ヴァルハルトの甥 ダグザへ征く 作:風神弓雷神刀
僕たちは神殿から駆け降りながら、冥界兵を倒していく。アズール、セレナ、イングリット、僕が前衛で斬り倒し、斬りそびれを後方からクロード、マリアンヌ、ウードが倒す。ウード、魔法使えるようになったのか……。アウェイキングヴァンダーなんて叫んでいる。中腹辺りで、アズールに問われた。
「さっきそれにって言っていたけど何かあるのかい、リゲル?」
「この大樹の根にはドーマとミラが眠っている。そしてそこにファルシオンがある。」
「ここにもファルシオンがあるの⁉︎」
アズールの目が見開く。まぁファルシオンが1本だけだと思うよな。あの時はクロム聖王とルキナの2本あったけど……。実はアルム様の使っていたファルシオンもあるのだ。
「でも、根っこにあるってことはそうすぐに見つからないよね。」
「ドーマもミラも眠ったままならね」
眠ったままなら、空洞などそうそうできようがない。
「目醒めた形跡があるということですか?」
「僕は過去に戻ったときに、伯父様とクロム聖王が戦っている間、ドーマの塔でドーマを見た。チキ様曰く赤子だった息子の僕を預けてまた眠ったらしいが、一度目醒めたということはどこかにそこに入る穴ができているはずだ。」
また埋められていないならば……。
「はぁ⁉︎リゲル、あんた力の神ドーマの息子ってこと⁉︎通りであんな馬鹿力なわけね。」
「神竜族というのは、出会ったときから知っていたけど……」
まぁ、若緑色の髪や隠してもいない耳を見れば神竜族ということは一目で分かるだろうからなぁ。
「ともかく、ミラの大樹にあるファルシオンを探す。時間稼ぎを頼む‼︎バロール‼︎バロールの軍勢をぶっ飛ばしてやれ!!」
召喚したままだったバロールに指示を与えて、みんな下るの道から逸れる。にしたって、あんな巨人やら巨大な虫やら、ヴァルムやイーリスでも見たことがない。
「メサイア」
僕はメサイアを使いガーゴイルを2体召喚する。
「左周り、右周りでそれぞれ入れそうな場所がないか探してくれガーゴイル」
傍目から見れば、墓荒らしにしか見えない。これからきっと、ダグザでは過酷な戦いになるはずだ。ファルシオンの力が必要なんだ。そう言い聞かせる。一応理由はあるのだ。
すぐにガーゴイルが戻って来た。
僕はガーゴイルの足を掴み、大樹の横穴に連れて行ってもらう。
その隙間から体を入れ込んで中に入った。
洞の中心に剣が突き刺さっている。刃は2000年経った今でも輝きを放っている。
伝承によれば、先祖のアルム様がファルシオンをドーマの頭部に刺したままミラと共にこの地に埋葬したはずだ。でも、ドーマは一度目醒めている。だから、ドーマの頭部に刺さったままではないはず……。
僕はファルシオンの前に立つ。因果を断つために。両の手で、柄を掴む。抜くために力を入れる。目が熱くなることを感じる。それは、両の目のドーマとミラの聖痕が反応しているということだ。
「はぁぁ‼︎」
ついにファルシオンを抜くことができた。左手に掴み、左下に振り下ろす。
コロン……コロン……
しかし柄は塵と消えて、ファルシオンは地に落ちた。
力、入れ過ぎたか……?もちろん、そんなことはないはずだ。神竜王ナーガの牙たる刀身と異なり、柄は人の手で作られたもの……。長い間使われることがなかったために風化して、朽ちたのだろう。ウードもルキナの持つ裏剣ファルシオンの手入れをするときにそのようなことを言っていたと思う……。普段の言動は置いておいて、そういうところは役立つんだよな……。さて、柄無くなったけどどうしようかね。
「このファルシオンで、闇に覆われた遠き地に光を照らしに行ってまいります、ドーマの強さとミラの愛をもって……。ミラ叔母様……。このヴァルムの地をお見守りください。」
大地母神ミラに祈り、洞を出た。
一瞬だが、暖かな光に包まれたような気がする。きっとそこにいるのだろう。
代用できそうなものもないので、素手で刀身を掴む。後でウードに柄を作ってもらおう。もう一方の手で、ガーゴイルの足を掴み、門を目指す。自身が竜族である故に、間違ってファルシオンの刃に触ったらこっちに大ダメージだ。慎重に扱わないと……。
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俺は弓で射つつ、近付く兵を剣で斬る。
「マリアンヌ、大丈夫か?」
「はい……私はまだ動けます……。」
マリアンヌはまだ余裕そうだ。マリアンヌやイングリットとは士官学校からの付き合いだから、何ができるかなんかはよく分かる。問題は他の3人だ。あいつらの会話から名前はウード、アズール、セレナということは知れたが、どう戦うか分からん。観察していると、アズールは舞っているように剣を振るう。セレナは剣と盾を組み合わせた戦い方をするようだ。可笑しな言動を繰り返すウードの方はと言うと……。
「ファイナル……インパクト〜」
いじりがいがありそうなやつだ。よく分からんことを言っているがウードにしろ、他の2人にしろ相当な手練だと分かる。問題は白魔法や杖を使って支援できるのが、マリアンヌしかいないことだ……。マリアンヌが狙われないように常に注意を払わないといけない……。ま、今のところそこまで苦しい状況じゃないけどな。
「あんた、調子はどうだ?血が疼いて絶好調か?」
「俺は平気だ。何しろ、新天地での使命が加護を受けし謎の戦士たる俺を待っているからな‼︎そういえば、貴様らの名前は聞いていなかったな。何者だ。」
そう言えば、名乗っていなかったな。すぐに敵襲があったからな。
「俺か?俺はクロードだ。それで、あそこにいる真面目過ぎる天馬騎士はイングリットだ。これから同じ飯を囲む仲間だ。よろしく頼むぜ、ファイナルインパクトの使い手のウード。」
軽口を叩きやすいやつだ……。
「私はマリアンヌです。ヴァルム帝国と……、交易するために……、リゲルさんについて来ました……。」
「よろしく頼む。異なる地より来たりし、クロード、マリアンヌ……。」
「ずっと……、この調子なんでしょうか……。」
「あぁ……。多分な。」
俺たちは呆れていても、敵は待ってくれない。途中、リゲルのやつが魔物の足を掴んで飛んで行ったが、何か秘策があるんだろう。ま、さっきフェイルノートとブルトガングのとき、「それに」と言っていたしな。俺たちの方は気にせず、やっていくか。
そんなこんなで、フォトナの言っていた冥界の門とやらに辿り着いた。
「おぉ、近くで見るとより悍ましいな。」
「ここにはどうやら門番が居らぬようじゃな」
「本来ならば門番がいるのか?」
「冥界より来たる冥将とでも言おうか……。ふっ、悪くない……。」
「過去に戻れば……、いずれ戦うことに……。」
「そうじゃ。バロールめの軍門に下った者の中でも特に強い者がの。ここはときを渡った先にある場所じゃ。いくらバロールといっても門番を用意できる程ではないのじゃろうな。」
「問題なく門の破壊ができるみたいで良かったよ、破壊ができたら僕とお茶しない」
「あんた、こんなときでもナンパしてんじゃないわよ!!」
「あなた……、シルヴァンのように女癖が悪いのね……。」
イングリットがアズールには聞こえない声でぶつぶつ言っている。
「では、参るぞ‼︎」
パンッ‼︎
フォトナが両手を合わせた。俺たちからも何かしらの力を出しているのだということは彼女の周りを中心に、草木が揺れ始めているところから感じ取れる。
「よし、では門を破壊するのじゃ‼︎」
そのとき門から急に巨体の影が現れる。巨人だ。俺たちに向かって、棍棒を振り翳す。あわや、当たるかと思ったとき、空から声が聞こえた。
「行かせはしない。とぉりゃー‼︎」
空飛ぶ魔物の足から離して、斜め上から見たことのない輝く剣を持って、劈いた。なんかあの剣、柄がないな……。
「ったく、相変わらず来るのが遅いぜ、リゲル‼︎」
千年祭で集まろうって言っていたのに、こいつが来たのはアンヴァルからだ。村々を訪ねて、帝国軍の侵略・略奪や、山賊を撃退して回っていたという。一度ガルグ=マクにも運んだらしいが、俺たちが戦場に出て不在だったためまた村を巡っていたそうだ。
「全く……。最後に良いとこを持って行かれてしまう。俺もやってみたいのにぃ。」
多分あれが素だな、選ばれし希望の剣士さんの。
「過去に行くときにギムレー相手に殿やってくれたりね。良い所持っていくよね。過去に戻った後はクロム様が覚醒の儀をするときだったから遅れてやって来たっけ?」
やはり、話に聞く絶望の未来を防ぐための戦いでも似たようなことになっていたらしい。
「人助けしてまわって合流が遅れているだけだから、余計タチが悪いのよね。遊んでいたわけじゃないから。というか、あんたさっきドーマの塔に居たって言ってたわね。そのとき、あたしたちあんたの伯父と戦ってんだから手伝いなさいよ‼︎」
「ごめん、あの時は母を見てみたかったのと、自分の出生が気になってそれどころじゃ無かったんだ。母さんがあの時の城で殺されたら、僕産まれなくなっちゃうし……。最初の世界なら僕が産まれていてそうなることはなくても、僕たちが過去に戻って干渉している以上どうなるか分からないから……。レンハ王みたいに……。」
母親に会うことが現在では叶わなかったら、会いたくなるもんだし、父親も気になるか……。話を聞くに元々の世界だとリゲルの剣の師であるレンハ王は生きていたが、過去に戻った結果、レンハ王は亡くなってしまったらしい。
「マリアンヌ、門の左下を斬ってくれ‼︎イングリットは門の右下‼︎俺は、フェイルノートで中央に3発ほど入れてみる‼︎リゲル、最後にてっぺんから振り下ろしてやれ‼︎」
「……分かりました!」
「はい‼︎」
「あぁ。」
まず、マリアンヌとイングリットで左右に亀裂を入れる。俺は中央に矢を3発あてる。そこから、リゲルが門を上から斬り裂く。
「おぬしたち、よくやった‼︎」
「近くの村には被害は出ていないみたいだね。」
「無事に破壊できて良かったです。」
「じゃあ、ダグザに行くか。」
「すまぬが、いくら神祖より天刻の力を受け継ぎし吾の力を持ってしても、全員を今この場で連れて行くことはできん……。なので、この場所で次に月が満ちる場所に参れ‼︎頼んだぞ、おぬしたち‼︎」
「あっ‼︎消えちゃった。」
「ここ、何処なんだリゲル?」
リゲルの持つ地図を覗き込んでもフォトナの指定した場所が分からない。イーリスの地図上ということは分かるが……。ヴァルム出身のリゲルなら分かるだろうと託した。
「ここか……。」
「勿体ぶってないで、早く言いなさいよ‼︎貸しなさい‼︎」
セレナがリゲルから地図を取り上げる。
「ここって異界の門じゃない⁉︎よりにもよってなんで隣の大陸なのよ‼︎」
「隣の大陸……、つまりイーリスにあるということですか?」
「うん、そうだね。僕たち、前はイーリスからヴァルムに来てくれって言われたけど、今度は逆だね。」
「異界の門は、イーリス聖王国の南部にある異なる時間軸と空間を繋げる門だ。ここを使うことになるとはなぁ。たまらないぜ。」
「要はシャンバラにあった転移装置のようなものだよ。それが時も移動できるんだよ。」
シャンバラにあったな、そういや。とんでもない代物ってことだ……。続けて、リゲルが俺たち全員の方を見る。
「みんなに提案なんだけど、一度帝都に行ってから異界の門に行かないか。1ヶ月後ならなんとか間に合うと思う。ダグザじゃ何があるか分からない……。先に装備を整えておいた方がいいだろ?僕はウードにファルシオンの柄を修復をお願いしたいし……。」
「やはりその輝きはファルシオンであったか。久々のファルシオンの修復か……。腕が鳴るぜ‼︎」
「そうね、あたしも帝都で買い物してみたいわ」
「セレナ、君のそれは絶対戦いに関係ないものだろ……」
「帝都の女の子とお茶を……、ってイングリット?どうしてそんな目で見るんだい?」
「いえ、知り合いに似ているので……。」
「私も元々は帝都に行く予定でしたから…………」
「いいぜ、俺も」
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1ヶ月後。1186年星辰の節 異界の門
「準備は良いか、おぬしら」
「いつでもいいよ」
「いよいよだな……血が騒いできた……」
「えぇ‼︎」
「はい……」
「問題ありません。」
「いいぜ」
フォトナからの問いかけに、目を見開き最後に応じる。
「あぁ……。」
「吾は因果の海で、見守っておるぞ」
ハイドラとイーリスで出会って、ヴァルムで集合する3人。今度はヴァルムでフォトナと出会い、イーリスで集合。
万紫千紅の人物との見たい組み合わせがあればお願いします。アンケートにしていますが、回答は例です。感想の方からもお願いします。
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リゲル×カストール
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クロード×ティアラ
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ウード×ダンテ
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イングリット×ソフィア
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セレナ×リリアン
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マリアンヌ×ゲイツ
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アズール×ダイトウ
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セテス
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他に見たい組み合わせは感想まで‼︎