満月が夜空を照らす『まことみらい市』。
この町の住宅街に佇む一軒家の一室にいる女性が微笑みながら首にぶら下げているロケットペンダントを見つめていた。
そんな中、室内の電気が消えてしまい、真っ暗になってしまった。
「停電かしら…?」
女性は困惑しながらも、ブレーカーの確認をしようと部屋を出ようとしていた。
「ごきげんよう、麗しいレディ」
そんな声が聞こえてきたとの同時に室内の電気が復旧する。しかし女性は驚愕し、この場から動けずにいた。
女性の周りには赤い花びらが舞い、この場に居なかった筈の少女の姿があったからだ。
長い銀髪を黒いリボンで結び、黒を基調としたドレスにブーツをいった衣装を身に纏っているその少女の美しさに女性は呆然としていた。
「あなたは…?」
「あら?確かに予告状を送った筈ですが…」
「予告状…あれってイタズラじゃなかったの…?」
「…まぁ、別によろしくてよ?目的の品は頂きましたし」
「目的の品?…あっ!」
少女の一言を聞いた女性は何やら違和感を感じていたが、その正体はすぐに分かった。
そう、首にぶら下げていた筈のペンダントが彼女の手に握られていたのだ。
「か、返して!」
「おっと」
女性はペンダントを取り戻そうと少女に飛び掛かるが、少女はすらりとそれを躱した。
「そんなに大事な品なのですか?」
「それは、死んだお母さんがくれた大切な形見なの!お願い!返して!!」
「…良いですわよ」
「え…っ!?」
少女が指を鳴らしたと同時に、女性の首元にペンダントが戻ってきていた。
「流石の
そう言いながら少女は女性に近づいていく。すると少女は右手を強く握り、手の中から赤色のバラを取り出して女性に差し出した。女性は困惑しながらも、少女からのバラを受け取った。
「素敵な夜を、麗しいレディ」
少女がそう口にすると、彼女を包み込むように花びらが舞い始め、気がつくと少女の姿が消えていた。
一人取り残された女性は呆然としていたが、その頬は赤く染まっていた。
「フフッ…チョロいもんですわ♪」
ビルの屋上の佇む少女は手に持っている不思議な宝石を見つめながら笑みを浮かべていた。
「おーい!」
少女を呼びながら彼女の傍に飛んできたのは緑色の毛の猫だった。普通の猫と違うのは空を飛んでいる事と言葉を喋っていることくらいだろう。
「ちゃんと盗って来たか?マコトジュエル」
「勿論ですわキャプタン。私の辞書に失敗の文字はありませんわ」
少女は宝石、マコトジュエルをキャプタンと呼ばれた猫に見せる。
「おお!間違いねぇぜ!」
「さぁ、長居は無用ですわ。早いところ…」
「「待ちなさい!!」」
この場から去ろうとした少女だったが、彼女の後ろから呼び止める声が聞こえてきた。
少女の後ろにいたのは紫色の髪にドレスを着た少女とピンク色の髪にドレスを着た少女、そしてキャプタンと同じくらいのサイズの生き物だった。
「これはこれは、名探偵プリキュアの御二方とそのおとも妖精ではありませんか」
「キュアスティール!マコトジュエルを返して!」
「今日こそ逃がさないんだから!」
「フフッ、そいつは出来ない相談ですわ。私にはこれが必要なのですから」
キュアスティールと呼ばれた少女は手に持っていたマコトジュエルを握り、手を広げる。その手に握られていた筈のマコトジュエルはどこにもなかった。
「取り返したいのなら、力づくで取り返しに来なさい。いつもの様にね…」
「…やろう、ミスティック!」
「えぇ、アンサー!」
互いにアンサー、ミスティックと呼び合う二人の少女はスティールに向かっていった。当のスティールは二人の猛攻を受け流すように躱していった。
「フフッ、以前より強くなったようですね。ですが…」
「ひゃっ!?」
スティールはアンサーを足蹴で転ばせ、地面に倒れる前に支えてお姫様抱っこで抱えた。
「まだまだ詰めが甘いですわね」
スティールの顔を間近で見ているアンサーはほんのりと頬を赤く染めていた。
「照れていらっしゃるの?お可愛いですわね」
「アンサーから離れなさい!」
ミスティックがスティールに攻撃をするが、スティールはアンサーを抱えたままジャンプで躱してみせた。
「名残惜しいけれど、そろそろ退散させていただきますわね」
地面に降り立ったスティールはアンサーを下ろし、先程の様に花びらを舞い散らせながら撤退していった。
「あ~!また逃げられた~!!」
どうやら幾度となくスティールの逃亡を許しているらしく、ミスティックは悔しそうに項垂れていた。
そんな中、アンサーはスティールがいた場所を見つめながら妖艶な笑みを浮かべていた。
「うーん!やっぱ働いた後の肉は美味いな~!」
名探偵プリキュアから逃げ切った
「おいはづき!ちゃんと野菜も食えよ?」
「わかってまーす」
僕のおとも妖精、キャプタンは野菜も食えと言ってくるが、僕は構わず肉を頬張り続けた。
「ったく、キュアスティールを見てきた奴らがこいつの正体を知ったらひっくり返っちまうな…」
「フフン!それだけ僕の演技力がずば抜けてるって事だね」
「褒めてねぇよ!ホント可愛くねぇ奴」
「酷いな~!こんな美少女に向かって可愛くないなんてさ」
「でもお前、中身男じゃん」
さて、そろそろ僕の事を話しておこうか。
僕、
前世の僕はどこにでもいる平凡な青年だったが、トラックに撥ねられたて死んでしまい。気がつけば生まれたばかりの女の子に転生していた。ちなみに2011年の9月27日生まれである。
そんな僕が気になったのはここがどんな世界なのかという事だ。転生したらアニメやゲームの世界だったというのはよくある事だからね。
そして15歳になり、この1999年でキャプタンと出会い、ここが『名探偵プリキュア!』の世界だという事がわかった。
え?2011年生まれなのに何で1999年なのかって?順を追って説明するからちょっと待ちなさい!
名探偵プリキュア!(略してたんプリ)とは、前世で僕が死ぬ少し前に発表されたプリキュアシリーズの最新作だ。事前情報で知っていたことは、主人公の名前がキュアアンサーこと明智あんなだという事、森亜るるかことキュアアルカナ・シャドウがやたら話題になっていた事、明智あんなが2027年から1999年にタイムスリップする事だ。
そう、僕も1999年にタイムスリップしちゃったんだよね。ちなみにタイムスリップの原因は謎の光に包まれたからだ。
ただ、僕は元の時代であんなちゃんと面識があったわけじゃない。僕がこの時代に来て三ヶ月位して、ボーっとしながら歩くあんなちゃんとぶつかったのが最初の出会いだ。どこか元気がない様子だったので曾祖母ちゃん仕込みのマジックを披露したところ、楽しそうに笑ってくれたっけ。
それはそうと、なんやかんやあって僕は『大怪盗プリキュアのキュアスティール』として覚醒した訳だが、ここで僕のやりたいことが思い浮かんだ。
そうだ、主人公のライバルポジになろう。
探偵モノにはライバルとなる怪盗の存在が不可欠だ。既に怪盗団ファントムという組織も存在するが、あいつらはどっちかというと宿敵だと思う。
僕が好きなライバル関係というのは互いに競い合い、争い合いつつも、互いを認め合っている関係だ。名探偵プリキュアとはそういう関係になりたいのだ。
「ん…?」
すると家のインターホンが鳴り響いた。こんな時間に誰だろ?
家のドアを開けた僕は、思わずギョッとしてしまう。
「こんばんは、はづきちゃん!」
何故なら微笑んでいるのに、目に光が灯っていないあんなちゃんがいたからだ。
「こ、こんばんはあんなちゃん。こんな時間にどしたの?」
「はづきちゃんに会いに来たんだよ」
「そ、そうなんだ。嬉しいな~!」
そう言った会話の後、この場は静寂に包まれ、あんなちゃんは微笑みながら何も言わない。
「えっと…帰らないの?」
「…はづきちゃんは、私と一緒に居たくないの?」
「そ、そういう訳じゃ…」
「じゃあお邪魔します!」
そう言ってあんなちゃんは無理矢理家に入ってきた。ちなみにキャプタンはいつの間にかいなくなっていた。あんにゃろ逃げやがったな。
それからあんなちゃんは僕の自室に入り込み、そのままベッドにダイブした。う~ん、どうも最近のあんなちゃんは様子がおかしい。今日みたいに夜中に家に来る時があるし、なんなら一回僕が寝ているベッドに入り込んで添い寝状態になった時もあったし。
「私、一人で1999年にタイムスリップして、凄く心細かったの…」
そんな中あんなちゃんがそう口にした。僕とあんなちゃんは互いに2027年の人間だと知っている。故に
「だから私ね、嬉しいんだ。はづきちゃんと出会えて」
「えっ…!?」
突然あんなちゃんから引っ張られ、そのままベッドの上に押し倒されてしまった。
「ちょ、あんなちゃん!?」
「私ね、はづきちゃんの事が好きなんだ」
そう口にするあんなちゃんは妖艶な笑みを浮かべながら僕を見つめていた。
僕の事が好き?LIKE?それともLOVE?
「LOVEの方だよ」
「ナチュラルに心読まな…ムグッ!?」
何かに口を塞がれ、何も喋れなくなった。あんなちゃんにキスをされたのだ。口の中にあんなちゃんの舌が入ってきて、しばらくしてようやくあんなちゃんはキスをやめた。
「フフッ、照れてるの?さっきはお姫様抱っことかしてくれたのに…可愛いね」
しかも僕がキュアスティールだってバレてるし!僕の演技は完璧だったのに!
誰か教えてください。どうしてこうなったの?僕はただ…
「ずーーっと、一緒に居ようね?はづきちゃん!」
ライバルポジになりたかっただけなのに!
二十面はづき/キュアスティール
イメージCV:青山吉能
前世が男のTS転生者で、年齢は15歳とあんなとみくるより一つ年上。マジックが得意
キャプタン
イメージCV:松本梨香
はづきのおとも妖精。年齢は125歳
こんな設定を載せておいてなんですが、今のところ続く予定はありません。