ある日のこと。
シューレは、ふと思った。
「…………」
いつもの自分の右手を見る。
「アタシの右手は――」
「リボルバー!」
バンッ!
いつものように撃つ。
「…………」
シューレは首を傾げた。
「……そういえば」
少し考える。
「『アタシの右手は』って、別に言わなくてもよろしいのでは?」
その場にいたキルアが振り向いた。
「今さら!?」
シューレは気にせず、検証を始めた。
まず、いつもの撃ち方。
「アタシの右手は!」
「リボルバー!」
――バンッ!!
続いて。
「リボルバー!」
――バンッ!!
「…………」
シューレが撃った弾丸を見比べる。
「ふむ」
さらに左手。
「アタシの左手は!」
「ショットガン!」
――バンッ!!
続いて。
「ショットガン!」
――バンッ!!
そして両手。
「アタシの両手は!」
「スナイパー!」
――バンッ!!
シューレは腕を組む。
「なるほど〜」
ゴンが聞く。
「何かわかった?」
「はい」
シューレは実験結果を淡々と告げた。
「口上を全部言い切る場合と比べて、威力は下がりますわ」
「やっぱり下がるんだ」
キルアが言う。
「ですが――」
シューレが右手を構える。
「こちらのほうが、明らかに早く撃てますわね〜」
「…………」
キルアが固まった。
クラピカも黙る。
レオリオは嫌な予感がした。
「……つまり?」
シューレは右手を掲げる。
「『リボルバー』」
――バンッ!
「短いぶん、発射までの時間が短縮されますわ」
「…………」
「威力は若干落ちますけれど」
「…………」
「不意打ちには、こちらのほうが向いておりますわね〜」
キルアが頭を抱えた。
「お前……」
「はい?」
「それ、今まで気付いてなかったのか?」
「はい〜」
「…………」
ゴンが首を傾げる。
「でも、威力が下がるなら、どっちを使うの?」
シューレは少し考える。
「状況次第ですわね〜」
右手。
「『リボルバー』なら、素早く撃てます」
左手。
「『ショットガン』なら、近距離で広く当てられます」
両手。
「『スナイパー』なら、威力と精度を優先できますわ」
そして、にこっと笑う。
「つまり――」
「使い分ければよろしいのですわ〜」
キルアが即座に警戒する。
「……待て」
「はい?」
「まさか今後、俺たち相手にも使い分けるつもりじゃないだろうな?」
シューレは少し考える。
「…………」
「?」
「それは面白そうですわね〜」
「やめろ!!」
レオリオも叫ぶ。
「頼むから新しい戦法を俺たちで試すな!!」
ビスケは呆れた顔でシューレを見る。
「アンタ、また余計なこと覚えちゃったわねぇ……」
シューレは嬉しそうに頷く。
「新しい発見ですわ〜」
クラピカがため息をつく。
「しかし、理屈としては合理的だな……」
キルアが振り向く。
「クラピカまで納得すんな!」
そのとき。
シューレがふと右手を上げた。
「…………」
「!?」
キルアが即座に身構える。
「リボルバー!」
シューレの手から弾丸が飛ぶ。
――バンッ!!
キルアが反射的に避ける。
「だから撃つなって!!」
シューレは満足そうに頷いた。
「やはり早いですわね〜」
「検証のために撃つな!!」
こうしてシューレは、
「口上を短くすれば、威力と引き換えに発射速度を上げられる」
という、実戦上かなり有用な新発見を得た。
ただし。
その検証対象にされる側からすると――
非常に迷惑な新発見だった。