幻の美形が死後の世界に迷い込んだら   作:ファクジャク

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文字数増やそうとしたら大幅に更新遅れました。すまぬ。

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球技大会宣言

先日、陽動班及び学園内の人気ガールズバンドgirls dead monster略してガルデモのリーダー岩沢が陽動作戦中に消失した。文字通り消えてしまったのだ。

天使エリア侵入作戦の為、講堂にてライブを開催。NPCの陽動を行っていたがいつものゲリラライブでは無く、告知ライブを行った為だろうか。学校側の対応が早く、ライブ途中で教師陣が講堂に乱入。バンドを中止させようとしたらしい。NPCの懇願虚しく、教師陣はステージへと上がり、ライブの中止と岩沢の大切にしていたギターの没収を宣言。

 

「それに触れるなぁ!」

 

それを聞いた岩沢は激昂し、教師の拘束を無理矢理解き、ギターを取り返すと新曲のバラード『My Song』を演奏。満足した表情を浮かべ世界から消失。彼女のギターだけがその場に残された。

 

天使エリアと呼ばれていた天使の自室への潜入メンバーだった僕は実際にその光景を見たわけでは無い。岩沢を見送ったガルデモメンバーを始めとした目撃者達の話を聞いただけだ。ただ短い期間とはいえ、共に過ごした人が居なくなったというのは寂しく感じるものだった。僕ですらそう感じるのだから、より多くの時間を過ごした他のメンバーの心中は測りかねるものがあるだろう。戦線内の雰囲気は普段よりも確かに重くなっていると感じてはいた。のだが…

 

「まさか自殺者まで出るなんて…」

「ライ、変なモノローグ流してるところ悪いけど違うからな?」

「なんだ、そうなのか」

 

現在、岩沢が抜けた事により出来たガルデモの穴を埋める為、新人のオーディションを校長室で行なっていた。新人候補の名前はユイ。ガルデモの大ファンだったらしく、ガルデモとは方向性は違えど、そのパフォーマンスには確かに人を惹きつける何かがあった。しかし、テンションが上がりすぎたのか、勢い余って振り上げたスタンドマイクが天井に突き刺さり、しかもそのままマイクのコードが首に巻きつき、首吊り自殺の様になっていたというのが今の状況だ。いや、どういう状況だ?

僕は音楽関係には疎いので、てっきりそういうパフォーマンスなのかと思っていたが、単なる事故らしい。

ゆりは彼女の扱いをガルデモメンバーに丸投げする事を決定し、その後球技大会へのゲリラ参加をすると宣言した。正式な手段で参加すると、消滅する可能性があるかららしい。ちなみに一般生徒に敗北した場合は死よりも恐ろしい罰ゲームとの事で、メンバーの士気が強制的に高まった。

 

「ライ君、少し残ってくれる?」

 

他のメンバーがチーム作りの為、退室していく中、僕だけが呼び止められた。校長用の大きな机を挟んで向かい合う位置に移動する。

 

「どうしたゆり?」

「あなたは今回、球技大会に参加しなくても良いわ。代わりにこれに付き合ってくれるかしら」

 

そう言いながらゆりは机の引出しから何かを取り出し、机の上に広げた。これはボードゲーム?白黒に交互に塗りつぶされた盤面の上にゆりが白と黒で統一された駒を隊列を組んで向かい合うかの様に並べていった。

 

「これは?」

「チェスよ、覚えてないの?」

「すまない」

「…はぁ」

 

返事を聞いたゆりは仕方ないわねぇとでも言いたげな大きなため息をつく。その反応は少し理不尽じゃないか?

 

「それじゃあ説明してあげるから一回で覚えなさい!そのまま実際に指してもらうわ」

「わかった。やるだけやってみるよ」

「ちなみに戦線内で私に勝てたのは誰一人としていないから覚悟しなさい」

 

ゆりはこちらに向けて、不敵な笑みを浮かべる。初めて指す人間に対して、大人気なさすぎる気がするんだが。

 

「お手柔らかに頼むよ」

 

 

 

 

「なっ、なっ、なななな…」

 

ゆりは目を見開き、口元をひくつかせながら盤面を見続け、そして

 

「チェックメイト」

「なんでなのよおおおおぉぉぉ!!!」

 

僕の勝利宣言と共に顔を両手で覆って、後ろに大きくのけぞった。女の子のしていいポーズと声じゃないな。

 

「待ってよ!おかしいわよ!」

「待ったはこれで4回目だぞ?」

「そういう意味じゃなくてぇ!」

 

指しているうちにゆりの表情がだんだんと変わっていくのは見ていて面白かったな。

 

余裕満面→あら、意外とやるじゃない→あれ、なんか流れおかしくない?→えっ、強くない?→やべえよやべえよ→チーン

 

正直、気持ちの昂るものがあった。これが日向の言っていた愉悦というやつか。

 

「はあ、また勝てなかったかぁ」

「ん?戦線では負け知らずじゃなかったのか?」

「うるさいわね!戦線を組む前に負けた事があったのよ!というか、うちの奴らがチェスなんか指せる訳ないでしょ!」

「リーダーがそれを言うなよ…」

 

つまり、戦線内負け無しとはそもそも試合が出来ていなかったのか。やれやれ、モノは言い様だな。

 

「それで?」

「…なによ?」

「指す相手が欲しかったからというだけで、作戦を無視させてまでチェスを始めた訳じゃないんだろ?」

 

まだ若干涙目になっているゆりを見据えて言う。球技大会開始まであとわずか。今頃、他のメンバーは球技大会に向け、チームを結成しているはずだ。それをゆりが遊び半分で作戦を放棄させる様な事は無いだろう。まだ短い付き合いではあるが、それぐらいは気付いているつもりだ。

 

「…お見通しって訳ね。これはちょっとしたテストだったのよ」

「テスト?」

 

ゆりは表情を引き締める。意識を切り替えたのだろう。

 

「率直に聞くわライ君。戦線の弱点は何かしら?」

「アホな事」

「あなたも大概ストレートよね…」

 

球技大会だけに?と呟くのはやめておく。ゆりはこほんと話を本題に戻す。

 

「それもそうなんだけど、もう一つ。指示を出せる人間が私以外にいないという弱点があるのよ。最近は人数も増えてきているし、もう一人くらい作戦の立案や指揮が出来る人間が欲しいのよね」

「まさか、それを僕が?」

「ご名答、あなたを私の作戦補佐に任命するわ」

「新人の僕がそんな役職になったら、反感を買わないかい?」

「作戦時以外はみんな自由にさせているから問題ないわ。高松君や大山君からの高い評価もあったしね。それに私の決定には誰も逆らわないわよ?」

 

そう言いながら、ゆりはウインクする。恐ろしいリーダーだな、まったく。僕は思わず苦笑してしまう。

 

「僕もリーダー宣言には逆らえないか。それでは謹んで拝命させていただきます」

 

わざとらしく片膝をつけ、騎士のように礼をしながら言ってみる。少しキザッたらしかったかな?思わずゆりの方を見てみればゆりは少し驚いた顔をしたが、すぐに笑みを浮かべた。

 

「ええ、これからよろしくねライ君」

「イエスマイロード」

 

 

 

 

「はあ、疲れたぁ」

 

俺は球技大会を終え、校長室へと戻っている最中だった。俺たちのチームは戦線のチームの中では一番最後まで勝ち残っていたのだが、結果は敗北。生徒会の選抜チームとの接戦の末に負けてしまった。全員野球部で構成されたチーム相手に良い勝負してたんだから、十分だとも思うけど。何にせよ罰ゲームは確定らしく、試合終了と共に、他のメンバーは血の気の引いた顔を浮かべていた。一体、どんな罰ゲームが待っているというんだ?

 

「ん、あれは日向か?」

 

そんなことを考えながら歩いていると、校長室の前に先に戻ったはずの日向がいた。トラップは既に解除したのだろうが、校長室の扉に耳を押し当てて何をしてるんだ?どうやら、日向もこちらに気付いたらしく、手招きしているので、俺もそちらに向かう。

 

「どうしたひな」シー!!

 

言い切る前に日向が人差し指を口に当てて、止めてくる。そして無言で扉の方を指差してまた耳を当てた。何か聞こえんのか?俺も真似して耳を当てると。

 

「あいつら、罰ゲームは確定ね…」

「最後は何があったんだ?ユイが日向に技を掛ける前に音無も日向の方に走ってたし」

「なんでもいいわよ!取り敢えず罰ゲームを決めましょう。断食5日間とかどうかしら!」

 

これはゆりと…ライか?というか断食!?期間なげぇし!

 

「いや、それだとただ苦しいだけだろう…」

 

よーし、いいぞライ!そのまま罰ゲームなんか取り消しちまえ!俺たちの運命はお前に掛かってる!!日向も同じ事を考えているのか、激しくうなづきながら両手を合わせ、祈りを捧げている。

 

「だからこの地獄の筋トレメニュー5日分をつけよう!」

「「なんでだああぁぁ!!!」」

 

俺たちは同時に扉を開け放った。




球技大会とは?(すっとぼけ)
岩沢さん回は関与する場面がなかったのであらすじのみです。

基本的にAB本編とは別の視点や別場面での描写にしていきたいと思います。アニメの場面そのまま書いても、書いていて面白くないので。
それでは今回も読んでいただきありがとうございました!
次回はみんな大好きテスト回!
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