フレイヤ様に関しては箸休めとして別話で投稿するかもしれません。とりあえず今回はコレで…。
〜豊穣の女主人〜
「ッスーーーー!!……ふうっ」
「いやぁ、酷い目に遭ったねベル君?」
「ニッコニコで話しかけられても困りますね…」
「そう言うなやぁ〜!!少年、このヘルカスから聞いたで?酒入ると色々ぶち撒けるらしいなぁ?」
「ぬぁんだってぇぇ!?ナニをぶち撒けたんだぁっベルくぅぅん!?」
「まあ落ち着いてくださいよ神さま。お◯ぱい揉みますよ?」
「――――――――――――」
「自分で仕掛けといてフリーズしたわこのドチビ」
夜21時。西のメインストリートでも一際大きな酒場、豊穣の女主人の一角を占拠している集団が居た。我らが主人公、ベル・クラネル(偽)、通称ベルカスと
「おっ、お…?おぱ????」
「フリーズしすぎやドチビ。戻ってこーい!」
「まあ、ヤバい話聞かせれば戻ってくるさ。……と、言うことでベル君?早速だが頼むぜ?」
「お酒が足りない…」
「ミア母ちゃ〜ん!アールヴ・ウォーター・ウイスキー!40年のやつ〜!!」*1
「グラスの数は!?」
「4つや〜!」
「40年!?お幾ら万ヴァリスですか!?」
「キミは聞かん方が幸せやで〜?」
あまりの熟成年数にベル・クラネル(偽)がビビっていると、美しい金髪をサイドテールで纏めた
「あらベル!来たのね!」
「げっ……」
「『げっ……』とは酷いわ!私はこんなにも貴方を愛しているのに!」
「ディナさん…あ、相変わらずお美しいデスネ…」
「そんな目を逸らされながら言われても説得力0よ!可愛いわね!」
会話が成立しているようでしていない。彼女の名前はディナ・ディース。細くも端正の取れた肢体を緑色のエプロンドレスで包む可愛らしい()
「バカ
「あら大変!ミアのまかない抜きなんて死んじゃうわ!じゃあねベル!楽しんで!」
「あはは…頑張ってくださ〜い…」
手を振りながら厨房へと消えて行くディナに、手を振り返して苦笑いを浮かべるベル。でも元はと言えば紆余曲折あってディース姉妹と戦闘、無力化した後、この男がベルゲン送りにしようとしたガネーシャ・ファミリアとアストレア・ファミリアの前でゴネて豊穣の女主人にぶち込んだのが原因である。反省しろベルカス。自業自得だ。
「さてさてさてと…ほら少年、くいーっとイっちゃえや!」
「おっとっと…うわあ見事な表面張力!」
「高い酒を並々とイッキする事でしか得られん栄養があるねん!」
「それは判ります」
前世も今世も未成年な彼だが、未成年飲酒が合法なこの世界では割と酒好きである。前世でできなかった事今やってると言えば聞こえは良いが…。
「ほらドチビとヘルメス!お前らは自分で注げや!」
「流石ロキ色々小さいねっ!ボクにもお酌してくれても良いじゃないか!」
「お前今何処見て言った!?表出ろやクソチビがぁっ!」
「追い出すよボケナス共!!」
「「すいませんでしたあっ!!」」
「声がデカいよバカ共!」
「「すいませんでした…」」
「声が小さい!!」
「「すいませんでした!!」」
「丁度良い!!」
「ヘルメス様も…」
「おっとっとっと……悪いねベル君」
駄女神二人がミアに怒られている間に、ヘルメスのグラスにも琥珀色の液体が並々と注がれていた。
「それじゃ!」
「それじゃ?」
「ベル君の童貞卒業回避記念に!!」
「えーっ……まあ良いや」
キンッ…と、グラスが優しくぶつかる音がした。流石にグラスを割ったら一発退場になる。
「ん……うっ、強いねコレ…」
「でも強い割には飲みやすくないですか?熟成長いし、後なんかフルーティーですね」
「シェリー樽やからなぁ。ウチのお気に入りや」
「流石ロキだな。美味しい酒知ってる」
「まぁなぁ〜!」
チョロい。頬を染めてテレるロキに、その場に居る全員が思った。
「で、少年。どうやったん?」
「どう……とは?」
「決まっとるやんか!!ヘイズたんとヘルンたんの諸々や!!」
「ッス〜〜〜〜〜〜!!」
「答えるんだベル君!!ウチのファミリアは不純異性交遊は禁止なんだぞっ!!」
「でもヘスティア、君の眷属達…春姫ちゃんとかはバチクソに
「ぬぁんだってぇぇぇぇ!?」
そう、このベルカス。先々日、先の派閥大戦にて接収されたはずのフレイヤ・ファミリア本拠で決行された、『
「おい春姫君とナニやってたんだベル君!?チューか?それともマッサージ(意味深)か!?まさか、本番までヤっちゃったんじゃないだろうなぁぁぁ!?」
「あの人、濡れ
「明日の朝ごはんはきつねうどんだぁぁっ!!」
ヘスティア、キレた! 本番ヤってないのは褒めてやろう。だが、そんなハレンチな行為は明らかな協定違反だ。明日の朝、きつねうどん片手に徹底的に詰めてやろう。そんな顔でウイスキーのグラスを空にした。
「ほーほー、案外やる事ヤってんやなあ少年も。でも童貞何やろ?」
「勿論。其処は護ってますよ。不本意ですけど」
「不本意!?不本意って言ったかいベル君!?」
「童貞or処女なんてさっさと卒業するに限りますよ。某愛の女神も言ってました」*2
「フレイヤぁぁぁ!!!」
自分の愛するベル君がどんどん良くない方向に進んで行っている現状に、ヘスティアは危機感を覚えた。コレは早めに襲った方が良いかもしれない。*3
「わかった!じゃあホテルに行くぞベル君!今からさっさと散らそうじゃないか!初体験はボクだ!」
「俺金髪ロングのスレンダーエルフじゃないと…」
「呼んだ♡!?」
「アッすいません冗談です」*4
「ブクブクブク……NTRだぁ…!」
白目を剥いて泡を吹くヘスティア。ヘスティアは最初の二人きりの時にさっさと告らなかったのを激しく後悔した。
「クソっ…もう良いベル君!本題だ!!その、『
「ぐぇーっ!?おっぱいが、ロリ巨乳が顔面にーっ!?」
「オラオラ吐けーっ!!ついでにボクの魅力に屈しろ〜っ!!」
「ソッチがついでなのか…」
ヘルメスの困惑をサラッと流し、フェイ◯ハガーのように巨乳を押し付けて無理矢理吐かせようとヘスティア。コレが本当に処女神の姿なのだろうか。*5
「話しますっ!全部吐きますからっ!離してーッ!?」
「其処までだヘスティア!ベル君の性癖がまたもボコボコのベコベコになってしまう!!」
「しょうがないなぁ分かったよ……ん、ちょっと待ってくれヘルメス。今『またも』って言ったよね?」
「おっと…ベ、ベル君本題に移ろうか」
「お前56すぞ」
サラッと秘密を暴露され、怒り心頭のベルカス。だが何とか気持ちを落ち着け、ポツリポツリと話を始めた。
「……ん〜…、と言ってもあんまり話す事思いつかないなぁ。普通に俺がバカ過ぎて騙されただけですしお寿司」
「そもそも自分、なんて言われて連れてかれたん?」
「大掃除して
「あ〜……まあ、うん、あの子達ならやりそうだよなぁ…」
ヘスティアは同情した。自分のファミリアの眷属達が屈指の善人ばかりだと言う事を差し引いても、健全な関係を築けているファミリアの眷属ならば自らの主神との生活空間、ましてや思い入れのある本拠なら綺麗にしておきたいと思うのが普通だ。ましてや相手は狂信者……否、愛に忠実な眷属達が集うフレイヤ・ファミリア。多少おバ……天然気味なベル君が、何の疑いも無く付いていってしまうのも無理は無い。
「……まあでも、ヘイズさんの後ろの二人がめちゃくちゃ恥ずかしそうに頬を赤らめているのをもうちょい警戒するべきでしたね」
「ロナたんとイルデたんやな。あの子らが頬を赤らめるか……いかん、興奮してきたわ」
「うーんそこはかとないエロスを感じるね…!」
女好きなロキとヘルメスが口角を吊り上げる。ヘスティアは理解できてしまう自分が情けなくなった。
「ま。そして『銀の屋敷』にお邪魔したわけですが…、うん、此処からは俺のミスが続きます。
「全部聞かせてもらおかぁ…!!!」
「うっ……お酒…お酒の力が…!!」
「ほれほれ少年、くいーっとイッちゃおうや!」
「ありがとうございまーす!」
「女神のお酌なんて贅沢……いや、相手がロキだしなぁ」
「何やとヘルメス」
贅沢なのかそうでないのか分からないお酌を受け入れ、ベル・クラネルは再び語り出す。
「最初に感じた違和感は、やけに人多いなって事です」
「どんくらいや?」
「80くらいですかね?」
「…まあ、あの大きい屋敷をギルドにバレないように片付けるのなら不思議ではない…か?」
フレイヤ・ファミリア本拠はデカい。なんせ総数154名程のオラリオ最大手、超巨大ファミリアだ。それ程の眷属達を住まわせる屋敷なら、人手を重視しても不思議ではない。
ロキとヘスティアが絶叫する。ミアが一睨みした。
「気づけや!!その時点で気づけや!」
「何で謎に恥ずかしそうにしてる顔見知り+女性しか居ない空間で気付けないかなぁ!?」
「いや、単純にフレイヤ・ファミリアの男衆がやりたがらなかったのかなって…」
「いやっ、そのっ、お前さぁっ…!!」
「イシュタルにこっ酷くヤられかけたばっかりだろう!?何も学習しないな君は!?」
ヘスティアは頭を抱えた。そりゃ自分だって処女神だ、異性と交わった経験など無い。……が、流石に男性ばかりの空間に放り込まれたら危機感くらいは覚えるし、感じ取れる。目の前の男の子はソレが致命的なまでに欠如している気がした。
「あと何か防音結界も貼られましたね」
「っ〜!!!やっぱり君はアホだよ!クソボケだよ!!」
「救いようないわ…ナニやってんねん」
ロキは笑うを通り越して絶句した。この男、危機感が無さすぎる。
「ま、漸く其処で違和感を感じまして」
「「遅せぇ!?」」
「逃げようとした時に扉と窓がぜーんぶガチャガチャバタンと閉まりまして」
「「手遅れ!!」」
「魔石灯がボッと消えまして」
「「ダメ押し!!」」
「携帯魔石灯を持った『下着姿』のレミリアさんがスッ…と歩いてきまして」
「「ウヒョォォォォ!!」」
「逃げ……え?」
今まで同調していたロキに裏切られ、ヘスティアが困惑する。
「うん、迫られましたよね。下手人はヘイズさんらしいんですけど、唆されたみたいで」
「ほうほう!?」
「それで!?それでなんや!?なんて迫られたんや!?」
「『わ、わたしじゃ…ダメ?』とか」
「エッッッッッッ!!!」
「『わたしと…豊穣してくれない?』とか」
「くっっっっっ…!!普通に読んだら意味わからないけど分かってしまう自分が居るッッッッッッ…!」
「『ベル産ベル印の種を分けてわたしと豊穣豊穣しろって言ってるのっっ!!』とか…」
「Foooooooo!!」
「うっひょぉぉぉぉぉおっ!!」
「ぐぁぁぁぁぁっ!?」
猛るロキカス&ヘルカス、
「兎に角、断腸の思いでお断りしまして、走り出しました」
「何故断ったヘタレがぁっ!!其処は即押し倒してズッ◯ンバッ◯ンする所やろがい!!」
「無理に決まってんだろっ!!他所のファミリアの団員だぞっっっっ!!!」
ベルカスとて最低限の良識は有る。流石に他所のファミリアの団員に手を出したらどうなるかなんて教えられてはいないが想像付くし、何より
「まあ、其処からはその場に居た女性団員の肌色の津波が襲って来まして」
「ベル君色は!?下着の色は!?」
「白系が多かったかな…?あ、でも派手な暖色系もちらほら居ましたよ」
「「Fooooooooooooooooooooooo!!」」
「ガッツリ目に焼き付けてるじゃないかあっ!?」
乙女がするべきで無い顔で絶望するヘスティア。自分の眷属がドンドン穢れて行っている(元から手遅れ)
「削られる理性と迫る刃から必死に逃げました。皆さん下着姿で武器振り回すもんだから、色々はだけて危ない所が見え隠れして、オマケに肌に薄っすら汗がっっっっ…!!」
「クソぉっ!!何でウチは其処に居なかったんや!!!」
「俺は今、神生の中で最大限に後悔しているっ!!!」
机をダンダンと叩くカス神二人。ヘスティアは引いた。
「その後沢山の小部屋がある区画に出たので、どっかの部屋に隠れてやり過ごそうとしました。でも…」
「「「でも!?」」」
「廊下の先から手前にかけて順番に扉が開いて、更に下着姿の痴女軍団…増援が出てきて、絶望しました」
「もうおしまいだぁっ!?」
ヘスティアは堪らず叫んだ。とうとうベル君の純潔は散らされてしまうのだろうか。
「まあでも其処は俺、第一級冒険者なので。ひょいひょいっと躱して抜けました」
「ほうほう……で?どんな抜け方したん?」
「………」
「目を逸らすと余計やましく見えるぜベル君」
ロキのジト目を躱そうとするベルカスだったが、ヘルメスの指摘に余計タジタジになる。
「ベ〜ル〜く〜ん?話さないと『コレ』だぞ〜?」
「さーせん話します話すのでソレだけは勘弁してぇぇ!?」
「…………」
「………ドンマイだ、ロキ」
ヘスティアがベルカスを自身の胸部に付いているデカいアレを持ち上げ脅すと、あっさりと屈した。なおロキは自己嫌悪で沈んだ。
「…こう、股の下をズサーッと」
「「股抜きぃぃぃ!?」」
「えっちだ!!」
「獣人の方でした」
「「下着の色は!?」」
「黒のレース」
「「やったぜ!!」」
この男、原作でベル君が見ていなかった所もガッツリ見ていた。救いようがない。
「俺としてはバルコニーに行きたかったんですけど、まあ包囲が密過ぎてとても無理でしたよね。見事に誘導されました」
「何でもっと抵抗しなかったんだベル君!?キミの腰にはボクとの
「できる訳ねぇだろッッッ!?どう抵抗しても下着姿の痴女軍団から全◯の痴女軍団に進化するだけだわッッッ!!!!」
「いいやベル君!君はもっと抵抗すべきだった!!」
「そうやそうや!ナニも損しないやろがい!!」
「アンタらはだーっとれい!!」
ヘスティアの抗議とカス神二人の抗議を黙らせ、ベルカスは続ける。
「で、誘導された先は……」
「「先は!?」」
「大浴場でしたよね」
「「ウッヒョォォォォォオッ!!!」」
「ふんぎゃぁぁぁぁぁっ!?」
女湯は出来れば自分との混浴でデビューさせたかったヘスティアは、再び頭を抱えて悶絶した。
「そして、そこにはお供の下着痴女達を従えた
「遂に、遂に始まるんか!?」
「豊穣豊穣が始まるのか!?」
「更に更に!大浴場のど真ん中には数十人くんずほぐれつしても問題無いであろうデカいベッドが\ドーン!!/と!」
「なんでぇ!?」
「ばっかヘスティアお前!そんなん素早く汗流してベッドに突入する為に決まっとるやろがい!!」
「いいやロキ!コレはソーププ◯イと言う線も…!!」
「ソッチか!?」
カス神二人はエ◯談義に花を咲かせ、ヘスティアはとんでもない顔でウイスキーのグラスを空にする。オラリオは終わりかもしれない。
「そしてヘイズさんは『これより、夜の
「「キターッ!!」」
「ぬぁぁぁぁぁあっ!?」
ヘスティアは絶望した。もうあの綺麗なベル君は居ないんだ、と。*6
「んで、皆さん襲いかかってきやがりまして。後ろからチクチクデバフなんかかけてきやがりまして。オマケに『お前がパパになるんだよ!』とかほざきやがりまして」
「ベル君!もうこれは観念して全てを曝け出すしかない!」
「そうやそうや!観念してパパになるんや!」
「ダメだぁっ!!ボクは子供は産めないけどベル君の貞操はボクのものだぁっ!!」
ヘスティアは血涙を流して愛しの眷属の身体に擦り寄る。
「ヘスティア・ナイフは全◯コースなので使えないので、近くに有った
「ちゃんと迎撃できたんだろうなぁっ!?」
「神さま、忘れてませんか?相手には都市2位のヒーラーが居るんですよ?」
「しまったぁぁぁぁあ!?」
「これはもう豊穣するしかないやろ!!」
「そうだベル君!武器なんて野蛮だ!目の前の肌色に身を委ねるんだ!!」
「できる訳ねぇだろっ!!!」
本日2回目の慟哭。ベルカスだってそりゃあできるなら身を委ねたい。だが、襲いかかってきたのは一度フった相手の眷属である。身を委ねた後の地獄の、自分と相手の主神を混じえた
「ふうっ…………!ヨシ。とにかく、このままやったら気力体力精神力が尽きてドナドナされるのは明らかだったので、ヘイズさんから鎮圧すべく飛びかかりました。」
「良いぞベル君!ヒーラーさえ潰せればこっちのもんだ!!」
「いやそんな定石中の定石を打って大丈夫か…?」
流石ヘルメス。無駄に冴え渡っている。
「そしたらヘイズさんがね?側にあった謎のレバーを『えいやー』とね?」
「「「あ」」」
「落とし穴でしたよね」
「「「あ〜…」」」
綺麗にハモる
「ヒック……まあ、はい。見事に
「うーん……見事に引っかかったなぁ…」
「アイズたん達救けてもらっといて何だけど、本当にアホやな自分……」
「うーん…ちょっとコレは……」
もう閉じ込めておいた方が安全なのではと思いだしたヘスティア。ヤンデレはヘルンさんだけでお腹いっぱいです。
「下まで落ちて大量のクッションに受け止められ、隣にはクッションの山で藻掻いているヘイズさん一人。そして辺りを見渡せば、それはそれはご立派な天蓋付きのベッドが!」
「「ウッヒョォォォォォオッ!!!」」
「此処までなのかぁぁぁ…!?」
またもやヘスティアは絶望した。遂に愛しの眷属の貞操は散らされてしまうのだろうか。
「ヘイズさん曰く、其処はかつてのエロお爺さんの覗き神が眷属達と共に掘って、フレイヤ様の沐浴を覗こうとしたバカの名残らしいんですが、まあそれはどうでも良い事でして」
「「あ〜…」」
「?」
心当たりがありそうなヘルメス&ロキ、またしても何も知らないヘスティア。軽い小休止を挟んだところで、ベルカスの独白は続く。
「そして、ベッドインしちゃいましたよね。んで、まあ……『愛してますよ、ベル』的な事を言われまして」
「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」」
「ぎゃ………?」
ベル君が何か隠してるような気配を感じ取ったヘスティアは、ソレを追求しようとして…止めた。
「余りにもデカい愛に、若干の興奮を感じながら、下着姿のヘイズさんに四つん這いで上を占拠され…」
「ヨシっ!!!」
「良くないっ!!」
「下着の色は!?下着の色教えろや!!」
「紅色でした。鮮やかだったなぁ…」
「しっかりしろベルく〜ん!!帰ってくるんだぁっ!?」
遠い所を見始めたベルカスを必死に揺するヘスティア。何とか帰ってきた。
「とは言えですね?ちょっと既視感を感じてたんですよ」
「既視感?」
「愛の重い女性に押し倒されて迫られる…あれ、デジャヴじゃね?って」
「…まさか!?」
「その時でしたね。唐突に蹴破られた扉から、
「「キターッ!!」」
「出たぁぁぁっ!?」
しかし、ヘスティアは考えた。他の女ならまだしも、ヘルン君はフレイヤ至上主義だ。フレイヤ以外の女と交わろうとしているベル君を、阻止してくれるんじゃないかと。
「ヘルンさんは開口一番にヘイズさんに罵声を浴びせ、Lv.2とは思えない動きとパゥワーでヘイズさんを引き剥がしてくれました」
「「ッチ!!!!!」」
「やったぜ」
勝ったな、お風呂食ってくる。ヘスティアはそう思い、残りのウイスキーをボトルごとイッキした。
「『恥知らず!!*7地獄に墜ちなさい!!クズ!!カス!!ゴミ!!』顔を真っ赤にしながら罵声を浴びせるヘルンさんは、僕にとっては救世主に思えました……次の瞬間までは」
「「Booooooooooooooo……ん?流れ変わったな?」」
「次の瞬間までは?」
ヘスティアは耳を疑った。まさか、ヘルン君、嘘だよな?
「ヘイズさんが悪魔の囁きをかましたんです。『このまま黙っててくれればぁ、貴方の言う下界の汚物を此処に閉じ込める事ができますよー。よく言ってたでしょー?被害者を増やす前に監禁しなきゃってー。ここは協力一択ではー?』と」
「乗るなぁ!乗らないでくれヘルン君!!」
「乗れ!!乗れ乗れ!!」
「乗るんだ
必死に祈るヘスティアの努力も虚しく、ベルの口は絶望を奏でた。
「『時間は?』『たっぷりー』『最初は私。絶対』『おーけーおーけー』そんなクッッソゆるい声で籠絡されていく最後の希望を、俺は震えて見ている事しかできませんでした」
「もうおしまいだぁ……!」
「豊穣だ!このヘルメスが見届けよう、豊穣ミィスを!」
「ウッヒョォォォォォオッ!やっと本番かいな!!待ちくたびれたわ!!」
最高潮に達する興奮。そろそろミアがキレそうである。*8
「頬を染めたヘルンさんが静かに脱ぎ始め、己の瞳の色のような漆黒の下着が現れました。それと同時に上を占拠され、そのまま囁かれます」
「なんて!?なんて囁かれたんだ!?」
「『抵抗は許さないわ…総て受け入れなさい…!』ですって」
「受け入れるなベルくぅぅん!?」
「勿論そんなの御免なので抵抗しようとしたんですけど、既に組み敷かれた兎が黒豹に敵う訳もなく。オマケに囁かれた時にめちゃくちゃビックゥッ!!と反応しちゃったので、弱点がバレちゃいました」
「ぎぃやあああああぁぁ!?」
乙女が出しちゃいけない声で机に突っ伏すヘスティア。
「ほう少年、耳が弱かったんか…!」
「!?やめろぉロキ!渡さないぞぉ!?ベル君はボクのだぁっ!!」
「其処からは
「ぎぃやあぁぁぁぁあ!?フレイヤにもバレてるじゃないかああああああああああああ!!?」
ヘスティアは思った。あれ?コレ詰んでね?と。だってベル君に明確な矢印を向けている人物の中でもトップクラスに危険な女に弱点がバレてしまったのだ。今回は貞操は散っていないようだが、遅かれ早かれ堕とされる気がする。
「っふ〜…以上っ!解散!!」
「解散できるかぁっ!まだまだ飲み明かすでぇ!!」
「そうだぜベル君!今日は朝まで帰さないぜ!!」
「ああ?上等だ付き合ってやるよぉ!!ミアさん!エール追加三つぅ!」
「騒ぐんじゃ無いよ!それにウチは24時間営業でもないよ!!」
「ハシゴするんで大丈夫でぇす!!」
「やめるんだベル君!!二日酔いどころか三日酔いになるぞぉっ!?」
「うっせぇ!もうどうせ詰んでるんだから飲むしかないだろぉ!!そんな事よりお◯ぱい揉ませろ!!」
「えっ……い、良いよ……///」
ヘスティアが照れながら身体を近づけた次の瞬間、
鈴を鳴らしたような美しい声が背後から響き、場を静めた。元フレイヤ・ファミリア主神、美の女神であるフレイヤである。
「やったあ流石フレイヤ様太っ腹………アッ」
「ねぇベル?このまま朝まで…でしょ?」
「いやっ、そのっ、アレは冗談と言うか〜ねえっ、お二人と……!?」
ロキ達が座っていた方に振り返ると、其処は空の席と数枚の金貨。そう、アイツらは聞くだけ聞いて逃げたのだ。カスである。
「はいっ♡エールお待たせ、ベル♡」
「…アレ?ディナさん、コレ4つですけど…」
「私も飲むわ!♡もう客も居ないし!」
ベルカスは絶望した。やべぇ。喰われるかもしれない。自らの主神に目線を送る。
「………諦めよう、ベル君」
「チッ!!」
処女神の癖に美の女神にまるで抵抗できていないヘスティアに、ベルカスは盛大な舌打ちをかました。
「ベル……私と飲むのは、嫌…?」
「ベル、今日は朝までね♡」
「んひぃっ!?」
魅了の力を持つ二人に生ASMRされ、ベルカスの身体は大きく跳ねた。サンキューヘスティア。君の努力で情報封鎖は完了した。ファッキューベルカス。年貢の収め時だ。反省しろ。
ベル・クラネル(偽)
ベルカス。説明不要。ディース姉妹の件でもやらかしてるし、フレイヤの件でもやらかしている。叩けば余罪がポロポロ出てくる男。
ヘルメス
ヘルカス。説明不要。だいたいベルカスのやらかしに巻き込まれて共犯者にさせられる。でも面白いので無問題だと思っている。アスフィの胃は死ぬ。
ロキ
ロキカス。説明不要。ベルカスとは救出作戦で仲良くなった。今回はヘルカスに面白いものが観れると聞いてホイホイ付いてきた。
ディナ・ディース
ベルカスがゴネて豊穣の女主人にぶち込んだ。一応書類上の所属はヘスティア・ファミリア。ベルカスのトレーニングの一貫として頻繁に殺し愛をするが、それで満たされているので普段から暴れる事は無い。たぶん更生した…?
姉妹が店に居るので豊穣の女主人には近寄りたがらない。会うとめちゃくちゃ嫌そうな顔で渋々会話に応じる。
ミア
たぶんベルカスのやらかしで一番得をしている人物。ベルカスがディース姉妹を更生&社会復帰+リューさんを盗っちゃった分の埋め合わせでぶち込んだのと、フレイヤ・ファミリアの件で大幅に人員が増えたのでだいぶ楽になった。
フレイヤ
ベルカスが色々ゴネたので表立っての都市追放はされていない。監視の名目でヘスティアの従属神として竈火の館に住んでいる。神としての自分と、シルとしての自分の両方を受け入れて下界での日々を堪能中。ベルカスの事は隙が出来たなら狙うつもりだが、フラれたので誰かが彼の隣を勝ち取ったなら素直に祝福する。
豊穣の女主人
軽く一都市を焼き払える戦力が揃っている魔境。こんな物騒な酒場があってたまるか。