以前あんなちゃんと約束したお出かけの日が明日に控え、僕は今…
「あのー、くれあさん?ホントに似合ってますかね?」
「えぇ、とっても似合ってるわ」
お出かけする時の服を選んでもらっていた。
僕は今白色の袖無しワンピースを着ていて、白色のつば広帽子を被っている。こういう女の子らしい服を着ることがあまりないから、少しだけ恥ずかしいな…っていうかこれでまたあんなちゃんに襲われそうにならないよね?
ちなみに僕の服を選んでくれたのは帆羽くれあさんという女性だ。『パティスリーチュチュ』という店でパティシエとして働いているらしいが、年齢は16歳らしい。僕より一つだけ年上なのに、パティシエとして働いているだなんて、素直に尊敬しちゃうな。
それから服の代金を支払い、僕とくれあさんは店を後にした。
「今日はありがとうございます。休日に付き合ってもらっちゃって…」
「気にしないで。そもそも私からお手伝いをしたいって言ったんだから」
くれあさん、なんて優しいんだ…!
「ねぇはづきちゃん。どうして急にあんなちゃんとデートする気になったの?あんなに怖いって言ってたのに…」
「『デート』じゃなくて『お出かけ』っスけどね…確かに、怖いっちゃ怖いっスけど、あんなちゃんに告白されて、キスされて、意識しちゃってるのも事実なんです…」
僕は一呼吸置き、くれあさんに僕の考えを伝える。
「だから今度のお出かけで、僕なりの答えを見つけたいんです」
「…それが、はづきちゃんの考え?」
「はい」
「…フフッ、嘘は良くないわよ」
「う、嘘…?」
「えぇ。あなたは既に答えを見つけてる…私の中の『きらめき』がそう言ってるわ」
ダメだったか…この人の言う通り、既に答えは決まっている。ホント、くれあさんのきらめきって案外馬鹿にできないんだよなぁ…彼女が名探偵プリキュアの一員だったら、滅茶苦茶厄介だっただろうな…
あれ?そういえば『名探偵プリキュア!』の前情報に、『キュアエクレール』っていうプリキュアもいるって載ってなかったっけ?
「はづきちゃん?どうかしたの?」
「…いえ」
まさかね…
「はづきちゃん、私がお手伝いしてあげられるのはここまでよ…後はあなたの口から、あんなちゃんに伝えてあげて」
「…はい!」
そしてあんなちゃんとのお出かけ当日、僕は昨日買ったワンピースを着て遊園地で待ち合わせをしていた。お出かけ先に遊園地ってのは割とベタだけど、案外こういうのが安定して楽しめるもんだ。
ちなみにキャプタンは一緒にいない。あんなちゃんと二人きりのお出かけな訳だし。
「はづきちゃーーん!」
おっ、あんなちゃんが来たぞ。
あんなちゃんも今日に向けて準備をしていたらしく、いつもと違う服を着ていた。ちなみにいつもポーチのフリをして、あんなちゃんと一緒にいるポチタンの姿はなかった。おそらくみくるちゃんとジェット君に任せているのだろう。
頭に被っているのはいつものベレー帽だけど、着ているのは可愛らしいデザインのワンピースだ。思わず見惚れてしまったけど、一番目についたのは…
「その色合い、キュアアンサーみたいだね。似合ってるよ」
「ありがとう!私もキュアアンサーの衣装をイメージして選んだんだ!…ねぇ、はづきちゃん」
「ん?」
「…凄く綺麗だね。はなまる似合ってるよ」
「あ、ありがとう…」
意外だな…あんなちゃんの事だから僕の格好を見て捕食者のような目になると思ってたけど、いつになくソワソワしてるし、あまりこちらを見てくれない。
まぁいいや。襲われる心配もないし。
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(あぁ~!はづきちゃんがはなまる可愛すぎて直視できないよ~!本当は今すぐ食べちゃいたいけど、ここには人が沢山いるから我慢我慢…帰りにそれとなくホテルにお持ち帰りしよっと。フフッ♡)
なお、内心はこのようになっていたとか。
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そんな訳で、僕とあんなちゃんは存分に遊園地を楽しみ、一緒に園内で買ったソフトクリームを食べていた。僕がバニラ味で、あんなちゃんがブルーベリー味だ。
「う~ん!はなまる美味しい!」
あんなちゃんは美味しそうに食べている。ふと顔を見てみると、口元にクリームがついていた。
「あんなちゃんってば、口にクリームついてるよ」
僕はそれを指で取り、そのまま自分で舐め取った。
「は、はづきちゃんって、結構大胆だよね…」
「へ?」
あんなちゃんはどういう訳か、顔を赤くしながらモジモジしていた。何かマズい事でもしちゃったかな…?
それはそれとして、不覚にも可愛いと思ってしまった。
「あんなちゃん、次はどこに行こっか?」
「遊園地に来たんだから、やっぱりあそこだよ!」
遊園地と言えばなところか…何だろ?
「ジェットコースター!」
…そういう事ね。
「はづきちゃん、顔色が悪いよ?もしかして、絶叫系は苦手?」
「そ、そんな事ないよ!?脱出ショーと比べたら全然ヨユーだって!」
「そっか…それじゃあ行こっか!」
そのまま手を握ってきたあんなちゃんは僕を引っ張っていった。
そして僕が見栄を張った結果、案の定ダウンしてしまった。
「はづきちゃん、大丈夫?」
「な、なんとか…」
僕は今、ベンチに座っているあんなちゃんに膝枕をしてもらっていた。
「…はづきちゃん」
「うん?」
「…どうして、二人だけでお出かけしようって、言ってくれたの?」
「え…?」
「私ね、わかってたんだ。はづきちゃんが私を怖がってるって…」
「それは…」
あんなちゃんは不安そうな表情でそう言っていた。
「これ以上しつこくしてたら、はづきちゃんを困らせるってわかってた。だけど、自分を抑えることが出来なかった…どうしても、同じ
あんなちゃんはこれまで抑え込んできた気持ちを抑えきれなくなったのか、涙を流しながらそう言っている。その涙は、僕の顔に零れ落ちてきた…
「あんなちゃん…」
「ごめんね…私みたいな重い女、はづきちゃんは嫌いだよね…」
「そんな事ない」
そう言って僕は起き上がった。
「確かに、最近のあんなちゃんは怖かった…だけど」
僕の気持ちをあんなちゃんに伝えようとした時、あんなちゃんが持っていたプリキットボイスから着信音が聞こえてきた。あんなちゃんはすぐさまプリキットボイスを取り出した。
「みくる?どうしたの?…うん、わかった!すぐに行くね」
「もしかして、何かの事件?」
「うん。ニジーが子供のオモチャを盗んでいって、それをみくるとジェット先輩が追いかけてるところだって…私、行くね」
「…わかった。僕も変身したらすぐに」
「はづきちゃんは来ちゃダメだよ」
「え…?」
「これ以上、大好きなあなたを巻き込みたくないから…それに、こういうのは大怪盗じゃなくて、私達名探偵の役目だもん!」
「あんなちゃん、何言ってんだよ…!」
「…今日はありがとう、一緒に遊んでくれて…さよなら」
「あんなちゃん!」
あんなちゃんはそのまま走り去っていった。
「…いるんだろ、キャプタン」
「ギクゥ!?」
情けない声を出しながら、隠れていたキャプタンが姿を現した。
「わ、わりぃはづき!お前らのデートがどうしても気になっちまって…」
「そういうの良いから、行くよ?」
「は?行くってどこに?」
「あんなちゃん達のとこ…急ぐよ!」
「…おう!」
僕はキャプタンと一緒にあんなちゃん達の元へと向かって行った。