CODE: CYCLE ―暁美姉妹の超常現象調査ファイル―   作:ヒロセカズヒ

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テレビシリーズ最終話後の世界を舞台にした、現代から近未来の物語です。『叛逆の物語』『ワルプルギスの廻天』の出来事は、この世界では観測されていません。ただし、ワスはいます。
『劇場版 ワルプルギスの廻天』の要素をフレーバーとして使っています。独自設定・独自解釈・原作改変を含みます。映画のネタバレにご注意ください。



CASE 01:ストリートビューの亡命者 1

霧は、朝になっても森から出ていこうとしなかった。

給水塔の上は冷える。ダン・ウィテカーは双眼鏡を構えたまま、膝の古傷が文句を言い始めたのを無視した。隣では、若い狙撃手のレイエスがライフルのスコープに頬をつけている。

八百メートル先。国道沿いのガソリンスタンドに、ピンク色のフォード・マスタングが停まっていた。

「対象を確認。二名。……本当に、子供ですね」

レイエスの声には、戸惑いがあった。ダンも同じものを感じていた。

ブリーフィングでは、確かにそう聞いた。対象は十四歳前後のアジア系の少女二名。拳銃を携行し、車を運転し、誰にも咎められない。各地の防犯カメラに残された映像を見たとき、ダンは悪い冗談だと思った。

だが今、双眼鏡の中にいる二人を見ていると、それが何もおかしくないことのように思えてくる。

黒髪の小柄なほうが、給油ノズルを戻している。腰にはガンベルト。もう一人は、少し背が高い。同じ顔をしていた。白い日傘をさして、紙コップの飲み物を手にしている。

姉妹だろう。

頭のどこかで、警報が鳴っている。あの年頃の子供が、こんなところにいてはいけない。なのに、その警報の音が、霧に吸われるように遠い。

ダンは双眼鏡を下ろし、一度目を閉じた。

十四歳。

あの年頃の子供を見ると、ダンはいつも落ち着かなくなる。理由は分かっている。分かっているから、考えないことにしている。

「……ダン?」

「何でもない。続けろ」

もう一度双眼鏡を構えた、そのときだった。

日傘の少女が、ゆっくりとこちらを向いた。

八百メートル。霧の中。給水塔の上の、ほとんど動かない二人の男。見えるはずがない。

それでも少女は、まっすぐにこちらを見ていた。そして、小さく会釈をした。

「嘘だろう」レイエスが息を呑んだ。「あいつら、こっちに気がついている」

「まさか」

黒髪のほうが、何気ない足取りで給油機の陰に入った。出てくる。看板の陰に入る。また出てくる。

レイエスが照準を追いかけて、舌打ちした。

「射線が二秒以上保持できない。この距離だと、ぎりぎりで外れる」

「それじゃあ、あの娘たちは、俺たちの位置と距離と着弾時間まで計算して動いてるってのか」

「でなきゃ、とんでもなくラッキーな娘たちですよ」

ダンは答えなかった。

元狙撃手の勘が、はっきりと告げていた。あれは偶然ではない。あの小柄な少女は、狙われることに慣れている。慣れすぎている。

十四歳の子供の動きではなかった。

 

 

「いやな視線ね」と、ほむらが言った。

「もっといやな方々が、近づいてきますわよ」ワスは紙コップの紅茶を一口すすった。「給水塔に二人。国道の向こうの車に三人」

「スナイパーまでいるなら、政府機関?」

「まあ、FBIでしょうね」

足元で、白い尻尾が揺れた。

「君たちを捕捉できるなんて、この国の組織も手ごわいね」

「まさか、魔法少女もいる?」

「それは、今は分かりませんわ」

「この付近には、君たち以外の魔法少女は観測できないね」

ほむらは小さく息を吐いた。それから、看板の陰から一歩、日なたへ出た。

霧の向こうの給水塔に、自分の姿が丸見えになる位置へ。

「交渉するの?」

「撃ち合うより、効率がいい」

「またその言葉」ワスは日傘を少し傾けた。「では、ご挨拶に参りましょうか」




『劇場版 ワルプルギスの廻天』を見て「今回も○○じゃねえか!」との怒りから「AIくん。僕と契約して、僕の読みたい二次創作小説を作ってよ」となり。投稿してみました。2次創作は初めてなので、よろしく。(小説家になろうでは、オリジナルを書いてます)
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