喜べ諸君、べルレフィだぞ。
〜とある喫茶店〜
「ふ〜っ……」
「まさか、またもや貴方とお茶をする羽目になるなんて思いませんでした」
「その発言何回目だよ…で、何で居たんだ?」
「偶然です」
とある雨天の昼下がり。都市第一区画、路地に面したオーニングタイプのテラス席がある喫茶店にて、一人のヒューマンと一人のエルフが茶をしばいていた。ヒューマンは我らが主人公、ベルカスことベル・クラネル(偽)。エルフは…ロキ・ファミリアの魔導師、【
「まったく…折角の休日だったのに、貴方に出会ってしまうなんて最悪です」
「まあそう言うなって。一応同期扱いなんだからさ」
「冒険者歴では、わ た し の ほ う が!先輩なんですからね!?」
「でもLv負けてんじゃん」
「お前56すぞ」
「そんなに興奮しないでくださいw(某総理)」
「【誇り高き戦士よ、森の射手隊よ。押し寄せる略奪者を前に弓を取れ。同胞の声に応え、矢を番えよ。帯びよ炎、森の灯火。撃ち放て、妖精の火矢。 雨の如く降りそそぎ、蛮族どもを焼き払え】」
「【誓いし
互いに詠唱を唱え一触即発。喧嘩するほど仲がいいとは言うが、こんな街中でおっ始めないでほしい。通行人はいつもの光景を横目に見ながら、足早に歩き去った。
「………はぁっ、やめましょう。今の私達が争うと被害が大きくなりすぎる」
「お前が始めた物語なんだが…まあええか」
魔力を鎮めて席に座る二人。最近のオラリオではこの二人のお茶会は最早恒例行事となっており、住民にとっては「またやってんなぁ……」程度の事なのである。
「………で?アレからどうよソッチは?」
「フィン団長は未だに救出作戦の後始末に追われてます」
「各ファミリアへの謝礼や補填はだいたい済んだって聞いてるけど?」
「ええ、謝礼や補填は済みましたよ。でも、今回の遠征でロキ・ファミリアは大きな損害を受けましたから…」
「今度は自派閥の問題…か。大変だなぁ」
「貴方も団長でしょう?」
「ウチは
「フレイヤ・ファミリアの方は?」
「財布別だもん」
「それで良いんですか貴方…?」
この男、数字に関しては原作ベル君より出来る。前世では、少なくとも初等教育の課程は修了しているのだ。基本的な足し引き、この世界では出来ない者も多い掛け割りも出来る。読み書きに関してはそもそもの言語体系が違うのでアレだが…。
「…ま、今回の件でウチも課題が見えたし別に良いんだけどさ」
「課題?」
「Lvだな」
「それは貴方がおかしいだけでは?」
「いや、リューさんが入ったからバランスがなぁ…まあ37階層に金策に行くくらいは余裕なんだけど」
「貴方達本当に新興のファミリアなんですか?」
立ち上げて数ヶ月のファミリアとは思えぬ発言に、レフィーヤはちょっとビビった。なお、37階層での金策とは……平たく言えば、
「数日前には貞操奪われかけるし、何か最近災難続きだなぁ……」
「日頃の行いのせいでしょう。女たらし」
「お前はモテ……ないか。ごめんな」
「喧嘩売ってます?」
「4500ヴァリスになります」
「地味に高いのがイラつきますね…!」
双杖のフェアリーダストに手が伸びかけるが、再び我慢するレフィーヤ。憐れである。全てベルカスのせいなのに。
「………なぁ」
「何ですか?」
コーヒーカップを起き、上を見上げるベルカス。レフィーヤは何かあるのかと視線の先を観るが、特に何も無かった。疑問に思っているとカスはゆっくりと口を開く。
レフィーヤは叫んだ。絶叫した。遂にこの男、本人の目の前でセクハラかましやがったのである。
「はっ、え?ななななっ、何言ってるんですか貴方はっッッッ!?!?//////」
「何か、格好は『リューさんと違って』そんなにだけどさ」
「急に仲間ディスりますね貴方」
まあ、エルフの癖にブルマなんて履くポンコツが悪いのだが(輝夜談)、それはそれ、これはこれ。唐突に始まったセクハラパーティーに困惑したレフィーヤは、まるで
「ハーッ……最っっっっ低ですね貴方。白昼堂々セクハラなんて、やっぱりカスですよ貴方」
「安心しろ。そんなカスと白昼堂々、何回もお茶をしばいているお前も同類だからな」
「ッチ。言い返せない…!」
レフィーヤは養豚場の豚を見るような目で、目の前の男を軽蔑し、そして返ってきた言葉に何も言い返せない自分に嫌気が差した。これに関してはレフィーヤ自身も言い逃れできない。本当に嫌ならそもそも断れば済む話なのである。
「あのですねぇ、私だって好きでこんな身体してるんじゃないんですよ。そりゃ確かに周りからは『恥ずかしがる癖してきっちり出るとこ出てる』って良く言われますけど…!!」
レフィーヤは再度絶叫した。通行人がビクッとした。
「なっ、えっ、はあっ!?じゃあ何処が!?何処がエロ……えっちだって言うんですか!?」
「態度とか…性格とか?割とむっつりだよねレフィーヤって」
「なっ、なっ、なななっ…///!?!?!」
思わぬ所から
「何処がですか!?!何処がむっつりだって言うんですか私の何処が!?!?!!」
「ま、紅茶でも飲んで落ち着きなさいよ…顔真っ赤だよ?」
「落ち着けるかあっ!!」
茶をしばいていたらいきなりセクハラ発言をかまされ、しかもそのエロさの原因は自分の性格にあると言われたレフィーヤ。当然落ち着ける筈もなく…。
「まあ、身体もエロいっちゃエロいけどさ」
「ふっ、ふっふーん!やっぱりそうですよね!ほら、やっぱり身体じゃないですか!!」
「よし、じゃあウチの主神と勝負しようか?」
「すみませんでした」
流石にあのロリ巨乳とやり合うのは分が悪すぎる。レフィーヤは撤退せざるを得なかった。
「ま、何処がむっつりだって言ったら……そう言う所だよなぁ…」
「だぁかぁらぁっ!!そう言う所ってどういう所ですか!?」
「誰も身体の話なんてしてないのに唐突に振ってくる所?」
「ぐっ…!?!?」
死ぬ程痛い所を突かれ、レフィーヤは顔を顰めた。否定できない。したいけどできない。何故なら振ったのは自分なんだから。
「『自分エルフだから潔癖です〜下ネタ厳禁です〜』なんて態度してるけどさ、知識はあるよね」
「ぐっあっ!?!?」
カフェの机に突っ伏すレフィーヤ。何も言い返せない。この男、痛い所しか突いてこない。
「あっ、貴方はどうなんですか!?いつも無害そうな顔して!本当は本人の前でドセクハラかますレベルの畜生じゃないですか!!」
「其処に関して、俺はずっと疑問に思ってるんだ」
「何が!?!!」
顔を急速に挙げ、ベルカスの顔面に迫る勢いで顔を近づけるレフィーヤ。
レフィーヤは再三絶叫した。ベルカスは五月蝿いと思った。
「してるでしょう!?毎回毎回そのカッコいいよりも可愛い寄りの顔で迫ってきて誘惑して!!」
「いや、言う程可愛い寄りか俺の顔って?それに其処って個人の感想じゃね?」
「っぐ…っ!!!」
またもや撃沈するレフィーヤ。確かにそうだ。人の顔に抱く感想なんて個人によってかなり差が出ると言うもの。余程特化した顔でも無ければ、全く同じ感想になるなんて稀だ。
「で、でもっ!でもでもでもっ!!人畜無害を装ってるのは事実でしょう!?普段はエッ…いえ、『そう言う事』を何も知らなそうな顔して、こういう時だけそう言う話振ってきて!!」
「いや、公衆の面前でいきなりド下ネタかます奴はヤバいだろ。良識とか常識とかある奴なら、こういう時だけ振るのが普通じゃん」
「ぐっうあっ!!?」
ヤバい発言で忘れがちだがこの男。我々と同じ現代出身の、良識と常識ある教育を受けた一般的な14歳なのである。故に倫理観や価値観は(この世界の住人と比べたら)マシである。
「くっ……ふっ、うううっ…!!」
「泣いちゃった!」
「泣いてませんっ!!!」
余りの辱めと自分の情けなさに、思わず涙が出てきたレフィーヤ。かわいそう。
「ううっ…!そりゃ、そりゃ私だって薄々思ってましたけどぉ…!割と自分むっつり何じゃないかって思い始めてましたけどぉ…!」
「やっぱり(自覚)有ったんだ…」
「でもぉ!!ティオネさんみたいにそんなオープンにはしてないですし!!」
「急に仲間ディスるじゃん」
やはりこの二人、似たもの同士のようだ。
「そもそもエルフがアマゾネスの性的にオープンな文化と比べる時点でダメじゃね?」
「ふっぐっう!?!!」
またもや正論が突き刺ささる。*1
「ううっ…シテ……コロシテ……!」
「うん、やっぱりお前むっつりだわ」
「フンギャロッ!!」*2
そして情け容赦のないトドメ。完全にレフィーヤは死んだ。
「………アレ?でも、私にこういう話題振ってくるって事は、私、貴方からの好感度それなりに稼げてません?」
「まあ、そうだな。レフィーヤだし」
「そっ、そうですか…///」
嬉しいような屈辱的なような、そんなよくわからない感情がこみ上げてきて、思わず俯くレフィーヤ。そして…。
「………!?」
「…………何してんの?」
レフィーヤは気づいてしまったのだ。
(アレ?私、若干嬉しさを感じている?この男に?この男に好かれているという事実に、自分は嬉しさを感じてしまっている!?!?!!)
今さらながら気づいたレフィーヤ。顔が更に熱くなる。
「お〜い。熱でもあるのか〜?」
「わっひゃいっ!?!?」
「あ〜ごめん、ちょっと急すぎたな」
「あっいや、そっそんな…///」
自らの額にベルカスの手が添えられ、咄嗟に上半身が飛び退いてしまうレフィーヤ。アオハルの匂いが辺りに漂った。*3
「うっうううっ…!今日は散々ですぅ…!!」
「日頃の行い……は悪くないだろうし、単純に運が悪いんだろお前の場合」
「余計なお世話ですっ///!!」
「帰りますっ!!」
「送るか?」
「要りませんっっ!!」
そしてサラッとした気遣い。これ以上此処に居ると更なるボロを出してしまう気がする。レフィーヤは足早に立ち去ろうと席から立つ。
「あっお代」
「払っとくって」
「あ、ありがとうございます…」
「ほら其処滑りやすいから気をつけ…あっちょ!?」
「えっ…キャッ!?!?!」
普段ならば絶対にしなかったミス。席を立ち、通りに出ようとテラスの端の階段を降りようと脚をかけた。雨で滑りやすくなっていた所を勢い良く踏み抜いた瞬間、脚を滑らせて前方に倒れ込む。
「キャッ……………?」
いつまで経っても来ない衝撃に恐る恐る目を開ける。すると…。
「………………あのさぁ」
「ひゃっあっっ///!!?」
目の前にある男の顔。あと少しでも顔を前にずらせば唇が触れてしまう距離に、レフィーヤは再び顔を真っ赤にした。
「……取り敢えずどいて?」
「…………こっ」
「こ?」
「コレで勝ったと思うなよおぉぉぉぉっ!!!」
「えーっ……」
Lv.4としての能力を遺憾無く発揮したレフィーヤは、顔を染めながら通りを全力疾走していった。憐れレフィーヤ。君は何も悪くないぞ。ファッキューベルカス。女たらしめ。爆発しろ。
ベル・クラネル(偽)
女たらし。またの名を天然ジゴロ。レフィーヤに対しては割と情け容赦が無いし人の心も無い。ラッキースケベも平然としている。女の敵、でもレフィーヤの事が割と好き(一番ではない)。
レフィーヤ・ウィリディス
ベルカス被害者の会会長。ライバル枠。しかしイメチェンしても色々あって擦り切れても中身は所詮エルフの生娘であるのでむっつり。ベルカスのカス部分を知っている貴重な人材で、でもベルの事がかなり好き(一番ではない)。
ベルレフィについて
この世界ではアイズとの関係があくまでも師弟のソレに収まっているので、ライバルの多さの割には可能性が高い。現状、ベルカスからしたら色々な事をぶち撒けられる数少ない同年代の女友達だし、レフィーヤからしても同じ人物を目標とするライバルのようなもの。