ベル・クラネル(偽)の危機   作:一般通過社会人

1 / 3
思いついたので書きました。続か……ないと思います?


ベル・クラネル(偽)の危機

〜竈火(かまど)の館 男風呂〜

 

「ッスーーーーーーはぁ〜っ……!!」

 

「どうしたベル?そんなデカい溜息ついてよ?」

 

ヘスティア・ファミリア本拠(ホーム)、竈火の館。その男風呂にて二人の男性が湯船で羽根を伸ばしていた。片やヘスティア・ファミリア団長、獅兎の光(レグルス・アグネ)ことベル・クラネル。片やヘスティア・ファミリアの頼れる兄貴分、不冷(イグニス)ことヴェルフ・クロッゾである。

 

「あ〜〜〜〜……もうヤダ」

 

「いやマジでどうしたお前?疲れてんのか?」

 

「うんマジで疲れてる……精神的に」

 

「お、おう…なんか……ドンマイだな…」

 

口を手で多い、上を向くベル。目の下に隈でも見えてきそうな顔に、ヴェルフは軽く同情した。

 

「……で、マジでどうした?お前がそんなデカい溜息つくなんてよっぽどだろ?」

 

「いやね?不肖ベル・クラネル、前々から思ってたんですよ」

 

「何をだ?勿体ぶらずに教えろよ」

 

「本人に言わないでよ?言ったら鼻の穴からシルさんの料理流すからね?」

 

「サラッと恐ろしい脅しすんなよお前!?」

 

ヘスティア・ファミリアとフレイヤ・ファミリアの中では既にシルの料理の恐ろしさは周知の事実である。

 

「わ、分かった。言わないから、教えてくれ」

 

「……よし、心の準備できた。言うよ?」

 

「お、おう…」

 

そんなに深刻な事なのか、とヴェルフは湯を揺らして身構える。

 

 

「リリって……エロくね?」

 

「くっっっっっっっっっっだらねぇ!?」

 

 

ヴェルフは叫んだ。当然である。

 

「声デカいって!?」

 

「あ、すまん……じゃねぇ!警戒した俺がバカだったわ!……いや其処でもねぇ!お前そういう事言うキャラだったか!?!?」

 

「いや俺も花の1……あれ、何歳だっけ?」

 

「14だぞ!?自分の歳忘れんな!?」

 

ヴェルフは風呂なのに冷や汗をかいた。コレはマズい。真面目に疲れている。と言うか、もう手遅れかもしれないと。

 

「いや、そんな事どうでも良い!何でリリ助なんだ!?ほら、もっと…居るだろお前!お前の周りには!ボンキュッボンな女性が!!」

 

「あ〜〜〜確かにまあ、神さまは一目見た時から「うわえっろ……」って思ってたよ?」

 

「待てお前最初っからって言ったか!?オラリオに来てから!?」

 

「うん。だって、アレだよ?」

 

「自分の主神をアレ呼ばわりしたぞコイツ!?」

 

だが、気持ちは分からない訳では無い。ヘスティア様は。あの超越存在(デウスデア)は女神の中でも屈指の巨乳だ。だが、今回ベルが話題に出したのは…。

 

「で、何でリリ助なんだよ!?その、「うわえっろ……」って思った主神じゃなくて、何でリリ助なんだよ!?」

 

「ッス〜〜〜〜」

 

再び上を向くベル。ヴェルフは分からなかった。何故あの主神を差し置いてリリ助……リリルカ・アーデなのか。確かに彼女は、少なくとも勇者(ブレイバー)の伴侶に選ばれかけるくらいには良い女である。見た目良し、スタイルも…小人族(パルゥム)の中では上澄みであろう。オマケに数字に強く、賢い女性だ。それはヴェルフも承知している……が。

 

「いや、確かにリリ助も良い女だぜ!?でも、でもだ!もっと他に居るだろ!?何でリリ助なんだ!?」

 

「……………」

 

ヘスティア・ファミリアの兄貴分は焦りに焦っていた。目の前の存在が知っているかどうかは分からないが、基本的に小人族(パルゥム)は小人族(パルゥム)と結ばれるのがこの世の常識(セオリー)である。というか大体の種族は同族と結ばれる。ヒューマンならヒューマン、獣人なら獣人、妖精(エルフ)なら妖精(エルフ)、ドワーフならドワーフ。価値観や倫理観の異なる世界で育つ異種族が結ばれる事は、それなりに難しい事。ましてやこの世で差別…そうでなくともそれなりに蔑視される立場にある小人族《パルゥム》は他種族と結ばれる事など、悲しいが沢山凡例があるわけでは無いのだ………それに。

 

(女の小人族(パルゥム)と結ばれるヒューマンなんて、ソッチの気(ロリコン)がある奴に見られる……なんて言えねぇ!!)

 

そう、それは小人族(パルゥム)が見た目的に幼く見られることによる避けられない性。世間様による歳下好き(ペ〇フィリア)の疑いである。

 

「……あの、ラキア王国が進軍してきた時あったじゃん?」

 

「あ、ああ…」

 

ああ、あの時か。言葉に出た焦りとは裏腹に、ヴェルフは冷えた頭をゆっくり回すことができた。

 

「その時にさ、リリと喧嘩しちゃって、色々あったんだけど何とか仲直りできたんだよね。それで、俺がうっかりリリの事、妹みたいに思ってるって言ったらね?」

 

「早く言ってくれ…」

 

風呂に癒されに来たのに既に疲れ気味のヴェルフは急かした。

 

「「私は貴方より年上ですよ、ベル?」ってくっっっっっそエロい声で耳元で囁いてきたんだよね」

 

「くっっっっっっっっっっだらねぇ!?」

 

そんな事で!?と。ヴェルフは本日2度目の絶叫をかました。いや、自分達の団長が初心だと言う事は今までの色々で把握していた。だが、だがまさかそんな事で堕ちているとは思わなかった。

 

「え?え!?おま、お前そんな事で惚れたのか!?」

 

「普通のヒューマンだったら、まあ大丈夫だったと思うよ。でもさ、俺耳死ぬ程弱いんだよね」

 

「クソっ肝心な所で不運(アンダー)を出したのかっっ…!」

 

ヴェルフは頭をかかえた。自分達の団長は…普段は幸運であるくせに、肝心な所でヤバい目に遭うのがお決まりの奴だ。そして、その妙な不運(アンダー)をよりにもよって小人族《リリルカ》の元で炸裂させてしまったのである。これはもう、避けようがなかった。

 

「囁かれた時、マジでヤバかったね。気を抜いてたから膝から崩れ落ちそうになった」

 

「そんなにか!?マジで弱いんだなお前…」

 

「それと同時に歪んだね。性癖が」

 

「弱すぎだろ!?!?!?」

 

弱すぎる。幾ら何でも、雑魚すぎる。プリンよりも柔らかいその性癖に、ヴェルフは驚愕した。

 

「うん、エロいよアレは。マジでエロい。リリが普段から外套着ててくれて助かった」

 

「メタメタにやられてんな!?」

 

「その後暫くはリリで抜いたもん」

 

「待て待て待て待てぃ!?」

 

この男、オ〇ズまで公開し始めた。もうヘスティア・ファミリアは終わりかもしれない…と、ヴェルフは唐突に不安になった。

 

「おまっ、お前さぁ………」

 

「歳上の栗毛の豊満(小人族(パルゥム)基準)な美少女でしか抜けなくなったんだもん。しょうがないよね」

 

「は〜〜〜〜〜っ…!!!」(クソデカ溜息)

 

デカい溜息をヴェルフは堪えられなかった。いや、それよりも風呂でぶち撒けてくれたのが不幸中の幸いだった。本人に聞かれていたら間違いなくベッドインする羽目になっていただろう。

 

「お前、コレ誰にも言ってないよな?」

 

「言ってるわけないじゃん…」

 

ホッ。と、ヴェルフは安心する。少なくとも大惨事オラリオ大戦は避けられたようだ。

 

「………ヴェルフ、俺、決めたよ」

 

「………何だ?」

 

絞り出したかのような声でヴェルフは再び地獄の釜の蓋を開けた。

 

 

「風呂上がったらリリに告るわ」

 

「やめろぉおっ!!!!」

 

 

ヴェルフは再び絶叫した。グッジョブヴェルフ。君のお陰でオラリオの平和は護られた。そしてファッ〇ューベル君。反省しろ。

 

 

 




ベル・クラネル(偽)
中身一般転生者なベル君。前世は死ぬ程つまらない14年間を過ごし、そして転生。よく読んでいたラノベの世界に恐らく主人公枠で転生し興奮したのも束の間、何故か生存していた義母に切らなければ良かった啖呵を切ってしまい、生と死の境界を見極めて限界をあと500回を超えてからオラリオに降り立った。耳が弱点。

ヴェルフ・クロッゾ
唐突に始まった団長の乱心に振り回されたかわいそうな鍛冶師。Lvは3。この会話が外部に漏れてない事を祈り、風呂を上がる。彼のお陰で世界平和は護られた。正義の鍛冶師。オラリオ栄誉賞受賞。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。