方城開局   作:機織りカエル

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第24話:黒閃の強打、三対一の詰み筋

  

 領域展開が使えなくなったからといって、五条悟の戦闘能力が失われたわけではない。

 

 むしろ、領域の押し合いから解放されたことで、五条は肉弾戦に集中できるようになっていた。

 

 五条が踏み込む。

 

 宿儺が迎撃しようとするが、その拳が届くより早く、五条の打撃が宿儺の身体を捉えた。

 

 ただの拳ではない。

 

 五条は術式の順転「蒼」を打撃に組み込んでいる。周囲の空間を引き寄せる力を拳に重ねることで、相手を引き寄せながら強烈な一撃を叩き込む。

 

 宿儺の身体が大きく揺れた。

 

「……やっぱり、領域が使えなくなっても五条先生の攻撃は変わらないな」

 

 戦況を見守る虎杖が呟く。

 

「いや、むしろ肉弾戦に集中できるようになった分、厄介になってる」

 

 隣で雀が答えた。

 

「五条先生は打撃に『蒼』を纏ってる。相手を引き寄せる力を拳に重ねて、普通の打撃じゃ届かない間合いからでも叩き込めるんだ」

 

「そんなことまでできるのか……」

 

「できるから最強なんだろ。あの人の場合、単純な殴り合いに見えても、術式の使い方が一段違う」

 

 五条は攻撃の手を緩めない。

 

 宿儺を建物の壁面へ叩きつけ、さらに蒼の引力で周囲の瓦礫を集める。

 

 宿儺は瓦礫を破壊して抜け出すが、五条は間髪入れずに追撃を仕掛けた。

 

 宿儺も反撃する。

 

 互いの拳が交差し、衝撃が周囲へ広がった。その間も、魔虚羅の法陣は宿儺の頭上に浮かんでいる。

 

 雀はそれを見逃さなかった。

 

「……まだ回ってるな」

 

「魔虚羅の法陣か?」

 

「ああ。五条先生の無下限呪術に適応するまで、残りの回転数を数えてたはずだ」

 

 雀は戦場から目を離さずに続ける。

 

「宿儺は五条先生と戦いながら、魔虚羅の適応を進めてる。五条先生が攻めてるように見えても、時間をかければかけるほど、あっちの手札が増えていく」

 

「じゃあ、早く決着をつけないと……」

 

「そういうことだ」

 

 五条も、そのことは理解しているはずだった。だからこそ、攻撃の手を緩めない。

 

 五条の手元に、赤い球体が生まれる。

 

 術式反転「赫」。

 

 五条はそれを宿儺へ放った。

 

 宿儺は建物の柱を利用して攻撃を避ける。赫はそのまま建物を貫き、宿儺の背後へと回り込んでいった。

 

「……避けた?」

 

 虎杖が目を見開く。

 

「いや、まだだ」

 

 雀は画面を見つめるように、戦場の動きを追っていた。

 

 五条が放った赫は、まだ爆発していない。

 

 建物の形状を利用して軌道を変え、宿儺の背後へ回り込ませていたのだ。

 

 宿儺がそのことに気づいた瞬間、赫が背後で炸裂した。

 

「なっ……!」

 

 爆発に巻き込まれ、宿儺の身体が大きく吹き飛ぶ。

 

 五条はその隙を逃さなかった。

 

 一気に距離を詰め、宿儺の顔面へ拳を叩き込む。

 

 黒い火花が散った。

 

 黒閃。

 

 五条の一撃が、宿儺の身体を強烈に打ち抜いた。宿儺の身体が揺れ、そのまま意識を失ったかのように動きを止める。

 

「黒閃……!」

 

 虎杖が声を上げた。

 

 雀も目を細める。

 

「決まったな」

 

 五条の一撃は、宿儺を一時的に意識を失わせるほどの威力を持っていた。

 

 しかし、その直後だった。

 

 宿儺の頭上にあった魔虚羅の法陣が落下する。

 

 地面に触れた法陣が、もう一度回転した。

 

「……!」

 

 雀の表情が変わる。

 

 宿儺の足元に広がる影が不自然に広がり、五条の足元まで影が伸びた。

 

 次の瞬間、その影の中から巨大な腕が現れる。

 

 魔虚羅。

 

 その巨体が影から姿を現し、五条へ向けて剣を振るった。

 

 五条は反応するが、斬撃は無下限呪術を突破していた。

 

「五条先生!」

 

 虎杖が叫ぶ。

 

 魔虚羅の剣が五条の肩を斬り裂く。

 

 五条は距離を取り、傷を負った肩を確認した。

 

「……なるほどね」

 

 雀は魔虚羅の姿を見つめていた。

 

「適応が完了したんだ」

 

「無下限に?」

 

「ああ。魔虚羅は、五条先生の無下限呪術に適応した。だから、今の斬撃は不可侵を突破して届いた」

 

 雀は続ける。

 

「さっきまでの攻撃は、無下限に阻まれていた。けど、もう同じ手は通用しない。少なくとも、魔虚羅にはな」

 

 虎杖は唇を噛んだ。

 

「じゃあ、五条先生は……」

 

「まだ終わってねえよ。あの人が、ここで簡単に負けるわけがない」

 

 雀の声には、いつもの気怠さがなかった。

 

 五条は魔虚羅と向き合い、再び構える。宿儺も、ゆっくりと身体を起こしていた。

 

 黒閃の直撃を受けた影響は残っているようだが、完全に戦闘不能になったわけではない。

 

 魔虚羅が五条へ向かって動く。

 

 五条はその攻撃を受け止め、反撃を繰り出した。宿儺も加わり、二方向から五条へ攻撃を仕掛ける。

 

 五条はそれらを捌きながら、魔虚羅を破壊する機会を窺っていた。だが、宿儺はその隙を与えない。

 

 魔虚羅の適応によって、五条の無下限呪術は突破されるようになった。

 

 それだけでも十分に厄介な状況だ。

 

 そして、宿儺はさらに手札を増やす。

 

「……まだ何か出す気か?」

 

 雀が呟いた。

 

 宿儺の足元に、再び影が広がる。そこから現れたのは、巨大な式神だった。

 

 鵺を基盤に、複数の式神を組み合わせた嵌合獣。

 

 『顎吐(あぎと)』

 

「式神……?」

 

 虎杖が目を見開く。

 

「伏黒の十種影法術だ」

 

 雀が答えた。

 

「複数の式神を組み合わせてる。魔虚羅だけでも厄介なのに、さらに一体追加してきやがった」

 

 宿儺は顎吐を従え、五条を見据える。

 

 魔虚羅が前へ出る。

 

 顎吐もまた、五条を挟み込むように位置を取った。

 

 宿儺自身も戦闘を続けるつもりだ。

 

 五条の前に立つ敵は、三体になった。

 

「……三対一か」

 

 虎杖が呟く。

 

「数だけの問題じゃねえ」

 

 雀は戦場を見つめたまま答えた。

 

「魔虚羅は無下限を突破できる。顎吐も加わって、宿儺は攻撃の手数を増やした。五条先生は三方向からの攻撃を捌きながら、魔虚羅を仕留める方法を探さなきゃならない」

 

「それって……」

 

「相当きつい盤面だな」

 

 雀は短く息を吐いた。

 

 五条は三体を前にしても、表情を崩さない。

 

 宿儺、魔虚羅、そして顎吐。

 

 最強の術師を追い詰めるための布陣が、完成していた。

 

 戦況は、明らかに変わった。

 

 五条悟は今、三対一の戦いを強いられている。

原作基準で行きますか?

  • はい。原作基準でオリ敵、オリ展開無し。
  • いいえ。原作基準ではなくオリ敵オリ展開で
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