「うわあああ!」
「今の声は音無か!」
悲鳴はグラウンドの方から聞こえてきた。僕はすぐさま屋上の手すりを掴んで、階下を見下ろす。見下ろした先には放物線を描いてグラウンドに落ちていく音無の姿があった。
「音無ぃ!」
必死に呼び掛けるが、彼は止まることなく、グラウンドの真ん中に衝突した。ぐしゃりという生々しい音がハッキリとここまで聞こえてきた。呆然とその光景を眺めていると、後ろから相変わらず冷淡な声が聞こえてくる。
「安心してください。ここで死ぬことはありません。しばらくしたらまた起き上がります。」
「音無に何があったんだ?」
「どうやら対天使トラップに引っかかったみたいですね。」
「対天使トラップ?」
「天使というのは私達、死んだ世界戦線の敵の事です。」
天使?死んだ世界戦線?わけの分からない単語が次々と飛び出す。
「説明を求めてもいいか?」
「それにつきましては私ではなく私たちのリーダーが行うとの事です。」
「そのリーダーは何処にいる?」
「これから案内します。」
そう言うと彼女は返事を待たずに屋上を出て行く。今の僕には追いかける事しか出来なかった。
「校長室?ここにリーダーがいるのか?」
「ええ。ここが死んだ世界戦線のアジトですから。」
彼女に連れてこられたのは校長室と書かれた扉の前だった。ここがアジトということはリーダーは校長なのかもしれない。また、扉の前には紐で吊るされたハンマーと床にはガラス片が散らばっていた。これが音無が引っかかった罠なのだろう。丸太は振り子の様な揺れを微かに残していた。
金髪の少女に続いて校長室に入る。中には数人の生徒がおり、入ってきた僕に一斉に視線を向ける。
「こいつが新人か。思ったより細いけど、大丈夫なのか?」
「ぱっと見は細いが、良い身体つきをしている。見なくてもわかるほどにな」
「キャラ被り……。」
「浅はかなり……。」
色々と聞こえてくるけど、今話すべき人は目の前で後ろ向きに座っているこの人だろうな。
「ゆりっぺさん、連れてきました。」
「ええ、ご苦労様。」
金髪の少女に声を掛けられた人は返事を返すと振り返る。
「なっ、嘘…。」
「女性とは驚いたな。」
こちらに振り向いたのは赤い髪をした少女。金髪の少女と同じ制服を着てるということは彼女もここの生徒なのだろう。こちらを見た彼女は驚きの表情を浮かべた。
「僕の事を知ってるのか?」
「……いえ、人違いだったわ。ごめんなさいね。」
「そうか、残念だ。」
本当に残念だった。自分の記憶の手がかりが見つかったと思ったのだが。
「では改めてようこそ。死んだ世界戦線へ。私はリーダーのゆり、よろしくね」
「僕はライだ。よろしく」
ABキャラのギャグ路線に対して、ライのシリアス路線をうまく絡めるのが難しい…
今回から週一での投稿目指して書いていきますので、
よろしくお願いします。