〜竈火の館 自室〜
朝日が窓から差し込み、木々の葉が朝露を煌めかせる。オラリオに朝が来た。冒険か、日常か。この都市で繰り広げられる様々なドラマに人々が備える時間に、ベルカスは。
「ゔ〜っ…!」
頭を抱えていた。二日酔いである。
「あだまいだいっ…!!し、死ぬっ…!!」
時系列は前回から一夜明けた朝。前回の終わりからアイズに慰められながら火酒をカパカパと呷り、そして見事に今そのツケをこの男は払っている。
「ゔっ……み、水っ…!!」
ピッチャーを探す。いつもベッドのサイドテーブルに置いてある筈の物が、今日に限って無い。必死に手で探る。
「はい!ベルっ♡」
「あ、ありがと……」
金属製のピッチャーを持ちながら近づいてきた青い肌に感謝しつつ、コップに水を注ぎ一気飲みした。第一級冒険者のアルコール処理能力(個人差アリ)をフル稼働させ、何とか胃からせり上がってくるモノを抑えた。
「……………って、ん?」
「?」
此処で漸くカスは違和感に気づいた。此処は自分の部屋…の筈。何故自分以外の声が聞こえるのだろうか。
「………………うわっひゃいっ!??!?」
「わっ!?ベル、やっと起きたー!」
目の前に居る存在は人とはかけ離れた、しかし芸術品のような美しさを幼い容姿に留めていた。青い肌、青い髪、額の宝石。そう、皆様ご存じ異端児のウィーネである。
「ウィ、ウィーネ!?何で此処に…!?」
「……?ベル、忘れちゃったの?今日はお泊りの日だよ!」
「え?…………あ」
カレンダーに目をやるベルカス。今日を示す枠には赤丸が付けられていた。今日は月一の、ウィーネがヘスティア・ファミリアの皆と過ごす日。本来の歴史ならあり得なかったイベントだが、例によってベルカスが異端児騒動の後にウラノスとフェルズの前で色々と物申した結果、ガネーシャ・ファミリア立ち会いの元ウィーネと選ばれた数人だけが月一で地上に出る事を許されたのである。
「……でも、早くない?」
「フェルズがね、『移動するなら人通りの少ない時間が良い』って!」
「成る程」
ウィーネ達地上に出る異端児はリバース・ヴェールの常時携帯、着用を義務付けられている……が、あくまでも透明になるだけ。獣人等の鼻の利く者達や、先天的な特殊能力(予知)等の特殊な力を持つ者達が跋扈するオラリオでそれだけでは心許ない。其処で、フェルズの計らいにて夜中のオラリオを突っ切って来たのだ。
「だから、今日は沢山遊べるね!」
「そうだね!」
先程まで頭を抱えていたのは何処へやら、ベルカスはあっさり起き上がる。膝の上に乗ってきたウィーネを優しく抱き留め、頭を撫でた。
「ベルっ!撫でてっ!♡」
「良ぉお~~~しッ!よしよしよしよしよしよし!」ナデナデ
「もっと撫でて〜!」
「幾らでも撫でちゃうぞぉ〜!」ナデナデ
どっかのギャングのスタンド使いのような声を挙げて頭を撫で始めたベルカス。それに対してウィーネは一切嫌がる事も無く、寧ろカスの胸に頭を擦り寄せた。
「ベルぅ…♡」
「ん゛ッッッ!!よしよしよしよしッ!」
健全な昼間のアニメではちょっと放送できないような顔をしだしたウィーネにSAN値を削られながら、ベルの手は優しく頭を撫で続けた。
〜竈火の館 リビング〜
「おはヨうございまス、ベルさん」
「おはようございま〜す……今日はレイさんなんですね」
「えエ。リドも居ますヨ」
どうやら今回地上に出てきたのは、ウィーネ、リド、レイのようだ。
「おはようだなベルっち!」
「おはようございます…あれ、リリは?」
「リリさんなラ、朝食の手伝イに行きマした」
「いつも悪いなぁ…」
「ベルっちはいつもお寝坊さんだもんなぁ」
「面目ねぇ」
申し訳なさそうにふざけ倒すベルカスに、レイはにこやかな表情を送った。
「ベル〜…♡」
「そしてウィーネは甘えん坊ちゃんか。ま、無理もないよな」
「まだ1歳にもなってないですかラ…」
これまでの色々で精神的に成長したとはいえ、ウィーネはまだ0歳。甘えたい盛りも良い所だ。すっかり定位置となったベルの膝の上で、ウィーネは自らの身体を擦り付けていた。
「ベル、お酒…大丈夫?」
「ま〜た飲みすぎたのかベルっち?大丈夫かよ?」
「ウィーネの顔みたら吹っ飛んだから大丈夫です!」
「命様ノ故郷にハ、病は気からと言う言葉があルそうですが…ベルさんの場合ハ、本当にそうみたいでスね?」
半ば恒例行事となったベルカスの二日酔いは、異端児達にも知れ渡っていた。最も、当の本人はウィーネの顔を見た時点でそんなの吹っ飛ぶ為、リドもレイもカスが死にかけている事を見たことは無い。
「皆様〜ご飯ですよ〜!あ、ベル様も起きたんですね!」
「おはようリリ!」
「はい!」
「おや、お目覚めですか、ベル殿」
「あらベル、おはよう」
「おはようございます!」
リリと命がお盆を持って部屋に入ってくる。今日は…和食のようだ。リュー含めたヘスティア・ファミリアのメンバー+フレイヤが揃い、席に着く。
「それじゃ…」
和やかな朝食が始まった。
〜食事中〜
「ベル、昨日はえらく飲んでたが…大丈夫か?」
「二日酔いで死んでたけど、ウィーネの顔みたら吹っ飛んだ!」
「ウィーネは特効薬か何かか…?」
玉子焼きを箸で器用に割りながら尋ねるヴェルフに、カスは清々しいまでの笑顔で答えた。いつもの事ながら人体ではあり得ない挙動をしているベルの身体に、ヴェルフは訝しげな視線を送った。
「ベルくぅん?まさか、ヴァレン某君達といかがわしい事をしていないだろうなぁ?」
「ヘスティア様、【
「その油断が危ないんだよエルフ君!ベル君の事だ、こんどは【
「……アマゾネスはちょっと、お腹いっぱいですかね…」
「ベル、具合悪いの?」
「いや、
「…………」
「もう少し酷くしておくべきだったかしら、イシュタル……」
「ナニがあったんだよベルっち……」
ベルが味噌汁の器をお盆に置き、遠い目で虚空を見つめる。春姫は気まずそうに顔を逸らした。その反応を見てフレイヤはちょっと黒い面が出始め、リドは軽く引いた。
「あはは…ごめんねベル君。さて、皆今日の予定は?」
「俺はヘファイストス様にちょっと頼まれてて…」
「私はポーションとアイテムの補充ですかね…そろそろ消費期限がアレでして」
「私は、特にありません」
「命と同じく、何もありません」
「私は…いつも通り家事をやらせていただきます」
「私はお店よ。ミアにドヤされちゃうわ」
「ボクも今日は休みなんだよなぁ…ベル君は?」
「ウィーネと遊びます!!」
「やったー!」
ヴェルフはヘファイストス様のおつかい、リリはアイテムの補充、フレイヤは豊穣の女主人、命、リュー、ヘスティアは予定無し、春姫はいつも通り。至って普通の日常だった。
〜朝食後〜
「何するー?」
「フッフッフ…ベル、私達
「!いざ!!」
カスは懐からトランプカードを取り出し、机の上に並べる。
「「
二人は開始を宣言し、勢い良くゲームを始めた。
「……何故あの二人は、七並べも普通にできないのでしょうか…?」
「言ってやるなエルフ君、そういう年頃なんだ…」
「何だかんだで二人もまだ子供ですから……」
「しょうがねぇな」
そして、その痴態を女神とエルフ、命と異端児達は遠巻きに眺めていた。
〜中庭〜
「テニスやるぞ〜!」
「お〜っ!」
「ラケット持ったか〜!?」
「お〜っ!」
「ボール持ったか〜!?」
「お〜っ!」
「っしゃぁ行くぞッッッ!!」
「押忍ッッッ!」
とても14歳と0歳の会話には見えないが、本人達が楽しそうなので良しとしよう。Lv.5達(一人は推定だが)による地獄のテニスが開催された。
「ボクも混ざりたいなぁ…」
「死ぬぜヘスティア様!?」
「私はラケットを持てマせんカら…」
「私は相手が居ません」
「リュー殿はLv.6ですからね…」
土煙を上げながら
〜昼食後 リビング〜
春姫が作ってくれたたまごサンドをペロリと平らげた二人は、昼の陽気に惑わされ船を漕ぎ始めていた。
「ベルー…眠い〜…」
「俺も〜…」
「一緒にお昼寝〜…」
「いえす〜…」
「ボクもお供しようかなぁ…」
「お◯ぱいで埋めないで下さいよ…?」
「努力するよ!努力はね」
廃教会の地下暮らしだった頃にヘスティアのお◯ぱいに良く殺されかけた事がすっかりトラウマになっているベルカス。彼がどちらかと言えば貧好きなのもこう言う事が影響しているのかもしれない。*1
「ヘスティア様も、一緒に寝る?」
「ああ!ほら、『ベル君の部屋に』早く行こうじゃないか!」
「サラッと年頃の男の子の部屋入ろうとしないでください…」
早くも少し疲れた様子で、カスは自分の部屋を目指した。なお、完全にバレバレな尾行で狐とエロフと手羽先が着いてきた。ヘスティアはキレた。(命とリドは将棋を指していた)
〜ベルの部屋〜
ベルのベッドで川の字になり横になる三人。しかし、何故かベルカスは真ん中である。
「ベル〜♡」スリスリ
「よしよし……ほんっとうに可愛いなぁもうっ!!」
「知ってる〜♡」
ウィーネが甘ったるい声でカスの胸板に頬を擦り付けた。歳の離れた兄弟のような、仲の良い父娘のような光景。
「ベル君〜♡」スリスリ
「カヒュッ」
「なぁんでボクの時だけそういう反応するんだぁ!?」
そしてヘスティアも調子に乗って擦り寄ったら、キャパオーバーでカスは気絶した。そりゃそんなダイナマイトなボディーで擦り寄られたらそうなるだろう。
「っは!?や、ヤバかった…止めてくださいよ神さま…」
「むう〜っ!もうベル君なんて知らないからな!ウィーネ君と勝手にイチャコラしてればいいさ!」
「不意討ちされなければたぶん神さまでも…」
「……それはそれでムカつくな」
不意討ちされなければ脅威では無いと遠回しに言われ、ヘスティアはイラッと来た。めんどくさい女である。
「フッフッフ…そんな事言うベル君には〜〜こうだ!!」
「ふんむっ!?」
カスの顔がヘスティアのアレに埋もれる。余計な事を口走ったコイツが悪い。
「む〜っ!私もするもん!」
「わっひゃいっ!?」
ウィーネが未成熟の身体をカスの後頭部に押し付ける。
(………!?い、意外と育ってる…!?!?)
カスは混乱した。始めて会った時よりも格段に成長しているウィーネのソレに、そこはかとないエ◯スを感じてしまったのだ。
「ま、待って!二人とも一旦離れてっ!?」
「不意討ちされなければって言ったのはベル君だろ〜!?ほらほらどうだ!参ったか〜!?」
「参ったか〜♡?」
「堪へ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ…」
「降伏するの早っ」
秒で無条件降伏したカスに、ヘスティアは驚きを隠せない。そんなんだから厄介な女が寄ってくるのだ、とヘスティアは思った。実際その通りである。
「じゃあ、もう好き勝手しちゃうもん♡」
「ちょウィーネ何処触って…あっ」
「ベルくぅ〜ん!?」
カスの背中を占領したウィーネは、服の中に顔を突っ込んだ。何やら深呼吸されている気がするが、気の所為だ。気の所為だと思おう。
(というか、最近ウィーネ君の視線が妙に熱っぽいような…?)
ヘスティアはウィーネの恐るべき成長性に危機感を覚えている。最近のお泊りでの妙な動き、そして視線。子どもボディー故に破壊力はまだ無いが、それもまだ、の話。今後の事を考えれば、早急に『協定』のメンバーに加えた方が良いかもしれない。
「前途多難だなぁ…」
「何がです?神さま?」
「いやいや何でも無いんだベル君。ほら、お昼寝タイムだぞ?」
ヘスティアはウィーネの脅威を確かに感じながら、愛する眷属を自分のアレに溺れさせるのだった。ファッキューベルカス。未来は暗いぞ。サンキューヘスティア。ウィーネには気をつけろ。
ベル・クラネル(偽)
ウィーネを溺愛する奴。最近ウィーネからのボディータッチが多い事に気づき、戸惑いつつあるが、見て見ぬ振りを決め込んでいる愚兎。オラリオの寿命を最も縮めている。そろそろマスターからの指導が入る。反省しろ。
ウィーネ
無害な0歳…を装っている小悪魔。でも可愛すぎて誰も逆らえない。大好きなカスの膝の上を占領し、一日でベルカスの全てをしゃぶり尽くした。たぶんヘスティアの次くらいには関係が進んでいる。
ヘスティア
神さま。持ち前のベル君専用恋敵センサーでウィーネの謀略にいち早く気づいた。この神の今後の行動にオラリオの全てがかかっている。責任重大。
他のヒロイン
ウィーネは『まだ』無害だと思っているお間抜け共。見た目で判断してはいけないと言う言葉を知らないらしい。バカとノータリンとチキンの集まり。
協定
ベルカスが知り得ない所で結ばれた秘密協定。内容は読者の皆様のご想像にお任せするが、だいたい察しが付くだろう。
ベルカスとの関係進捗度
ヘスティア≫≫≫≫(超えられないかもしれない壁)≫≫ウィーネ>>>レフィーヤ>>>リリ&春姫>リュー≫≫その他大勢。
あと2話くらいやったらオリオンの矢編やるかも?(アンケート次第だけど)
オリオンの矢編もやった方が良き?(シリアスMAXのエスプレッソになります)
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良き
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良かない
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そんな事よりもギャグ聞かせろ!!