今後連載になるかはまだ未定ですが、ひとまずもう1話をあんな視点としてお送りします!
私、明智あんなは2027年からこの1999年にタイムスリップしてしまった未来人だ。
2027年の1月24日、お母さんと一緒に私の誕生日パーティーの準備をしていた私は自室に置いてあったペンダント、ジュエルキュアウォッチを手に取るとポチタンという妖精が現れて、気がつくと私は1999年にタイムスリップしていた。
今一緒に住んでいるジェット先輩によると、ポチタンは時空の妖精というらしく、時を超えてきた影響で力を使い果たしてしまい、今は赤ちゃんの状態になっているらしい。
そこで私は小林みくるという女の子と出会い、色々あって一緒に名探偵プリキュアとして活動することになった。
みくる、ポチタン、ジェット先輩と一緒に過ごす日々は確かに楽しい。だけどそればかりじゃない。
たった一人過去の時代に飛ばされたうえ、お金もない、住所もない。そして元の時代にいる友達、それに大好きなお母さんにも会えない。
これまではみくるも一緒にいたけど、そのみくるも明日から新学期で学校に通わなきゃいけないらしい。
マコトジュエルを集めていけばポチタンの力が戻って、元の時代に帰れるらしいけど…
「帰れるのかな…」
気づけば私はそんな事を呟いていた。一瞬これまで抑えてきた気持ちが溢れ出そうになったけど、私は両頬をパンっ!と叩いて気持ちを切り替えて歩き始めた。
そんな時だった。私があの子と…二十面はづきちゃんと出会ったのは。
はづきちゃんとぶつかり、地面に倒れそうになった私をはづきちゃんが支えて抱きかかえてくれた。
最初に私が抱いたはづきちゃんの印象は『ボーイッシュで、だけど綺麗な女の子』だ。だって黒色のショートヘアに、服装は緑色のキャップ帽を被って、黒色のパーカーにジーンズのショートパンツを履いていて、一人称は『僕』だし。
「君、元気ないみたいだけど、何かあった?」
はづきちゃんからの問いに、私は何も言えなかった。私が未来人だって言っても信じてもらえるわけがないし。
するとはづきちゃんは道に落ちていた桜を右手で握り、私に差し出してきた。私は恐る恐るはづきちゃんの手を見ていると、そこから出てきたのは桜じゃなくて赤いバラだった。そこからはづきちゃんがバラを宙に投げるとバラが『ボン!』と鳴ってバラバラになって宙を舞っていた。
私はそれに見惚れ、気がつくと笑顔になっていた。するとはづきちゃんは「君みたいな可愛い子は笑顔が似合うよ」と言ってくれた。可愛い?私が…
「フフッ、照れてるの?可愛いね」
はづきちゃんのその言葉を聞いた瞬間、胸の鼓動が高くなり、顔が熱い感覚に襲われた。はづきちゃんを見る度にそれは更に高まっていった。
私は、はづきちゃんに恋をしたんだ。
わかってる。はづきちゃんは私と同じ女の子で、この恋が簡単に成就する物ではないことは。だけど私は、気づいたらはづきちゃんに連絡先を聞いていた。
「いいよ。じゃあ
この時はづきちゃんが発した言葉。この言葉を聞いた衝撃は今でも覚えている。
睨んだ通り、はづきちゃんも私と同じ2027年から1999年にタイムスリップしてきたようだ。タイムスリップした時は1999年の1月頃で、年齢は15歳で私より一つ年上らしい。
それから私達は夕方まで話をした。同じ時代の話題、同じ時代で流行った話題、同じ時代にいるそれぞれの家族の話題を。しばらくするとみくるが迎えに来たため、私ははづきちゃんと別れてキュアット探偵事務所に帰った。
ちなみにはづきちゃんが私と同じ未来人だという事はみくるにもジェット先輩にも話していない。理由はわからないけど、はづきちゃんが秘密にしてほしいと言ったからだ。
翌日、みくるが通っている学校である調査をしていた私は、それが原因でみくると喧嘩をしてしまった。
その後、怪盗団ファントムのニジーにマコトジュエルを奪われ、マコトジュエルが宿っていた二つのツバメ像がハンニンダーに変えられ、プリキュアに変身してそのハンニンダーと戦ったけど、ミスティックと足並みが揃わず、思うように戦えなかった。私はジェット先輩から託されたプリキットミラールーペをオープンしようとしたけど、プリキットは応えてくれなかった。
二体のハンニンダーが私達に迫る中、突然私達とハンニンダーの間に赤いバラが突き刺さり、はづきちゃんが見せてくれたマジックの様に宙に舞った。
「全く、見るに堪えませんわね」
「だな。名探偵プリキュアが聞いて呆れるぜ!」
声が聞こえてきた方向を向くと、屋根の上に私達のとどこか似た衣装の女の子と隣で浮かんでいるポチタンみたいな生き物の姿があった。
優雅に地に降り立った女の子に私とミスティックは呆然とし、ニジーは警戒しながら彼女を睨んでいた。
「君は何者だい…?」
「私は大怪盗プリキュア。名をキュアスティールと申しますわ。以後お見知りおきを」
「俺はキャプタン!スティールのおとも妖精だぜ!」
これが『名探偵プリキュアの永遠のライバル』(みくる命名)、大怪盗プリキュアのキュアスティールとそのおとも妖精、キャプタンとの出会いだった。
突然の乱入者だったけど、ニジーはハンニンダー達をスティールに向かわせた。
それからスティールが見せた戦いは圧倒的、そして華麗だった。
ハンニンダー達は息を合わせてスティールを攻撃するけど、スティールに一撃も攻撃を当てられず、一瞬でスティールはハンニンダーの内の一体の懐に入り、もう一体に向かって蹴り飛ばした。その一撃でハンニンダー達はあっけなく沈んだ。
「キャプタン」
「おう!」
キャプタンがスティールに飛ばしたのはマコトジュエルだった。スティールはそれを左腕につけている不思議な形状の腕時計にセットした。
「キュアスティールが頂きますわ」
「プリキュア・スティールマジシャンズ!!」
スティールが左手から出した虹色のビームによりハンニンダー達は浄化され、マコトジュエルは浄化したスティールの手に渡った。ニジーは苦虫を嚙み潰したような表情のまま撤退し、残されたのは名探偵プリキュアの私とミスティックと大怪盗プリキュアのスティール。そしてそれぞれのおとも妖精だった。
「あの、助けてくれてありがとう!」
「ちょ、ちょっとアンサー!」
「大丈夫。この子はきっと悪い人じゃないよ」
「悪い人じゃない…随分甘っちょろいですわね」
スティールが指を鳴らすと、彼女が持っていた筈のマコトジュエルがいつの間にか私の手に収まっていた。
「えっ!?」
「そのマコトジュエルは差し上げます。元々必要ないものですしね」
「ったくよ、スティールに感謝しな!こいつが来なかったらお前ら負けてたんだぜ」
「そんな事は…」
「ないと、断言出来ますか?」
キャプタンの発言にミスティックが食って掛かろうとしたけど、スティールの低い声が反論を許さなかった。
「ハッキリ言わせていただきます。先程のあなた達は足並みどころか、息も合っていませんでしたわ。それでは怪盗団ファントムを倒すだなんて、到底できやしませんわ」
「「っ…」」
スティールの物言いに私もミスティックも何も言えなかった。そうだよね…自分一人で依頼を受けて、ミスティックに…みくるに迷惑をかけて…
「…さて、お説教はここまで!後の問題はあなた達で解決してくださいな」
「「えっ…?」」
「見たところ、あなた達は二人揃って名探偵プリキュアの様ですわね。更に内面も似た者同士…正しく、『奇跡の二人』ですわ」
「奇跡の…」
「二人…」
「えぇ、だから二人でちゃんと話しなさい…まぁ、あなた達のライバルを名乗る女の戯言と受け取ってくれても構いませんことよ」
するとスティールとキャプタンの周りに赤い花びらが舞い、二人を包み込もうとしていた。
「素敵な夜を、麗しいレディ達」
花びらが消えると、そこにいた筈のスティールとキャプタンはいなくなっていた。ミスティックは呆然としていたけど、私の頭の中ではある人物の顔が過っていた。
(はづきちゃん…?)
この出来事が起きた前日に出会った女の子、はづきちゃん。私と同じ2027年の人間。去り際に見たスティールの表情が、はづきちゃんと重なったんだ。
だけどまだ確証には至ってなかったから、ひとまずスティールの正体について考えるのは後回しにした。
あれから数日後、再び現れたニジーとハンニンダーとの戦いの中で私とミスティックは互いの絆を深め、新たな力で勝利することが出来た。
だけど、それから何度戦っても勝てなかった相手がいる。当然スティールの事だ。
彼女は怪盗団ファントムと違い、マコトジュエルが宿った品物の持ち主に予告状を送って、優雅に盗み出すことをモットーにしているみたい。もう一つファントムと違う点は、あくまで盗むのはマコトジュエルだけで、それが宿っていた品物自体は盗まない事だ。やっている事がいけない事に変わりはないけど、その人の思い出の品を盗まない点ではファントムと違い好感は持てる。そもそもファントムなんかと比べること自体失礼だよね!
ある日の夜、ポチタンの能力でマコトジュエルが盗まれたと知り、現場に駆けつけるとそこにスティールとキャプタンの姿があった。
私とミスティックはスティールに戦いを挑むけど、いつもの様にあしらわれ、気がつけば彼女にお姫様抱っこされていた。
「照れていらっしゃるの?お可愛いですわね」
スティールのこの言葉。口調は違うけど、初めて会った時のはづきちゃんと同じ言葉だ。
それからスティールはこの場から去っていった。
…やっぱり、あなたははづきちゃんだったんだね。
それを知った私は嬉しさで笑顔を抑えることが出来なかった。
それからキュアット探偵事務所に帰った私はコッソリ抜け出し、はづきちゃんが住んでいるおうちの前までやって来た。いつもは逃げられてばかりだけど…
「今夜はぜーったい、逃がさないからね♡」