は最初は地球で固定だけど、その後は選べるみたいだ。あと、監視役にワーカーってバグがいるらしい」

「はあ? TRPG? 神様の悪戯ってこと?」

「エイリアンや悪魔かも」

「それってキャラクターに本当になるってこと? 元に戻れるの?」

「ゲームで遊べば返してくれる……かもしれません」

「次回ってなんだよ」

「宇宙船が1人か……」

 

 戸惑っていたようだが、後1時間で開始します、それまでにキャラクリエイトして済みのハンコを押してくださいと音声が流れてにわかに動き出した。

 

「とりあえず、自己紹介しません? その後、キャラクリエイトしましょう。職業とキャラネーム、あっ TRPG知ってるかどうかも!」

「あー。俺は大学生。そうだな。ディーと名乗ろうか」

「私は大学生です! サクラにします。今、大学で結構遊んでます。心は女よ!」

「僕は、その……無職です。アルスにします。TRPGは毎日してます」

「私も無職ですね。体を壊しまして。官僚をしてました。スタンと名乗りましょうか。リプレイを読む程度ですね」

「なるほど、ある程度ゲーム知識を持つものが集められたわけか」

「とりあえず、ルールブックを読みましょう」

「ぼっ僕! 宇宙船、しましょうか?」

「いえ、1番大事なポジションを適当に決めるのは怖いです。まずルールブックを読みましょう」

 

 そして、話し合った結果、強く希望したディーとアルスが船蟲をすることになった。サクラは医務蟲、スタンは頭脳蟲である。バランス大丈夫か……。

 

 あと、所持金の消費が出来てない。しょうがない、必要最低限はサービスしてあげるか。それと貨物は初回特典で満載にしてあげよう。それぐらいは本を抱えて念じればできた。

 全員のシートに済の判子を押して時間がくると、次の瞬間、また転移していた。

 

 なんと、生き物の腹の中である。そして化け物が3人。

 蜂人間のような生き物で普通に皆がビビっている。イメージ通りだけど、実際にみると迫力が違うな。早速俺はご挨拶。

 

[俺はワーカーです! これからよろしくお願いします! 力仕事なら任せてください]

[スタンと言います。よろしくお願いします]

[サクラよ。よろしく]

 

 ギチギチと言う声だが、不思議と意味がわかる。

 

【うおっ めちゃくちゃびっくりするな!?】

 

 ひときわ大きいギチギチ音。宇宙船をしているディーだ。

 

[ディー!]

【聞こえてるぜ。見えるか? なんて美しい……地球だな。どう見ても地球だ】

【すごい……】

 

 俺たちは窓に駆け寄った。

 

【何が悲しくて宇宙人にコスプレして地球に接触しないとなんだよ……】

[並行世界の地球かもよ!]

【で、何すりゃいいんだ?】

[貨物を売って、次のナーロッパ星で蜜の採取に向かう準備を整えるんですよ。この船には、申請はなかったので必需品の燃料の蜜と食料の花粉団子を満載してます。私からのサービスですよ]

[えっ 申請。いや、すぎたことは仕方ないです。蜜と花粉団子を売れと?]

【いや、これを売ると燃料がなくなる。後は花粉団子が売り物か? これも食料だけど】

[予算はあったはずですけど、宇宙船2匹でなんで生存必需品だけなんですかね……。バグズ星に帰れるのだいぶ先ですよ。道中の分まで売らないでくださいね]

[予算ですか?]

[どうやら見逃しがあったようね……]

【地球で花粉団子を売ろうって?】

【仕方ねーな。日本を目指して降りる】

 

 ゆっくりと降下する。

 

【本当に日本だ】

[あ! 戦闘機! 凄い!]

【今、大変な事に気づいたぜ】

[?]

【この機には無線機がねぇ】

【あっ……】

[詰みましたか?]

[け、携帯とってこよう! 家まで寄ってちょうだい!]

[正気ですか、正体バレしますよ]

【とりあえず、基地に着陸するぜ。と言うより周囲を囲まれててそうするしかねぇ】

【撃たないでー】

 

 そして、基地へと着陸する。

 

【おら、降りろ。後はてめーらの仕事だ】

[微力を尽くします]

 

 そう言うことで、俺達は喉の辺りの弁からえっちらおっちらと降りた。

 

 動揺の気配がする。

 

 緊張した顔で自衛隊員が囲んでいる。お仕事邪魔してごめんなさい。

 ペコリと頭を下げると、戸惑いながらも頭を下げてきた。

 

 また、慌ただしい様子で、テレビ機器などを持ってきて、日本の紹介ビデオなどを流し始めた。

 結構面白い。お弁当の花粉団子を食べつつ、試聴する。うまいな、花粉弁当。

 

 その間に、なんとかスタンが絵を描くことで交渉をしていた。

 

「どうやら、最高級の花粉団子を売るので、代わりに何か欲しいそうです」

「宇宙を飛び越えて花粉団子の販売に来たんですか!」

「どうやら、そうみたいです……?」

 

 自衛隊らしき人が困っている。俺達も困ってる。

 

「花粉団子はいらないので、船の卵とかありますか?」

[ディー、アルス、卵産める?]

【セクハラで張り倒すよ?】

【仕方ねーな、タダだしな】

【え、マジで? やだって、ヤダヤダヤダ。アッ アーっ】

[卵一ついくらで買ってくれますか?]

【オッオッオッ ああーっ ん、駄目っ駄目ぇっ】

[ええ? あるだけ欲しいって言われても……]

【らめぇぇぇぇ! 卵生まれちゃううううう!!】

【おらっ 産めよ!!】

【お“っお“っアアアア】

[じゃあ、今産んだ卵全部で積荷ください。ワーカーさん、お勧めの積み荷ありますか?]

[武器全然用意してないでしょ? 次のナーロッパ星で戦闘あるよ]

[刀とか必要かしら?]

[それも必要だし、この星特有の蜜とかもないと女王様に怒られるよ]

[それは重要な情報ですね]

 

 そして、尊い犠牲により五つの卵が産まれた。

 そして、積荷を満載し、地球を飛び立った時。

 俺達は、白い部屋へと再度来ていた。俺は見えなくなっている。

 

「戻れた……のですか?」

「シートに成長点が追加されてるわ」

「うっうっうっ」

「仕方ねーだろ、いつまでも泣いてんじゃねーよ」

「ほら、成長点沢山ありますよ。積荷を用意したアルスさんが1番です」

「プレイヤー報酬点……? なんか交換できるっっぽいな。花粉団子とか蜜とか宝石とか金貨とか」

「まあっ すごいわ!」

「出所説明出来ないのが難点ですね。でも妻に贈り物は出来そうです」

 

 そして、済という判子を押すと、俺達は元の場所に戻っていた。

 

 もちろん俺の所にも、GM報酬点が発生してた。

 いまは貯めておこう。

 

 

 帰ったら夜だった。明日は朝からイベントだ。

 TRPGの新作、せっかく間に合ったのに落としてしまった。

 それに徹夜明けで1日頑張ったから眠気が凄い。飯食ってねよ。

 その前に新作落としましたのペーパー作らないと。

 

 ご飯を作って食べる間にと、テレビをつける。

 

 当然、テレビでは凄い事になっていた。

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