CODE: CYCLE ―暁美姉妹の超常現象調査ファイル― 作:ヒロセカズヒ
特定少女保護支援室 所属魔法少女記録(抜粋)
氏名:暁美ほむら
区分:実働要員 第一種
一、経歴
先天性心疾患により長期入院。退院直後、見滝原市にて契約(契約時期は推定)。
契約内容:〈■■■■との出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい〉
※インキュベーター提供の記録。対象人物部分の判読不能。照会中。
(余白・手書き)対象人物、まだ分からないの? 照会中のまま十年よ。
二、活動歴
見滝原市内にて、巴マミ、佐倉杏子、美樹さやかと共同で活動。
美樹さやかの消失(円環の理によるものと推定)以降、言動に若干の変調を認める。
(余白)「若干」じゃなかった。誰かを探すみたいに、毎晩、街を歩いてた。
三、見滝原ハザード
災害発生後、市街地中心部にて発見。トリアージ区分:黒。
搬送後、蘇生を確認。魔法少女としての身体特性によるものと推定。
(余白)黒のタグを付けられた子が、次の朝には病室で目を開けた。あの子は、何を見たんだろう。
四、家族
姉・暁美ワスと同居開始(ハザード後)。
同人も魔法少女として登録。実働要員 第一種。
(余白)先輩の記録、ハザードより前のものが一枚もない。先輩は、いつから先輩だったんだろう。
(余白・別の筆跡、杏子)細かいこと気にすんなよ。いい姉ちゃんだろ。
五、実績
現場復帰後、多数の案件に従事。評価:極めて優秀。
六、心身の状態
心的外傷の兆候あり。見滝原ハザードにおける被災体験に起因するものと推定。災害生存者として継続的なケアを実施中。
(余白)担当の先生は「ハザードの影響」って言うけど、違うと思う。あの子が怖がってるのは、嵐じゃない。
でも、じゃあ何なのか、誰にも分からない。本人にも。
七、特記事項
〇〇年、□□案件において、任務中に錯乱。詳細別紙。
以後、当面の間、国外任務に配置。
(余白)「国外任務」なんて言葉で包まないで。逃がしたのよ、あの子を。日本から。
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別紙 □□案件 経過報告(要約)
一、概要
市立中学校において、所属外の魔法少女(契約後間もない二年生女子)のソウルジェムが、持ち物検査により教員に没収された。同生徒は直後に意識を喪失し、死亡と判断された。
二、経過
没収されたソウルジェムは、教員により私的に持ち出され、後日、個人間売買サイトに出品された。当室の監視網により出品を検知。実働要員一名(暁美ほむら)を派遣。
同生徒の葬儀は既に手配済みであり、火葬予定時刻の約四時間前に、ソウルジェムの回収および身体への返還を完了。同生徒の意識回復を確認。
三、事後
回収完了後、実働要員は単独で当該教員の自宅を訪問。
当該教員は、自宅にて重傷を負った状態で発見された。
同要員の行動について、本人は記憶がない旨を供述。
現場には、同居家族(暁美ワス)が先着しており、以後の事態の拡大を防止した。
三、事後(追記)
当該教員は、事情聴取において以下の旨を供述した。
「あれが何なのか、知らなかった。ただの石だと思った」
同教員によれば、実働要員は訪問時、次のように発言したとのこと。
〈知らないなら、何をしても良いとでも言うの? そんなの、世界が許しても、私が許さない〉
同教員は、その後の記憶が不明瞭である旨を供述している。
四、処置
当該教員の負傷については、自宅内での転倒事故として処理。
実働要員については、心身の状態を考慮し、当面の間、国外任務に配置する。
(余白・マミ)「火葬予定時刻の約四時間前」。あと四時間遅かったら、あの子は帰る場所をなくしてた。
ほむらさんは、間に合わせた。それだけは、誰にも忘れさせない。