幻の美形が死後の世界に迷い込んだら   作:ファクジャク

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オペレーション・トルネード

既に日が落ち、街灯の点々とした光だけが校舎へと繋がる大きな石橋を淡く照らしていた。その石橋の上に僕と音無はいた。鈍く光る「拳銃」をその手に持って。

 

「本当に天使は来るのか」

「わからない。ゆりは比較的安全な場所とは言っていたけど、どこまで信用して良いのか」

 

音無が不安を口にする。橋の上に障害物は無く、天使が現れたのならば気付かないという事は有り得ない。周囲への警戒を続けながら、僕達がここにいる理由を思い出す。

 

オペレーション・トルネード

 

今回の作戦の名前だ。大袈裟な名前の割に内容は生徒から食券を巻き上げるというかなりしょぼい作戦である。しかし、天使を警戒するというのはわかるが校舎周辺を囲む戦線メンバーの配置は規模が大きすぎはしないだろうか。過剰に感じられるこれは天使への警戒の表れなのだろうか。

 

「歌?」

「講堂の方からだな」

 

岩沢がリーダーだという陽動班。てっきり天使を陽動する部隊かと思っていたが、NPCを引きつける部隊だったようだ。

 

「そういえば天使って、どういう見た目をしてるんだ?」

「ああ、ライはまだ見た事無いんだったな。えーと…なが「長い銀髪、黄色い瞳、小柄な女子生徒か?」そうそれだ!…え?」

 

僕を見ていた音無も僕の視線の先、橋の向こう側へと顔を向ける。そもそも隠れるつもりもないのだろう。堂々と橋の中央をこちらに向かって歩く一人の少女。暗い橋の上を月明かりに照らされた銀髪は神秘的にも見える。

 

「構えろ音無。ターゲットの到着だ」

「あ、ああ!」

 

僕が既に銃を彼女に向けていることに気付き、音無も慌てて銃を構える。二人に銃を向けられても、その歩みは止まらず、動揺も全く見られない。肝が座っているのか、関心が無いのか。音無は落ち着きが無く、向けた銃先が震えている。僕が率先して動いた方が良さそうだ。それなら次だ。

 

パン!僕は天使の足元を狙い、銃を撃つ。弾は天使に当たらず、彼女の足元のコンクリートを少し削り、天使は進行を止める。慌てて音無が僕の銃を押さえた。

 

「おい、もしも当たったら!」

「わかってる。威嚇射撃だよ」

 

音無にだけ聞こえる声で答えれば、押さえていた手を離す。天使に一度刺されたと言っていた筈だが、そんな相手でも庇おうとするのか。音無は優しすぎる気がするな。

ひとまず今の一発でこの銃が本物である事は理解できる筈。運が良ければ今の銃声で他のメンバーもこちらに来てくれるかもしれない。様子見としては上出来だ。

 

「さらに近付くなら次は当てる。今日のところは寮に戻ってくれないか?」

 

ハッタリだ。記憶次第ではあるが、銃なんて初めて使うはずだし、少なくとも扱い慣れたものではない。確実に当てられる程の技量は現状持っていない。しかし、天使に当たればただでは済まないのもまた事実。どう出る?




ロスカラ2発売祈願作品

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