「おのれ……おのれエンキ! 我は諦めんぞ! ならば我は命を捨てて未来を掴む!」
「それでも俺は貴様を止めるぞ……
そうして
◆◆◆
「お姉ちゃ〜ん? どうして晩御飯の前にそんなものを食べてるのかな?」
「捕食である。我は燃費が悪い故何か食わねば空腹で耐えられぬ」
「そう言って先月のお給料……家に入れた残りのほとんどは食べ物とガラクタに消えたじゃん」
「煩音である……生活費を入れた残りは我の金であり未来の金では無い。故に口出しする事そのものが無駄である」
「なら片付けをするまでがセットだよね? いつも私が手伝ってあげないと酷い有様になるよね?」
「感謝である。未来の手を煩わせてる事は拭えぬ事実。しかし我の行為を咎める事は能わず」
「正座」
「拒否である」
「せ・い・ざ」
「降伏である」
我……もとい私は転生者だ。一人称はブレブレだけど……だって仕方無いじゃん!
「だからって転んだままじゃあ終われないからさぁ……」
シェム・ハとして振る舞った。
「しかもお姉ちゃんまた火傷痕増えてる! 手当するからさっさと出てくる!」
「強情である……痛い痛い! 引っ張るな未来! 行く! 行くから離してくれ!」
「分かれば良いんだよ紫苑お姉ちゃん」
小日向紫苑……それが私の今の名前である。
「時に未来……我の伝手でこのような物が手に入った。下賜である」
「お姉ちゃんこれ!
「正解である。2枚程競り落とした故に大半の給料は溶けたが……些末である。使え」
この日の為に割と頑張って働いた集大成を未来に献上する。だって未来を怒らせると怖いから
「え? お姉ちゃんは行かないの?」
「仕事である。元々繁忙期の中で取ったのは失態であるが、未来の笑顔が見られるなら上々である。響と共に鑑賞せよ」
「ありがとう!」
未来は私に抱きついて感謝をしてくれる。本当……巻き込むのが嫌になるなぁ。でもこうしないと
「あっ……飛鳥さんから伝言だけど、『そろそろじゃないのか?』って。どういう意味?」
「未来達にとっては無縁である。我と飛鳥のみが知れば良い話だ」
私はそう言うしかなかった。とりあえずご飯食べたい!
◆◆◆
翌日……私は立花邸を訪れる。
「我である。飛鳥よ……入るぞ?」
「ん……待ってた」
中に招き入れてくれるのは
「とりあえず、そのなりきり語録は取り外して教えて。
「ん……わかった。じゃあ改めて知識の擦り合わせからしよう」
私達はお互いの知識・進捗・持ち合わせの力を整理する。
「じゃあ私から。必要な
「必要な工具とかこんなので良いの?」
「専門的な施設が無いと完成は無理。飛鳥のソレくらい純正な物を作るなんて夢のまた夢だよ」
「じゃあ私は戦えるんだ」
「戦うべき相手わかって言ってる? その場さえ凌げば解決しないんだよ
「…………だから紫苑に教えて貰ってる」
飛鳥の原作知識は断片的。せいぜい無印の中盤までを見たと本人は言ってたけどソレじゃあほぼシナリオ初見と大差は無い。しかもアプリ版がよりにもよって並行世界への分岐条件が緩い事を証明している。安易な改変は自らの身を滅ぼすと識っているのは現状だと私だけか。
「じゃあ改めて……倒して良いのはノイズだけ。間違ってもツヴァイウィングと交戦しないで。原作が狂うと未知の物語になって私の知識も死ぬから」
「敵対認定されたら?」
「私の作業が終わるまで時間を稼いで」
「しくじったら殺すよ?」
「私を殺したら
「あぁもぅソレが無かったら紫苑をブチのめして終わりじゃん」
「効率だけを考えたらソレが正解だから飛鳥が怖いよ私は。だって飛鳥は響ちゃんを守る為なら躊躇いなく私を殺せるじゃん」
「本当に紫苑の力が自認の通りならね」
ぶっちゃけ飛鳥は響ちゃんを愛してる。というか価値観が響ちゃんを守る事そのものになってる恐ろしい転生者だ。家族に優しく、苛烈さと慈しみを両立するその背は彼女の体格よりも尚大きく見える。
「じゃあ動作確認したいから移動する?」
「稼働データは押さえておきたいよね」
私達はそうして部屋を出て河川敷へと向かう。私が認識阻害の結界を張り鏡香がペンダントを握る。
「本当……コレがシンフォギアにある兵器って不思議だよね」
「本編には登場しないからねソレ。アプリ版限定の奴だから壊れたら修理は不可能ってわかってる?」
「なら素手でブチ抜く」
「出来る人間がいる世界だから冗談にもならないんだよなぁ……」
結論 風鳴弦十郎は人間としては外れ値であり、比較対象としては破綻している。
「まぁ良いか。やっ!」
飛鳥の躊躇いない拳が私の顔面に迫る。スウェーバッグで回避するけど飛鳥の追撃も早いので視線は外せない。
「舐めるな!」
体幹に負荷をかけてカウンターの回し蹴りを叩き込んだ。しかし飛鳥は少しのけぞった程度で全くダメージになってない。
「効かないね!」
「ちょっ……」
飛鳥の剛腕が私の顔面に叩きつけられた。そして私は5メートルはぶっ飛ばされた。
「〜〜っ! 痛い痛い痛い〜」
「…………相変わらず紫苑は弱いよね」
悶絶して転げ回る私を飛鳥は冷ややかな視線で見下ろしている。うん……ぶっちゃけ私は弱い! ソレはそれとして飛鳥は強い。認識が間違って無ければ私は今でも【
「コレ役割分担で荒事は全部飛鳥に投げる方が効率的になるよね?」
「本気で言ってる?」
「冗談……飛鳥が突撃したら止められないじゃん」
「紫苑って仮にも原作のラスボスだよね? 流石に弱すぎじゃない?」
「体感だけど使えるのは
「ソレが全盛期なら私が始末して終わったのに……」
「その上で装備がコレだよ? 本当に……嫌になるよ……」
私は認識阻害の結界を解く。傷を治すにもカロリーがいるんだよなぁ……。
「スポドリかマッ缶ある?」
「うわぁ……出たよ馬鹿飲料。紫苑みたいな物好き以外は飲まないクソ甘コーヒー」
「味は気にしたら負け。動けなくなるよりはマシだから」
私は今日も力を使っては低血糖でぶっ倒れる前に糖分を補給する。マジでクソ燃費悪いなぁこの身体。
「えぇ!? 未来来れないの!?」
『ゴメンね響……飛鳥さんにチケット渡したから2人で行ってきて』
「私は初めてだよ!? お姉ちゃんだって困るよぉ〜」
少し離れた場所で響ちゃんが未来に電話している様子を確認。私? 仕事が外せないって同行しなかった。そして飛鳥は……
「紫苑のチケットを無駄にするのは気が引けるから行くよ響」
「ちょっ……お姉ちゃ〜ん」
私達はこうして運命のライブへと足を踏み入れる。だけど私は識らなかった……この世界のイレギュラーは
次回はツヴァイウィングのライブです!
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